266 冷たい校舎村7
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[ 元は、清潔であったのだろう。 白を基調とした空間が、 廃れていく、その途中を切り出した。
監督の指示の許、 内装は、予算と時間の許す限り凝ったそれ。 決して広くはない教室に、 いくつかの部屋を作り出した。
病院を模した空間に、 雰囲気を演出する音楽が響く。 衣裳に至るまで、そのままだ。 そのままだ。 ]
(416) 2019/06/09(Sun) 14時半頃
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[ ベッドの上に置かれた、ぬいぐるみまで。 汚した包帯を巻いただけの、ぬいぐるみ。 おんなのこ の、好きそうな ゆるくて平和な顔をした、愛らしさ。
から、 視線をそらした。 隠しもしない足音が、お化け屋敷を巡っていれば、 音楽に紛れ切らぬそれが、先客に届くか。 ]
(417) 2019/06/09(Sun) 14時半頃
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[ どのタイミングであれ。 ]
……灰谷もいたのか。 俺はきたばっかだけどさ。 変わったものとか、あったか?
[ 探索していた灰谷を見つけたら>>357 よ、って。歩み寄る。 同じクラス。 男子バレー部の助っ人をしたときに、 世話になったマネージャー。
文化祭の日に、母親らしき姿と、 一緒に歩いているのも見た。>>0:791 良好そうな関係、綺麗な母と娘。 ]
(418) 2019/06/09(Sun) 14時半頃
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[ いいな、って。 奥底で勝手に呟く声は、 何度も何度も あった。
……口にしたことはない。 身勝手な羨望は、 彼女に会うたびに 押し込めて、おしこめて。 *]
(419) 2019/06/09(Sun) 14時半頃
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― 一階廊下 ―
[俺たちの横をすりぬけるようにして 職員室に行った影二つ、は知らないまま 俺は高本と話している。]
たとえばの話じゃん? 受験が近いんだから、 誰がどうだったってヘンじゃない。
[高校生にとって受験って、 人生、みたいなものだから。 そこから続く言葉に耳を傾ける。>>399 俺は素直に、こわ、と笑った。]
(420) 2019/06/09(Sun) 14時半頃
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道連れにされちゃうの? こわっ。 お前らしいな。 わかってもらう、じゃなくて 道連れにする、ってあたりがお前らしいな。 もし本当にそうなら、俺には悩み教えなさいよね。
[三度目のこわーい、を、高本の瞳を見上げながら 俺は笑って言う。]
(421) 2019/06/09(Sun) 14時半頃
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[伸ばされてきた手に一瞬笑みが消えた。]
(422) 2019/06/09(Sun) 14時半頃
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[わしゃ、と頭を撫でられれば、 なんだよ、と俺は気恥ずかしそうに声を弾ませる。 撫でられて喜ぶ子犬の様子を見せた。]
なるほど。 探して、説得してみるか。 元の世界に帰してくださーい。って。 ついでに自殺もやめてもらえると助かるんだけど。
[でも、こうなった人って助かるの? 俺はそこんところを知らないので、 曖昧にして、ぼかして、高本の瞳を見上げた。]
(423) 2019/06/09(Sun) 14時半頃
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じゃ、俺、もうちょっと何か探してくる。 誰かに会ったら、情報共有してさ。 皆が帰れるように。
[くるん、ときびすを返すと、 引き止められないのであれば そのままどこかへ歩きだすだろう*]
(424) 2019/06/09(Sun) 14時半頃
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―― 回想 / ひみつ ――
[お父さん?、と田所に問われて>>393 俺は咄嗟に首を縦に振ることができなかった。 ただ、口元に人差し指を当てて]
……田所。 さっきのお願い、頼んだぞ。
[それだけを返すのが精いっぱいだった]
(425) 2019/06/09(Sun) 14時半頃
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[田所の背を見送りながら、俺は考える。 成績優秀者の多い、所謂進学校である仲冬高校で バイトに励む生徒は少ない。
社会というのは不平等に出来ていて、 頭の良い者はそれなりの家庭に生まれることが ほとんどだ。
環境というものが、人を作るのだろう。 鳶が鷹を生む、だなんて特例を別にして]
(426) 2019/06/09(Sun) 14時半頃
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[高校1年の春から 賄いや廃棄なんてものを基準にして バイトを探している田所も。
それなりに家庭に事情を抱えて、 それなりに苦労をしているのだろう。
彼女がバイト代を遊びにつぎ込む人間には 見えなかったので、余計に俺はそう思う。
田所に覚えたのは、微かな親近感]
(427) 2019/06/09(Sun) 14時半頃
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[それから田所が、店を訪れることがあれば 1回目のときよりは朗らかに 田所を客として出迎えただろう。>>394
教室での俺とは、 少し違った態度ではあっただろうけれど]*
(428) 2019/06/09(Sun) 14時半頃
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おんなのこ に なりたいわけじゃない
(429) 2019/06/09(Sun) 15時頃
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[ だから、 おんなのこらしく上がった声に>>0:1054 そうでしょう、とも。 かわいいよね、とも、言わずに。 ]
養の店選びが良かったんだろうな。 こんな感じのばっかだったぞ。 綺麗すぎるのはそうだが、 ひと手間加えれば悪くはならないだろう。
