212 冷たい校舎村(突)
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[ ──── 着信音 ]
(222) 2017/03/17(Fri) 23時半頃
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[枕の横から聞こえてきたそれに、耳を疑います。 初期設定から変えていない、無機質な機械音。
……圏外の筈なのに、どうして? 慌ててスマホを手に取り、ロック画面を見て そこに表示された名前に、目を瞬くのです]
────……お父さん?
[その着信音は、きっと 私以外の誰にも聞こえていないのでしょう。 だから隣で悠が寝ていても、起こす事はありません。 ロック画面だって、他の人が覗き込んだのなら 何にも表示されず、真っ暗な画面に私を映すだけで。
けれど私にとっては、それは間違いなく父からの電話。 帽子を被り廊下に出て、それを取ろうとして────]
(223) 2017/03/17(Fri) 23時半頃
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[視界の隅に、さらりと揺れる黒髪。
"見慣れた" それに 咄嗟にそちらを向き、 私は誘われるみたいに駆け出しました]
(224) 2017/03/17(Fri) 23時半頃
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[その黒髪の持ち主には、すぐ追い付けたでしょう。 ……けれど、辺りの様子が昨日とは違った様に思えます。 私の視界に広がるのは、"いつも通り"の校舎。
文化祭の飾りも、電飾も、無くなって。 窓の外では静かに雪が降り積もる、変哲の無い、それ。
黒髪の持ち主……"彼女"は、私に背を向けています。 足を止め、私を待つみたいに、立っています。 私は、近付きました。 近付いて、近付いて、そっと 彼女の手を取りました]
(225) 2017/03/17(Fri) 23時半頃
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["彼女"は、"私"でした。 いいえ、ようく似ていますが、違います。
"彼女"はまるで……そう、 "私が おとな になったなら、 こう なるみたい な"?]
(226) 2017/03/17(Fri) 23時半頃
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["彼女"は私に優しく微笑みかけました。 抱いた戸惑いは、たったそれだけで、解けてしまって するりと取られ、引かれる手のまま、歩き出します。
歩き出す直前、"彼女"は私の肩に触れました。 まるで、「安心して」とでも言うみたいに 微笑みだって、きっと、そう。 混乱する私を、落ち着かせる為のものなのでしょう。
私が棄てた黒髪は、肩にかかるくらい。 如何にもお姉さん然とした、落ち着いた物腰。 絶やされない、穏やかな微笑み。 そうして他人を気遣える、その優しさ。
……いいなあ と、思うのです。 まさに、私がなりたかった、"私"。 私が諦めていた、"私"]
(227) 2017/03/17(Fri) 23時半頃
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[お母さん。 私は、貴女みたいになりたくありません。
私によく似て、正反対の貴女。 貴女になるくらいなら、私 女としての生を棄てたって、良かった。
いいえ、棄ててしまえば 貴女には決して、ならないんだと思っていました]
(228) 2017/03/17(Fri) 23時半頃
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[でも、違うのかなって思うんです。
性根の悪さとか、心の弱さって 多分、性別で決まるものじゃありませんね。 貴女は女を武器にしているだけで "女"が皆、そうなるわけでは、ないですよね。
男の子でも、 料理が上手くて、優しい子は居ます。 可愛いものが好きな子だって、居ます。
性別なんて、ただの記号みたいなもの 大切なのは、正しくありたいと思う心なのでしょう]
(229) 2017/03/17(Fri) 23時半頃
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["彼女"に導かれた先は、昇降口。 見れば、開かないと言われていた扉は、開いています。 外から、冷たい風が吹き付けています。 けれど私は、出ていかなければいけないと思いました。
帰って、色々な人に、 言わなければいけない事があります。
きらきら。煌めいていた校舎への執着は、薄く。 私は隣に立つ"私"を向くのです]
……私、貴女みたいになれる?
