252 Aの落日
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8月18日 3年E組 神谷啓一
8月10日 2年A組 入間ひかり
8月 4日 1年B組 三田絵里
8月 1日 3年A組 安住英子 7月27日 ………
(40) 2018/10/12(Fri) 02時頃
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[ ──私こと、黒江仄日は手帳の厚みに微笑む。]
(41) 2018/10/12(Fri) 02時頃
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他人の人生なんて所詮エンターテイメントだ。 テレビショウやゴシップ記事と何も変わらない。
(42) 2018/10/12(Fri) 02時頃
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──現在・文芸部部室──
[ 並べた机にクロスをかけ、 その上に先の先輩方が発行した部誌を並べる。
廃部目前の文芸部。主は私。 明日の集客見込み、数人来れば充分。
文芸部の展示は例年代わり映えもなく、 室内に並べた机にクロスを広げ、 部誌(過去の残部含む)を並べるだけ。
熱心に活動していた先輩方の遺産は、 色紙に刷られた粗の目立つイラストに彩られ、 如何にも安っぽい高校生の制作物でしかない。
そして、並べた机の端、 それら以上に簡素なつくりの頒布物。 ほんの10冊程度積んだその冊子の角を揃える。]
(43) 2018/10/12(Fri) 02時頃
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[ 白い表紙の真ん中、縦書き。 黒字で記された『高校生白書』の文字。 絡陽高校文芸部、恐らく最後の発行物は、 代々継がれた部誌の名を冠することはない。]
(44) 2018/10/12(Fri) 02時頃
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[ さて、ここはこのくらいでいいだろう。 部活の準備はすぐ済むからと断って、 クラスの作業を抜け出してきている身である。
部室の扉を閉め、鍵をかける。 丁寧に磨かれた爪が、つやつやと光り、 それは私の小さな誇りであった。
リップクリームくらいしか塗らない女の、 細長い手指、形の良い、桜色の爪。
その指先を、他人の手首に這わせ、 手を差し伸べるような素振りで、 そうっと包み込んでやる大小さまざまな掌。]
(45) 2018/10/12(Fri) 02時頃
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[ 3年A組、文芸部所属。黒江仄日。 成績良好。ごく真面目な女子生徒。 趣味、他人の悩み相談に乗ること。]
(46) 2018/10/12(Fri) 02時頃
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[ そろそろ教室に戻るか、 もう少し時間を潰して帰るか、 思案しながら、廊下を歩く。
クラスの催しに、さほど熱意も興味もない。 それを悟られないようにするだけだ。
与えられた最低限の作業なら、 事前に済ませておいたはずだ。
愛用の手帳を片手に、 人の行き来の盛んな廊下を真っ直ぐ歩く。**]
(47) 2018/10/12(Fri) 02時頃
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/* 155+12
(-5) 2018/10/12(Fri) 02時頃
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[吹奏楽が、ホルンが。 わたしにとっての青春でした]
(48) 2018/10/12(Fri) 07時頃
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―― 廊下 ――
[そっと音楽室の自主練を抜け出して、 わたしはホルンを抱えて廊下に座り込んでいました。
明日の文化祭を終えれば、 吹奏楽部の3年生は引退となります。 それは、わたしと吹奏楽の別れを意味していました。
震える手で、ホルンを撫でます]
大丈夫、大丈夫。 わたしはできるできるできる……。
[念仏のように唱え続けます。 その声音はきっと、 泣きそうな響きを湛えていたことでしょう]
(49) 2018/10/12(Fri) 07時頃
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[ホルンって、中途半端な楽器だと思うんです。
トランペットのように、 演奏の華となる高音を出すこともできない。 チューバのように、 そっと影から演奏を支える低音を出すこともできない。
たまに高音の主旋律をなぞって、 そして裏方へと戻ってゆく。 何もかもがきっと、中途半端な存在なんです。きっと]
(50) 2018/10/12(Fri) 07時頃
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[わたしは、そんなホルンへと 自分自身を重ね合わせていたのです。 だから「引退」という2文字に、 胸を引き裂かれるような思いでいました。
ホルンが、わたしにとっての半身でした。 だから――……]
(51) 2018/10/12(Fri) 07時頃
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[なぜ安住英子が中学校でホルンを捨てたのか。 わたしには、想像もつきませんでした]**
(52) 2018/10/12(Fri) 07時頃
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/* 2
バスケ部 サッカー部 陸上部
(-6) 2018/10/12(Fri) 08時半頃
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―― グラウンド隅 ――
[ある程度組み立ててから、部活動が終わる時刻にはグラウンドの中心にキャンプファイヤーで燃やすものを移動する。そういう指示を貰った。]
……胎児、……や、胎動……?
