193 ―星崩祭の手紙―
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よし、これで終わり。 今度は引っかかるんじゃないぞ。
[頭をすっぽりと覆うマスク越しのくぐもった声では、仮に聴覚があったところで聴き取れはしないだろう。 抱えた無人探査用の機械を、なるべく平たい場所を選び、置いてやる。 最後にぽんと背を叩いてやると、どちらが前か分からない丸い身体を一つ震わせてから、湖底を進んで行った]
(39) 2016/07/17(Sun) 00時半頃
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[透明な、水草で編まれたその籠を開けたのなら、中から水が溢れるだろう。 中にあるのは、真っ黒な紙。 綴るのは、真っ白な文字。 幼い文調とは裏腹に、流れるように書かれた文字は、見る者によっては雑に映ることもあるだろう。 水中で扱うことを前提とされたその手紙は、空気に晒されたのなら徐々に劣化し、数日と経たないうちにひび割れ始めるかもしれない。]
(-42) 2016/07/17(Sun) 00時半頃
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――さて、これはどうすっかね。
[小さくてどこにでも入り込め、人が探索出来る場所でも出来ない場所でも全自動で調査を行ってくれる。 しかも何だか動きが健気で可愛いと、婦女子やお子様、一部寂しい独身男性まで広く人気の無人探査機くん。 困ったことに、分かり易い欠点が幾つか既に発覚している]
[一つ、気付いたら同じところをぐるぐる回っている。 二つ、僅かな段差に脚を取られて動けなくなる。
――探査機としては、割と致命的な欠陥だ。 偉大なる先人達の功績への敬意と尊敬は持ち合わせているものの、この探査機がトラブルを起こす度に駆り出される現代の技師としては、可愛さよりももっと優先する事があったんじゃないかと突っ込むくらいは許されたい]
[段差ならまだ可愛い方で、今回のように調査対象の遺物に引っ掛かって動けなくなるようでは困りものだ。 探査機の進行を妨害していた一抱えほどの遺物と、メンテナンス用の機材一式を手に、湖面へと脚を蹴り出した]
(40) 2016/07/17(Sun) 00時半頃
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― 調査船島 ―
……ぷはっ。
[擬似陸へと上がり、マスクを外す。 仄碧く光る肌に落ちた水滴を乱暴に拭い、未だ潜水スーツに包まれた掌で耳をぱしんと打った]
あーーーーーー耳おかしい。
[水中と陸上で感じる音への感覚の違いは、何度潜っても慣れない。 暫く使い物にならない耳の代わりか、マスクの両端に付いた小さなケースへ押し込まれていた触覚が自由を取り戻した事への歓喜に震える。 そして、馬鹿になった聴覚に届く前に触角へ届いたのは『誰かが近付く気配』だった]
(41) 2016/07/17(Sun) 00時半頃
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どこか遠いところのあなたへ。
こんにちは。 わたしの名前はステラと言います。
あなたの星は、どんなところですか? 楽しい、ところですか? わたしの星は、ずっと昔に沈んでしまったから、お外のことはあまり知らないの。 お水がないところでは、息ができないから。 お外に行ってみたいなぁって思うけど、ちゃんとした服を着て、息ができるような機械を背負わなきゃいけないから、わたしにはダメなんだ。
だから、お外の世界のこと、いろいろ知りたいの。 他の星には、わたしの知らないものや知らないこと、いろいろあるって聞きました。 私の考えられないような生き物とか、いっぱいいるのかな。 ちょっとだけでもいいから、教えてくれると嬉しいです。
ステラ 代筆 ステラの姉、アマルテア
(-43) 2016/07/17(Sun) 00時半頃
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「よっ、R0-MBαちゃんの調子はどーだった?」
[ぽんと気安い仕草で肩を叩いたのは、湖底遺跡調査部の同僚の一人。 俺と同じ保持保安技師ながら、あまり湖底へ潜ることはしない。何でも自称『遺跡アレルギー』なのだそうだ。
……何でこの仕事に就いたお前]
(42) 2016/07/17(Sun) 00時半頃
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どーもこーも。まーた底で引っ掛かってたよ。
[小脇に抱えていた遺物を置き、「今回はコイツ」と指差す]
「おっ、文流しのカプセルじゃん! 何年前のやつかなー。かなり古そうだけど」
[奴は身を乗り出し、遺跡アレルギーと嘯く割に興味津々と行った体で遺物を撫で回す]
……ふみながし?
