15 ラメトリー〜人間という機械が止まる時
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[ 弦の音色が響いている、 それは生と死をも、祝福するような色鮮やかさで。
木陰で語らう“2人”の会話、 水を汲んだフィルが駆けて行く ]
[ 人の手で花に水が与えられ、 その花は、人の心を慰める ]
[ 与えあうことの尊さに、 もっと早く気づけていたら ――そう思うけれど ]
[ でも訪れつつある終焉は 優しい気がした ]
(+83) 2010/07/24(Sat) 00時頃
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フィリップは、ヨーランダを中から引き出そうと、手を伸ばす。
2010/07/24(Sat) 00時半頃
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[聞こえる音色に、バルコニーへと目を向ける。 音楽をゆっくりと聴くのは、だいぶ久しぶりのような気がしていた]
[水を汲んで駆けて行くフィリップを見送って。 泉の傍にいるひとたちを見る。
生けるもの。死せるもの。 どこにむかっているのだろう。
ふと、そんなことを考えていた]
(+84) 2010/07/24(Sat) 00時半頃
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ヨーランダは、フィリップに身を任せるけれど……。
2010/07/24(Sat) 00時半頃
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ギ……
ギ………
[シィラは、フィルがヨナに手を出すと、そう呻いた。]
(119) 2010/07/24(Sat) 00時半頃
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[シィラが呻く。 伝わりはしないだろうが、声を向けた。]
……駄目だ
これ以上、ヨナを縛るのは
[腕を掴み引く。 彼女の身に力が入ってないのは、重みで解った。]
(120) 2010/07/24(Sat) 00時半頃
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[ 見張りの塔にもヴァイオリンの調べはかすかに響く、 生者には聴こえぬはずの音を――寄り添う亡霊は聴いている。
シィラの耳には、 ヨナの耳には……その音は、
聴こえているの だろう か ]
(+85) 2010/07/24(Sat) 00時半頃
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[シィラは力なく、ヨナの身体を手放す…。 ヨナの身体から、シィラの触手がとれていく…。]
ギ……
[それから、ほどなく、 ギオロンの音が遠く、幻聴のように届いた時]
…ギ
[シィラが動きを止めたか。]
(121) 2010/07/24(Sat) 00時半頃
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―泉の傍―
[泉の傍らに腰を下ろして。
小さく歌を歌う。
揺らぐ梢。 何かの気配。
ヴァイオリンの音色は聞こえないけれど。 不思議と歌は、それに近かった]
(122) 2010/07/24(Sat) 00時半頃
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――…ラルフ?
フィル?
ああ、手を うごかさなく ちゃ
[身体が自由になって、 笑んで、時計を動かそうと…。]
(123) 2010/07/24(Sat) 00時半頃
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―泉・大樹―
[ その声は 友達に似た 翼の娘に振り落ちる ]
―――…花に、 あの子にも、水をあげて欲しいな。
笑い声を聴いたんだ。 姿は、見ていない。
でも、笑っているのに、寂しそうだった。 いつも、笑っているのに痛々しくて。
[ 唐突なその声音は、ほとんど面識がなかったから、 聞き覚えは無いだろう、けれど自分は彼女の名前を知っている。
あの子が“名前をくれる人”だと言っていた]
(+86) 2010/07/24(Sat) 00時半頃
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ベネットは、ヨナの肩の上で小さく鳴いた。
2010/07/24(Sat) 00時半頃
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[ヨナの体をシィラから離して、壁に凭れさせた。]
……――お前も、行きたいとこ、行くんだろ もうちょい、頑張れ
[顔や髪、手を拭いてやり、水を与える。]
(124) 2010/07/24(Sat) 00時半頃
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フィリップは、彼女の手首の時計を見る。
2010/07/24(Sat) 00時半頃
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あ >>124
[フィルが解放してくれて、視界が開ける。 フィルに笑いかけると同時に…。青色にシィラが映った。]
ねぇ、
シィラ……
大丈夫?
[でも、動かなくて、 代わりに、身体の中が蠢いた。]
ぐ……あ………あああ
[そして、黄昏色の少女は、同じく黄昏の吐瀉物を口から吐き出す。 それは、滝のように流れ出て、身体の水分を一気に奪う。]
(125) 2010/07/24(Sat) 00時半頃
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ヨーランダは、細い身体をびくりびくりと痙攣させる。
2010/07/24(Sat) 01時頃
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あぁ
[名前を呼ばれたのには、小さく相槌を返す。 とんとん、と軽く手を揺すった。]
……これ、自動巻…か? 大丈夫……ちゃんと、動いて、から 心配しなくて、良い
(126) 2010/07/24(Sat) 01時頃
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……え?
