【人】 トレーサー キルロイ

[大きな買い物は、後日アパートに届く事後約束。
赤と白が目立つ『売約済み』の札は
届けられるまで、店に、目立つ形で鎮座している。

本格的な夏休みシーズンが訪れれば、自分は休めない。
ブラックでもホワイトでもカラー以前の話
夏休みは、交代制で取る、ただそれだけのこと。]


　……　ん、


[虫の報せのように、振り返る。
前後行き来する人通りのなか、ひとつの背中>>5:+31が
見覚えがある気がして、軽く手の甲で目を擦る。

夏の昼の、残像のようだった。**]

(0) mo_om 2017/07/16(Sun) 00時頃

【人】 執事見習い ロビン

―　日常　―

[失ったものの有難さに気づくのは、失ってから。
なんて、哲学書の一節になりそうな言葉が浮かぶ就職面接の帰り道。]

　はー……。

[あの島での賑やかさとは違う。
ただざわつく雑音に溢れた都心の一角で。
僕はガードレールに寄りかかれば、ネクタイを緩めて息をついた。]

　仕事がないって、暇なんだな。

[しばらく生活できる程度に金銭的蓄えはあるが。
今まで仕事をしていた時間が丸っと空くと、正直することがない。]

(1) SUZU 2017/07/16(Sun) 02時頃

【人】 執事見習い ロビン

[ちょっと前までその時間はココア作りの思考錯誤に宛てられていて。
いざ作ってみると、これがなかなか奥が深かったりする。

最初はダマになってしまったり、牛乳の分量を間違えたりという失敗を経て、ようやく飲めるものが作れるようになり。
まだオーナーの味を再現するにはほど遠いが、現在はココア作り熱も一段落と言ったところ。

その流れから、化学の実験みたいで料理が面白くなってきて。
うっかりレシピアプリなんてものまでダウンロードしてしまったのは、さておき。]

(2) SUZU 2017/07/16(Sun) 02時頃

【人】 執事見習い ロビン

[持て余し気味の時間に、落ち着かない反面。
このまま一般企業に再び就職して。
以前と同じような日常に戻ることに、ほんの少しだけ躊躇している僕がいる。

都心でも、本格的になりつつある夏の暑さに空を仰ぎ。
これは水分補給が必要だと、目に入った自販機に向かうべく財布の小銭を確認しようとしたところで。
入れっぱなしだった名刺が目に入った。>>3:12]

　探し物とか……相談とか。

[『小津探偵事務所』と書かれた文字。
並んだ連絡先をしばらく見つめ。

スマホを取り出せば名刺に載っていた番号を打ち込み、通話ボタンをタップする。]

(3) SUZU 2017/07/16(Sun) 02時頃

【人】 執事見習い ロビン

[数秒のコールの後。
繋がった先の高校生のように若々しく元気な声に、もしや間違えたかと。通話を切りかけてしまった。]

　あ、あの。突然のお電話すみません。
　えーと、依頼とは違うんですけど……
　オズワルドさんにお会いしたいのですが。

[何と言っていいものか悩んだ挙句、先日お世話になった者です、と伝え。
アポイントを頼み、通話終了。]**

(4) SUZU 2017/07/16(Sun) 02時頃

【人】 探偵 オズワルド

[今回受けた調査代行は、依頼内容が二転三転して時間がかかった。我が事務所には頭数はいるが戦力は少ない。
車を置いてきたことを後悔して、タクシーを止めようとしたが全く通っていない。日は沈んでいたがまだまだ暑さの残る中を歩くしかなかった]

　少し……待ってくれ……ワトソン、休もう。あぁ、もうっ、わかった。歩くから。

[気温と湿度の高さで最近減ってきた体力が奪われ息が上がる。普段は隣に並んで歩くワトソンも、鼓舞するように駆け足で前を行く。
時折、立ち止まってこちらを待つが、近くまで行くとまた先に進む。そのおかげで思ったよりも早く事務所の前まで戻ってきた]

