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[ 万年青は知らない。 彼女がどんな子なのか。 どうして飛び降りたのか。 どうして、あんなきれいな笑顔を見せたのか。
人から聞いた断片をつなぎ合わせても、 つぎはぎの人物像は、熱を持たない ]
(*2) 2018/10/17(Wed) 11時半頃
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/*
安住さんは自殺って決めて動いているけど、 事故も万年青による殺人もありえるように見えてるかな。 見えてたらいいな。
(-6) 2018/10/17(Wed) 11時半頃
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/* 眼鏡組のあんやくかんすご
(-7) 2018/10/17(Wed) 13時半頃
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― 劇が終わって ―
[蓮君に何があったのかはのんは知らないし、 知ってたとしても別に何か変わるわけじゃない。 だからはのんはいつもと一緒。 相変わらず口がうまいなあって笑うの。
「いつもより」って蓮君の言い方は、>>45 はのんがいつもお化粧してるのがわかってる言い方で、 そーゆーとこ、葛君と違うなーって思ったの]
そだよー。 舞台用の派手メイクだもん。
[そう返事して、はのんは“いつもよりバチバチ”な目で にっこり笑うの]
(71) 2018/10/17(Wed) 13時半頃
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[蓮君のカノジョちゃんは、 記念写真にはやきもち焼かないんだって。>>46 ホントかなあ? って思ったけど、 約束してるんならまあいっかあ。 あとで苦情を言われても、 自分が約束したことには責任をとろーねって 言えばいいもんねえ。
蓮君の取り出した耳しっぽにはびっくりしたけど、 ああ、アニマルカフェだったっけ、って はのんは笑ったの。 耳をつけてれば安くなるんじゃなかったっけ? でも、もうじき店じまいだよねえ。ざんねん。
せっかくだから付けよっかーってはのんは言ったの。 だって、今日はお祭りなんだもん。 似合う自信だってあったし。 記念写真、にゃーってポーズを決めちゃう]
(72) 2018/10/17(Wed) 13時半頃
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[目をぱちくりさせたら、 蓮君の目もぱちくりしたの。>>47 なにか驚くようなこと、はのん言ったかなあ? 蓮君に過ぎったものは知らないまま。
うん、いいよーってはのんは劇の再現をするの]
「助けてくれてありがとう」
[これくらいの短いせりふなら、 はのんだって覚えられるの。 目の前に立ってる制服姿の蓮君に、 はのんはそう言ってお辞儀をするの]
(73) 2018/10/17(Wed) 13時半頃
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「あなたが来てくれなかったら、 私、きっとここから落ちてたわ。 そうして、死んでたかもしれない」
[一歩距離を詰めて、蓮君の右手を両手で取るの。 ぎゅって握って顔を見上げて]
「あなたは、私の命の恩人よ」
[そう言って、にっこり笑ったら はのんの出番はおしまい。 おしまい! って言って蓮君の手を離したら、 超絶可愛い、なんて感想をもらったから>>49 でしょー? って返したの]
(74) 2018/10/17(Wed) 13時半頃
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[だけど、いつもはのんの言葉はよどみないのに、 蓮君の一言に、珍しくちょっと詰まっちゃった]
……そう、かなー? ほら、はのんの出番、ほんのちょっとだったし、 わざわざおすすめするほどじゃないでしょー?
[それも確かに驚きポイントだったんだけど、 だけど、一番驚いたのはそこじゃなかった。 四十崎君がはのんのことを、 誰かに好意的に話してたのが意外だったの。 四十崎君は誰にでも優しい人だから、 はのんの演技を公平な目で評価してくれたのかも しれないけど、 わざわざそれを他の人に話したっていうのが、 はのんはとってもびっくりしたの*]
(75) 2018/10/17(Wed) 13時半頃
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― それから ―
[楽しかったお祭りもおしまい。 終わってしまったら、待ってるのは後片付けなの。 できるだけ簡単なお仕事をさがしたはのんは、 校舎のあちこちに貼ってた宣伝ポスターを 回収するお仕事をしてた。 ポスターなら重くないし、楽チンだもん。 他のクラスの様子も眺められるし、 知ってる人を見かけたらおしゃべりだってできるから、 はのんはのんびり廊下を歩いてたの。 いつもみたいにお願いしちゃおうにも、 安住さん教室にいなかったんだよねえ。
悲鳴が聞こえたのはそんな時だったの。>>#2
それは確かに、歓声なんかじゃなくて悲鳴だった。 それから、叫び声]
(76) 2018/10/17(Wed) 14時頃
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[校舎中が騒がしくなったけど、 大きな声は、外から聞こえてくるみたいだったの。 だから、はのんは窓から外を見下ろして、
地面に広がる赤を見たの。
助けてくれてありがとう。 あなたが来てくれなかったら、 私、きっとここから落ちてたわ。 そうして、死んでたかもしれない
思い出したのは、劇のはのんのせりふ。 練習で、舞台で、蓮君の前で、 演じてみせた、そんなせりふ]
(77) 2018/10/17(Wed) 14時頃
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[物語の世界なら、ヒーローが現れて助けてくれるの。 助けてくれてありがとう。 あなたが来てくれなかったら、 私、きっとここから落ちてたわ。
だけど、現実の世界に、ヒーローなんていない。
誰も助けない。 誰も来ない。 ――――……だから、落ちたの?**]
(78) 2018/10/17(Wed) 14時頃
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―― 夕暮れ ――
[文化祭の細々とした雑用を終えて 校舎を出たときには、すでに夕暮れでした。 茜色に染まった校舎を背に、 帰路に着こうとします。
常ならざるざわめきに、眉を顰めました。
人だかりに近づけば、地面に広がる赤が わたしの目に飛び込んできます]
――――っ、
[大きく、息を飲みました]
(79) 2018/10/17(Wed) 16時半頃
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「救急車もう行っちゃったの?」
「3−Aの安住英子だって」
「こわーーい」
「え、生きてるの? 自殺?」
「事故かもしれないよ」
(80) 2018/10/17(Wed) 17時頃
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[ざわめきに耳をすませば 様々なうわさ話が、わたしの耳に飛び込んできます。
いやいやをする子供のように わたしは首を振って、後ずさりました。
そのまま、走り出します]
(81) 2018/10/17(Wed) 17時頃
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[気付いたときには、家の自室のベットで わたしは、ぼうっと天井を見つめていました。
どうやって帰ってきたのか、記憶がありません。
携帯電話を見遣れば、 葛くんからのメールが1件。>>34
吹奏楽部公演の感想が丁寧につづられた文面の最後に その文言はありました]
(82) 2018/10/17(Wed) 17時頃
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わたしの、せいなの……?
