263 ― 地球からの手紙 ―
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いっぱいお手紙貰ったの。 お手紙の内容はナイショだよ。 だって恥ずかしいもん。
[大人になる方法とか恋についてとか。 色々相談してたなんて恥ずかしいので言えません。]
マスターは書かないの? 欲しい人からもう貰ってるからいいんだ、そっかぁ。
[それ姉さまが知ったら泣かないかな。 ボクは心配になりました。 もし泣いたらどうやって慰めたらいいんだろう*]
(10) 2019/04/21(Sun) 21時頃
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虹、か。 虹の根っこ?
[解読作業のような時間は以外と楽しい。虹色の線で描かれたのは地図だろう。 家の端末を操作して、条件に合う地形を探してみた。 が、家からだと検索しきれない。地球は広い。あまり調査が進んでない土地も、多いのだ。 船のメインコンピューターならば該当が出てくるかもしれないな、と、葉も荷物に加えた。
四つの葉っぱが出てくる種はだいぶ迷って今は植えずにおいた。家政婦に世話を頼む事もできるが、自分で育てて、無事に育ったのを報告したかった。
自分の“手”でやってみたかった。]
そっちの方がいいよな?
[写真の妻に聞けば、微笑みが向けられた気がした。 貴方も手でするよさが分かったんじゃない? とも言われた気がして、頷いた。]
(11) 2019/04/21(Sun) 21時頃
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/* めっちゃいそいでたら、語尾が丁寧語じゃなくなってることにきづいて泣きそう
(-8) 2019/04/21(Sun) 21時頃
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[荷物を纏める。最後に、ずっと愛用していた万年筆とインク。そして、こればかりは新しく買いなおした便箋と封筒も荷物に入れる。下側に花の模様が入っていた。ライラックの花だそうだ。
船に乗る間、自由時間も存在する。 以前は妻に定期連絡をしていた時間。その時間を使って、手紙を書こうと思っていた。
妻への手紙。
最初で最後の、恋文を。]
(12) 2019/04/21(Sun) 21時頃
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[やっぱりまだ少し照れくさいなと笑って、荷物を持ち上げる。 煙草を口に咥えた。咥え煙草のまま船に戻るのは、癖だった。大昔は咥え煙草でうろつくだけで警察に捕まったらしい。人体に影響の無い煙草が開発されたのを、感謝する。
玄関の所で振り返り、家の中を見回す。]
行って来るよ。
[背を向けた時、いってらっしゃい、と誰かが囁いた気がした。
口の端に笑みを浮かべ、イワノフは玄関の扉を閉めた。]**
(13) 2019/04/21(Sun) 21時頃
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/* ライラックの花言葉、『恋の芽生え』ってのが良いかなぁと思ったんだよ、うん。
(-9) 2019/04/21(Sun) 21時頃
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[きょうは たくさんはれてます。 ちょとあついくらいで けとぅーとぅはやだなーとおもうけど でも きらいなわけじゃないです。]
はる と なつ のにおいな。
[おだやか と さわやか あいなかのにおいして きもちいいです。 はるはすぐ いなくなります。 きょうは はるとおいかけこしよなておもいます。]
(14) 2019/04/21(Sun) 21時頃
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/* ミタシュの所のふーさんがひたすら気になる…。
あとアーサーにお手紙送りたかったなぁ……ンゴティエクにも送りたかった……。
(-10) 2019/04/21(Sun) 21時頃
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[その日は窓を開けて寝ました。 だから、かもしれません。 朝起きたら耳元にキレイな薄桃色が見えたこと その形が「うちゅうせん」みたいだったこと …… あとでそれが「ひこうき」だと知りました
その折り方に見覚えがあったので 少女はすぐにお返事が来たのだと知りました
思わず草の上に正座 ぴんと背筋のばして あなたからの、とても綺麗な便箋を開くのです]
(15) 2019/04/21(Sun) 21時半頃
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[色とりどりのちいさな花を指でなぞります。 あのときよりも綺麗な文字に目を細めます。
彼女が抱える複雑さや、想いのすべてを 幼い少女が理解することはとても難しく それでも、最後に添えられたお願い事には 居てもたっても居られなくなり 少女は「ましん」を動かすのでしょう。
ましんはぎぃぎぃ音をたてていて 今にも壊れるんじゃないかって 心配していたら 案の定。 今日は どうしてか ちゃんと動いてくれません
だからぽんこつ「ましん」を不満に思いながら わたしはその人に、心の中でお手紙を書きました]
