270 「 」に至る病
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/* チトフ(やべーやつじゃんの顔
(-0) 2019/10/08(Tue) 08時頃
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独尊隊 ツヅラは、メモを貼った。
2019/10/08(Tue) 08時頃
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[Chopin 紙製のジャケットに記された文字を目は追う。
クラシカルなレコード盤が取り替えられ、針がゆっくりと降りれば スピーカーのどこかが共鳴してピアノの音が室内に香り出す
手探りで行うのは難しい操作だ。 そういうものがこの屋敷には多くある。
AIスピーカーに話しかければ、座ったままリンディン交響楽団のニューイヤーコンサートすら検索して流すことができる現代、 なんかこういうレトロなレコードとか。
人間の耳の精度では、圧縮されたデジタル音源と原曲の違いは聞き分けられないはずなんだという。 吸血鬼の耳にはどう聴こえているのか知らない。
ここに来てから聞く音楽の方が音の厚みを感じるのは、間引きされていないアナログだからなのか。 単にスピーカーの値段の違いなのかもしれないけど]
(13) 2019/10/08(Tue) 13時頃
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[本も。
屋敷の書斎には、天井まで届く壁一面の本棚があった。
尋ねたことはない。 この蔵書が主人のものなのか 本を読める誰かが住んでいたことがあるのか]
(14) 2019/10/08(Tue) 13時頃
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[文字に関しては雑食だった。 タブロイド紙だろうが技術系の専門書だろうがラテン語の宗教書だろうが、レシピブックだろうが。 内容はあまり関係ない乱読。
主人が命じれば朗読を奉じる、 そういう時は小説や詩集を手にすることが多かったか*]
(15) 2019/10/08(Tue) 13時頃
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─ 現在・ある日 ─
[主人のためのディナータイム。 幻想即興曲が流れる室内 テーブルの端に読みかけの本が置かれている。表紙の題字に目がいかないようかけられた黒いカバー]
山羊の軽いチーズが入ったけど 口直しに食べる?
[食べたい時食べて、いらないなら食べなきゃいい吸血鬼様の方はどうあれ、ツヅラは毎日栄養をとらなきゃ暮らせない。 夕食のバランスを考えるのは貧血じゃメイドは務まらないから。 (鉄剤や増血薬の処方を受けるのに抵抗もないけど)]
(17) 2019/10/08(Tue) 13時頃
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[卓上の蝋燭に火を灯した。 仄かに揺れる蜜蝋の香。
そういえば眷属になって気づいたことだが、人間、烟草を吸っていると嗅覚がだめになっていたらしい**]
(18) 2019/10/08(Tue) 13時頃
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独尊隊 ツヅラは、メモを貼った。
2019/10/08(Tue) 19時頃
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─ むかし・がたり ─
X月, X日 新しくこのノートを日記帳にする 前のノートはまた、例の眷属のびょーきの研究をしているとかいう連中に送りつけておいた
X月, Y日 このノートの初めに、書いておく 私にとってはどうでもいいが、これを読むどこぞの誰かが知りたいのなら
(55) 2019/10/08(Tue) 21時頃
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うちは早死にの家系らしい 少なくとも母はそう信じていた
調べてみたことがある たしかに母とその家族、祖先たちはみな若く──あるいは子供の頃──に死んでいた 遡れる限り、35の齢を無事に数えた人間はいない
母の口癖だった はやじにのかけいなの わたしたちすぐ死んでしまうのよ
幼心に思ったものだ ──ならなんで絶滅してない?
