270 「 」に至る病
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その話はいつかの本で描いた覚えがあるな 確か……これだ
[本棚から薄い本を一冊取りだしソウスケに差し出す。 噂の"ヒロイン"が登場したての頃の話である。 結婚間近の深窓の令嬢に忍び寄る夜の帝王の影。 先生として"ヒロイン"に教えてきた神父は帝王であり、 夜に招かれ彼女を攫ってしまうという様式美的なものだ。
ちなみに攫うのも自分で解決するのも自分である]
実際は取材中に簀巻き芋虫にされていてな 海に入水させられる前に俺が助けたんだ どうやら記憶喪失のようでな 一から色々と教えて今に至るわけだよ
[かなり盛った話であることを暴露する]
(185) 2019/10/11(Fri) 00時頃
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その"ヒロイン"用にカレーは取っておけるか? 恐らく東洋風のカレーなのだろう それは珍しいものだからな
[荷物を置くならそこの衝立で囲われた会議室にと薦めておく。 残念なことに客間というものは存在しなかった*]
(186) 2019/10/11(Fri) 00時頃
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炉の番 チトフは、メモを貼った。
2019/10/11(Fri) 00時半頃
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[とく、とく。と赤い雫がグラスに注がれる>>166
目が不自由ならば自分が代わりに そう言いかけ止めたのはここが彼女の家だから
手を出すべきか、出さないべきか 悩んでいるうちにグラスは満たされて]
綺麗なグラスですね 細かい細工が ジュースを入れるとキラキラして
[テーブルに置かれた片方を自分の方へ 音を立てないよう置くのはなかなか難しい。
ゆらりとジュースが揺れるたび 飲み口に反射する赤がいっそう赤く 滑らかに光って見え]
(187) 2019/10/11(Fri) 00時半頃
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[いただきます。と断りを入れて、一口
お土産のカレーは 手触りだけでは詳細までは確認できないもの。
説明をした方がいいかも知れないと 果実の味が残る唇を開き]
(188) 2019/10/11(Fri) 00時半頃
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多分、同じものかと 細かく言えば違うのかも知れませんが 箱を見た感じでは、似て見えたので……
えっと、少し変わったものもありますが 普通のものも、きちんと入っています
……変わっているのは 熊やクジラのお肉が入ってるらしい、ですが
[目の前の女性の好みなど知らないのだから このお土産で大丈夫だろうかというのが正直な気持ち。
普通のものも"きちんと"入っていると 個人的にはフォローのつもりで言い添え]
(189) 2019/10/11(Fri) 00時半頃
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[彼の名に迷っている様子に ふ、と口元が綻んでいき>>169]
ご主人様は、ジャーディンといいます
はい。本を書くお仕事をしているので 資料集めも兼ねて変わったものはよく……
きちんとしたお料理は 私はまだ、出来ないので……
[習う気はあるものの 気がつくと締め切りに追われている。と
嫋やかに首をかしげる女性へ言い訳して グラスの中身をもう一口*]
(190) 2019/10/11(Fri) 00時半頃
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[拒まれなければ、尻餅をつかせてしまった彼女に片手を差出して、立つのを手伝おうか。>>150 最初こそ面食らったけれど。 少し落ち着けば、はきはきとした礼儀正しい子だ。>>151
犬嫌いではなさそうだけど、念の為ソラには部屋の隅に置いたお気に入りのクッションで大人しくしてるよう言いつけて。 彼女には、リビングの椅子のひとつ示して。]
飲み物は紅茶でいいかな? ちょっと待ってて。
[僕はキッチンに入り、ガラスのティーポットを手に取った。いつも蒼佑が淹れるのを見てるから、やり方はわかる。 湯気の立つティーカップを二つと、焼菓子が乗った小皿を持ってリビングに戻り。 彼女の前にそれを並べながら。]
(191) 2019/10/11(Fri) 00時半頃
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[その口から出た褒め言葉に、きょとりとした。>>153 そわそわと室内を巡るその視線の先に気づけば、ようやく合点して。]
