233 冷たい校舎村5
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この村にも恐るべき“人狼”の噂が流れてきた。ひそかに人間と入れ替わり、夜になると人間を襲うという魔物。不安に駆られた村人たちは、集会所へと集まるのだった……。
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夜風に乗って、遠くから声がとどきます。昨夜は幽かに。今夜は響き。きっと明日は……
(0) 2018/02/10(Sat) 00時頃
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12月の終わり。冬休みも目前となった頃。
君たちの住む街にも雪が降った。
ここ数年で一番の大雪だという。
この街に住んでいる限り、めったに見ることのない景色。
真新しい雪が、本来の色を覆い隠している。
天候が回復する兆しはないものの、
休校の連絡もまた、なかった。
警報の類も発令されることはなく、
君たちはそれを知ってか知らずか、
いつもどおり、学校に向かう道を進む。
(#0) 2018/02/10(Sat) 00時頃
君たちは、九重高校3年4組に所属する高校生。
体育祭に修学旅行、先日終えた文化祭。
高校生活のメインイベントも終え、
いよいよ受験勉強も追い込みの時期だろうか。
(#1) 2018/02/10(Sat) 00時頃
察しのいい君ならば、気づくかもしれない。
悪天候の中、ただでさえ人通りは少ないが、
いくら学校に近づけど、君と同じ制服が見当たらない。
やっと出会えた、と駆け寄ってみれば、
それは同じクラスの、見知った顔ぶればかりだ。
不思議に思ったところで、校舎は目前に迫っている。
勤勉な君は、学生の務めを果たすべく、
その校舎へと足を踏み入れるだろう。
(#2) 2018/02/10(Sat) 00時頃
ようこそ、冷たい校舎へ
(#3) 2018/02/10(Sat) 00時頃
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嘘など一つもない。
(1) 2018/02/10(Sat) 00時半頃
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──12月某日 朝──
[ アラームが鳴る1時間半に目覚める。
毎晩仰向けに足を揃えて眠っても、 目覚める時は必ずうつ伏せで、 シーツと枕からは清潔な香りがする。
洗濯の回数を裕福さの基準と履き違えている母は、 家中のものを洗うのが趣味のようなところがあって、 その残り香は俺らしさでもあった。]
(2) 2018/02/10(Sat) 00時半頃
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[ AM6時。ベッドを整えてから 今日も必要のなかった目覚まし時計をオフにする。
アラームセットの7時半は、自分への最大限の譲歩。 遅刻をせずに済むギリギリの時間に設定しているものの、 俺が寝坊をするはずもないので、 その役割を果たしたことはない。
最早無用の長物といっても差し支えないが、 俺は習慣づいたこの流れをもう随分長く変えずにいる。]
(3) 2018/02/10(Sat) 00時半頃
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[ 学校用の鞄の中身を確認していると、 扉を引っ掻くような音がする。
断続的なカリカリという音からして、 まだ千昭が餌をやっていないらしい。
まったく、いい加減にやめさせてほしいものだ。
支度を終えて部屋を出ると、 弟に懐かない猫は俺の顔を見上げて一度鳴いた。
仕方がなく、俺は扉の前でくつろいでいた 猫を抱えて階下へと降りる。]
(4) 2018/02/10(Sat) 00時半頃
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[ この猫も以前はもっと朝早くや 時を構わずにやってきたものだが、 どうしたってこの部屋には入れないと理解したらしい。
決まって俺の起床時間に合わせて 扉の前にやってくるようになった。
少しは利口になってくれて助かる。 寝室に毛を撒き散らされるなどごめんだ。]
(5) 2018/02/10(Sat) 00時半頃
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[ ダイニングキッチンへと向かえば、 弟の千昭がタイミングよく オーブントースターの前に立ったところだった。
扉を開けると同時に「おはよう」と声をかければ、 奴は顔を顰めて口を開いた。
何やら呻き声のようにも聞こえたが、 おそらく「おはよう」の聞き間違いだろう。]
(6) 2018/02/10(Sat) 00時半頃
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[ 父の拘りにより朝は和食と決まっている我が家だが、 奇妙な反抗期に突入した千昭は、 時折朝からトーストを焼く。
ちょうど良いので俺の分も焼くよう頼めば、 「おれの小遣いで買ったのに」 ──などと馬鹿げたことを言う。]
小遣いなんて母さんに言えば いくらだってもらえるくせによく言う。
いいから早くしてくれないか、 俺は腹が減っているんだ。
[ そう言うと千昭は不機嫌そうに 食パンをもう一枚金網の上に並べた。]
(7) 2018/02/10(Sat) 00時半頃
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ところで、
[ と俺は言う。]
早くナインに餌をやれよ。 毎朝催促がうるさくて仕方がない。
[ 千昭が振り向く。
「おれがサボってるんじゃなくて、 気づいたらそいつが兄貴の部屋に行ってんだもん。 おれのとこには全然こねえのにさ」