(5) viola 2017/07/16(Sun) 20時半頃

【人】 探偵 オズワルド

[事務所の電気が点いていて、またあの二人が来ているのか。玄関を開けると流れてくる冷たい空気にほぅっと息を吐く。
外から帰ってきて、家の中が冷えてるというのは素晴らしいことだ。
ワトソンの足を拭いてやろうとしゃがんだところで双子が現れた]

　ワトソンの皿に水を入れてやってくれないか。

[もう入れましたよと言われ、メモを渡される。ワトソンの足も拭いてくれるようだから任せて汗を流そうと、シャワーに向かいながらメモに目を通した]

　……お、おぉっ！

[風呂場の前で立ち止まり、二人と一匹のいるリビングへと走る]

　見たまえ、妖精からの探し物の依頼だ。きっとそうに違いない。なんとしても成功させなければ。
　電話番に感謝する。早速、電話を返さなければ。いつでもあいているとね！

[興奮気味にほらほらとメモを掲げる。
ピザ頼んでいいですか？ 車で取りに行ってもらえば２枚目無料だから取りに行って下さいね、と言われても笑顔でオーケーオーケーと答えて電話をかける**]

(6) viola 2017/07/16(Sun) 20時半頃

【人】 道案内 ノックス

─ 同じようで違い、変わらない日常 ─

[電車に揺られる間、『ブナティラ』で過ごす夢を見た。
夢だとはっきりわかるのは、海が澄んだ翠玉色だったから。
鮮やかすぎて毒々しい色彩の中、
太陽を背負い姿かたちしかわからないその人が
僕に何かを語らい、手を引く。

もう帰らないといけないのか。
まだここでこうして一緒に遊んでいたい。
帰りたくない。別れたくない、寂しい──。

遠ざかる人に向かって伸びる腕は小さなこどもの大きさ。]

……はっ……？　あー……。

[胸ポケットに入れていた携帯が、
最寄り駅が近いことを報せるように震えて、目が覚めた。]

(7) CHiKA 2017/07/16(Sun) 22時半頃

【人】 道案内 ノックス

[覚醒と共に薄れる夢の断片は
恐らく現在読みかけの本と、昔の記憶の混在。

そういえば、ブナティラで出会った人たちは
それぞれ帰路についたのだろうか。
共にチェックアウトしたふたり以外については知らぬまま。

ふと過る、昼過ぎの光景。
掛け直した眼鏡の淵に、見覚えのある顔があったような。>>2

──まさかね。

いまだ、旅の余韻から抜け出せない頭が見せた蜃気楼だろう。
夢は寝ている時だけでじゅうぶんと、再びあくびをして
開く扉から吹き込むぬるい風を浴び、アパートへと帰る。]*

(8) CHiKA 2017/07/16(Sun) 22時半頃

【人】 執事見習い ロビン

[アポイントの折り返し電話をもらった翌日。>>6
僕は名刺に書かれていた事務所の前で、頭を抱えたい気分に陥っていた。]

　…………。
　どうしよう。

[どうしよう、あれは絶対誤解されている。

確かに名刺を渡された時探し物専門って言ってたし。
その流れでは探し物相談だと思われても仕方ないだろうが、それでも一言「違います」と言えばいい話だが。
電話越しですらわかるほど依頼に期待を膨らませた声に、そんなこと言えると思うか？

多大すぎる期待に気圧されて訂正するタイミングを逃したまま、いつかのようにトントン拍子に待ち合わせへと話は進み。
現在に至るのである。]

(9) SUZU 2017/07/16(Sun) 23時半頃

【人】 執事見習い ロビン

　はー……。

[来る途中目に入ったコーヒースタンド。>>3:+27
向かいのビルからの視線には気づかないまま。>>8
その横にあった洋菓子屋で調達したシュークリームの箱に視線を落として息を吐き。
もう一度吸い込めば、意を決してチャイムを鳴らした。]

　こんにちは、お約束していたロビンです。
　オズワルドさんはいらっしゃいますか。

[聞こえてくる足音と犬の鳴き声。
扉の向こうから現れたのは、『ブナティラ』で見たのと同じ。
パイプと鹿撃ち帽の似合そうな貫禄漂う姿に、妙な感動を覚えたのは一瞬。

僕は慌てて90度に腰を折り、頭を下げた。]

