267 【突発】Sanatorium,2880【RP村】
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傾げた小首に応じる言葉はない。 153の意味などは、なによりも 被検体には関係ない知識だ。 ましろい空気が吐き出されて 汽車の煙のようには高く昇らず ときどきに尾が切れるのを 僕は黙して追い掛けて... 冷えた雪塊を口に含む様子を やはり、つめたく見詰めていたに違いない。
(-21) 2019/06/13(Thu) 16時頃
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「 温かいものを用意するより 冷たいものを用意する方が 楽なので… 助かりますね。 」 ・・・・
(-22) 2019/06/13(Thu) 16時頃
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( ....なんてね。 )
(-23) 2019/06/13(Thu) 16時頃
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■■さまに成り切れるわけもない、 僕がお医者様≠ナあることは 道中にでも知れたことだろう。 白い世界に迷い込まないように…と 繋ぐ指先も 蜘蛛の糸も何もない。 それでも僕は、 首輪を付けられた家畜のように サナトリウムへ連れて行かれる君のこと ■■■■■だと思っていた。…確かにね。
(-24) 2019/06/13(Thu) 16時頃
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「 此処に送られた人のうち、 君もその一人なんでしょう。 道中ご苦労様でした。 お疲れでしょうし...慣れるまでは ゆっくり過ごしてくださいね 」
(-25) 2019/06/13(Thu) 16時頃
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崇められて 信じられて 預けられて 頼りにされて せんせい≠ニいう肩書ひとつで ひとびとの視線の色が変わるのを よくよく身に染みて感じていた僕は 時に悪い白昼夢を目にしたりもする。 >>47 ──── 彼に、海の生き物の体温を 丁度、教えた頃だったろう。
(116) 2019/06/13(Thu) 16時半頃
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女の子が■になる■だ。 シルバーが雨の落ちるより強かに 床に降る音が妙に耳に残っていた。 肩に掛けられた羽織がずるりと落ち 砂時計の容器が決壊していたように 彼女の命が床に降り積もっていく■。 命は容易く風に吹かれる。
(*9) 2019/06/13(Thu) 16時半頃
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いつか亡霊が囁いていた、 星の欠片は無残な塵芥と化して 空を流れることも出来ないまま 掬っては零れる命砂になるだけ。 外に飛ばせばどこまで飛ぶだろうか 僕はそんなことを考えていて 他の同僚たちのように、箒や塵取を 持ってくる■■などまるでなかった。
(*10) 2019/06/13(Thu) 16時半頃
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ホルマリンに漬けられたもの一つ 崩れてなくなってしまっただけの 吹けば消えるような思いが過っていた。 遠くでシーツに腰掛けた、■■が 窓辺の景色を眺め、見上げながら 硝子越し 反射光 うつした唇に ■■めいた言葉を吐き付けている。 弾けたスープの残骸が、 まるで蜘蛛の巣のように絡んでいた 僕はそれに気付けなかった。
(*11) 2019/06/13(Thu) 16時半頃
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被検体が増えてから、幾つの季節が巡ったか。 >>49彼の小さかった背丈がもっと低くなり、 肘掛にするにも心許無くなるまでに、 そう時間は掛からなかったかもしれないが。
(117) 2019/06/13(Thu) 16時半頃
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■ まるで■されたがる魚のように 彼は■たい棺の中か、■蔵庫の中で■■たいと 僕の色眼鏡のなかでは■願するように 伝えてくるものだから、 僕は■■半分に、冷たい■を差し出した。 外で眠れば雪が体を冷やすだろう。 ■■を海に投げるような提案をしなかったのは 僕にもそれなりの■■があったからに違いない。
(118) 2019/06/13(Thu) 16時半頃
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■たい■の居心地は如何だろうか。 クーラーボックスに釣った魚を 保存するようだと、僕は思っていた。 熱の通さない、彼の背丈に合った箱を置いた。 雲のすきまから差し込む陽光を当てない為に 外界の光を強く遮断するカーテンを掛けた。 水辺も、水の入ったコップもないのに、 どこからか泡沫が上る音が聴こえたのは 遠くの海で小波が揺れていたからだろう。
(119) 2019/06/13(Thu) 16時半頃
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『 釣った■を保■しているようだった 』 いつかにして 僕は漸くあのときの気持ちを そのような言葉で吐露していたはずだ。
(120) 2019/06/13(Thu) 16時半頃
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僕が担当することになった被検体-153 彼の名前は覚えていない。 なにかの拍子に呼ぶときも 僕より小さな背に向けても 数字で呼びつけていた。 僕は患者の名前を呼ばない。 僕が担当する被検体に名前はない。