[怪訝な表情と尻上がりの発音に疑問を感じ取ったのか、呆れ顔で同僚が宙を指す。 そこには、先程遺跡から揚がったばかりの遺物と似たような大きさと形のカプセルが、多数浮いていた]
(43) 2016/07/17(Sun) 00時半頃
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/*やり方合ってるんだよなああああ と、確認すること数回。 うん、あの、間違ってたら、エピで教えてもらえるよね(白目
(-44) 2016/07/17(Sun) 00時半頃
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── 夜、自宅にて ── [K居住区2号棟。 そこが俺たち一家の住まいだ。 就業時間を終え帰宅するなり、 シンが俺の手を引き集合住宅の屋上へ。]
────
いくぞー いち、にの、さん!
[日が沈んでいく、紫と群青の混じる空に シンと、セトと、俺と、 3人並んで宇宙カプセルを飛ばす。
ゆっくりと手を離れたそれは ふわりふわりと上昇し 一度、星のようにきらりと光ると そのまま夜の空へ溶けていった。]
(44) 2016/07/17(Sun) 01時頃
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[電光が反射する床に、座る。 ヒトがワタシたちを眺めるときの同じ体勢を真似た。
ワタシ達は相談を始める。]
何を書く?
[ 文字は書ける。 紙はこれしかない。
繭の後ろにしまってあった紙の束とくれよんを碧のワタシがとりだす。 文字の練習をしたそれは、縦横無尽にひらがなが踊る。 この紙で手紙を書くことは躊躇われた。 内容のことよりも、紙を調達しなければならないという見解は、 糸を通さずともワタシ達の中で一致した。]
(45) 2016/07/17(Sun) 01時頃
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よし 帰るぞ。 返事、くるといいな。
[小さなシンの手を取り、三人並んで歩く。 今日という日が、平和に終わろうとしている。
明日も、どうか、]
(46) 2016/07/17(Sun) 01時頃
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[扉の前に立つ。 ヒトはいない。 いないが、不思議とワタシ達の動きがわかるらしい。 数秒待てば、音がして扉は開かれる。 扉を通れば、電子音が響く。 いつも不思議でたまらない。]
(ヒトを探しに行こう。 紙と、カプセルとかいうものを貰いに。)
[扉の外では、あまり声を出す気にならないから。 そっとワタシ達に糸を伸ばして伝える。]
(47) 2016/07/17(Sun) 01時頃
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[ヒト達、がいる場所まで歩く。 探しているヒトは、その場所の奥にいることが多い。 その場所に辿り着くまで、ヒト達の視線に曝されて嫌だった。 ヒトは嫌いだ。あのヒト以外は。
この気持ちは碧のワタシと、翠のワタシと共有できない、ようだった。]
(48) 2016/07/17(Sun) 01時頃
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[ヒトの姿を認めれば、ワタシ達は駆け寄ろうとするけれど。 映像を思い出して、ヒトの真似をして片足で跳び跳ねながらヒトのもとへ。 ちょうどヒトは食べ物を摂取していたようで、 手に持ったそれに齧り付こうとした姿勢で静止した。 ワタシ達はそんなヒトに構わず、袖を引いて瞳を覗きこむのだった。]
(49) 2016/07/17(Sun) 01時頃
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[ヒトに渡されたものを、手にワタシ達はワタシ達がいるべきところへ戻る。 扉に手をかければ、開かれる。
電子音が響けば、赤と青と緑のランプが点灯する。 それはワタシ達があずかり知らぬところ。]
(50) 2016/07/17(Sun) 01時頃
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/* 0時更新じゃなくてよかったと咽び泣く。 明日はもっと早くから行動しよう。 そして様子見してたのに、サンドしてしまった。
あ、ヒトがたべていたのはハンバーガーです。>>49
(-45) 2016/07/17(Sun) 01時頃
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/* お手紙2通もきてたやっほい! クリスマスちゃんとエフさん! お父さんを探すクリスマスちゃんと、恋人をなくした…?っぽいエフさんに、一児の父であり愛する妻のいるライジがお返事って!なかなか!あれですね!(どれ
明日一日中おでかけなので、 送る分の新規の手紙とお返事二通は用意してから寝たい… あと、あれですね。 自分が二通もらってるということは、少なくとも一人はお手紙もらえてない人いるよね……悲しい………
(-46) 2016/07/17(Sun) 01時半頃
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/*
じかんがないぞー。
アシモフ[[who]]
(-47) 2016/07/17(Sun) 02時頃
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/*
諦めて今日は送るなってことか!?