[憧れの"貴女"。 私は向こうへ帰って、 母の呪縛から解き放たれる事が出来るでしょうか。 忌まわしき、呪わしき血は、 未だに私の体を駆け巡っているのに]
(230) 2017/03/17(Fri) 23時半頃
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["彼女"は微笑みます。 微笑んで、私の目深に被った帽子を外しました。 くしゃりと一度、頭を撫でられる感触。 そして背中を、優しく、強く、押される感触。
一歩、校舎の外。
出てしまえば、私は前を向いて 後ろで扉が閉じる音がしても 振り向きもせず、歩き出しました。 そうする事が、一番自然に思えたのです]
(231) 2017/03/17(Fri) 23時半頃
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[チャイムの後。外を見れば、きっと目に入るでしょう。 降り積もる雪の上、それも気にせず まるで居眠りでもするみたいに座り込む、 一体のマネキンの姿。
長い黒髪の、少女然とした、それ。 制服は、きちりと校則通り。 長過ぎるスカートを纏う少女は、もう居ません。 隠されない顔には、傷の一つだってないでしょう。 真っ白な顔に、桃色の唇が、微笑みを形作るだけ。
少女の顔を隠していた帽子は、 下駄箱に、無造作に棄てられています。 まるで、用無しになったとばかりに]
(232) 2017/03/17(Fri) 23時半頃
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[……さようなら、冷たい校舎。 "其処"は、とても居心地良くも思えましたが けれど、私の居場所ではありませんでした。
残っているのは、誰でしょう。 残りたいと思っているのは、誰でしょう。 文化祭の様相を呈した校舎は、何故か居心地良く 止まった時間は、妙に心惹かれるものでした。
私がそう思うくらいなのです この世界を作った"誰か"は、 もしかしたら、それ以外の誰かだって 出たくないと、思っているのかもしれません]
(233) 2017/03/17(Fri) 23時半頃
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[けれど、私は待っています。 皆で、笑顔の卒業式を迎える為。
私は私らしく 自分の居るべき場所で、皆の帰りを、待っています]
(234) 2017/03/17(Fri) 23時半頃
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[ だから早く、*かえってきてね* ]
(235) 2017/03/17(Fri) 23時半頃
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/* やまとさん、ほんとうに、いいこだなあって べそべそしてしまう すてき
(-55) 2017/03/17(Fri) 23時半頃
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寡婦 パピヨンは、メモを貼った。
2017/03/17(Fri) 23時半頃
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―空き教室と、それから。―
…どういたしまして?
[>>209照れ交じりで、眼を細めた。 嫌がられたりしなくて、よかったと思いながら。]
うん、……心配性、かな、 そうなのかも…
[どうだろうか、 ちょっとクールに見えて、英語を教えたりしてたらしいから、面倒見はいいのかもしれない。]
……ん、
[思い出すとまだ、怖くて 咽喉の奥が締め付けられる。>>210
黒板の方もまっすぐ見られない。 廊下に出て、風の音にほっとする始末だ。]
(236) 2017/03/17(Fri) 23時半頃
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[>>211女の子の方が大人びてる、とは テレビとかでもよく言われるけど、 本当にそうだと思う。 苦い笑みに、またごめん、と一言付け加えて。]
そうなんだ? なんだっけ、体温は、落ち着くのにいい、とか…… ドラマでいってた、ような……って、
ええっ
[慌てて、頬を紅くしてしまったのは、手を繋ぐなんて運動課目以外でしてこなかったからだ。降りた手に、でも、きっと、随分と助けられていた。]
(237) 2017/03/17(Fri) 23時半頃
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/* あああああ……(拝む
やっぱ校舎村は落ちロルがもうみんな素敵よな…
(-56) 2017/03/17(Fri) 23時半頃
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―3-3教室―
うん、…うん、いいと思う。 あとは、そう、だな。
[端っこに、小さく祈るような文字。
「皆で帰ろうね」
能久の祈り、願い。
>>213大和があちらこちら見てみるというなら、一緒に行くよと謂って、見慣れたはずの見慣れない校舎を見て回った。