ああ、ガラス細工か。 蒼佑……僕の眷属がガラス職人でね。 隣が工房になってて、そこで作ったものなんだ。
褒めてたって、あとで伝えておくよ。 きっと喜ぶ。
[淡々とした説明をしながら。褒めた時の蒼佑のにやけ顔を思い出しかけ、速攻で頭の隅に追いやった。 そうして僕も彼女の向かいの椅子に腰を下ろしたけど。
それきり、何故か彼女は黙り込んでしまった。 けれど今度のそれは、緊張とは少し違う気がして。 僕も黙ったまま、じっと彼女の困ったように寄せられていく眉を見つめること、しばらく。]
(192) 2019/10/11(Fri) 00時半頃
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[沈黙をほどいた彼女に、僕はまたきょとりとして。 ようやく、おおよその状況を把握する。]
そうなんだそれで…… じゃあ、こういう「おつかい」も初めてなのか。
[さっきも彼女が”父”と呼んでいたし。 ウォルフォード教授が眷属を養女にした、という噂くらいは聞いている。 それも長命の吸血鬼の感覚からすれば、ごく最近の話だ。]
(193) 2019/10/11(Fri) 00時半頃
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[少し考えて。]
べつに無理に話をしなくていい。 今日のこれは、眷属の健康診断みたいなものなんだ。
でも僕が君に何かするわけでもなければ、 君が何かをしなければならないわけでもない。 ただ、今話してくれたみたいに、 僕に普段の君達ことを話してくれればいいんだ。
[噛み砕いて説明しようとした結果。 子どもに諭すような言い方になってしまう。 事実、僕から見れば彼女は二百歳近く年下なのだから、そこは許してほしい。]
(194) 2019/10/11(Fri) 00時半頃
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そして申し訳ないんだけど…… 普通の人間の親子、というのが 僕にとっては抽象的すぎるんだ。
ウォルフォード教授とは、普段どうしてるの? 何も教えてもらえないくらい、会話がないとか?
[揺れる瞳を、じっと見つめ返しながら。 彼女が何も知らないことに対する、素朴な疑問を口にした。*]
(195) 2019/10/11(Fri) 00時半頃
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[グラスへの感想>>187には、そうみたいね、と微笑んで なにせこの目では碌にわからない けれど愛らしい少女がキラキラ輝くジュースを口に運ぶさまを想像すると、やはり愛らしくて微笑ましい] お口に合うかしら? その辺にあるものも、 どれでもお好きに召しあがってね [グラスにジュースを注ぐくらいならまだしも、 縦に並んだお菓子を取り分けるのは難易度が高い そこは客人の自主性にお任せ]
(196) 2019/10/11(Fri) 01時頃
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[教授の口からゴシップへ流れる可能性は低いが 決して明かさぬという約束に例外はないだろう。 自らの出自については伏せ、教授の相槌に頚を振る。]
いえ、むしろ感謝しているくらいです あっさりと僕を諦めてくれたお陰で 今の主と家族になれたので
[当時は違う感情もあったかもしれないが、 既に記憶に遠く、実の父の訃報に痛む胸もない。 主の話題に触れた途端、表情が複雑に揺らぎ 彼の眷属についての遍歴は、神妙に聞き入った。]
(197) 2019/10/11(Fri) 01時頃
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ねえ、知ってる? 僕の代わりは、いくらでもいるんだよ。
[僕の人生は僕が主役だけど、世界という大舞台の上。 代役があればいつでもすり替えられてしまう。 その無慈悲を知っているから、>>116>>118
僕はこの世界の脚本に期待をしていない。 観客達の声援に心から笑う事はない]
(198) 2019/10/11(Fri) 01時頃
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まあ、こんな小さな箱の中にカリーが? 熊やクジラのお肉も? ふふ、面白いのね [すんすん、と鼻を近づけてみたりもした>>189 熊やクジラではないから、紙のにおいしかわからないけれど]
(199) 2019/10/11(Fri) 01時頃
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死にそうな子を、ですか…… 僕の時もそうでした あの人は…主は、死ぬ手助けをしていた筈なのに 教授はどうしてその娘を助けたんですか? 目の前で死にそうな人がいたら 誰でも眷属にするわけじゃ、ないでしょう [意外なところに見つけた、双方の共通点。 主にはいくら訊ねても返って来なかった疑問だ。 教授はさて、どうだろう。