(16) 2019/04/21(Sun) 21時半頃
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きおくのない あなた へ
とても すてきな紙で お返事くれたこと 嬉しかった です
あのね わたしは あなたのことを 忘れません だって 覚えていてくれるだれかがいること それって 幸せ なことだから
(-11) 2019/04/21(Sun) 21時半頃
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そして きおくのある あなた へ
きおくのないあなたのこと を きおくのあるあなた が 覚えているのかは わかりません
だから あなたにとって わたしが はじめまして なのか そうじゃないのか も わかりません
でも もしも あなた にとって わたし が はじめまして のだれかさん ならば
はじめまして きおくのあるだれかさま もしよければ おともだちになりませんか
(-12) 2019/04/21(Sun) 21時半頃
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[『みんな』 どこかいきます。 でもけとぅーとたちは ずっとここにいます。 ふしぎな うちうすていしょんの どこか。 にじのねこに いつもいます。
はると おいかけこしながら。 ちぎれたもの さがしながら。 ふねも きたことないとこで。 はなに かこまれて。
かぜの なか。
ここは にじのねこ。 いつか『みんな』が かえるとこ。]*
(17) 2019/04/21(Sun) 21時半頃
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[きおくのあるあなたに出会えるのはいつになるかはわかりません でもそのときまでにもう一度「ましん」を動かして 今度はちからいっぱい、あなたの作ってくれた船みたいに。 私の船を空に浮かべられたら、と思うから。
少女はその日 ずっとふーさんに折り紙を教わることになりました 物を掴むには不向きなふわふわのてのひらで 一生懸命 いっしょうけんめい、頑張るのです。
いつかあなたにちゃんと もういちど、お手紙を届けられるように。
だって、伝えたいことがたくさん あったんですから。]**
(18) 2019/04/21(Sun) 21時半頃
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イワノフさんへ
クッキー美味しかったならよかったです。 上手って言われるのもとても嬉しいです。
姉さまに子供だって言われると悔しいです。 だから早く大人になりたいんだけど。 でも焦っちゃダメなのかな。 どうしても焦っちゃうんだけど。 こういう事をちゃんと考える事が大人になる 大切な事なのかなって思うので ちゃんと考えてみようと思います。
(-13) 2019/04/21(Sun) 21時半頃
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宇宙のお話楽しいです。 犬だから喋れないのかな? だからテレパシー? すごいです!
価値が違うっていうのは難しいです。 宝石よりも水が大事っていうのは水が少ないから 宝石がいっぱいあるからなのかな? 何もかも共有しているって全部同じって事ですよね。 それが幸せってどういう事なんだろう。 ボクはボクのままがいいなあ。
お手紙を読みながら空を見上げてみました。 とっても広くてずっとずっと遠くまで青空が見えます。 宇宙はそれよりももっともっと広いんですね。 どこまでも行けて自由なのってすれは素敵だけど 少しだけ怖いなって思いました。 孤独というのは分からないけど どこまで行っちゃうと気づいたら独りぼっちになってそうで。
(-14) 2019/04/21(Sun) 21時半頃
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だからボクは夜空を見上げる時は姉さまと見ようかな。 温かいカフェオレとお菓子を食べながら見上げて。 そして恋のお話をしてみようと思います。 静かな恋もあるんだよって言ってみようかな。
ショコラより
(-15) 2019/04/21(Sun) 21時半頃
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[「言葉」を届けるのが、神からくだされた役目。 この世界に生きている意味。 間違いなく、(あるいは本当に必要としているひとへ)届けるのが仕事。
けれどある日、しーさーの元に一通の手紙が残った。 仕事が終わった、とあるかどうかも曖昧な肩から力を抜いた時、それと同時に土の上に落ちたそれを、しーさーは瞼のない瞳でじっと見下ろした。
それは、手紙だ。 誰、ともなく願いを込めた風が、 誰かに届いて、そしてそれが戻ってきたという、証]
(19) 2019/04/21(Sun) 22時半頃
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[少年の一日は今日も、未だ仄暗い時間から始まる。 母親の作る味噌汁の香りも漂わない、 父親が出勤の為身支度する音も聞こえないような早朝。 昨日だってネットで不思議な出来事について調べ、 アプリで繋がる友人達が全員眠っても起きていたのに。]
あった……!