(10) SUZU 2017/07/16(Sun) 23時半頃

【人】 執事見習い ロビン

　あのっ大変申し訳ないんですが本日は探し物の依頼ではなくて相談なんですけど、僕は今就職活動をしてましてここは人生の先輩としてアドバイスをいただきたく伺いました！

　それとこれ、つまらないものですがどうぞ！

[玄関先で一息にそこまで言い切って、持っていた箱を差し出す。
力みすぎて少しばかり箱がへこんだ音がしたが、中身は無事のはずだ。

たぶん。]*

(11) SUZU 2017/07/16(Sun) 23時半頃

【人】 紅客連盟 イスルギ

— 朝 —

　お世話になりました

[Hのタグのついた鍵束を返却し、チェックアウトの手続きをとった。
見慣れた玄関扉を開いて外に出ると、気持ちの良い青空が広がっている。]

　良い天気だ

[空を仰ぎ、大きく息を吐く。
ため息ではなく、それは感慨である。
空調の効いていない世界に踏み出すことになっても、もう嘆いたりはしない。]

　さようなら

　……また、

[建物に、人に、その別れの言葉をかけて、一歩外に踏み出した。]

(12) oranje 2017/07/17(Mon) 01時頃

【人】 紅客連盟 イスルギ

[——とはいえ、離島からすぐ出られるわけでもなく、
陸路を行くバスを待つ。
ふわふわのバスが迎えに来てくれる……ということもなく、現れたのはいたって普通の車両であった。
昨日の夜は空も飛べる気がしたのに、現実はそんなものだ。]

　お願いします

[運転手に声をかけて乗り込む。
ここまで振り返らずに来たけれど、乗り込んだバスの車窓からその風景が見えてしまって]

　……短かったな

[そんな感慨をひとつ、呟いた**]

(13) oranje 2017/07/17(Mon) 01時頃

【人】 庭師 ノア

―――　晩餐　―――

[　豪華ではないが、あたたかな食事を囲んで。
人工的満点の星空の下の僕らは
何にともなく「おめでとう」と言い合える。
　よく冷えたビールで控えめな乾杯をした後、
ザクザクと良い音を立てるコロッケで一杯やる。

　ポテトコロッケには枝豆と味噌を入れても美味いとか
芋の煮転がしでコロッケを作ってみたいんだとか
ささやかな食事の場面らしい会話で笑い合える。
　今夜のうちは――]


　今度があるなら、手紙を書いていきますねえ。
　“今度”のあなたたちに宛てた手紙を。
　……少し時間がかかるかもしれませんけど。


[　――ケーキを食べながら見上げた夜空に、約束を。*]

(14) onecat69 2017/07/17(Mon) 01時頃

【人】 庭師 ノア

―――　朝　―――

[　結局、僕は此処から何も持ち帰らないことにした。
そして何も置いていかないことにした。

　まとめた荷物は来たときと同じ嵩で、
帰りの装いも来た時とまるで同じものを用意した。

　手紙を残して行くとは言ったが
紙に文字で記す手紙は残さない。
　ボトルメールは、街の人波の隨に流れていけば
縁があればいずれ届く……と信じて]

(15) onecat69 2017/07/17(Mon) 01時半頃

【人】 庭師 ノア

　せっかくだから言っておこうかなあ。
　――いってきます、って。


[　この家に、海に、別れを告げて僕は“帰る”。

来訪時に倣って感傷的な言葉で去ってみたとて、
この家にとっての僕は
正体不明の旅人のひとりだ。**]

(16) onecat69 2017/07/17(Mon) 01時半頃

【人】 トレーサー キルロイ

―――　日常の夜に、　―――

[夜空に、月が差し掛かっている。

生温い風は、扇風機以下の心地で
薄らかかる雲が、蜃気楼めいていた。
夢のような、現実のような、ベランダから見える
景色はぽつぽつと明かりを孕んでいて、不透明だ。]


　………


[息を吸い込んでも、また、生温いだけ。
振り返った部屋は六畳、その奥にひどく短い廊下とキッチン。独り暮らしに打ってつけのテーブルに、雑誌の半端な開き窓。

普段買わない、文藝集だが
表紙に書かれた一文に、すこし、惹かれた所為。]

