277 黄昏草咲く出逢い辻
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[社の前で奉納舞を見守る付喪神の姿は、神社の神職のそれ。 冠を被り、赤の単、白の袴、その上に輪無唐草の紋様が入った黒の袍を纏っており、漆塗りの浅沓を履いている。 手には笏があり、傍らには大幣が置かれていた。 所謂、衣冠単と呼ばれる姿である。 大祭で着用されるその姿は、かつて鬼神と呼ばれた妖と、縁を得た人の子の挙式に相応しい姿と言えよう]
(173) rokoa 2020/06/16(Tue) 23時半頃
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[招待客を魅了する奉納舞を終え、鬼面を外した刻>>144が『番』たる拓己>>155を引き寄せ、神前へと進み出る。 彼らが目の前に並び立つのを確認した後、付喪神は笏を大幣に持ち替え、厳かに口を開いた]
掛介麻久母畏伎(かけまくもかしこき) 伊邪那岐大神(いざなぎのおほかみ) 筑紫乃日向乃(つくしのひむかの) 橘小戸乃阿波岐原爾(たちばなのをどのあはぎはらに) 御禊祓閉給比志時爾(みそぎはらへたまひしときに) 生里坐世留祓戸乃大神等(なりませるはらへどのおほかみたち) 諸乃禍事罪穢(もろもろのまがごとつみけがれ) 有良牟乎婆(あらむをば) 祓閉給比清米給閉登(はらへたまひきよめたまへと) 白須事乎聞食世登(まをすことをきこしめせと) 恐美恐美母白須(かしこみかしこみもまをす)
[心身を清める修祓の儀、朗々と詠み上げるのは祓詞。 詠み上げ終えると、手にした大幣を左右にそれぞれ三度振り、清めとした]
(174) rokoa 2020/06/16(Tue) 23時半頃
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[次いで付喪神は神前へと向き直り、再び口を開く]
高天原爾~留坐須(たかあまはらにかむづまります)──
[己よりも上位の神へ結婚を報告する祝詞奏上の儀。 大祓詞と呼ばれる祝詞を詠み上げることで、結婚する二人の加護を祈る。 厳かな雰囲気を保ったまま、詠み上げる言葉は言霊となり、神へと届く誓言となった]
(175) rokoa 2020/06/16(Tue) 23時半頃
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[その後は三々九度として知られる、三献の儀。 結ばれる二人が神前にて誓いの言葉を奏上する、誓詞奏上。 昨今では神前式でもやるようになった、指輪交換の儀。 神と人(此度は妖もだが)の心を繋ぐとされている玉串を神殿に捧げる、玉串奉奠。 それらが粛々と進められ、挙式は終了となる。 指輪は依頼を受け付喪神が用意した、柘榴石と藍玉をリング状にしたもの。 付喪神の神気を通して加工された逸品で、神としての祈念も込められている]
おめでとう、二人共。 お主達の行く途に、更なる幸があらんことを……。
[挙式を終え、祝辞を述べれば、刻と拓己の周囲に眷属達が現れ。 色とりどりの煌めきを撒き散らし祝福とした**]
(176) rokoa 2020/06/16(Tue) 23時半頃
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─ 後日談 ─
んん……
[いい加減間近で顔を見ることは慣れたけど。慣れたけど!!これどころじゃないことも沢山したけど!