(56) 2019/10/08(Tue) 21時頃
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母に人間的な魅力はあったのだろう 夢見がちで儚げで、少女のままのような愛らしい女だった 自分を悲劇の主人公と思い、それに依存していた 彼女の人生は彼女が主役、それはそれで良かったのだろう
けれど親としてはマジでクソ
早死にの家系だと信じていたのに、何故二人も子供を産んだ?ばかなの? ああ、それに学のない女だった 死んでしまうのだから勉強なんてする必要ない、働く必要だってない
彼女には、愛してくれて、養ってくれて、 彼女の死を悲しんでくれる人がいれば良かった
(57) 2019/10/08(Tue) 21時頃
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兄が10歳で死んだら、母はいよいよ悲劇にのめり込んだ 自分が先に死ぬと思ってたんだろうからお気の毒
兄の死因は、致死性の不整脈ということだった 確かに、遺伝性の可能性が高いらしかった 親戚の何人かはそれで突然死したのかもしれない (電気ショックの機械を胸に埋めておけば予防できるらしい まだ幼かった私はその治療は受けなかったし 母はその助言と説得を受け入れようとはしなかった)
愛想を尽かしたのか死んだのか、外国人の父が帰国したきり戻らなくなった
私はとにかく早く大人にならなきゃいけなかった 少女みたいな母をどうにか生かして、自分も生きて、って
母は
(58) 2019/10/08(Tue) 21時頃
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母は、突然死なんかしなかった
母の死因は悪性腫瘍 まあそれだって遺伝性だったのかも知れないね、知らんけど
母に生きる気力なんてあるわけなかった 嬉々として緩和ケア医の元に通ってた (嬉々として、ってのは私の悪意のある感想)
お望み通り、35歳を目前に最後の一葉を落として死んだ
親としてのあの女はクソだけど、 苦しまないように死なせてくれた医者には感謝している
(59) 2019/10/08(Tue) 21時頃
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私がほんとの親なしになった時、13歳だった 一人で自分の力でそこまで育ったような気がしていた、まあ、ガキだったから
孤児院にしばらく泊めてもらった 孤児として庇護されるには私はもう、少し大きすぎたけど 雑用を手伝ったりして、必要な援助はありがたく受けた
住み込みの下働きを紹介されてそっちへ移ることになり それが子供時代の終わり
(60) 2019/10/08(Tue) 21時頃
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未来を、展望することがなかったのは 明日の約束をしなかったのは やっぱり母親の影響なんじゃないかと思う だいぶ強烈なキャラだったし
だけど早死にの家系なんかじゃなくても 人は別に、ほいほい死んだりするのが普通だ もし寿命が千年あったとしたって死ぬときは死ぬだろう
いつか死ぬし、いつ死ぬかはわからない 生きている間は、生きていればいいと思っていた
私の人生は私だけが主役で、私は私がモブで良かった
(61) 2019/10/08(Tue) 21時半頃
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今は少し違う
死にたくないと思っている
いずれは死ぬけど
できるだけ 生きていたい
[日記はそこで途切れ、 しかし次の次のページからまたごく普通に続いた**]
(62) 2019/10/08(Tue) 21時半頃
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独尊隊 ツヅラは、メモを貼った。
2019/10/08(Tue) 21時半頃
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[寝室に揺蕩う蜜蝋の香はうすく甘い。 蝋燭の炎の熱はごく弱いから、目的は主に嗅覚のため。
光の効果の方を必要とするのは自分だけだ]
……ほら
[伸ばされた主人の腕をとって、ぐ、と褥から引き起こす>>67 どこまでも肌理の細やかですべらかな肌。
片膝でシーツに少し皺と窪みを作って 主人を支えたのと逆の手で、匙に乗せたチーズを唇へ近づける。
濃密で狂おしいほど甘いハニーとの相性が良いという逸品で、 あるいは重たい貴腐のワインと合わせても、互いを引き立てるマリアージュが楽しめる らしい]
(97) 2019/10/08(Tue) 22時半頃
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手紙、ああ
読もうか?
[この場合はまだ読んでないという意味ではない。 拡げられた状態の文字が置かれていたら、目はそれを読む。
中身を貴方に伝えるのは今にするか、という程度の問い]
急ぎの用じゃ── ないようだけどね
[余計なコメントを付け加えた。 この種の言葉をつい漏らしてしまうようになったのは比較的最近だった**]
(98) 2019/10/08(Tue) 22時半頃
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臭いくらいが好きなのかと
[皮肉そのもののような声音で、チーズの感想>>166に同意を添える。 主人が長い人生の娯楽の一つを味わうのを 書棚の背表紙の文字を拾うように眺めた]
……
[閉ざされた薄い瞼の陰影が変化し その下から星が覗く。 自分のためだけの蝋燭の光源が、二人の灯に]
[初めての夜に教わった視力は、 距離を縫い縮める安全装置《言い訳》めいて作用している]
(195) 2019/10/09(Wed) 02時頃
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[目許に触れる指 彼女の虹彩のいろ 眉の輪郭を滑る指 髪のうねり 鼻梁を辿る指 牙のかたち 唇を掠める指 舌のあつさ ]
[視線とともに主人の指が降りていくのを、黙って耐えていた。 いまだに心臓がたまに痛む。 見つめられる心臓が苦しげに弾んで]
(197) 2019/10/09(Wed) 02時頃
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[不意に気紛れを起こす主人に、片目を眇めた。 浅くなっていた呼吸を、ため息の速度で吐き出す]
ああ 今ね
[手紙は離れたリビングにある けど]
(198) 2019/10/09(Wed) 02時頃
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あれはミズ・ドリベルからの今年の連絡
[定型文のような定期健診の案内は諳んじられる程度の文量だった。 どんな文字を読むにしても中身はあまり関係ないが 自分自身に関わることが書いてあるのは珍しい]
今回はジャーディン・スチュアート氏の眷属を迎え入れるように、と それからあんたの眷属を……
ホワイトラビット社のチトフ・ホワイト社長の元へ遣わすように?
