273 魔性の病院【R18ペア】
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時は来た。村人達は集まり、互いの姿を確認する。
オスカーが無残な姿で発見された。
噂は現実だった。血塗られた定めに従う魔物“人狼”は、確かにこの中にいるのだ。
非力な人間が人狼に対抗するため、村人たちは一つのルールを定めた。投票により怪しい者を処刑していこうと。罪のない者を処刑してしまう事もあるだろうが、それも村のためにはやむを得ないと……。
現在の生存者は、オトサカ、黍炉、ビジリア、ヌヴィル、レナータ、ニールの6名。
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[一日かけて無残な姿になった青年は、魔王の腕の一振りで元の姿を取り戻す。 獅子の身体に抱き着いて甘える青年を肉球で転がし愛でて、魔王は遠雷のような満足の音を立てた。]
次は薬にするか。 それとも夢魔の尻尾でもつけてみるか。
[次の遊びを考えながら、今は暫し戯れる時。]
(0) 2019/12/12(Thu) 23時半頃
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肉屋 ニールは、メモを貼った。
2019/12/12(Thu) 23時半頃
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− 温泉 −
[ 中心からの方が効果的なのだと説明はされたが、この方法しかないとは言われず、安堵した。 手間のかかる患者ですまないとは思う。 だが、ああいった行為は、やはり、気軽にしてはならないものだ。 誓いとか、そういう──古風な考え方なのかもしれないけれど。]
──…、
[ 動けぬことに加え、体に触れられすぎて精神的に疲れてしまった。 それを察したように、黍炉はもう一度湯をかけて、身体を拭いてくれる。]
(*0) 2019/12/12(Thu) 23時半頃
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[ 命を分け与える、と言われて、血を飲まされたことを思い出した。 思い出せば少し、疼く。
「私にとっての宝玉だ」という彼の言葉は面映い。 身体が宝石に変じずとも、と言うからには、変じることが最大の売りではあったらしい。]
…何処で、おれのことを知った。
[ こちらは黍炉のことをほとんど何も知らないのに。 不公平を悔しがる色が声に滲んだかもしれない。*]
(*1) 2019/12/12(Thu) 23時半頃
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─ 温泉 ─
[乾いて温かな場所に移し身体を揉み解していくうちに、心もいくらかほぐれてきたらしい。 強張っていた筋肉から力が抜け、心持ち緊張が解けた気配が指先に伝わる。 だからだろうか。彼のほうから問いが投げかけられた。]
おまえが戦場にいると困るものがいたようだね。 除いて欲しいと依頼されたのだよ。
相手の名は聞かない方がいいね。 まだ、おまえは私のものではないのだから。
[依頼の標的だったと、隠すことなく語って聞かせる。]
(*2) 2019/12/13(Fri) 00時頃
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魔界からの依頼など滅多に受けないのだよ。 けれども、私は自分の直感を信じる方だからね。
おまえだったからこそ受けた。 実際におまえと会って、やはり直感は正しかったと思ったよ。
おまえが欲しい。 今も、そう思っている。
(*3) 2019/12/13(Fri) 00時頃
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[ 黍炉が語る経緯はさほど奇異なものではなかった。 依頼人についても探りを入れようとは思わない。 自ら挑んでくることを選ばなかった相手だ。どのみち相容れない。]
おれのどこがお前の関心を引いたのかわからない。 おれを治療して城に連れ帰って、それでどうする?
[ 黍炉を理解しようと問いを重ねた。*]
(*4) 2019/12/13(Fri) 00時半頃
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[一方その頃。伯爵領にて、ブラックオパール。ダークマスカットのワイン。スカルポークなどの献上品が、魔王様への献上品として贈られる準備がされていた*]
(1) 2019/12/13(Fri) 01時頃
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[酔いに身を任せたレディ>>1:51を支え横たえさせると、眠りについたレディに毛布をかけ、執務机に戻るのであった。 骨は休みなしです。世知辛い世界ですよ**]
(2) 2019/12/13(Fri) 01時半頃
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おまえは運命を信じるかい?
