278 冷たい校舎村8
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なんで……なんで!
[ 遠くてもわかる。あれは決して千夏本人の体じゃない。 千夏によく似たマネキンだ。 わかっているけれど、それでも。 外に放り出されたまま、雪に積もられるままなんて、 そんなのは我慢できなかった ]
僕、ちょっと行ってくる!
[ どこへ、とも言わず、誠香は準備室を飛び出す ]
(273) 2020/06/18(Thu) 20時頃
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[ 走って、走って、駆け込んだのは3-8の教室。 その、教室の後ろ。>>0:1046 ハンガーから、白いコートをむしり取るように外した。 コートを抱えて教室から飛び出す。
そして、次に駆け込むのは 準備室のちょうど下に位置する教室。 その窓を開け放って ]
えい……っ!
[ 狙いを定めて、広がるように白いコートを投げた。 千夏のマネキンにかぶさるように。
あれは、ただのマネキンだ。 千夏が凍えているわけじゃない。 そんなことはわかっている。これはただの自己満足だ。 だけど、どうせ覆われるなら、 真っ白な雪よりも、 真っ白なコートの方がいいと思った* ]
(274) 2020/06/18(Thu) 20時頃
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――現在/水道――
[しょうがない。 さて、どこまでがしょうがないで済むだろう。
モップは一本壊しているし、鏡は割ったし あと友達を少なくとも二人は傷つけているし 若林先生がいたなら正座じゃすまないが。
……とはいえ今は先生もいないし、 手から血を流していようが、 片手にクレープを持っていようが、 咎める人はだれもいないので良しとする。>>222]
(275) 2020/06/18(Thu) 20時頃
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……んだよ、
[昨日のように、あるいは文化祭の時のように、 辰美は「なんだよ」って綿津見に問う。>>227
静かに積み重ねた日の上で 生きるのが下手な子供二人が会話をする。 「内緒ね」――そう言い合って。]
[窓の外で静かに雪が降っている。 言葉が静かに降り積もる。>>228]
[辰美はそれに耳を傾けて、 「ありがとう」と確かに言った。 それから、少し困ったように「そうか」と続ける。]
(276) 2020/06/18(Thu) 20時頃
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……困るかあ。
女心も男心も、 あいつの視点からだとあまり想像がつかなくて …………思ったよりダメ男かもな。あいつは。
てか。わだつみはほんとに、劇が好きだな
(277) 2020/06/18(Thu) 20時頃
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[実在する人物のように 辰美は紳士の事を語る。
何度だって想像してみた。 喜多仲に言われて考えてみた。 彼が笑う理由。彼がそこにいる理由。
だから「好き」と言ってくれる観客は純粋にうれしくて 新しく「少女」の解釈を渡されるなら、それに驚きもする。
ほんの少しだけ今を忘れて話していたところで、 途切れがちに、綿津見の唇から音が出る。>>230]
(278) 2020/06/18(Thu) 20時頃
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…………、
[瞬いた。 瞬いて、閉じようとした口が開いた。]
(279) 2020/06/18(Thu) 20時頃
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は、…………
………… つれてってくれよ。どこでも。 ……どこでもよくはねえか。
(-38) 2020/06/18(Thu) 20時頃
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…………みんながいて、お前もいて、 お前が「好きだ」って胸を張れる、場所。
(-39) 2020/06/18(Thu) 20時頃
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そこならきっと、俺も好きだ。
[ほんの少しだけ、きっと俺達は似てるから ――…………案内してくれた先が 「きらい」、なはず、ないから。]
(-40) 2020/06/18(Thu) 20時頃
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[笑いはしなかった。 告白したり、約束するような、 恥じらいの混ざる顔をするわけでもなかった。
ただ――――そう、
いきぐるしさのひとかけら分かつような 安堵するような、それでいて悲し気な、 複雑な表情を浮かべて、辰美は綿津見を見ていた。
間が開いて、 観客もいない、舞台の上でもない、 そんな2人のぎこちない会話は終わる。>>232 終わる前に辰美はもう一度こう言った。]
(280) 2020/06/18(Thu) 20時頃
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わだつみ。 ……ありがと。
[あがり症だなんて知らないけれど、 知ったらきっと辰美は言うだろう。
「はじめてにしては上手じゃねえの」と。]
(281) 2020/06/18(Thu) 20時頃
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――拝啓、XXXXXさん。
何口かで腹の中におさまる可愛い彼女をありがとう。 片手に血液片手にクレープ。 ちょっと途方にくれます。
暮れるけど、どうもありがとう。 その時の俺もちゃんとお礼を言ったでしょう。
(282) 2020/06/18(Thu) 20時頃
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舞台に立ってみた気分、どうでしたか。 多分ずっと立たされてるんだけど 気づけないだけ、という話は …………していないので、 あなたには届かないかもしれないですね。
そのちっぽけな一歩は 確かに人ひとりの救いにはなるんだと 伝わっていればいい。いいんだけれど
俺が言ったのもちっぽけな「ありがとう」だから どこまであなたの白紙を彩れるかなんてわかりませんよ。 手も取りあうんじゃなくて行先は交差したし。
だから、