(199) 2019/10/09(Wed) 02時頃
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急ぎじゃなかったろ 返事を出すなら明日、集荷に来てもらう
[ふん、と鼻先で笑う]
書いとこうか?やだめんどくさい、って
[行けというなら従うのだけど 実際、気の向かない話**]
(201) 2019/10/09(Wed) 02時頃
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お菓子?
[そういえば、見覚えのある単語の組み合わせ 飾り文字のロゴは菓子箱で見たのだったか、それとももっと大きな]
……
[記憶の方へ向きかけた思考は、 なんとも甘だるい呼称>>206に連れ戻される。 毎度の、心の奥底からいやそうな顔をしてみせて]
それ、を、やめろ
(209) 2019/10/09(Wed) 04時頃
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[妙な呼び方やセクハラめいた触れ方には、一々機嫌を損ねる 離れがたいならという曖昧な揶揄には、 戯言をと、悪態を返し]
ああ、そう。任された それで……
(210) 2019/10/09(Wed) 04時頃
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[視線を受け止める。蝋燭の色に揺れて滲む夜のいろ>>208]
[主人の要求を真に拒んだことはない。 これは生理現象で、病ではないから]
[シーツの波間に沈む。 もっと合理的な饗し方があるのではと思わないでもないけれど]
[永遠の夜の狭間。 どんな物語より美しい 終わらない夢と彼女は言ったのだったか>>0:306*]
(214) 2019/10/09(Wed) 04時頃
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[零れたのは朝、私が編んだ髪]
デザートが待ちきれない可愛いスイートは そっちじゃない?お嬢様
[朝、私が爪を短く整えた指]
(-63) 2019/10/09(Wed) 04時頃
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独尊隊 ツヅラは、メモを貼った。
2019/10/09(Wed) 04時半頃
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[白い女の肢体を見上げ 目を細めた。 心臓が不規則に打つ。 これは痛み
仰臥した胸は重力で少し横に流れているだろう。
デコルテを縦断し、そのなだらかな谷に指がかかれば 喉を鳴らした微かな音が蝋燭の香に溶け消えた]
(-81) 2019/10/09(Wed) 13時半頃
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[まだ鬱血して腫れているものから 消えかけて仄かに色が残っているだけのものまで
散らされた牙痕は、やがては順に治るけれど 求められた刹那の紅い記憶は、内にひそやかに降り積もっていく]
[長い髪の先が素肌に触れて 薄く染まる息を吐いた]
(-82) 2019/10/09(Wed) 13時半頃
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[そうだ、 ベッドに引き入れられ、肩を押されて 彼女の下に組み敷かれている その受動態の”体裁”を得て、ようやく
馴れた獣のように思考と筋肉の緊張をほどく]
[シャツのボタンを自ら外し前を寛げるのは、洗濯物の手間を減らすため、だ]
(-83) 2019/10/09(Wed) 13時半頃
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[蜜蝋の香りと柔らかなシーツと縫いとめられた褥、 そうやって条件付けを絞ることで
夢のひとつ奥へ浸潤してしまっても、また戻ってこられる]
……
[両腕の肘を曲げ、頭上に上げるようにして枕のあたりのシーツをそれぞれ握り込んだ。 両腕を抑制しておけば、幾つかのリスクを減らせる]
… ヴェルヌイユ
[顔ごと視線を外して頬をシーツに当てた。 ほら好きにしろ、と名を呼ぶ声は、褥以外と比べれば随分と、やわらかい**]
(-84) 2019/10/09(Wed) 13時半頃
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[体温が上がり、目許がが染まるのを感じていた。 頬をシーツへ押しつけ、前髪に隠れた瞼を閉じる。
指が私のかたちを観ていく蝕 唇が肌に散らす、もどかしく弱い痛み]
[筋肉のうねりも細切れの吐息も、閨の秘事と甘く晒して
蜜蝋の甘さに溶け込む体温の馨り]
(-92) 2019/10/09(Wed) 19時頃
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