272 【R18RP】十一月と、蝶が奏でる前奏曲
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[いつも通りにコーヒーを淹れて 会社に行く服とは違う服を引っ張りだして しまい込んでいたネックレスを取り出す。
セミロングの髪は一つにまとめてから バレッタで後ろに留めて形にする。
化粧は汗に強いのを厚めに塗る。 許されるなら帽子をかぶりたい。 きっと顔を隠してくれるから。
昨日の内に包んでおいた袱紗を 小ぶりのバッグの中に入れて 普段は苦手で履かないヒールを履いた。]
えっと、忘れ物ないよね。 袱紗、ハンカチ、あとメイクと……。
[ガサガサ鞄の中を探っていれば ちゃぶ台の上の携帯が震えた。]
(19) 2019/11/01(Fri) 21時半頃
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[画面を開いて差出人名を見れば ぎゅうと胸が掴まれて眉を寄せる。
内容は道中気を付けてとか そんな他愛もないものだけ。
ずっと連絡していないのに こういう日だけメールをするなんて狡いよ。]
――っ、なんで なんで、
[画面は何も答えてくれなかったし 私はもう子供じゃなかったから 愚かにもそんなメールを 彼に打ったりはしなかったけど。]
(20) 2019/11/01(Fri) 21時半頃
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[過去に帰りたいと思った。
何度も何度も願った。
もしもあの日をやり直せたら。
――私はどんな犠牲を払ってもいい。*]
(21) 2019/11/01(Fri) 21時半頃
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[ 故郷から出てきて、数年が経った。 数年経って、私たちの関係は変わっていった。
幼馴染から、あの子は冒険者へ。 私はその鑑定や、便利な魔道具を作る仕事へ。 街に根を下ろす者と旅立つ者。 それでもあの子が、イェキンスが 旅からここに帰ってきてくれることが とても嬉しくて、どこか誇らしくて
私の、心の拠り所になっていた。 ]
(22) 2019/11/01(Fri) 21時半頃
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[ だけど、街に残る者と旅立つ者。 その距離が開いていったのはいつからだった?
お互い年頃になって、 だけど幼馴染の気やすさから街だといつも一緒。 旅仲間とWそういうWお付き合いをしてる。 そんな大事な事、本人から直接聞きたかった。 少なくとも、あの男から聞きたくなかったな。 ああでも、逆に良かったのかも知れない。 ]
(23) 2019/11/01(Fri) 21時半頃
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[ …みっともなく伏せた耳も
力なく垂れた尻尾も
見られなくて済んだんだから。 ]
(24) 2019/11/01(Fri) 21時半頃
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[ あれからどれくらい経ったかな。 男女のお付き合いの噂はどうやら本当みたいで だから私は、応援する振りをしてたの。
私にイェキンスとあの子との仲を教えたあいつが 強引に近付いて来ようとするのを 適度にあしらいながら。
そして、今日もまた。 ]
(25) 2019/11/01(Fri) 21時半頃
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/* 現在の仕事全然考えてなかったわ…5 ・マスコミ系 ・事務員系 ・病院 ・アパレル ・教師 ・他接客業
なんか思いつかないな…
(-2) 2019/11/01(Fri) 21時半頃
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……ッ、離して? やめ……っ!!
[ ……あしらおうとして、失敗したのは。 無理やり抱きしめられながら怯んだのは。
ああ、もう。 私の自慢の耳なのに、伏せないで欲しい。 簡単に私の心を代弁しないで。
無理やり重ねられた唇に噛み付いて 私は相手の男を突き飛ばした。 敵意に満ちた視線を向けて毛を逆立てて 相手が立ち去るまで、威嚇を続ける。 ]
(26) 2019/11/01(Fri) 21時半頃
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[ ………ねえ、イェキンス。 この街に戻らなくなるなんて、嘘だよね。
あの人と夫婦になって 世界中を旅して回るなんて。 そんな、私には無理な事。 ]**
(27) 2019/11/01(Fri) 21時半頃
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七星拳 ナツミは、メモを貼った。
2019/11/01(Fri) 22時頃
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/* 付き合ったことは1 1.ある 2.ない
あるの場合 1.大学 2.社会人 3.両方
人数は5人ぐらい??
(-3) 2019/11/01(Fri) 22時頃
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/* ……5人も付き合える?大丈夫? 食事いったりしたぐらいかな?? 3 元カレの人数は3
(-4) 2019/11/01(Fri) 22時頃
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/* 常に最大値だしてきおる…
大学で1 社会人で残りって感じにしよう 付き合う暇あるのかな…
(-5) 2019/11/01(Fri) 22時頃
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─ 回想・去年のある冬の日に ─
ゆっっきだーーー!!!
[広がる銀世界を前に吐き出した大声と同じテンションで尻尾が動く。 だってこれは仕方がない。雪が降ると駆け回りたくなるのだ。習性だ。いや嘘。そうでない人ももちろんたくさん居るんだけど。
でも知っている。 そこにいる幼馴染みだって、クールな顔しつつなんだかんだ走るのが、駆けるのが好きなのだ。だからいつも俺は誘う。]
(28) 2019/11/01(Fri) 23時頃
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ハラフも! ほら〜〜〜走るぞお〜!!
[キャンキャン吠えながら走ったら、また仔犬みたいだと言われるんだろうけど。ハラフがいうそれには侮蔑の響きなんてない。]
来年もさ、 また一緒に走ろうな!