[重ねられる問いに応えて指を挙げる。 見えざる運命の糸を絡め取ろうとするかのように。]
世界を縦横に包む縁の繋がり、 その一端が、おまえと私を結んでいる。 私はそう感じたのだよ。
おまえのことを知るうち、その思いは強くなった。 おまえと戦場で対峙して、刃を交わし、 思いは、確信へと変わったのだ。
(*5) 2019/12/13(Fri) 11時頃
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おまえと血の契りを交わし、永世を共にしたい。 それが私の企みの全てだ。
[互いの温度を確かめるよう、胸の上に掌を置いて告げる。]
(*6) 2019/12/13(Fri) 11時頃
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[ 運命──意志を超越した定めの力。 彼はそれを感じたのだという。]
…刃を交わして、か。
[ 彼は繰り返し「おまえが欲しい」と口にしていた。 そこに嘘はないのだろう。]
(*7) 2019/12/13(Fri) 20時半頃
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[ 城に帰った後の話をするなんて、まるで行きたいと言っているようじゃないかと、 不意に思い至って、遊色が滲む。]
まずは動ける身体を取り戻す。
[ シコウは魔物だ。 人間のようには、不老不死を差し出されて舞い上がることはない。
己を駆り立てるエゴが必要だった。]
(*8) 2019/12/13(Fri) 20時半頃
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良いとも。 おまえ自身で私を測るといい。
[まずは、と一線を引く言葉に頷く。 彼が動けるようになった後のことにもさらりと触れ、煌き帯びた肌を撫でて微笑んだ。
瞳も肌も、本人の素質そのままに美しく素直だ。 彼の心を掴めばどれほどの色を見せてくれるのか。 今から楽しみでならない。]
(*9) 2019/12/13(Fri) 22時半頃
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冷えないうちに、部屋に戻ろうか。
なにかしておきたいことはあるかい?
[彼に柔らかなタオル地のバスローブを着せ付け、問いかける。 動けない相手に服を着せるのは、慣れているとは言い難いけれども、時間と手間をたっぷりかけて丁寧に行うことは楽しい時間でもあった。*]
(*10) 2019/12/13(Fri) 22時半頃
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[ 黍炉はあくまでもシコウを受け入れ、代わりに癖のように撫でてゆく。 猫の子でもあるまいに。
寝室に戻る準備をしながら彼が発した問いは、シコウの望みを確認するものだった。
わずかな間、思案して答える。]
…肩を、貸してくれるか。 足を床につけて歩きたい。
[ わずかに関節が動く程度で歩くのは無理だとしても。 まずは、は、今からだ。
彼に触れてみたくて頼んだわけでは、ない。*]
(*11) 2019/12/14(Sat) 00時半頃
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いいとも。 おいで。
[彼の思いはともあれ、言葉に出された要望に応えて手を伸ばす。 背中に腕を回し、彼の手を導いて肩に掴まらせ、背中と腕を支えて寝椅子から起き上がらせる。 脇の下から持ち上げてやれば、立つ形にはなるだろう。]
部屋の出口までだよ。 その先は、裸足では冷たいからね。
[目標を示し、彼の動きを見ながらゆっくりと歩を踏み出した。]
(*12) 2019/12/14(Sat) 10時半頃
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[ 黍炉の手を借りて身体を起こす。 軽い立ちくらみを覚えた。 魔物といえど、かりそめの死からの復活はひどく消耗するものだ。
ひとまずのゴールを告げられて、うなずく。 今の自分の力量を知れば、むやみと挫折せずに治療の道筋をたてられるだろう。]
…おまえは良い指揮官だな。
[ 意のままになる影以外のものを率いても、その力を十二分に引き出すことができるだろうと感じた。]
(*13) 2019/12/14(Sat) 11時頃
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[ 爪先から足を下ろす。 タイルの床からは自然石の持つ力はあまり感じない。 かかとをつけて体重を乗せてみる。 黍炉の言っていた身体の中心を意識して腰を前に出す。]
ひとつずつ手順を計算して歩こうとすると、存外、難しいものだな。
[ いっそ他のことを考えながらの方がうまくいくだろうか。 とはいえ、記憶はどこか色あせて感じられ、鮮明に思い浮かぶのは黍炉のことばかりだ。 その太刀筋、深い接吻け、血の絆──
邪念に流れるのはよせ。
唇を引き結びながら、黍炉にぶら下がるようにして進む。*]
(*14) 2019/12/14(Sat) 11時頃