[不意に聞こえた声に、ひとつ、ふたつと瞬いて。 ぐるり、と周囲を見回した]
……あの子……って。
[声の主が誰かはわからない、けれど。 誰の事をさしているのかは、何となく、わかった]
……ポーチュラカ?
[ああ、そう言えば、と思い出す。 呼びかけても目覚めなかった少女。 あの時は、記憶があふれるのが怖くて、逃げてしまったけれど──]
(+87) 2010/07/24(Sat) 01時頃
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……うん。 お水、あげないと、ね。
[今は、何かを恐れる必要もないから。 探しに行こう、と思った。 同じ状態になっているなら、きっと、見つけられるから、と。 ふわ、ふわり。 足を地に付けぬまま、動き出す]
(+88) 2010/07/24(Sat) 01時頃
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……っ、おい、ヨナ
[激しい嘔吐が始まった。 吐瀉物が喉に詰まらないように支える。]
(127) 2010/07/24(Sat) 01時頃
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[そして、吐いたものが最後は血の色のものになった。 落ち着いた時、その顔は真っ青で……。]
――……ぅ
[青色の眸をまた見開いた時、滴がぽたぽたと落ちる。]
――……水が………。
(128) 2010/07/24(Sat) 01時頃
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―小倉庫―
[はたして扉の向こうの気配は、この部屋への来訪者か否か。 チャールズは自ら外へでることはなく 手帳をめくり綴られた言の葉を追っている。]
ヴァイオリンの、音色でしょうか?
[それは空耳か、死に近いから聴こえたのか それとも……――肩に乗る存在が近く教えてくれただけか。]
ヴァイオリンというと、セシルさんですが……――― 弦を張ることが出来たのでしょうか。
[男はセシルが儚くなったことも知らない。 また、手帳に紺青の眸を向け、頁を捲った。]
(129) 2010/07/24(Sat) 01時頃
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うん、ポーチュラカを あの子の小さな扉を、開けてあげて……
[ 囁きは 水面に 波紋を作り 翼の娘が歩き出せば――その意識は、]
――……ヨナ、
[ そして亡霊は 壁にもたれるヨナを 見つめる。 一度でも、これが救いになるかもしれない、と思ったこと。
そう、思ったことを悔やみながら]
(+89) 2010/07/24(Sat) 01時頃
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[大樹と翼の少女のやり取りはわからない。 ただ、お水をと呟く姿に緩く首を傾げて。]
―――…お水、
[ふわりと動き出す姿に、上呂を差し出して]
…あげてきて、
[ポーチュラカ、その名前の少女に。 彼女の挿していた朱い花に。]
――…私の代わりに、
[そう言って、送り出した。]
(+90) 2010/07/24(Sat) 01時頃
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/* 体調とリアルが辛いです安西先生…… */
(-36) 2010/07/24(Sat) 01時頃
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――……ああ、もう 私の中の、泉が………
涸れていく…。
[掠れた、弱弱しすぎる声。 身体はもう崩れるためだけのもののように…。]
(130) 2010/07/24(Sat) 01時頃
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[泉の傍で腰を下ろすと コリーンを、 ガストンを、 泉の傍に居る者達を 弦の音を聞きながら眺めている。]
(+91) 2010/07/24(Sat) 01時頃
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……あ……。
[小さな扉、という言葉。 それは声の主の名前へと繋がり、足を止めて大樹を振り返った]
うん。 わかった。
[頷きながらの言葉は、呼びかけるふたり双方へと向けられる。 差し出された上呂を受け取り、ふわ、ふわり。
向かうのは、眠る少女を見つけたその場所]
(+92) 2010/07/24(Sat) 01時頃
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私は、生きて…… 生きて……いかない と……。
[時計は動いているだろうかと、 心配で、泣きたくて……。]
とけ い ねぇ、 みて、 ラルフ
フィル……
[そして、必死に目をまた開けた時、 夜の闇の向こうに、焼蛍虫の群れが見えた。]
あ………。
(131) 2010/07/24(Sat) 01時頃
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――……綺麗。
(132) 2010/07/24(Sat) 01時頃
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ギ……
(*33) 2010/07/24(Sat) 01時頃
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[体中の水を失って行くヨナに向けて。]
……泉は、あるよ
大丈夫、ちゃんと なくなったりしない
(133) 2010/07/24(Sat) 01時頃
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[そして、世界を命を繋ぎとめていた、最後の泉も…─]
(+93) 2010/07/24(Sat) 01時頃
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……――お前も、もう
休んで良いんだ
(134) 2010/07/24(Sat) 01時頃
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―――……ヨナ、見ている。
見ているよ。
見えるから、君の中の泉も……
(+94) 2010/07/24(Sat) 01時頃
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ヨーランダは、手を伸ばす……手を。
2010/07/24(Sat) 01時頃
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