(83) 2018/10/17(Wed) 17時頃
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[くしゃりと、顔を歪めます。
葛くんが、わたしを責めているわけではないというのは 理性で理解していました。
送信の時間から見て、このメールの文面が打たれたのは あの事件が起こる前であろうことも。
そしてもちろん、 安住英子が自殺を図ったという確証も。
しかし、感情が追いついていきません]
(84) 2018/10/17(Wed) 17時頃
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[視界の焦点は定まらず、 込み上げる吐き気に、口元を押さえます]
……気持ち悪い。
[わたしが? 彼女が? この現実が? 答えは出ぬままに、思考は堂々巡りをします。
もしかしたら、という仮定が ぐるぐるとわたしの頭を占領していました。
そうして、わたしは眠れぬ夜を過ごしました]
(85) 2018/10/17(Wed) 17時頃
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[窓の向こうが白ばみはじめた頃、 敬語で綴られたメールを、 わたしは葛くんに送信します。
それは、懺悔だったのかもしれません]
(86) 2018/10/17(Wed) 17時頃
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───────────────── To 葛 九十九 From 潮田 瑠璃 ─────────────────
ひどい言葉を、 英子ちゃんにかけてしまいました。
わたしが、彼女を追い詰めたのかもしれません。
─────────────────
(87) 2018/10/17(Wed) 17時頃
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……行かなきゃ、学校に。
[ふらり、とわたしは立ち上がりました]*
(88) 2018/10/17(Wed) 17時頃
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―― 朝 / 3−Aベランダ ――
[物悲しいホルンの音色が、 校舎に響き渡ってゆきます。
ホルンを吹けば、この動悸もおさまるはずだと。 わたしはそう思っていました。 しかし、胸をかきむしるような罪悪感と嫌悪感は この身から消しようがありません。
まさかわたしのホルンが誰かを傷付けていたなんて。 考えたこともありませんでした。
あの血だまりを思い出すと 「ホルンと出会わなければよかったのでは」などと、 そんな考えすら頭によぎるのです]
(89) 2018/10/17(Wed) 17時頃
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「そうやって ホルンを見せつけるように吹くの、 私への当てつけのつもり?」
(90) 2018/10/17(Wed) 17時頃
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[それが、昨日の朝 開口一番に安住英子が発した台詞でした。
中学の頃から、わたしに嫉妬していたこと。 どんなに努力しても、 わたしにホルンの腕で敵わないことを 中学時代ずっと悩んでいたこと。
高校でも、楽しそうにホルンを吹くわたしが 気に喰わなかったこと。
捲し立てられるように言われて、 わたしは言葉を失ってしまいました]
(91) 2018/10/17(Wed) 17時頃
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[わたしは、とても愚かでした。
ホルンを吹き続けていれば いつかまた彼女と仲良くなれると、 そう思い込んでいたのですから。
なんて、なんて愚かだったのでしょう。
まさかわたしがホルンを吹くことで 彼女を傷付けていただなんて]
(92) 2018/10/17(Wed) 17時頃
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[そんなこと、微塵も考えていなかったのですから!]
(93) 2018/10/17(Wed) 17時頃
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[文化祭の吹奏楽部公演を 葛くんに誘われたことを口にしたあと、 安住英子はわたしに呪いの言葉を投げ掛けます]
(94) 2018/10/17(Wed) 17時頃
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「今日の演奏、失敗しちゃえばいい」
(95) 2018/10/17(Wed) 17時頃
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[ぷつん、と何かの糸が切れる音がしました。
だからわたしは、 去りゆく安住英子の背に あの言葉を投げ掛けてしまったのです。
その行為を、どれだけ後で後悔するかも知らずに]
(96) 2018/10/17(Wed) 17時頃
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「酷いよ」
(97) 2018/10/17(Wed) 17時頃
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