ライジ[[who]]
(-48) 2016/07/17(Sun) 02時頃
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[書き上げたもの、それからもうひとつ。 カプセルに詰め込む。
文字を書いたワタシは、疲れて意識を手放す。 目覚めた時に、カプセルの行方を知ることとなる。]
(51) 2016/07/17(Sun) 02時頃
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こんにちは おげんきですか?
わたしはげんきです だいたいげんきです このまえ おりがみをおしえてもらいました おったので もらってください
あなたのところのおまつりは どんなものなのでしょうか わたしは おまつり はじめてです とっても たのしみ
(-50) 2016/07/17(Sun) 02時頃
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[空より舞い降りたカプセルは銀色。 つるりとした触り心地はいいはず。
開けば、書かれた習いたてのような文字が躍る手紙。 それから、鶴の折り紙。
黒のくれおんで書かれた文字はところどころ手で擦ったような跡が残る。 三羽の鶴は赤いのと、青いのと、緑の。 折り目はお世辞にも綺麗とは言えないが、きっちりとした折り目が付いた鶴だ。]
(-51) 2016/07/17(Sun) 02時頃
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/* 土下座。そしておやすみなさい。
(-49) 2016/07/17(Sun) 02時頃
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/* あ、これしょんぼりするやつだ…。 おてまみこない…
(-52) 2016/07/17(Sun) 02時頃
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― 自宅 ―
[僅かにしかない陸地は、王族や貴族の居住区。 『地上』は、庶民には手の届かない高嶺の花だ]
[調査隊の基地は調査船島と呼ばれる大きな船上にある。 そこには、基地の他に発電所や商店や畑まで、一通りの施設が揃っている。 湖上で起こる水面の揺れも殆ど感じない、住み易い環境だ]
[勿論そこには居住区画もあり、調査隊の寮もある。 だけれど、薄い壁に区切られた高層の建物で寝起きするのが俺の性には合わなかった。 調査船島の岸辺に程近い、数畳ばかりの小さな舟が、俺の城]
[灯りを点け、貰ってきたばかりのカプセル―宇宙カプセルというのだそうだ―に向かう]
(52) 2016/07/17(Sun) 02時頃
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[昼間、同僚が「ホント食べ物のことにしか興味ねーのな」と失礼な事を言いながらも教えてくれた]
星崩祭……かぁ。
[宇宙プランクトンの大移動と、それに伴う祭事と前夜祭。 俺としては前夜祭よりも祭の屋台の方が気になるところだけど、半ば押し付けられたカプセルは、有効活用すべきだろう]
(53) 2016/07/17(Sun) 02時頃
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こんにちは……で通じんのかな。 俺は、湖の星のナユタ。
文流しってのを今日知って、手紙を送ることにしたんだ。
俺の星は大きい湖に囲まれていて、みんな舟で暮らしてる。 他の星には湖じゃなくて、『海』って塩っ辛い水の溜まった場所があるって聞いたことがあるけど、アンタのとこにはあるのかな。
文流しでは贈り物をするらしいけど、急で何も用意出来なかったから、俺の好きな果物を送ります。 湖に生える巨木なんだけど、根っこにたくさん成る実なんだ。
成熟具合で色が変わるんだけど、宝石みたいでキレイだろ? 赤いのは熟しているから早く食べてくれ。 潰して甘露煮にしてもうまい。 緑のはまだ青い味がするから、ちょっと待って黄色になってから食うか、しょっぱい料理に使ってもいい。 黒は硬化して乾燥しているから、保存も利く。焼き菓子に入れるとうまい。
(-53) 2016/07/17(Sun) 02時頃
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アンタの星はどんなところなんだろう。 うまいものがあるのかな。 楽しいことがあるのかな。
よければ教えてくれると嬉しい。
――湖の星より ナユタ
(-54) 2016/07/17(Sun) 02時頃
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[湖底から引き揚げたカプセルに良く似た新品のカプセル。 それに手紙と、透き通りキラキラと輝く宝石のように見える何かを数個同封し、閉じる]
[そうしてから舟の簡素な窓を開け、宙に放った]
[――宛先は、着くまで誰にも分からない]
(54) 2016/07/17(Sun) 02時頃
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[ノリと尻の軽い同僚の言うように、 「可愛い子に届けばいいな」なんて]
[ちらっとしか思っていない。ちらっとしか]
(55) 2016/07/17(Sun) 02時頃
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