──主は、己以外の誰かに聞かれたら答えるだろうか。 答えを待つ間にも、思考はやはり"彼"へと向く。]
(200) 2019/10/11(Fri) 01時頃
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[客人の口から答えを聞いて、ああ、と頷く>>190] そう、ジャーディンさん。 そうだったわね、ごめんなさいね あまりこうやって人とお話しする機会もないものだから、 人の名前を覚えるのはまり得意ではないの [と肩を竦めて微笑みながら] ……まあ、作家の先生でいらっしゃるのね?素敵だわ。 どんな本をお書きになるの? 私の知ってる本も書いてらっしゃるかしら [けれど、彼女に読んでもらった物語の内容ならば覚えているかもしれない>>1:15 もしかしたら、この屋敷のどこかにも客人の主の著したものが存在するのかもしない。しないかもしれないけれど]
(201) 2019/10/11(Fri) 01時頃
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……でも、アリスだけは僕を愛してくれるんだ。 アリスは僕がいないと生きられない。 僕もアリスがいないと生きられない。
だから、あの子はちゃんと大事にしてあげなきゃね。
[ふわと、どこか儚げに。 僕は笑ってさくりとビスケットを齧った。**]
(202) 2019/10/11(Fri) 01時頃
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[ひとつ 客人の言葉に思い至る事柄があったけれど>>190 いまは音にして唇に乗せることはせずに] ジャーディンさんとは、どれくらい一緒に? [やはり口元は緩やかに笑んだまま それだけを訊ねた*]
(203) 2019/10/11(Fri) 01時頃
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[切り分けられるパイに視線を向けつつも、 興味のある話、がとかく多すぎて既に気もそぞろだ。 学生時代の主についても知りたいが、 一番に喰いつくべきじゃないことは解っている。]
全部、気になります 僕はまだ眷属になって20年ほどで… 主以外のことをほどんと知らないので
ちなみに、教授はその…… どれくらいの頻度で娘さんの血を……?
[カップから離れた指を落ち着かなく絡めて、離し じ、と、犬歯が生えているだろう唇を見遣る。 主もそうだが、氏もそうだと知らなければ ごく普通の壮年にしか見えない。]
(204) 2019/10/11(Fri) 01時頃
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炉の番 チトフは、メモを貼った。
2019/10/11(Fri) 01時頃
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はあ、
[あっさりと既に診断が始まっていることを告げられ、少々間抜けな声が出た。>>181 吸血鬼側にだけ明かされるのであろうそれをばらしてくれる親切な吸血鬼は初めてだ。]
家はほぼ毎日出てますね。仕事もあるし。 朝は体型維持の為にジョギングして、本屋巡ったり飯の材料買ったりなんだかんだ。
[ここ数日はそのルーティーンを疎かにしていたが、誤差の範囲だと敢えて言わない。]
(205) 2019/10/11(Fri) 01時頃
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いつか死ぬことを回避できないのは眷属だけじゃないでしょう? 自分の意思で死なない限りはその瞬間を選べないのは普通の人間も吸血鬼も同じ。 わかった上で気をつけて日々過ごして来たんでね、
[>>182これは持論。 けれど、こんなに気をつけて生きて来ても、同居の心地よさやスマホの便利さにあっさり病の糸口を掴んでしまった。
――これも敢えて言わない。]
(206) 2019/10/11(Fri) 01時頃
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あー……そういう…… もしかしてここんとこの特殊職業モノって、一度全部着せてたり……? 俺はあんまりコスプレにピンと来ないんでわかんないですけど。
[エプロンを描き足そうとするのについ呆れたような声が出た、>>183 興が乗っているなら邪魔すまいと先に荷物を客間に置かせて貰おうかと思えば、衝立の裏ときた。>>186マジか。]
(207) 2019/10/11(Fri) 01時頃
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まさか。 どちらももうどこかでとっくに死んでる親がつけた名前ですよ。
でも彼を候補に選んだのにはその偶然を運命にしたいと思ったからですね。 ほら、とっかかりがあった方が口説きやすいでしょう?