(283) 2020/06/18(Thu) 20時頃
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/* 上階への誘導&回想からの流れ、で、 鍋をごろごろと落下させたんですけど、
「鍋を落とした」と書かれるたびに、鍋さんへ喧嘩を売っている気がしてきて すみませんでしたの正座をします(すみませんでした)
(-41) 2020/06/18(Thu) 20時頃
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生きるのがへたなもの同士、 せめて窒息しないように生きましょうね。
(284) 2020/06/18(Thu) 20時頃
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…………テレパシーはないので、全部オフレコですけど。
(285) 2020/06/18(Thu) 20時頃
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またな。
[クレープを片手に、 少しだけ困った顔をした後。
去り際に辰美は、ほんの少しだけ頬を緩めてそう言った*]
(286) 2020/06/18(Thu) 20時頃
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──現在/体育館──
……え、いや。 もう洗った、けど。
[ おまえが言う? って、 これが平時なら礼儀も何も忘れて、 礼一郎は言っていたはずだ。
だから、あまり元気がなくてよかった。
寝起きっぽい様子に気を取られていたから、 まさかそれが遠回しな指摘とは気づかず、 礼一郎は呆気にとられたような顔をする。]
(287) 2020/06/18(Thu) 20時頃
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[ 七星にそっくりな人形。 礼一郎はなるほどなって思う。
ああ。って短くつぶやいた。
目の前の葉野が、 あんまりふつうのふるまいだから、 礼一郎はまだ見てないのかな、とも思う。]
……入口の、そうだよ。 七星。……みたいな人形。
(288) 2020/06/18(Thu) 20時頃
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[ 当然葉野はそれを見ていない。 という前提で話し出すくらいには、 あれ、礼一郎にはショッキングな代物だった。
それを、見るべきか否かと葉野は聞く。 礼一郎に、確認をするように問うてくる。
……答えに躊躇ったのは、 礼一郎が未だあの人形のことを、 どう解釈していいか自信がないからだ。]
(289) 2020/06/18(Thu) 20時頃
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[ 喜多仲郁斗の死体が──、]
(290) 2020/06/18(Thu) 20時頃
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[ リフレインする。]
(291) 2020/06/18(Thu) 20時頃
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[ 少なくとも礼一郎はそう思ったんだから、 人形なんだから平気だなんて言えるわけないじゃん。]
(292) 2020/06/18(Thu) 20時頃
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イクト、は。
[ ……今度こそちゃんと、 友達の顔を思い浮かべて呼べたね。
あれを指して友人の名を呼ぶのが、 正解も不正解も礼一郎の知ったこっちゃないけど。]
……死んでる、ように見える。 それは、七星のと同じ。
痛そうだった。 ……首が、折れてて。
だからそりゃ、見るのきついよ。 だってあんなのさあ……、
(293) 2020/06/18(Thu) 20時頃
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……友達が死んでるように見える。 それでも見るべきとか、見たいとか、 そういう理由があるなら、見ればいいと思う。
[ つまりそれが、不用意に見ないほうがってこと。
答えになってる? どうだろうな。 だけどさ、礼一郎の決めていいことかな。 でも、一言だけ付け足しとこうかな。]
(294) 2020/06/18(Thu) 20時頃
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……俺は見たこと、 後悔してるわけじゃねえよ。
[ それだけ。
それだけは言っておこうかな。 あくまで礼一郎個人の感覚として。*]
(295) 2020/06/18(Thu) 20時頃
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……千夏ちゃんは、帰ったんだよ。
[ 誰に聞かせるでもなく呟く。 自分自身に言い聞かせたかったのかもしれない ]
(296) 2020/06/18(Thu) 20時頃
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―― 現在:教室 ――
[ そして、教室に戻ってきた。 黒板に向かって、チョークを握って、 ]
『6階まで増築。 床が傾いてて、教室も歪んでる。酔う』
[ ここまでは躊躇うことなく書けた、けれども。 誠香は、黒板の書き込みをじっと見つめた。 夏美がいなくなったという連絡事項>>2:221 ]
……書かないと。
[ 自分に言い聞かせるように誠香は呟く。 みんなに知らせる必要がある。 だから、これは必要なこと。 けれども、やっぱりチョークを握りしめたまま、 なかなか手は動いてくれなかった* ]
(297) 2020/06/18(Thu) 20時頃
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──回想・打ち上げ──
[ あれ。あれはあれ、だよね。>>2:611
ないの、知ったし。大体察することもできる。 だからジェスチャーで判別できたけど。 お揃いの中の、お揃い。
そう、今日は忙しかったから、 いつも以上に自分の距離感を測りかねていて どこかに引っ掛けて、びりびりーっと外れた。 至極全うで、正当な理由に他ならない。 ]
(298) 2020/06/18(Thu) 20時半頃
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