[それでも郵便受けを調べ、二通を見つけた彼は どうしようもないくらいに嬉しそうだった。 両親を起こさないように足音を抑え自室に戻って、 早速とばかりにあのレターセットを取り出すのだ。]
(20) 2019/04/21(Sun) 23時頃
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[水色に銀粉が煌めくどこか星空のような封筒 開く前にそれをしげしげと眺めて、あることに気がついた。
目を細め、微笑ましげに口元を緩め それから彼は中の便箋を取り出し、ゆっくりと読み始める。]
うーん、やっぱりこういうのはな
[と、何やら呟き頭を掻く場面はあったものの 便箋を置くまでの時間に暗い表情になることはなく。
さて今度はと手に取ったもう一通 些か緊張の面持ちで読み始めたものの、そんな様子は最初だけ。]
(21) 2019/04/21(Sun) 23時頃
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いいなぁ、
[感嘆のため息、切実な声音。 手紙の主が記す愛しい相手への気持ちが とても、素晴らしいものだと感じたからこその。
窓の外が少しづつ明るくなっていく中、幾度か読み返し ペンを取ってからも考えながら文字を進めた結果、 残念ながら朝の内には書き上がらずに。 彼はそれらをノートに挟み、学校へ────]
(22) 2019/04/21(Sun) 23時頃
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[そして今は夕方、少年がいるのは通学路でも家でも無く ────病院のベッドの上だった。 重なった睡眠不足、徹夜ではないからこそそれを甘く見て 何を書こうか考え、時にはメールの相手の事を想い うわの空もうわの空の状態で帰宅途中、駅の階段から転落。
周りに人が多く、友人達もいたからこそ対処は早かったが 両足骨折、一緒に落下した端末の画面が破損 身体も心もネット環境も酷い有り様であった。]
……はい、そのとおりです
[連絡が入り青い顔でやって来た母親も、 医師と話し、手続きを終えて、注意不足が原因と知った後は 心配したからこそのお説教を動けない息子に向けている。
それでも、心底落ち込んでいる我が子には 長々とは続けず、何かしてほしいことは無いかと聞いてきて。]
(23) 2019/04/21(Sun) 23時頃
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……それじゃあ、
[彼は一つ、お願いをする。 母親にとっては不可解で、当人には切実なことを。
そして、レターセットとペンを取り出した。]
(24) 2019/04/21(Sun) 23時頃
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[あの時と同じ、淡い青と切り抜かれた星の封筒 まるでその星に向けてやって来たように、ロケットが描かれている それは君の描いたものに意図的に似せたデザインだ。]
(-16) 2019/04/21(Sun) 23時頃
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ショコラくんへ
またお返事が届きましたよ。 これも君のところにきっと届くのでしょうね、 やっぱり不思議だけれどとても素敵です。 例え話が難しくてごめんなさい。 でも、伝えたいことは分かってもらえて良かったです。 ショコラくんはとっても賢い子ですね。 そうですね、何も人間を想うことだけが恋ではないと思います。 冒険に出ていつか夢中になれるものが見つかったら、 それをいっぱいいっぱい大切にして下さいね。
ショコラくんの運命が素敵なものであることを祈っています。 それと、お姉さんがもっと優しくなることも!
(-17) 2019/04/21(Sun) 23時頃
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いきなりなのですが、この手紙は病院のベッドの上で書いています。 僕は怪我をしたので、しばらく入院しなくてはなりません。 今回はお母さんに無理を言って、 多分届くだろう場所に手紙を置いてもらいます。
でも、このことはちゃんと説明するのが難しいので 二度目は頼まないことにしました。
君から手紙が来て、短い間だけどやり取りが出来て とても楽しかったです。ありがとう。
学より
(-18) 2019/04/21(Sun) 23時頃
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イワノフ・アークさん
再度のお返事、こちらこそありがとうございます。
手紙の神様、いるのかもしれませんね。 実は僕にも知らない人から不思議な手紙が届きまして、 その相手が言うには誰にでも手紙を届けるポストがあるのだとか 非科学的ですがこうも体験を重ねると、そうとしか思えなくなります。
僕はイワノフさんにお礼を言われることなんて何も無いですよ。 お願いをして、話していただいた立場なんですから。 でも、何かの助けになれたのならそれは光栄なことです。
毎日忙しく生きていると、 自分のことが置き去りになることもありますよね。 奥様は気づいてもらえて喜んでいると思いますよ。 でも、昔だって沢山喜んで沢山幸せだったんでしょうね。 だってイワノフさんは、本当は昔から奥様に恋をしていたんですから。
(-19) 2019/04/21(Sun) 23時頃
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実は僕は自分の恋のことで悩んでいて、 あの紙は誰かに話す為の下書きだったんです。 ちゃんとした手紙じゃないけど、あなたに届いて良かった。 僕が好きな人は、人間ですら無いけれど この気持ちに嘘は無いから、後ろめたく感じるのはやめようと思います。 あなたのお話を聞いて、そう思えました。 あなたの気持ちを伝えてくれて、本当にありがとうございます。
実は怪我をして、入院しなきゃならなくなりました。 この手紙は特殊な方法で届けているので、 病院ではそれが出来なくなり、受け取るのも難しいです。
今まで、ありがとうございました。 あなたと奥様のお話、僕は絶対忘れません。
学
(-20) 2019/04/21(Sun) 23時頃
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[署名の傍らには、四つ葉のクローバーが描かれている あなたと、きっとあなたを見舞っている奥様への 偶然のように縁が繋がった誰かからの気持ちだ。]
(-21) 2019/04/21(Sun) 23時頃
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[受け取った母親は確かにそれらをあの引き出しへ入れてくれるだろう。 その後ろ姿を見送り、彼はため息をつく。
不思議な手紙の話なんて母親には出来ない。 だから送る手伝いをしてもらうのは今回だけ。 当然、届けてもらうこともしない。
そして、端末のことばかりはどうしようもない。 途中だった手紙を書き上げられたことだけが幸いだった。]*
(25) 2019/04/21(Sun) 23時頃
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