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おまえにそう言われると面映ゆいね。
[誉め言葉に返したついでに、頬へ接吻ける。 足を下ろした彼が歩こうとするのを柔らかな眼差しで見守った。 生まれて初めて子供が立ち上がるのを励ますような視線だ。]
意識していなかったことを改めて意識するのは 発見に満ちた体験だよ。 今だけなのだから、楽しむといい。
[ひとつひとつの動きを確かめながら歩こうとする彼に合わせ、揺るぎなく支えながら扉を目指して進む。 途中、彼の体温がわずかに上がったのを感じ、そっと腕に力を込めた。 安心させるように。あるいは、己の存在を彼の肌に捺すように。]
(*15) 2019/12/14(Sat) 11時半頃
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[ 今だけ、という言葉に意欲的に肯く。 生まれたての小鹿のような頼りない足取りではあったが、部屋を出るところまで時間をかけて辿り着いた。 腕を回されていたから肩から先も冷えることなく、ほのかに熱っているほどだ。]
── 感謝する。
[ 疲労の中にも晴々とした、だがまだ硬めの言葉で気持ちを伝える。 その後の展開に戸惑うように口をつぐんだ。
歩くのはここまで、となると残りの距離は黍炉の手を煩わせることになる。 車椅子という手もあったが、彼の表情が伺えないのは、いささか気が進まない。 かといって自分から、先ほどのように、とも言い出せないでいた。*]
(*16) 2019/12/14(Sat) 12時頃
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[時間を掛けてやり遂げた彼の表情は晴れやかだ。 けれども礼を言った後は、瞳がやや曇る。 何かを言いよどんでいるという風情であったが、それを問うこともなく一旦身をかがめ、膝裏を掬って持ち上げた。
視線だけで棚から大判の布を取り出して、彼の上に広げ掛ける。 ついでに、自身も影から紡ぎ出した袍を再び纏った。]
また明日も続きをしよう。 無理をしても良いことはないからね。 今日はもう休むといい。
[額に唇をつけて囁き、扉を開いて歩き出す。 傍目には、扉が自ら開いて送り出したようにも見えるだろう。 後は真っ直ぐ元の病室へと戻る。 相変わらず、誰ともすれ違うことはなかった。]
(*17) 2019/12/14(Sat) 12時半頃
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[ 明日を約束する言葉に、同意しておく。 抱き上げられることに抵抗はしなかった。
身体を覆う布は、簡易なカモフラージュだろうか。 相変わらず顔が近づく度に肌に捺される接吻けには、わずかに前髪を振るように反応を返す。
そうして運ばれながら、部屋につまくでに意識は遠のいていた。 我知らず気を緩めてしまったのだろう。 疲労のせいにしておくことにする。*]
(*18) 2019/12/14(Sat) 12時半頃
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[歩くうちに腕の中の重みが若干変化する。 眠ってしまったらしき彼の顔を覗きこみ微笑んで、唇に軽く触れるだけのキスをした。]
おやすみ。愛しい子。
[夢の中へ囁くかのように密やかに告げる。]
(*19) 2019/12/14(Sat) 13時頃
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─ 病室 ─
[再び彼を裸にしてシーツの間に収める。 バスローブは灰に帰して脱がせたから、目を覚まさせることもなかっただろう。 床の掃除は、きっと誰かがするはずだ。
暫く寝顔を堪能してからそっと髪を撫で、側を離れた。]
(*20) 2019/12/14(Sat) 13時頃
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─ 廊下 ─
[ひとり病室から出て外へと向かう。 今頃、彼は深い眠りの中だろう。
彼の肌の感触を思い出しながら機嫌よく歩いていると、病院のスタッフに来客があると知らされた。]
(3) 2019/12/14(Sat) 13時頃
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─ 応接室 ─
[案内された部屋では、居城からの使者が膨大な荷物と共に待っていた。]
……これは?
[確かに少々物を頼んだけれども、これは多すぎる。 目を丸くしていたら、使者が淡々と「決済待ちの書類、書簡、報告書等です」と言う。 どうやら仕事が追ってきたらしいと、切なく溜息をついた。]
(4) 2019/12/14(Sat) 13時頃
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─ 病室 ─
[どれほどの時間が経ったか、若干疲れた顔で病室に戻る。 けれども部屋に近づくにつれて、足取りには軽やかさが戻った。
早く彼の顔を見たい。 扉を開き、影のように滑り込んで寝台へと向かう。*]
(*21) 2019/12/14(Sat) 13時頃
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