(17) mo_om 2017/07/17(Mon) 01時半頃

【人】 トレーサー キルロイ

　

[開いた頁に、特に符合など無いかも知れない。

―――　ただすこし
新しい頁>>0:#1を捲ってみたかった、だけ。**]

　

(18) mo_om 2017/07/17(Mon) 01時半頃

【人】 庭師 ノア

―――　日常　―――

[　脚本家を志す若い学生たちの作品に優劣をつけ、
消費されるばかりの娯楽番組の筋書きをつくる。
学生たち相手に「きみたちは卵ですから」と声をかけ
同業者たちと「食えるだけの仕事で十分」と笑い合う。

　これまで通りの冴えない日常の会話の中に、
八月の僕ははじめて新たな言葉を添えた]

(19) onecat69 2017/07/17(Mon) 01時半頃

【人】 庭師 ノア

　きみたちも、僕も、卵ですから。
　いつだって新たな誕生日を得られる機会を持てる。

　食えるだけの仕事で十分、だけど。
　やっぱり書いてみたいよねえ“僕らの物語”を。


[　そして夜は、僕という卵のための余白に物語を記す。
エーゲ海を舞台にした売れていない小説を下敷きに、
低予算ネットドラマの脚本コンペ用として書く物語。

　僕はここから、もう一度だけ始めてみよう。
　僕のもうひとつの誕生日は、きっともうすぐ間近だ、と

　信じて。**]

(20) onecat69 2017/07/17(Mon) 01時半頃

【人】 半の目 丁助

[ふわふわ猫のバスに乗って帰っていく二人を見送ることもなく。
人をダメにするソファに身を沈め、天井の染みを見つめていた。

昨日、二人には折り紙で作った手裏剣を渡した。
かろりーちゃんへの誕生日プレゼント。
ご隠居には世直し旅の護身用として。]

　流し素麺セットがあったような気がする。

[「TAKE FREE」のスペースにあったものを思い出し。
しかしソファから立ち上がれずに、ゆっくりと顔を動かしただけだった。]

　あー、素麺食いたい。
　茗荷と大葉たっぷり入れて食いたい。

[美味しい素麺の食べ方を脳内で検索しながら、目を閉じた。
だらけた休日はまだ続いている。**]

(21) okomekome 2017/07/17(Mon) 03時頃

【人】 渡し船 ユージン

─ 終わりと、始まりの夜に ─

[天井には偽物の星が浮かび、テーブルには食べられる月が並ぶ。ごっご遊びのような誕生日会を肴に、俺はカウンターの奥で他の宿泊客やただ酒を飲みに来た客をもてなす、いつもと変わらず、けれど少しだけ特別な夜。

明日以降、本来の機能を取り戻した家庭用プラネタリウムはソフトとセットで『TAKE FREE』という名の玩具箱に鎮座し、今日みたいな空の日に活用されることだろう。

『若いねえ』と羨ましそうにぼやく中年客に新たなビールを注ぎ、軽い同意を返した。

彼らは皆、一様に旅人だ。
どこへでも行けるし帰ることもできる。

この地に根を張り枝葉を伸ばすと決めると同時に捨てた可能性。手が届かないやつってのはどうしてこうもまぶしいんでしょうねと、不確かな未来に向けて目を細めた。]

(22) chikatarow 2017/07/17(Mon) 14時頃

【人】 渡し船 ユージン

─ 翌朝 ─

[いつもと同じようで違い、けれど変わらずやってくる朝。
ニュースサイトを開くと、この地方の梅雨明け宣言が出ていた。

今日でチェックアウトとなる客に出すのは、昨日に続いてのハニートースト。昨日と違うのは買い出しついでにパルックの家から強奪もとい借りてきたトースターで焼いたことと、ケーキ作りの際に残ったヨーグルトとブルーベリーのスムージーがおまけについたことか。]

おつかれさん。
またのお越しをお待ちしてるぜ。

[鍵を受け取り、精算を済ませ、送る言葉はだいたい同じ。]

