277 黄昏草咲く出逢い辻
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[男が近づいた大木の枝に、鬼は一飛びで身を運び、回り込もうとする男の頭の上から、声を降らせる。]
タクミ、寂しくはないか?*
(107) 2020/06/09(Tue) 00時半頃
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我は、其方が居なければ、寂しい。
[鬼は、木の枝から軽々と飛び降りて、足滑らせた男の方へと手を伸ばす。
その指先が触れた瞬間、ぱらり、と、紫紺の角の細かな欠片が、男の頭上に落ちた。]
だから、迎えに来た。
タクミ...我を呼んでおくれ。
[切なく甘く、声が請う。願いはたったひとつ、だと。*]
(117) 2020/06/09(Tue) 01時半頃
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『約束する。
我の命に代えても、其方をきっと、迎えに行くよ。』
(-131) 2020/06/09(Tue) 01時半頃
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— 回想 —
[しがみつく子を抱きしめて、鬼はぽふりと、その頭を撫でた。]
タクミは、そのままでいい。 そのまま、自由に生きておいき。
[鬼が鬼神と変わった世とは、今は違うけれど、真っ直ぐに願いのままに生きるのは、いつの世にも難しかろう。
千年に凍えた鬼を温めた子が、少しでも生き易くあるように、鬼は祈りを、その角に込めた。]
そうすれば、きっとまた、会える。*
(-141) 2020/06/09(Tue) 02時半頃
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[鬼を鬼神と成した人の子の願いが、鬼から離れたその時に、封じたのは力と心。]
『何も見ず、何も知らずば、人に関わろうとも思わぬだろうさ。』
[必要とされなくなった力は僅かずつ枯れていく。この身もいつか、枯れて朽ちようと、ただ時の過ぎるに任せていたけれど。]
(137) 2020/06/09(Tue) 22時半頃
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きっと、もう一度。
(-155) 2020/06/09(Tue) 22時半頃
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[引き寄せる力に抗わず、鬼は、男の腕に囲い込まれて、小さく笑った。]
タクミ...
[名を呼ばれ、呼び返す。]
あの時とは.........反対、だな。
[しがみつく、小さな温もりを抱きしめた。あの日、鬼の体は震えはしなかったけれど。きっと心は震えていた。]
大丈夫だ、タクミ。其方が呼んでくれたのだから......
[あの日の約束通り。]
(138) 2020/06/09(Tue) 22時半頃
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[いつ朽ちても構わぬと、封じていた鬼の心は、まっすぐな願いと想いに溶けて目覚めて。]
今一度...
[せめて、もう一目会うまでは、と、望みを抱き。]
叶うなら、ずっと。
[もしも、願いが叶うならば......]
(-156) 2020/06/09(Tue) 22時半頃
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————我は、其方の側に居る。
(139) 2020/06/09(Tue) 22時半頃
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ずっと、 側に。
(-159) 2020/06/09(Tue) 22時半頃
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[囁いて、震える男の唇に、鬼は、紅い唇を、そっと重ねた。*]
(142) 2020/06/09(Tue) 22時半頃
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『ホラ、ツカマエタ...』
[捉まったのは、人か鬼か、定かではないけれど。*]
(-160) 2020/06/09(Tue) 22時半頃
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[唇重ね、想いを重ね、互いの吐息が混ざり合う。]
ふ...ゥ...
[深く、強く、と、求める合間、こくりと、鬼の喉が鳴り、ひび割れかけていた角がふわりと光る。
光が静まった時、紫紺の角の欠けた隙間を、僅かに淡く優しい竜胆色の煌めきが埋めていた。]
タクミ...、ありがとう。
[鬼は、微かに上気した頬を、隠すように、男の胸に顔を伏せる。]
(-171) 2020/06/10(Wed) 00時頃
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其方は、我を救ってくれた。命も、心も。
[男が鬼を忘れ果て、その手を取ることがなかったら、恐らく鬼は、いくらもせぬうちに、消えていた。 それを告げれば、きっと、男は鬼を見捨てない。だから、決して告げまいと、鬼は固く決めていた。]
其方は我の番...我の命に等しい者... 我の全ては、其方のものだよ...。
(-172) 2020/06/10(Wed) 00時頃
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[囁いてから、ふと、思い出したように、鬼は小首を傾げる。]
そうだ、タクミ...もしや其方、我が女子の姿をしているほうが嬉しいか?*
(-173) 2020/06/10(Wed) 00時頃
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/* もう、イベントはクリア済みなので、他のかぽーの邪魔をせんためにも秘話篭りでいいんじゃねーかと思ってる。
(-174) 2020/06/10(Wed) 00時半頃
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