[子供みたいな約束だと言われるだろうか。 でもだって楽しくて。]
(29) 2019/11/01(Fri) 23時頃
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[走るのがすきだ。 雪がすきだ。 幼馴染みもだいすきだ。
あがったテンションのまんま、 白銀にダイブすると顔回りの毛並みが雪まみれになる。
ぶるぶるぶるっと顔を振って振り落とし、 大きく笑って遠吠えをした。]*
(30) 2019/11/01(Fri) 23時頃
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── …… ──
(31) 2019/11/01(Fri) 23時頃
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[ 次のニュースです。 本日夕方頃に二輪飛行艇と四輪飛行艇の衝突事故が起こりました。 歩行者目掛け落ちていく空四(くうよん)に空二(くうに)が故意に衝突したと言うことです。 歩行者は無傷、空四の運転手は軽傷、空二の運転手は重傷で意識不明。今のところ命に別状はないようで、回復を待ち事情を聞く方針です。 空四の運転手は軽傷ですが中毒症状を起こしており、毒素の抜けきれていない違法チョコレートを食べていたとみられています。痙攣は収まり意識は回復しているようで、そちらは既に事情聴取が行われており、───…… … ]
*
(32) 2019/11/01(Fri) 23時頃
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─ 11月のとある日・病室 ─
うわ、雪だ。
[はらはらと舞い散る雪を眺めるために窓を開ける。 ベッドに横たわっていても窓に手が届くのはいいな。こういう時便利だ。
開くと冷たい空気が入り込んできて息が白くなった。]
は〜〜〜… 間に合わなかったなー…。
[ベッド脇には両足分の義足と杖と車椅子。 座ったまま尻尾はゆらゆら揺れていた。]
(33) 2019/11/01(Fri) 23時頃
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なーハラフ。 かわりに走ってきてくれよ。
[なんて冗談混じりに笑える程度には落ち込んでもいない。 でもせめて、雪が降る前に自力でたてるようにはなりたかったな、とは思う。]
今年の雪、早かったなぁ。
[来月だったら、立つくらいなら。間に合ったかもしれないのにな、と付け加えてまた笑った。]*
(34) 2019/11/01(Fri) 23時頃
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[幕が上がる。 カメラのシャッターが切られる。 観客の視線が集まる。
そこから「世界」が始まる。 俺は別の誰かの「人生」を生きる。
国を、時代を、時に次元すら飛び越えて。 別の誰かの人生を生きる事に、 無上の歓びを見出す生き物がいる]
(35) 2019/11/01(Fri) 23時頃
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[ 人はそれを「役者」と呼んだ。 ]
(36) 2019/11/01(Fri) 23時頃
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―― 文化祭 ――
おいおい、勘弁してくれよ……。 このままじゃせっかくの舞台が中止になるぞ。
[今日は俺達の高校の文化祭。>>13 なのに、主役のロミオは風邪で欠席だ。 みんな口々にどよめいては落胆する。
俺もジャージ姿で舞台裏に駆け付ける。 さっきまで舞台を組む裏方作業をしてたんだ。 埃と汗まみれで、お世辞にも綺麗とは言えない。 これじゃあ普段のみかん畑の手伝いと変わらない。 首元に巻いたタオルで汗を拭いつつ]
(37) 2019/11/01(Fri) 23時頃
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[ちら、と目が合った幼馴染のまどかに肩を竦め。 泣き出しそうなジュリエット役の女の子。>>14 困ったな、俺、そんなに仲良くない子だし――、 あ、そういや仲良くしてたヤツいたじゃん。 (ってきょろきょろ同級生を探して) って、いねええぇ!! こんな時に何やってんだよあのヘタレ!!
なんて、俺が思ってる間にまどかの一声。>>16 みんなの視線が俺に集まるのを感じた]
(38) 2019/11/01(Fri) 23時頃
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[みんなどこか納得しているような。 ほっとしたような顔で口々に声をかけてくる]
「そう言えば高本、台本の内容全部覚えてたな」
「国語の朗読とかも上手いし、いけるいける!」
「こんな時の代役だよなー。 頼んだぞ!!監督!!よっ日本一!!」
[みんなここぞとばかり無責任にぐいぐいと。 面倒くさい役を俺に押し付けてくる! んで、最終的に拍手喝采応援モードだ]
(39) 2019/11/01(Fri) 23時頃
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おいおいおいおい……、 無責任だな、お前ら。
[俺ははぁとため息を吐きつつ。 それでも、人の声援にはめっぽう弱い自覚はある]
そこまで言うならやってやろうじゃねえか!
[ぐっとジャージを腕まくりしてガッツポーズ。 みんなもいえーいと場が盛り上がる。 先程の葬式みたいな空気もぱっと明るくなった。
(だから、俺は内心でホッとしたんだ)]
(40) 2019/11/01(Fri) 23時頃
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[そうして俺は舞台が始まるまでの間。 裏方仕事で埃と汗まみれの身なりを整えて、 主役用の綺麗な衣装を着て。 そうして、舞台袖に立った自分は―― まあまあ見栄えのする貴族の青年っぽくも見える。
(中身がみかん農家の息子とか、 そういう野暮ったい情報はまあ置いておいて)
「まあ気楽にやれよ!」「そーそー!」
とか、相変わらず無責任に応援する同級生を脇におき。 やんやと背中を押されて俺は人生で初めての舞台に立つ]
(41) 2019/11/01(Fri) 23時頃
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