(23) chikatarow 2017/07/17(Mon) 14時半頃

【人】 探偵 オズワルド

[朝から何度も髭と髪を整え、服にシワがないか鏡を二枚使って背中を見たり、珈琲と紅茶と緑茶の缶を振ったりして事務所の中をうろうろと歩き回る。
おじさんうるさいですという声にキッと眉を上げて抗議する]

　おじさんじゃなくてオズワルド先生。頼むから今日だけでも！
　……ん、いや、どうして朝から君達がいるんだ。

[お茶を出すのは探偵の仕事ではないじゃないですか、ねぇオズワルド先生と、声を合わせて言われると確かにそのとおりだと指を鳴らして頷く。
好奇心で見に来ているだけなのだが、なんて気の利く大人に成長してと感動を覚える。この後、お茶を出すと満足して遊びに出掛けてしまうとは予想もしていない。
ワトソンも尻尾を振って楽しそうに客人……否、依頼人を待つ]

(24) viola 2017/07/17(Mon) 16時頃

【人】 探偵 オズワルド

[チャイムが鳴って待ち人がやってきた>>10応対してもらい、三人と一匹で玄関に向かう。
呼吸を整えて扉を開けると、旅先で見たままの彼がいた。少しだけ日に焼けているかもしれない]

　いらっしゃい、ロビンくん。

[下げられた頭に、依頼？ の内容、差し出される手土産と、驚きの連続にどうしたものかと思わず顎に手を当てるが、すぐにポンっと手を叩いて声をかける]

　わかった。さぁ、顔を上げてとりあえず上がってくれたまえ。
　せっかくロビンくんが持ってきてくれたのだからこれもすぐに頂こうか。紅茶が合うかな？

[受け取った箱がへこんでいることに、冗談ではなく本気で相談にきていると感じてこちらも腹をくくる]

(25) viola 2017/07/17(Mon) 16時頃

【人】 探偵 オズワルド

[応接スペースのソファに座ってもらい、向かい側に座ると、シュークリームと紅茶を出してもらって口を開く]

　さて、今日は君の就職先を探す依頼だったかな。まず候補の一つ目に探偵助手があってだね……。

[つらつらと就業条件(週休2日、8時間勤務で残業ほぼなし、交通費支給、住み込み可能要相談、業績により賞与支給有り、職場に可愛い犬がいます等々)を説明してから紅茶を一口飲んで間を開ける]

　……まぁ、そんな道もあるということで。

[冗談のように言ってみせるが、かなり本気の説明をした。
結局のところ、願うのは目の前の相手の望みが叶うことだから]

(26) viola 2017/07/17(Mon) 16時頃

【人】 探偵 オズワルド

　それで、どんな仕事がしたい？ 譲れない条件はあるかな？ 職業柄、知り合いは多いからね、見つかるまでサポートしよう。
　なんたって探し物は専門分野だから。

[いつもの仕事中の調子で、にっこりと笑いかける*]

(27) viola 2017/07/17(Mon) 16時頃

【人】 渡し船 ユージン

[チェックアウトの手続きを終えて向かうのは二階。
既にベッドのほとんどは空で、他の滞在客も起き出しどこぞへ出かける時間。

愛も変わらず、『I』を陣取る客の元へ。>>21]

おらよ、落とし物だ。

[何かしらぼやく声に起床を確認し、カーテンの裾から預かったばかりの紙切れをベッドに押し込む。後のことは知らない。
大葉はともかく茗荷はあったかねえと首をひねり、再び階下へ向かおうとして、ふと足を止めた。]

(28) chikatarow 2017/07/17(Mon) 16時頃

【人】 渡し船 ユージン

……お、ついにか。

[ランドリースペースに隠れるように見えるふたつの影。
数か月前から始まった賭けについて関与はしていなくとも、従業員のうち二人の間に漂う何とも言えず甘酸っぱい雰囲気には気づいていたし、気づかないふりをするのが大変だった。
これが男女ならばとっとと告れば、と、軽率に背中を押すが同性ならばそう簡単にもいかないし。

一体何が彼に一歩を踏み出させたのか>>5:57
結果がどうなるのかはわからないが、二人揃って辞めるなんてことにならなきゃいいなあとこれから本格的な繁忙期を迎える雇用主は思うのだった。]**