でも、何も無い。 扉は開かなくて、窓も開かなくて。 すっかり足も棒になったころ。]
(238) 2017/03/18(Sat) 00時頃
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…ないもんだなぁ… そうだね、理一とかにも、聞いてみよっか……
[ちょっと疲れた、と苦笑して。 その場はそこでお開き。 明日のことを、考えていた。]
(239) 2017/03/18(Sat) 00時頃
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[――あした。
明日は来ない。 チャイムが鳴っても、 同じ日を繰り返している校舎。
――あした。
あしたがこなければいいと 思ったことって、あるかな。
――とうさんも、かあさんも 帰ってこないなら、 このまま目が覚めなければいい、なんて]
(240) 2017/03/18(Sat) 00時頃
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[風の音に混じってすすり泣き。
――泣いていたのは、おれ。
いかないで、 いかないで、って あの家で 泣き叫んだこと、 あったっけ。
怖くて、母さんと父さんから逃げていたのは、
――おれ、もじゃ なかっただろうか。]
(241) 2017/03/18(Sat) 00時頃
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…… 話し、聞いてくれると思う?
[夜明け前の 白んだ空を幻視する。
――わからないな ――やってみないと。
ちょっと髪の長い、 戦隊もののレッドの面影。 小さく笑った。]
… ……そうだね。
(242) 2017/03/18(Sat) 00時頃
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…………。
[帰った時のこと、 よく覚えてないとささらちゃんは言うけれど。>>+40 わたしもそうだ、ってすぐには答えられなくて、 誤魔化すみたいに手をひらりと振った。
今にして思えば、あお姉があの校舎にいるのなんてどう考えてもおかしいのに、 なんで、逃げなかったんだろう、あの時のわたし。 ……過ぎた話だ、と気持ちを切り替える]
(+44) 2017/03/18(Sat) 00時頃
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そうだね、 ……機械のコンセント抜いても声が止まなかったりもしたし。
[結局提案するだけで終わった、“機材を椅子で殴って止める”というのは誰かやったんだろうか、 いっつもあの調子じゃ力ずくで止めたくなる人が出てもおかしくはないんじゃなかろうか。
わたしが帰った後もさらに鳴る音が変わり続けている、とは、 さすがに想像の外側にあった]
(+45) 2017/03/18(Sat) 00時頃
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[開いたのは2階の窓。
不思議と、今は怖くない。 高いところから、どれだけ飛べるか、 小さな頃に、競争したみたいに。
――今なら飛べる気がした]
(243) 2017/03/18(Sat) 00時頃
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[パンケーキにはしあわせな思い出があればいい。
そんなことを昴くんが思っているとは知らないけれど、 事実として、パンケーキにはしあわせな思い出が詰まっている。
思い出の再来を願って、心を軽くできたのはほんのわずかの間。
だって、誰か一人でも戻ってこなかったら、 パンケーキどころじゃないって思うわたしがいる。 なかなか、ささらちゃんみたいにどんと構えていられないのは、 わたしが心配しすぎなだけなのかな。
でも無理もない話だと思う。 心の中に閉じ込められて広がる景色を見てみたところで、 りーくんのことが分かったわけでもなし]
(+46) 2017/03/18(Sat) 00時頃
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[それでも、]
りーくんが生きたくなくなったって、 答えを見つけたくなくなったって、 ………わたしは生きててほしいよ。
[願うことは、ひとつ*]
(+47) 2017/03/18(Sat) 00時頃
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[2階の階段の前。
マネキンは空を飛ぶ夢を見ていたかのように 静かに、横たわっていた**]
(244) 2017/03/18(Sat) 00時頃
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/*じーーー、時間がーーーーーーーーーーーーーー
(-57) 2017/03/18(Sat) 00時頃
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