261 エイプリル・トフィーの融解点
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[入学式はエリプリルフールに起きたニュースで話題は持ちきりだった。 恐怖心と好奇心が渦巻いて、皆お祭り騒ぎだ。 中には、欠席する生徒や入学式を中止にするよう訴えた保護者もいたらしい。 何とか入学式を終えて教室に戻っても与太話がゴミに集る小蝿のように飛び交っていた。 アメリカ軍がレーザー光線で隕石を砕くするだとか、NASAがロケットを飛ばして隕石を破壊するだとか、選ばれた人間には封筒が届くだとか、北朝鮮の核ミサイルが宇宙を超えるだとか、ニュージランドの羊が世界の鍵だとか]
「みんな同じ話でうんざり」
[今年から同じクラスになった凪が隣に座る]
「じゃあどんな話をしたいの?」 「別に決まった話をしたいわけじゃない。ただ、いつもの変わらない日常を過ごしたいだけ」 「僕もそう思う」 「とんだ新学期」 「まあ、しばらくすれば落ち着くでしょ。みんな興奮してるだけだよ」
(7) 2019/03/25(Mon) 00時頃
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[だが、騒ぎは一向に収まらなかった。 いつ何時、どこのキー局でも隕石についての特番がやかましくなるほど組まれていた。 ただ、いずれも答えは同じだった。 隕石の衝突は、避けられない。
[グラウンドの片隅の、隅の隅で白球が弧を描く]
「2組の浜道いるじゃん」 「うん」 「あいつ、学校辞めたって」 「え?」
[思わず取り損ねて、白球が後ろに転々とする。 それを凪が拾い上げて、僕に返す]
(8) 2019/03/25(Mon) 00時頃
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「浜道だけじゃないよ。他に何人も辞めてる」 「嘘でしょ、なんで」 「人類存続の一大事に、学校なんて行ってる場合じゃないんでしょ」 「浜道、ラグビー部の部長じゃん。どうすんのさ全国大会」 「それが、顧問が失踪しちゃったみたいで」 「え!?」 「どうなっちゃうんだろうな、みんな」
[ふと、僕は辺りを見回した。 茜色の空に響く、カラスの鳴き声。 誰もいないアスファルト。 誰もいないベランダ]
…こんなに静かだったか?
[日常が静かに、こぼれ落ちて壊れていく]
(9) 2019/03/25(Mon) 00時頃
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[自習、と素っ気ない文字が黒板に書かれている。 入学式から2週間、登校するクラスメイト達は1人、また1人と減っていった。 生徒だけでなく、大半の教師達も学校へ来なくなった。 今ではクラスの大半が欠席し、授業のほとんどを自習で過ごしている。 それは舟尻高校だけじゃない。どこの教育機関でも同じ状態だった。 そんな中、凪はいつもと変わらずに参考書の問題を読み進めている。 凪とは中学の頃に知り合った。頑固な性格で、敵ばかりが多かった気がする。野球部で後輩いびりをしていたリーダー格の先輩に噛み付いて、喧嘩になったことがあった。論破された先輩がバットを振りかざしても、瞬き一つしなかった。これと決めたら絶対に曲げない意思。凪には、そういう強さがある]
「何見てんのよ」 「いや、凪らしいなって」 「学生の本分でしょ」
(46) 2019/03/25(Mon) 23時半頃
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[ふと、隣のクラスからイケソーがやってきた]
「お前ら、屋上行くぞ」 「屋上?」 「なんで」 「屋上は青春の特権だぞ」 「どういうことよ」 「どうせ暇だろ」 「でも、空いてないよ。鍵かかってるし」 「空いてないんじゃねえ。開けるんだよ」
[と、イケソーは自慢気に銀色の鍵をチラつかせた]
(47) 2019/03/25(Mon) 23時半頃
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[屋上から空を見上げると、透き通った青が一面に広がっていた。 それから、僕たちは屋上のコンクリートの上に寝そべった。 イケソーは携帯をポケットから取り出して]
「おい、写真撮るぞ」 「ここで?」 「映えるだろ」
[吸い込まれるような空の下、屋上で授業をサボって寝そべっている。 ベタすぎて、いくら何でも出来過ぎだ。 それでも、こんな異常事態だからこそ、何だか許されるような気がした]
(48) 2019/03/25(Mon) 23時半頃
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「封筒が配られてるらしいぜ。世界中で」 「例のシェルター?」 「選ばれた人間の元に届くんだと。ほら、アメリカで歌手の有名人が話題になってたじゃん」 「ねえ、やめないその話題」 「…そうだな。俺、高校卒業したら世界中を旅したいんだ」 「なに夢語ってんのよ」 「お前が話題変えろって言ったんだろ」 「だから新聞屋でバイトしてたのか」 「資金稼ぎにな。で、旅の途中で世界中の人とキャッチボールする」 「なにそれ」 「旅した人はいても、キャッチボールした奴はいねえだろ」 「まずどこから行くの?」 「フランス」 「フランス? なんで」 「パンくいてえし」
[やっぱり、イケソーは馬鹿だ]
(49) 2019/03/25(Mon) 23時半頃
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「凪は?」 「え、これ私も言うの? 嫌よ」 「なんだよ、ケチ」 「アンタには言われたくない」 「僕も聞きたい」 「だって、あんまり話したことないし」 「話してよ。この機会だし」 「え〜…でも…」 「お前、こうしている間にもどんどんハードル上がっていくからな」 「あ〜、もう! …お、お母さんになりたいの」 「子供が欲しいってこと?」 「…小さい子供とか好きだし。それに、ちゃんとした母親の下で育ってないから、自分の子供をそんな目に遭わせたくはないと思って…ちょっと、茶化しなさいよ」 「いや、すごくいいじゃん」 「キャッチボールとか言ってたの、なんか、すげー恥ずかしくなってきた」 「やめてよ! 私まで恥ずかしくなるから!」
(50) 2019/03/25(Mon) 23時半頃
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「コタローは?」 「え、僕?」 「絶対言いなさいよ」 「いや、夢とか無いし」 「つまらねえ奴だな〜お前は」
[強いて言うなら。 僕はこのまま、この日常が続いて欲しいという夢がある。 イケソーがいて、凪がいれば、それでいい。 何も変わらないでいい。今のままでいい。 さようならなんて言いたくない。その気になればいつだって会える。そんな関係のままでいたい。 そして、僕の小さな淡い願いは、たった一枚の封筒でぶち壊しにされた]
(51) 2019/03/25(Mon) 23時半頃
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みんなどうなるんだろ 気になる気になる 台詞パクってロル拾いたいマン
(-17) 2019/03/26(Tue) 00時半頃
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