(29) chikatarow 2017/07/17(Mon) 16時半頃

【人】 庭師 ノア

―――　“僕ら”の続き　―――

[　時間は繋がっていて、世界もまた繋がっている。

　「来月はオリオン座流星群が各地で観測できるでしょう。つぎに来週のお天気は……」と街頭大型モニターが天気予報ついでに教えてくれる日曜午後の街なかを歩く僕は、おかげさまで忙しい。細やかに腕時計で時刻を確認しながら歩く間も、もっとも心臓近くのポケットに忍ばせたスマートフォンを気にしている。

　疲れているのか、近頃たまに頭が痛む。
　目の奥がズキリと鈍く脈打つものだから、僕は交差点の真ん中で、足を止めてしまった。通り過ぎる人の舌打ちが聞こえる。邪魔だ――と露骨な声で文句を言われる。

　息を吐き、歩み出すと同時に対岸信号機の青を見ると、最近は空さえ見上げていないことを思い出した]

(30) onecat69 2017/07/17(Mon) 21時頃

【人】 庭師 ノア

　…………


[　見上げてみる。空を。
　人の往来激しいスクランブル交差点の真ん中から見上げる、うろこ雲を浮かべた秋空。冴えない海と曇天が水平線で溶け合っていたあの夏は終わり、季節はもう秋になっていた]

(31) onecat69 2017/07/17(Mon) 21時頃

【人】 庭師 ノア

　……いやあ、
　あの一週間は長かったですよ。
　

[　帰路ではあんなにも短く感じた僕らの“夏休み”から時間は目まぐるしく流れ流れて、あっという間に気付けば秋。のんびりゆっくり「今日は何しよう」と考えられたあの日々が、嘘のようだ。

　バスに揺られながら聞いた呟きはもう思い出で、応えてみても、聞いてくれる人は此処には居ない。(>>13)]


　――っと、すみません。
　ぼうっとしてまして、


[　物思いに耽った数秒、現実に意識が引き戻されるきっかけは、誰かと肩がぶつかった反動。反射的に謝罪して、いよいよ明滅をはじめた青信号に急かされて、僕はまた、忙しなく歩きだした。街に住まう僕には、名も知らない誰かの顔をきちんと見て謝るような余裕さえないようだ。*]

(32) onecat69 2017/07/17(Mon) 21時頃

【人】 病人 エリアス

―　　　　　　―

[入稿を終えれば、また少しの余裕が出来る。

次回作の打ち合わせの合間を縫い、改めてロビンから借りた本を読んでしまうことにした。>>+8

『眠り探偵シリーズ』のうちの一冊は
有名シリーズだけあって面白く、
普段そこまで推理小説を読まない自分でも
熱中して数日で一気に読み切ってしまった。

あの日教えて貰った宛先の住所には、
本を送る代わりに手紙をしたためることにした。
機械の発達したこの時代に態々手紙と言うのも、
また"らしく"あるではないか、と。

手紙には本の感想―――特に面白かった部分と礼を記し、〆に"次にこのシリーズの新作が出る頃に、例の場所に返しに行きます"と添えた。

受け取った彼がいつ取りに来るかは、それこそ彼次第だ。]

(33) guno 2017/07/17(Mon) 21時半頃

【人】 庭師 ノア

[　目的地、出入りしている放送局の打ち合わせ室。
ノックさえせず「どうも、お世話になってます」なんてへらへら笑って顔を出せる会議の末席に着き、配布資料に目を通す。在京局ローカルで春に企画されている単発ドラマの企画書らしいが――僕が関係するのは、その前後に編成されているミニ枠番宣の筋書き。

　ついでに、僕が教えていた元“脚本家の卵”の中に、今回のドラマに合いそうな作家は居ないか？という相談ということで。ほうほう、どれどれ、と本腰入れて企画書を読み込んでみた]


　――恋愛ものなんですねえ。
　　　フリーでやってる女の子に声をかけてみましょうか。


[　どうやら原作は人気作家の恋愛作品らしく、権利元への提案・交渉もこれからという段階。
　作家本人への打診もこれからになるそうだが、読んでおくかと帰りに書店へ立ち寄って。「エリ」という作家の本を、まとめて何冊か購入した。*]