自分の猫のくせに、 千昭は手に負えないとでも言いたげに鼻を鳴らした。]
(8) 2018/02/10(Sat) 00時半頃
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[ テーブルについた俺の足にじゃれついていた猫が、 また小さく「にい」と鳴く。
不思議なことではあるが、 俺は昔から妙に猫に懐かれるのだ。
餌もやらないのに。]
(9) 2018/02/10(Sat) 00時半頃
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[ トーストにバターとジャムを添えて運んできた千昭が、 俺の足元に向かって、
「ちょっと待ってろよ、 おまえにもすぐ用意してやるから」
と声をかけるのを尻目に朝食を済ませた。
猫は相変わらず、 俺のスラックスの裾にご執念だった。]
(10) 2018/02/10(Sat) 00時半頃
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[ 外はひどい雪らしい。
旅行中の母の顔が過ぎったが、 何かあれば連絡を寄越すだろう。
テーブルの上を片して、 コートを羽織り、鞄を拾う。
”よそゆき”の顔を作って──なァに、 難しいことじゃあない。]
(11) 2018/02/10(Sat) 00時半頃
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──いってくるよ
[ 片手をあげてキッチンに立つ弟に微笑み、 廊下へと続く扉をくぐった頃に、
「うっぜえええええええ」 ──と言う千昭の声が小さく聞こえた。
ははは、出来の悪い弟の分際でよく吠える奴め。
「なあん」と一度だけ鳴いた猫の方が余程利口だ。]
(12) 2018/02/10(Sat) 00時半頃
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[ ──安楽一記の長い一日はこうして始まる。*]
(13) 2018/02/10(Sat) 00時半頃
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/* 意識すること:読点少なく、長ぜりふ。
あまり円滑財にはなる気のない委員長です。 ほんとはもっと探偵ネタにしようと思ったけど、 多分こいつは迷探偵です。どうぞよしなに。
32(0..100)x1
(-0) 2018/02/10(Sat) 00時半頃
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[ 30%の確率。 それは別に少なくはない。 ]
(14) 2018/02/10(Sat) 00時半頃
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/* 今回は早めに落ちそうだな!
不気味な背高のっぽのつもりだが、身長175+12
(-1) 2018/02/10(Sat) 00時半頃
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[ チョークの擦れる音がする。 何度聞いてもこびりつく不快な音に眉を寄せた。
教師が口にする。 「30%の確率の人が、胎内記憶を持っている」、と。 それは少しずつ薄れていくものらしく、 確認するのは自我が芽生え出した頃合いが ベストなタイミングらしい。
その後は緩やかな忘却へと消える海の中の記憶だ。
クラスで例えるなら3人に1人。 俺の前後か左右か斜め上下の中の誰かが その可能性を抱えている。 ]
(15) 2018/02/10(Sat) 00時半頃
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それって、幸せなんかな。
[ 呟くたった一言。 何気ない会話の一部。
そりゃあ20人にひとり、クラスに置き換えて5%よりかは、きっと馴染みやすい話題。 語る教師は態々呼び寄せられた中年女性でもなく、 慣れ親しんだ生物の教師だった。
聞き流しながらそれでもふと意識を蚊帳の外に追いやってみると、 いつだって聞こえる前頭葉に引っ付いては離れない、海の記憶。 押しては引く波の音。生温かい水の中。 ]
(16) 2018/02/10(Sat) 00時半頃
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[ そこではいつも啜り泣く声が聞こえる。 21g 其れは、魂の重さ。 そっとそっと離れないようにつなぎ合った。 それでも掬われた後、瞬きしたのはひとつだけ。
欠けた半分。後ろ姿。香水の香り。煌びやかな爪。 扉から差し込む光。 優しい腕と胸と温もり。 頭を撫でて腕を引いてくれる力強さ。 探しても見つからない、あれ≠探した。
瞬き。シャッターを切る。残る。 眠る。残される。だから目を開けた。 それでも許されない、生き物。
いつしか思い始めた。 此れはきっと、あの続きなのだと。 ]
(17) 2018/02/10(Sat) 00時半頃
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( なあ、ひとの価値は、何グラム? )
(18) 2018/02/10(Sat) 00時半頃
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[ 海の流れる音が聞こえる。 いつまでも、いつまで経っても、鮮明に。 褪せることのない青と白と黒。 その中でいつまでも探している。 ]
……目、開けたまんま寝てた。
[ 呆けた事がバレていた。何でもないように笑う。 いつも通りを、在り来たりを装った。――望んだ。 ]*
(19) 2018/02/10(Sat) 01時頃
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