……我の、悔い……。
[小さく紡いで、それから、ふる、と首を横に振る]
我の抱えていたものは、律がほとんど解いてくれた。
だから、番う事を厭う気持ちは、今はほとんどない、が……。
[言いながら、視線が落ちる。
今だから、理解できたこと。
それが、悔いと言うか、小さな棘を生じさせているのに気づいたから]
……そうな。
今となっては晴らしようもないが……あの時、羅紗と傷つけあった事は、悔いとなっているやも知れぬ。
……異なる者と番い、その在り様を違えさせてまで得るものなど、如何ほどの価値があるのか、と。
あの時は、そう思うていたから、な。
それをそのままぶつけてしまって……何もかも失ってしまったわけだが。
[は、と。
零れる息には、自嘲の響き。*]
(-324) tasuku 2020/06/12(Fri) 23時頃