日中堂々、素敵で麗しく愛しい旦那様にこんなにも甘いことをされると、ちょっと照れるのだ。いまだに。
綺羅星は絶対わかってやっている、と思う。]
……甘いですねぇ。
[ほんのり顔を赤く染めていれば、小さい子がいつのまにかちょこちょこと傍にやってきていて、あぅ!(ぼくも!)とばかりに口を開けていた。]
(177) mikanseijin 2020/06/17(Wed) 00時頃
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はいはい、坊やにもあげましょうね。
[クッキーを一つ口に入れてやると嬉しそうに もごもご口を動かしている。]
そういえば、綺羅星さん。 墨で文字を書けます? 私は習字していたのはせいぜい中学生までで、上手とは言えなかったんですけど。
落ち着いたら、書いてみたいですね。 私たちの馴れ初めとか……
[ふふ、と企むかのように笑う。]
(178) mikanseijin 2020/06/17(Wed) 00時頃
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昔話や物語。そういったものが好きでしたけど。 今では私が、おとぎ話になったみたいで。
[妖の嫁になった娘はいつまでも幸せに暮らしました。 めでたしめでたし。]
恋のお話を伝えれば、縁結びの神社として、人も更に集まるかなと思いまして。
伝承を掘り起こすのもいいけど、伝える側にもなってみたいですね。
[いつか……と言っているといつまでもやらなさそうではあるが。子がもう少し大きくなったら筆を取ってみたくある。なお、墨で書きたいのは保存が長くできるのと雰囲気作り。*]
(179) mikanseijin 2020/06/17(Wed) 00時頃
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[貴石の神の祝詞が朗々と、鬼と人とを言祝いで、天へと契りの誓いを奏上するのを、鬼は万感の思いで聞いていた。>>175]
感謝する、綺羅星殿。
[三三九度の盃を交わし、煌めくの指輪を手にする時には、深々と頭を垂れ、次いで参列を願った賓客達に向けても一礼して、指輪を手に取った。]
(180) fuka 2020/06/17(Wed) 00時頃
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[愛しき者と微笑み交わし、見つめ合うこと暫し]
拓己、千代に八千代に...世の果つるまで、離れはしないよ。
[改めての誓言と共に、互いの薬指に指輪を通し、そのまま指を絡めて唇を重ね...]
ん...ふ...
[婚姻の儀の一部としては、些か長すぎる口付けには、神も苦笑を零したかもしれない。**]
(181) fuka 2020/06/17(Wed) 00時頃
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─ 後日談 ─
[唇に触れる柔らかな感触と、口の中に広がる甘い味。 割れたクッキーの欠片を口の中に収め、名残惜しげにしながら唇を離した]
甘いのぅ。
[目の前には頬を染める妻の顔。 その表情が堪らなく愛おしい。 顔の距離を離しながら、唇に残った欠片を舐め取っていると、息子も傍に寄って来ていた>>177。 のどかが息子にもクッキーを与える。 その様子もまた微笑ましくて、付喪神は穏やかに微笑みながら眺めていた]
(182) rokoa 2020/06/17(Wed) 00時頃
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筆か? 勿論書けるぞ。
書いてみたいならば教えてやろうぞ。
[問いかけ>>178には快諾し、何かを企むような笑いに緩く首を傾いだ]
儂らの馴れ初めとな? ふむ……縁結びの神社としてか。 良き案ではないか、そなたがやりたいと思うならばやってみると良い。 遺すと言うのは何に於いても大事故な。
[のどかが目指していたものを摘み取ってしまったのではないかと思うところもあったが、どうやらそれは杞憂であったらしい。 妻はいつだって前を向き、己の出来ることを成そうとしている。 そんな直向さも愛すべきところであると、付喪神は改めて惚れ直していた**]
(183) rokoa 2020/06/17(Wed) 00時頃
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[凛と在る衣冠単の神職姿をした貴石の氏神を前にして、心身を一段と引き締める。奏上される祝詞にも圧倒されずにはいられなかったが。 心は澄み渡り、粛々と儀式は進んでいった]
ありがとうございます。
[傍にある伴侶と同じく、深く腰を折り。 集い来てくれた見届け人達へも一礼。 柘榴石と藍玉そのもので出来た環を手に、彼と正面から向き合った]
(184) Mey 2020/06/17(Wed) 00時半頃
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[浮かぶ微笑み、交わり絡み合う眼差し]
刻。何時までも、何処までも、共に在ると。 離れたりしないと……誓う。
[天に人に宣誓し、互いの心の臓に最も近い指へと証を嵌めて、そのまま指を絡めて唇を重ね...]
く...ん...ぁ...
[時の流れも忘れて交わしたもうひとつの誓いは、天地に何を思わせたやら**]
(185) Mey 2020/06/17(Wed) 00時半頃
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─ 後日談 ─
きっと、昔の人も大切な何かを残したかったんでしょうね。
私も同じ気持ちですから。
[習字の先生になってくれると聞けば、ありがとうございます、と礼を言い。]
これからも……よろしくお願いします。
[子をあやしつつ、改めて。 大切な夫に微笑みを向けた**]
(186) mikanseijin 2020/06/17(Wed) 00時半頃
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