277 黄昏草咲く出逢い辻
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[後追いながら、小さな鬼火を飛ばして、鬼は男の周囲に余計なモノが寄って来ぬよう牽制しておく。]
...っ。
[鬼火を放った瞬間、片角が軋むような音をたて、鬼は僅かに顔を顰めた。]
少々、急いだ方が......良いか。
[呟き落として、足を早める。*]
(95) 2020/06/09(Tue) 00時頃
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― 森の中 ―
関係なくなど……っ!
[ない、と。 言い切ろうとしたした言葉は、ぶつけられた言の葉に途切れた。>>91]
………ぁ………。
[とおいとおい昔に言われた言の葉。 近いようで違うけれど、同じように刺さって痛かったもの。 背の傷が齎す痛みとも相まって、それは刹那、兎の動きを止める。 その間に、青年は踵を返して走り出していた。>>92]
(96) 2020/06/09(Tue) 00時頃
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……我にはどうにもできぬ。 あの時、そなたはそういうたのだったかな、羅紗。
[ぽつ、と。 問いが落ちる先は袂別ち縁断たれた対なる陽の金烏]
……だが、此度は違う。 必要ないと言われようと、なんと言われようと。
[じくり、と傷が痛むが、兎はそれを強引に抑え込む]
(97) 2020/06/09(Tue) 00時頃
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……我がどうにかしたい、と願うのだから。 諦めてなぞ、なるものか……!
[宣と共に、跳ねる。 導となるのは微かな縁の糸の気配のみ。 けれど、それは確かに求めるものの行き先を示してくれる]
しかし、この、瘴気の呪。 ……動き難いというに……!
[先に進もうとすればするほど痛む呪は、こちらの意思を折ろうとでもいうのか。 実際の所はわからないが、屈するつもりは兎にはなく。 ふらつきながらも確りと跳ねて、青年の後を追いかけた。*]
(98) 2020/06/09(Tue) 00時頃
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― 森の中 ―
[追いかけてくる足音。>>93 つかまってはいけないのだと、足が完全に止まってしまうこともないままに]
ひ!?
[鬼火に驚き、足を早める。>>95 それが己の身を守ってくれているとは知らず。 前に迫った大木を、右回りで迂回しようと足元を蹴った*]
(99) 2020/06/09(Tue) 00時頃
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[鬼の気遣う声がする]
子供じゃねぇんだから。
[返すつもりでもなく呟きながら足を動かす]
(-110) 2020/06/09(Tue) 00時頃
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/* フィルター残りに気付けないことが多くてですね。 確認してみて良かった(汗
(-111) 2020/06/09(Tue) 00時頃
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─ 森 ─
妖の領域……?
[何を馬鹿な、と言いかけた口を噤む。長羽織が一人でに動き、主の元へと戻る様を見たからだ。>>94
とはいえ、このくらいなら手品でも出来るかも、と考えていたら、隠れている木の幹から木霊がにょきりと出てきた。『ナンダナンダ、痴話ゲンカカ?』と興味津々の様子。]
わあっ!?
[今度こそ声をあげた。]
(100) 2020/06/09(Tue) 00時頃
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…………。
[妖の領域だというのなら余計に怖れが消えない。
普段なら美形は苦痛に歪む顔も麗しくて反則だわと思いつつ心配するところなのに、そんな感情が浮かばない。
それはこの男が人ではない者だったからなのかと、呪の効果に気づかずに。]
……私を、どうする気?
[とりあえず、具合も悪そうだし逃げようと思えば逃げられると甘い見通しをして。警戒心の滲む固い声で問いかけた。*]
(101) 2020/06/09(Tue) 00時頃
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― 回想 ―
ほんとう……? 刻がまもってくれる?
[嘘だと思ったわけではなく、思いがけない言葉に念を押すように。 オニの服をギュッと握って顔を上げた]
わぁ、きれい。 あれ、これって刻のツノとおんなじ?