[材木を軽く積み上げながら、頭の中で思い出しかけていた詩を反芻した。 夢野久作?……違う。 感触が少し似ているけれど違う。
どこで見たかも忘れてしまったそれの感触、口あたりを>>17いとも簡単に忘れて、目の前の事象に不満を垂れるばかりだ。]
(53) 2018/10/12(Fri) 08時半頃
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四十崎にでもやらせろや、こんなもん 教室に女もいただろうが
[少し気にするように向けられていた眼差しは知らず、模範的な・典型的な、「えーこちゃん」の類であるそいつの苗字を出すが、「先生に呼び出されていた」と相手は笑う。>>32 友村含む女子のことも思い出すが、「男がする仕事だ」とそれも却下。
俺の昼寝も守られて当然だろうが、舌打ちは無視らしい。 ……サボればよかった。来てから後悔する俺の頭はそこまで良くない。
遠く囀る吹奏楽の音も、捲られる手帳の音も遠い。]
(54) 2018/10/12(Fri) 08時半頃
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チッ
[舌打ちしながら軽く立ち上がると、ランニングに勤しむ運動部の奴と目があう。……運の悪いことにサッカー部だった。 元後輩のそいつと目があう。 気まずそうにそらされる。]
(55) 2018/10/12(Fri) 08時半頃
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『センパイ、足の怪我でもう試合出られねえってよ』 『まじ?……それってさあ』
(56) 2018/10/12(Fri) 08時半頃
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[部室で盗み聞いた話が思い出される。 二年の梅雨時。これからという時に唐突に絶たれた部活動生命。 それを哀れむ声。せせら笑う声を思い出して]
……やってらンね
[積み上げた材木を簡単に蹴り飛ばした。 ガラガラと崩れるそれに、「あー!」と喚く声は知らない。
――息をするように漏れる嘲笑を ――積み上げたものが簡単に壊れる快感と苛立ちを
ただただ唇に乗せよう。]
運ぶまではやっただろうが。勝手にやってろ
[吐き捨ててふらりと校舎へ戻っていく。 砂埃の気配がするグラウンドなど(懐かしくて)(死にたくて)居たくは無かった**]
(57) 2018/10/12(Fri) 08時半頃
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/* 少なくともこいつタンデムは免許とって一年は無理っていうのは守ってないと思う。
(-7) 2018/10/12(Fri) 08時半頃
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/* 4月11日 4型
(-8) 2018/10/12(Fri) 09時頃
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/* いや 守ってんのかな… わからね 二年夏までに免許とってればいける気がするけど、どっちにしろ高校はそれを許さない気がする。
(-9) 2018/10/12(Fri) 09時頃
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/* 春の合宿とか一発免許でとって、梅雨に怪我をして、マアその後はきゅうしゃかいとか入った。ってかんじで すかね 愛車は父だか叔父のおさがりだとおもう。保険系入れてないだろうから事故ったらエラいことになるね。わろす
(-10) 2018/10/12(Fri) 09時頃
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[ おもしろいことが、おきればいいのに ]
(58) 2018/10/12(Fri) 10時頃
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― 新聞部室 ―
[ 紙やファイルが乱雑につまれた部屋の奥、 古いパソコンのキーボードから手を離して 万年青は肩をぐるりと回す。
画面には明日の文化祭で配るための号外、 今日行われる前夜祭の記事が表示されている。 もっとも、出来上がっているのは形だけで、 内容はこれから取材に出ている部員が戻ってからになるのだが。 仮として昨年の記事から文章をはめ込んである。 毎年大きく変わったりなどしないのだから、 ほとんど修正するところもないだろう ]
つまんない記事。
[ 文責者として自分の名前が載せられて発行されるものを冷めた目でみて、缶コーヒーを口にする ]
(59) 2018/10/12(Fri) 10時頃
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[ 3年生は文化祭で引退。 文化祭の様子をまとめた記事を書いたら、それが最後。 缶をくわえて、去年の文化祭特集の記事を開く。 おそらく今年も写真と、開催内容を少しだけ変えた テンプレ記事を作ることになるのだろう。 無味乾燥な、誰の心にも残らない記事を ]
こんなものを出してる場合じゃないくらい、 耳目を集めるような何か起きないかな。
(60) 2018/10/12(Fri) 10時頃
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[ コーヒーを飲みながら、小さな窓からグラウンドを眺める。 積み上げられた材木が崩れていくのが見えた。>>57
くく、とのどを鳴らして慌てる人たちを笑う。 騒ぎになっているのだろうが、ここまで喧騒は届かない ]
準備を邪魔する人がいます……。 なんて程度じゃ、記事にはならないな。
[ 飲み干した缶を軽くつぶして、再びパソコンに向かった** ]
(61) 2018/10/12(Fri) 10時頃
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