(34) onecat69 2017/07/17(Mon) 21時半頃

【人】 庭師 ノア

[　結果を先に言ってしまうと、僕は「フリーでやってる女の子」は紹介しなかった。その代わり、36歳の中年卵作家のくせして、]


　これ、僕が書いちゃまずいです？

　というかですねえ
　書いちゃったんですよねえ。
　

[　――次の折、厚かましくも挙手をした。

　知人のプロデューサーに「能在さん、ドラマも書くんですか」と言われてはじめて気が付いた。僕はいつの間にか、書きたいとさえ言わなくなっていたのだな、と。

　ひとまず提案段階に粗くとも脚本初稿が上がっているのは印象が良いということで、原作サイド・作家へは、僕が書いたものが送られることになった。*]

(35) onecat69 2017/07/17(Mon) 21時半頃

【人】 紅客連盟 イスルギ

[「そうですか？
　 はは、ありがとうございます」

オーナーに返した>>*0言葉を思い出す。
その礼は最後までお世話になったことと、「イイ顔」の評価へ。

同じバスに揺られるノアの表情をこっそりと伺う。
彼はどんな表情をしているだろう。]

　……このシート、ちょっと硬いですね

[そんな世間話の隙間に。]

(36) oranje 2017/07/17(Mon) 21時半頃

【人】 紅客連盟 イスルギ

[そして、また外へと視線を向けた。
流れ行く緑のコントラストは目に眩しく
梅雨明けの晴れ渡る空に、眼鏡のグラスが反射した。

バスの窓ガラスに映る自らの顔を眺めてみる。
晴れやかではなくとも、思ったよりも穏やかな顔をした自らをそこに見つけた**]

(37) oranje 2017/07/17(Mon) 21時半頃

【人】 病人 エリアス

[何だかんだと時間をかけて書き終えた手紙を鞄に突っ込み、買い出し以外で久々に街へと出ることにし

――靴を履いた所で、担当から電話がかかってきた。

現在書いているシリーズの件かと思えば、
自分の作品を元にした単発ドラマのオファーが来ているらしい。>>34]

……へえ、　○△局さんの、
ええ、はい、　はい。
分かりました、後で目を通しておきます。

…ええ？　……分かってますって、
もう絶好調で、がんがん進んでますから。
ご心配なく。

[詳細はまだこれからと言った段階らしいが、そこまで悪い話ではないと。此方から資料を送っておくからと言われ、ついでに遠回りな進捗確認に苦笑いし、電話を切った。]

(38) guno 2017/07/17(Mon) 22時頃

【人】 病人 エリアス

[さて、部屋のパソコンの中の白い原稿はそのまま。
目的地は近所の本屋である。

今日は例のオムニバスが載った雑誌の発売日だ。
別に買う必要はなく献本されてくるのだけれど、
本屋での売れ行きはどんなものかな、と
ちょっと散歩がてら好奇心。

なに、これも作家の仕事のうち―――なんて、
適当に理由をつけてマンションのエレベーターに乗る。

こうしているとあの旅が随分遠い日のようで、
けれど確かにあったことなのはこの手が証明している。
コンビニ近くのポストに手紙を投函し、
無事に届くようにと小さく手を合わせた*]

(39) guno 2017/07/17(Mon) 22時頃

【人】 紅客連盟 イスルギ

— 休み明け 大学・研究室 —

「先生、焼けました？」

[休暇から戻って、もうこれで何回目の質問だろう。]

　ええ、おかげさまで

[白衣を着るから余計に目立つのだろうか、そう返して苦笑を浮かべる。

離島の空港で買い求めた土産は、コーヒーメーカーの横に特設コーナーを設けて置いた。
できるだけカラフルなパッケージを買い求めたのは、初日の夜に食べた刺身のことを思い出してのこと。
おかげで女子学生からも写真映えすると好評を得ている。]