[掌の上でキラキラと輝く不思議な欠片を、夕陽に翳して眺めた後]
(-112) 2020/06/09(Tue) 00時半頃
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ありがとう……たいせつにする。
[大切で大切で大切だったから。 それは祖母から貰ったお守り袋の中に一緒に仕舞っておくことにした。 元々入っていたお守りは『悪しきものを遠ざける』為のもの。だから、優しく強いオニは、対象になるはずが、なかったのだ]
(-113) 2020/06/09(Tue) 00時半頃
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― 回想 ―
目かくしおに。たのしいけど。 まだかえりたくないな。
[オニの服からようやく手を離せるようになり。空を見上げた子供はそんなことを言い出した]
だって、かえってもつまんない。 みんないそがしくて。 ぼく、おてつだいもあまりできないから。
[邪険にまではされない。けれど。 一番優しい祖母ですらずっと傍には居てくれず。熱で眠れない時もひとりぼっち。 とはいえ、祖父母を嫌っている訳でもなく。心配かけてるかも、という心苦しさも同時にありはしたのだった*]
(-114) 2020/06/09(Tue) 00時半頃
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― 森の中 ―
[本気で逃げ続けさえすれば、傷付いた兎一羽振り切れたはずだった。 けれど実際は、体力が尽きるより遥かに早く、青年の足は止まる]
……怪我、してたな。
[血は流れていなかったが、その様子はとても辛そうで。 これほどこちらが拒絶したのに、それでも言葉を投げ掛けようとしていたようだった]
…………。
[何よりも、こちらの言葉に。 傷ついているように見えた>>96のは、気のせいだったか]
(102) 2020/06/09(Tue) 00時半頃
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[話の途中、ただ一度だけ]
そいつはよかった。 どんだけ美しい羽根があろうと自由に飛び回れない鳥はただの模型でしかないからな。
[少なくともその考えは、好ましいものであったと、そう伝えるように口にして、続きの話を聞いていく。 それは、ながいながい時間、生きてきていたお嬢ちゃんにとってのお話]
(-115) 2020/06/09(Tue) 00時半頃
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"将来は、医者になって、お母さんのように病気で苦しむ人を助けたいです。"
『偉いねぇ、立派だねぇ』 『お母さんを亡くして辛いだろうに、よくもまぁ……』
(-116) 2020/06/09(Tue) 00時半頃
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そうだなぁ。 俺がその、お嬢ちゃんを呼び起こしたものと匂いが同じ…魂が同じだったとしても、思い出に浸ることなんてない。なんていうよりは余程誠実だ。
[代わりと思っていない。と口にして、だが重ねてしまうというお嬢ちゃんの言い分に苦笑をしつつ]
なぁ、お嬢ちゃん。 人を見ていって弁えられた。例えば見てきた恋人や夫婦なんてものはどうだったよ。 理想の相手。だとかいうのを一発で見つけれていたか?
そんなやつは極稀で、それが普通だ。 探せば運命の相手や理想の相手なんてものが各々いるかもしれないのに、他のとくっつくやつだっているのだって普通だ。
人なんて、時間が足らねーんだ。どいつもこいつにもあって、相手のことを全部知って…なんてまどろっこしいことしていたらとっとと死んじまうものさ。
(-117) 2020/06/09(Tue) 00時半頃
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"大学へは、奨学金で通います。 父や母へ直接恩を返すことは出来ませんが、いつか他の誰かを救うことでその代わりにしたいです。"
『この歳でそこまで考えてるのか!』 『勉強は大変だろうけど、お前ならきっと出来るよ』
(-118) 2020/06/09(Tue) 00時半頃
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だからな。 運命なんて、出会えちまったことと、自分に引き寄せたい繋ぎ止めたいと思って行動した。それでいいんだよ。
[重ねてしまったこと不誠実とは思わずにいる理由を口にして]
でなきゃ少なくとも"俺"はお嬢ちゃんに出会えなかったわけだし、こうして生きていられるわけだしな。
[だろ?とお嬢ちゃんに笑いかけて]
(-119) 2020/06/09(Tue) 00時半頃
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[こんな自分だからと選んだ、志した道だった。 たくさんの人が応援と、後押しをしてくれた]
[――けれど、自分は失敗した。 浪人できる身分でもなかったから、滑り止めの大学に入学して。 真面目に学校には通っていたけれど、どこか空虚な思いは消えないままで]
(-120) 2020/06/09(Tue) 00時半頃
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― 回想 昔 ―
[覚えていてくれる。と無邪気な約束をした自らの式に、驚いたように目を見開いた後、ふと笑って]
そうか。なら、どれだけ道が短くなっても鮮烈にさえできれば ”千早のおかげで、安心していくことができるな。”
[それは千早を見るようで、どこか遠くを見つめた言葉を口にした*]
(-121) 2020/06/09(Tue) 00時半頃
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――何やってるんだよ、俺は……。
[頭を抱える。 自分自身の信念を裏切ったと、なんとなく勘付いてはいるのに、それに向き合おうとすると酷く思考を掻き乱されるのだ。 それでも、その場で足を止めたことにより、後を追う者>>98が追い付く一助にはなるか*]
(103) 2020/06/09(Tue) 00時半頃
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それにな。たまたまだろうと俺は痺れるヒーローになれたわけだ。 "お嬢ちゃんのおかげで、誰かを守って自分も生きて帰れたわけだしな。"
[じっと、お嬢ちゃんを見つめて囁いて]
(-122) 2020/06/09(Tue) 00時半頃
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お互いが傍にいあうなら、まず一つ、大事なことからはじめようか。
[傍にいたい。いてほしい。というお嬢ちゃんに少しだけ神妙な顔つきで]
俺はグスタフ。 運命に手を伸ばしたお嬢ちゃんのお名前をお聞きしても?