[ ビリッ! は、もったいない。 かわいそうじゃなくて、もったいない。 かわいそうじゃない。 ]
(430) 2019/06/09(Sun) 15時頃
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[ 汚れた包帯を巻いたならば、 手元のクローバーも隠れてしまうだろうか。 暗い中では、きっと、 灰色の衣裳とおんなじように、 小さなてんとう虫だってわからない。
ベッドの上に、患者服と一緒に置かれて。 終わったら、誰が引き取ることになったか。
会計の許しが降りて>>0:1075 病室に置かれることになった猫。 渡した領収書に書かれた値段は、 予算内だが決して安いものでもない。
引き取り手に、名乗りはあげなかった。 誰かが貰ってくれるだろう。 流石に、捨てるということにはならないだろうし。 ]
(431) 2019/06/09(Sun) 15時頃
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おんなのこ が 良いわけじゃあない
生まれ持った器を悔いたって かわってくれるわけじゃあ ないから
もしも なんて 考えたのだって いちどきり
(432) 2019/06/09(Sun) 15時頃
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もしも からだが おんなのこだったら ちゃんと おんなのこ で うまれたら
(433) 2019/06/09(Sun) 15時頃
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てんし の まんまで いられたかな
また しあわせをあげられたかな
(434) 2019/06/09(Sun) 15時頃
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なんて かんがえたって 仕方ないから
かんがえたって 苦しいだけだから
息を 止めてしまえば良い 息をしなければ 良い 呼吸の苦しさと錯覚出来たら 女々しい苦しさなんて ありはしないんだ *
(435) 2019/06/09(Sun) 15時頃
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/* ケンジウイノやるにあたって 女の子まともにできないPL大丈夫か? って自分でも思ってた
大丈夫じゃないです
(轟木くんが主な被害者になりそうな予感)
(-111) 2019/06/09(Sun) 15時頃
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──現在:3年7組>>286──
どうして?
[ ”困る”>>287って、どうして? ──という意味で、僕はそう言った。
3年7組の教室を出ていくすんでのとこで。 それは本当に単純に、ぽんと浮かんだ疑問で、 そのくらい僕にはなかった感覚だった。
日頃明るい養拓海の淡々とした口調が、 やけに耳についたせいかもしれない。
ただ、その瞬間教室に漂う空気が、 なにかぼんやりとして、息がしづらくて──、]
(436) 2019/06/09(Sun) 15時頃
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……いいや。
[ 行かなくちゃ。 僕もきっと何かがおかしかった。
ただ、行かなくちゃ。そう思って、 問いへの答えを待たずに教室を出る。
文化祭仕様の賑やかな廊下も、 雪にあてられて、つんと染みるように寒い。*]
(437) 2019/06/09(Sun) 15時頃
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──現在:美術室へ──
[ 階段を下っていく。
しんとした空気の中を進んでいると、 ここが学校であることを忘れそうだ。
2階に向かおうとしていて、 たまにココア缶に口を付ける。
こういうのは、気づいたときに飲まなければ、 どんどんどうでもよくなって、飲む気も失せて、 そのうち、手に取るのさえ億劫になるのだから。
……冷めているせいで、余計に甘く感じる。 普段なら、こんなことしないけれど、 今なら人にぶつかる心配もないし。]
(438) 2019/06/09(Sun) 15時頃
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[ 引き戸に手をかける。 鍵は掛かっていなかった。 文化祭……だから当然といえば、そう。
毎年、美術部員が作品を展示する。 当然衆目に晒すのであるから、 自信のあるものや気に入っているものを。 という部員が多い中で、
養拓海が突然はじめた日曜大工に、 最後になって新たなことをはじめた僕。
顧問の先生はさぞかし驚いて──、 あるいは、頭を抱えたことだろう。 ましてや、僕の作ったものはこうだから。]
(439) 2019/06/09(Sun) 15時頃
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[ ただ、それがあるのかを確かめたかったんだ。]
(440) 2019/06/09(Sun) 15時頃
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[ なんだっけ……、そう。 高校生活の集大成って言われたんだ。
それになるんだなぁ。>>0:342って言われて、 ……実のところ、そうなのかなあって。 あまり、よくわかっていなかったんだ。
ただ、僕は美術に生きるつもりもなくて、 中学高校と美術部で過ごしただけの人。 だから、本当に最後に、僕の人生で最後に、 何かを作るなら絶対にこれだと思って──、
…………僕は何に囚われているんだろう。]
(441) 2019/06/09(Sun) 15時頃
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僕たち、似ている?
(442) 2019/06/09(Sun) 15時頃
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人の教科書やノートをくすねることは、 君の心を少しでも軽くしてくれた?
(443) 2019/06/09(Sun) 15時頃
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僕は、これを作って、 君たちの肌を痛々しい色で覆って、 楽しかった。
(444) 2019/06/09(Sun) 15時頃
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