……恋人ではないですよ。 「それ」を確認してしまえば、病に陥ってしまう。
[>>184苦笑交じりに言ったのは、ジャケットを脱ぐ衣擦れで誤魔化せていれば良い。 ネクタイは外さずに肩にかけ(その下、シャツの下に噛み痕があるのは無意識)、袖をまくってシャツガーターで固定した。
エプロンはつけないから、これが調理前の身支度だ。 そこまでしておいて、家主のインタビュー回答を聞く。>>185]
(208) 2019/10/11(Fri) 01時頃
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[吸血鬼が眷属の血を吸うのは当たり前のことなのに 複雑な家族構成を訊ねるよりもどこか気まずいのは。
一体どんな顔で、どんな風に娘に牙を立てるのか 想像するのが何となく申し訳ないからで。
何故申し訳なく感じるかといえば、 どうしても重ねてしまうからだ──"彼"の、遣り方を。
さすがに実の親子のような関係なら、 あれおど激しく及ぶこともないだろうか。 それとも例外なく取り乱してしまうのだろうか。 この、穏和で落ち着いた紳士然とした男でさえ。]
(209) 2019/10/11(Fri) 01時頃
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それも持ってますけど、ええーまさかのそこもノンフィクション……? 吸血鬼ってホントは超人的能力持ってる訳じゃなし、よく生きて帰れましたね……。
って「実際は」の話随分違いません?! 盛ってんなー。
[しかし現実も簀巻きで海にだなんてまるで映画のような出会いだ。]
そんな生きるか死ぬかのとこ助けられたんじゃ、ヒロインが惚れちゃうのも無理ないな。 気をつけてあげてくださいよ。 「この人が世界」って思った眷属が長生きしたの見たことないんで。
[彼女は何年目だろう。 もう手遅れかもしれないが、ヒロインの寿命が長く続くよう内心でそっと祈って、調理に赴くことにした。]
(210) 2019/10/11(Fri) 01時頃
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ポテト入れないんで冷凍ききますよ。 カレーのポテトは家庭用冷凍庫で冷凍すると食えたもんじゃないので覚えてたらおつかい帰りのヒロインに教えてあげてください。
東洋風って訳でもないですけどね。パプリカとトマトとチキンとスパイスと……
[仕上げに生クリームでまろやかさを足したバターチキンカレーが食卓に並ぶのは数刻後。 サフランライスにかけたカレーは色のバリエーションに乏しいのでつけあわせにはスナップエンドウと紫タマネギ、レタスのミモザサラダを添えた。
舌の肥えた作家の口に合うと良いのだけれど。**]
(211) 2019/10/11(Fri) 01時頃
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[質問を投げてほどなく、 微妙に頬の色を染めて俯く様が 審査する側にどう見えるかなぞ、考える余裕はなく。
ああ、また。と、自己嫌悪に陥りながら 教授の話と、目の前に出されたケーキに意識を向ける。]**
(212) 2019/10/11(Fri) 01時頃
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[少年の声と耳鳴りを聞きながら、皺の寄った眉間を指先でほぐそうとする。 その手が細かく震えているのが見えた]
他を探──ああ 人間だから ? 眷属じゃないから
[彼の言葉は矛盾している、 いやしていない? おかしい、なにか ]
(213) 2019/10/11(Fri) 01時頃
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