[先程までの雰囲気を冗談と霧散させるような笑みを浮かべ名前を聞いた*]
(-123) 2020/06/09(Tue) 00時半頃
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─ 森 ─
[上がる声>>100に何を見たかを知る]
これ、木霊ら。 すまぬが邪魔をせんでくれ。
その娘、呪をかけられておる。
[興味津々の木霊を引っ込ませようと声を投げた]
(104) 2020/06/09(Tue) 00時半頃
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[さてどうしたものか、とのどかを見遣る。 警戒は未だ強く>>101、隙あらば逃げ出そうとしているのも窺えた。 当然、逃がす心算はない]
どうもこうも。 お主は、儂の『番』となるために、呼び込まれたのよ。
嫁とする者に、危害を加える気は、ないぞ。
[問う声には、ずきりとした痛みに耐えながら答える。 ふぅ、と短く息を吐き出して、ゆらりとその場に立ち上がった。 足を踏み出し、のどかへ近づかんとする*]
(105) 2020/06/09(Tue) 00時半頃
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― 森の中 ―
[縁の糸を辿った先に見えたのは、足を止めた青年の姿。>>103 頭を抱える仕種は、苦し気にも見えて。 こちらも相応痛みを感じてはいるが、それでもでき得る限り近づいて]
……律。 逃げるな……ああ、いや。
逃げてもよい。 我を忌むもまた已む無しな部分はあろう。 だが、もうしばし、ここにいてはもらえぬか。 我が、そなたに為してしまったもの。 それを、解くまででよいから。
[元より、兎の願いはそれだったのだから。 何はなくとも、それだけはどうにかしたいのだ、と。 願う声音は、穏やかなもの。*]
(106) 2020/06/09(Tue) 00時半頃
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ああ、そうだな、其方はもう幼な子ではなかったな。
[少し前にも、同じ事を言ったな、と、鬼は笑みを浮かべ。]
けれど、我は其方を守ると、約束したからな。
[約束したのは、もうひとつ。]
(-124) 2020/06/09(Tue) 00時半頃
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— 回想 —
其方の家は、ここではないからな、ずっと帰らぬというわけにはいかない。
[帰りたくない、という、子供に、鬼は諭すように言い聞かせた。]
我もタクミと共に居たいが、今は我慢する。其方も我慢して聞き分けておくれ。
[その代わりに、と、鬼は、幼な子の手を両手で包み、微笑んだ。]
其方が寂しいと思ったら、我を呼ぶといい。きっと迎えに行ってやろう。
[子供はきっと忘れるだろう。大人になって、己の幸福を掴んだならば、きっと、思い出しすらしないだろう。
けれどもし...]
(-125) 2020/06/09(Tue) 00時半頃
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[男が近づいた大木の枝に、鬼は一飛びで身を運び、回り込もうとする男の頭の上から、声を降らせる。]
タクミ、寂しくはないか?*
(107) 2020/06/09(Tue) 00時半頃
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─ 森 ─
[木霊たちはまたひょこりと引っ込み、邪魔にならぬよう高い枝に移動してこっそり覗き見している様子。>>104]
……! わ、私を……?
[番や嫁の単語に驚きが少ないのは、妙な既視感を覚えたからであるが。
かけられた呪いは『怖れよ』と意識を蝕もうとする。]
来ないでっ……たら! 嫁になんて、なれないわ……よ……
[強く否定しようとしたのに、言ってすぐ後悔するように語尾は萎んだ。 何故そうなったのか、自分でもわからない。
しかし近づいてくる姿にあわてて背後へ下がろうとして、ちらりと一瞬、後ろを確認した。*]
(108) 2020/06/09(Tue) 01時頃
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