280 【身内村】皆をころころする村
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何を仰るやら。 無粋、でしょう?
[薄く笑んだ。>>21 他人行儀を厭い、片棒を担げと示すならば、イエスマム、と頷くほかない。それを楽しめる性分でもある。広間をするりと見渡して、どうやら給仕の手は足りているようだと断じてしまえば、ふむ、と素手で口髭をなぞって僅かの間。 ――そろそろよかろう、流石の私もそろそろ"饗されて"然るべきであろう。何せ招待客だ、このなりで。
ジャケットを脱ぎ、そのままタイも外してしまう。 些か固さが抜けぬのは否めないが、いかにもな執事姿はこれで薄れただろう。皿を支える腕をハンガーに、公私の切り替えルーチンである、短い溜息をついて]
――いや何、ついつい、 仕事の延長を楽しみすぎてしまいましてな。
そろそろ唯のハワードに戻るとしましょう。 執事として貴女に尽くすのも悪くはないが。
(@0) cat0824 2020/09/23(Wed) 21時半頃
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[そうして。>>22]
いいえ、お嬢さん。 女性は皆、気高き女王ですよ。
故に。 ――貴女を貶めんとする悪い男になど。 努々、傅くことを許してはならない。
[説教臭くなる、と自戒した直後にこれだ。 我ながら、と自嘲の笑いが出た。女性として扱いながら、その実、おさない少女のように扱ってもいる。こと、おんなという性においてはそれは矛盾しないと、長くを生きたが故に知っている。]
(@1) cat0824 2020/09/23(Wed) 21時半頃
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There’s beggary in the love that can be reckoned.
――"計算された恋は卑しいものだ"、と。 かの劇作家が謳うように、
籠絡するような手を使う男などろくでもない。 君たちはクイーンでなければならない。
薔薇は手折らせるのではなく、 貴女が手折り紳士の胸元に挿さねば。
そうして忠誠を誓わせ自らの騎士になさい。
(@11) cat0824 2020/09/24(Thu) 23時頃
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[狭間に揺蕩った熱をからりと笑い飛ばして、 指をすり合わせて音を鳴らしてみせた。
これは君の騎士には成れないかわりに、 君の紳士でありたい男からの、 ほんの少しばかりの悪戯と、小さな教訓である。]
さてお嬢さん、 年寄りはあまり飲むと酔いますのでな。
とっておきのドリンクは如何かね?
[そうしてなんでもないことのように、またぱちりと、片目をつぶってみせるのである*]
(@12) cat0824 2020/09/24(Thu) 23時頃
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ふふ、
[きっといつかは分かる日が来る。 愛し慈しみ、ほのかに眦を緩める日が、必ず。
たった一人だけの頂に咲く"女王"は、 ――"聖母"の顔をしているのだと。]
(@13) cat0824 2020/09/26(Sat) 22時半頃
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[微笑みだけを返す。>>79 きっと彼女には、薄暗いネオンの光は似合わない。 エピローグが穏やかな陽光の下にあるなら、 雷鳴に打たれて始まる恋だったとして、 きっとそれは似合いの恋になるだろう。
色々綯い交ぜにしたであろう半目に>>80 降参、とばかりに肩を竦めてみせた。]
ではオレンジのものでも、見繕って参ります。
ああ、それと。
[踵を返す前に、皿をスツールに預けて、]
(@14) cat0824 2020/09/26(Sat) 22時半頃
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[会場からオレンジとパインの、 ノン・アルコールカクテルを選び取って、 グラスの縁にオレンジを添えた。
量はさほど飲んでいなかったと思うが、 ペースは早かった。デザートとして、いくつか、 フルーツをベースとしたものを見繕う。 気づけば会場の端まで来ていて、 振り返った先の姿は遠かった。]
(@15) cat0824 2020/09/27(Sun) 15時半頃
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[ぽつりと落とされた言葉は、軽さに反して、 重く耳朶を打った。この声色は知っている。 視線を投げて、間違いがなかった事を知る。
同じ顔が多い、と認識するに留めて、 一切、その誰とも関わらなかったのは――……、
"仕事"の仮面を被るにも、近すぎる相手故に、だ。]
……貴様か。
[うんざりする、を隠しもしなかった。 ゆるりと笑んだ顔は、老獪の野良猫に似ている。 誰とも当たり障りなく付き合えると豪語しているが それにしたって、この男のことは苦手だった。]
(@16) cat0824 2020/09/27(Sun) 15時半頃
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どこだそれは。 お前はロンドンのフリート街在住だろうが。
[吐き捨てるように噛み付けば、 ねえ俺、一応お前の職場の人間なんだけど、 と嗜める気もない笑声が戻る。 一応、とつけるだけの分別はあるらしい。 長年――そう、長年、だ――主人の頭を悩ませた、 放蕩息子。家に次男が居るのをいいことに、 ふらりと姿を消して、時折思い出したように、 カードだけを送って寄越す。
そのくせ、此奴には妙に気に入られているらしく、 家人が不在と見るや、ひょっこりやってきては 雛のようにあとをついて回られていた。
苦手意識はそうやって、積み重なっていった。 ――今はどうしているのか知らない。 それも、とっくに"昔話"になっている。]
(@17) cat0824 2020/09/27(Sun) 15時半頃
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[用意したドリンクとデザートを手に戻ったとき、 彼女の顔を染めた熱は、引いていただろうか。
酔い覚まし、という名目の、 当たり障りのない会話はどれほどあっただろうか。 逡巡が垣間見えたとして、見ないふりを貫く。
その間、脳裏を巡るのは要らぬ"老婆心"。
――真の恋の道は、茨の道である。
まさか、同じ劇作家の言葉で返されるとは。 文学や演劇はおろか、芸術の類にはこれまで、 毛ほどの興味も見せなかったくせに。]
(@18) cat0824 2020/09/27(Sun) 15時半頃
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[宴も酣>>#2 >>#3という頃まで、 酔い覚ましの相手をしていたのかもしれないし、 どこかで別れたかもしれなかった。
その頃にはきっちり来たときの服装に戻っている。 ひとり、またひとりと各々の思いを胸に、 帰路につくのだろう。この足も同じく。
――ただその前に、寄り道を挟むだけだ。 見上げた扉に記された名前は、己のものではない。 ドアマンよろしく、その扉の前に控えていた。]
(@19) cat0824 2020/09/27(Sun) 15時半頃
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[茨道を歩く覚悟さえ失ったのか、と。 焚き付けられた気分だった。そしてそれは、 ――あながち間違いでもないのだ。困ったことに。
姿が見えれば、恭しく一礼し、笑んでみせる。]
ここ暫く、後進の育成に手を焼いておりましてな、 漸く形になってきたところで、
そろそろ、お暇を頂こうかと、 そう、思っていたところです。
[純白のハンカチに乗せた鍵を、そっと差し出す。 これは複製だ。 ――イギリスはロンドンに、繋がる。]
(@20) cat0824 2020/09/27(Sun) 15時半頃
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観光にいらした折は、 ぜひ、エスコートさせて頂きたく。
仕事を趣味に生きてきたもので、 なにぶん流行りには疎いものですが、
その名誉に預かれるならば、 それこそ、
――死力を尽くしますよ、ユア・マジェスティ。
[敷いた道に否やが返るならそれでもよかった。 騎士にはなれない。けだものでしかない。 ただ、紳士ではありたいと、そう思ったことは、 間違いではない。 その上で、采配はいつ何時でも、 "女王"たる彼女が握っている*]
(@21) cat0824 2020/09/27(Sun) 15時半頃
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