(121) 2019/06/13(Thu) 16時半頃
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「 魚だと思っていたのに 次は硝子にでもなるのですか。 」
(122) 2019/06/13(Thu) 16時半頃
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>>51罅の入った彼の腕に、 気休め程度の包帯を巻きながら 僕は問い掛けていた。 人から乖離していく被検体たちのこと 僕は少なからず知っているつもりだ。 だからこの言葉は、 常套句とも言えるだろう。 ・・・
(123) 2019/06/13(Thu) 16時半頃
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* * * *
(124) 2019/06/13(Thu) 17時頃
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「 また 硝子になろうとしているのですか 」
(*12) 2019/06/13(Thu) 17時頃
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白昼夢の延長線上で 僕はそのように、153に問い掛けていた。>>93 医務室へ向かう背を 星砂となって朽ちた彼女に 騒ぎ、喚く被検体たちを後目に…時に体に纏って。 彼の病状≠ヘ覗ける範囲に確認出来ていたか? 僕は淡藤色の絵の具に白を垂らしたような 春には遠い色の瞳を 向けていた。
(*13) 2019/06/13(Thu) 17時頃
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■であった筈の出来事は ピントを合わせたようにリアルに被さる。**
(125) 2019/06/13(Thu) 17時頃
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「 あんた、親の顔は覚えてるかい。 」
(*14) 2019/06/13(Thu) 19時頃
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[ しょくぶつの医者だなんて 突飛な肩書きを、 何故だか、 pieceにしようと言う、 白亜の城に、
確か ──── ふゆさくらの散り咲く頃、
ひとつの荷物も持たず、 文字通りの身ひとつ。 わかれのことばを誰に伝えることもなく、
─── 嗚呼、 しょくぶつたちだけには話してきた。 「 きみたちはこれから しぬだけだよ。 」 と、 ]
(126) 2019/06/13(Thu) 19時頃
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「 何、 覚えてないのかい? ──── 病気じゃないだろうね。 」
(*15) 2019/06/13(Thu) 19時頃
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[ しんでゆく人類が、 いきてゆくしょくぶつを 診ようだなんて 烏滸がましい話だ。
( しんでゆく人類が …しんでゆくだけの人類を診ようというのも、)
彼等だって、唯、いかされていただけだろう。 何処かの 誰かの 孤独のために。 ]
(127) 2019/06/13(Thu) 19時頃
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( 病気かどうか、 なんて誰にもわからず、 少年は唯、茫然と流れ行く人を眺めていた。 )
( 「 このひとたちは何を言っているんだろう。 」) ( 「 いないものを おぼえているか なんて ……きくほうがわるいんじゃない?」 )
(*16) 2019/06/13(Thu) 19時頃
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[ 別に、 何だって良かった。 くるしむものを助けようと言う殊勝な思いも 何かを解明しようと言う熱心な想いも無い。
唯、 ───── うつくしく在れば良いと願う。 ■だって □だって、 そう、 庭も。 ]
(128) 2019/06/13(Thu) 19時頃
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・・・ ( 確かに 記憶の奥深くを敢えて探るのなら、 ひとのかたちさえ為していなかった ─── )
(*17) 2019/06/13(Thu) 19時頃
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≪ たぶん、 瀝青 だったと思います。 ≫
(*18) 2019/06/13(Thu) 19時頃
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[ 「 ここには名前を書いてくれればいいよ。 」 そう語ったしろい誰かに、
13番目は 唯、 理不尽を思い返していた。* ]
(129) 2019/06/13(Thu) 19時頃
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[ ─────書類に書くための、 通用記号。 明日には忘れているかもしれない、 そう言った病状の彼等に書かせたような、 曖昧なsignと 何ら変わりもしない。
Tの後こそ聞き慣れた■■で在れ…… ]
(130) 2019/06/13(Thu) 19時頃
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