(40) oranje 2017/07/17(Mon) 22時頃

【人】 紅客連盟 イスルギ

　
「バカンスどうでしたー？」
「写真とかないんですか？」
「お土産もう一個食べていいスか？」
「ナンパしました？」

[一つの質問に答えれば、矢継ぎ早に様々な角度からいろんな声が問うてくる。
「プライベートですから」とひとつひとつ答えていないそれらだったが(お土産はそれで3個目になるので無視している)、彼ら彼女らはそれを面白がって何度も質問を繰り返す。所謂「天丼」というものだろう。]

　そうですね……

[だからそこでひとつ、ヒントを出す。
学問でも日々の生活でも、そのひとかけらがあれば世界の彩りはがらりと変わる。]

(41) oranje 2017/07/17(Mon) 22時頃

【人】 紅客連盟 イスルギ

　
　持ち帰りましたよ

[と、それだけ。


研究室の中がざわめきで満たされて、
言わなければよかったと後悔するまであと少し。**]

(42) oranje 2017/07/17(Mon) 22時頃

【人】 紐 ジェレミー

─ 数日後 ─

［アルバイト情報誌を見て、4件ほど履歴書を送った。
　長かった髪はバッサリと切った。
　クローゼットの一番奥から、長らく袖を通していなかったスーツを引っ張り出し、ワイシャツにもアイロンを……］

　しまった、うちアイロンねーや。

［仕方ないので、リサイクルショップに行って買ってきた。
　しかし手順がよくわからず、余計な皺を増やしたり、焦げ目を付けそうになったりと、たったシャツ一枚のアイロンがけで、20分近くの時間を費やすことになってしまった。］

(43) nordwolf 2017/07/17(Mon) 22時半頃

【人】 執事見習い ロビン

[依頼人でなかったことに、がっかりされても仕方ない覚悟はあったが。
意外なくらいあっけらかんとした返事に驚いて顔を上げれば、手元が急に軽くなった。>>25]

　あ……ありがとうございます！

[改めて二つ並んだ同じ顔にぎょっとしたのを、慌てて眼鏡を押し上げ誤魔化す。
なるほど。昨日の電話の主はこの二人のどちらかか。

通された事務所内のソファにかしこまって座れば、尻尾を揺らしてお座りしてる柴犬と目が合った。
そのままじーっと見つめ合うこと数秒。
聞こえた声に、はっとなって顔を前へ戻せば。]

　えっ、その就職先を探すのは依頼では……
　……探偵助手？

[現実では初めて聞く。
情報誌の求人欄にはなかった就職先候補に目が点になった。]

(44) SUZU 2017/07/17(Mon) 22時半頃

【人】 執事見習い ロビン

[意外と就業条件はしっかりしている。
業績と言うのは事件解決のことだろうか。
探偵に愛犬はお約束だ、問題ない。
ところで紅茶を飲む仕草まで、妙に様になっているし。
さっきから仕事用ぽい机に見えている如何にもなパイプが、気になって仕方ないのをぐっと堪えて。

人の良さそうなその笑顔に、言葉に詰まった。>>27
突然の訪問にも関わらず、これは本気に親身になってサポートしてくれるつもりだ。
それくらい僕にだってわかる。

まずは落ち着こうと、紅茶を一口飲んで。]

(45) SUZU 2017/07/17(Mon) 22時半頃

【人】 執事見習い ロビン

　……その、情けないことに、
　どんな仕事、という具体的なものがないんです。

　ただ一度失業してみたら、
　就職することに必死だった学生の頃と違って
　色々な道があるんだなって改めて知ったといいますか。

[立ち止まり、動けなくなってから。
息抜きに普段と違う本の頁をめくったことで。>>0:#1
少しだけ前と見えるものが変わった気がする。]

　そんなわけで年上の人のアドバイスが聞きたくなり、
　今日ここを訪ねたんですが……──

　今ちょうど、やってみたい仕事が見つかりました。

[前の僕なら、目に留めても素通りしたかもしれない。
先のわからない、真っ新な頁へ手をかけてみよう。]

(46) SUZU 2017/07/17(Mon) 22時半頃

【人】 執事見習い ロビン

[持ってきた鞄から引っ張り出したのは就職活動には欠かせないアイテム、その名も履歴書。
最近その趣味の欄にココア作りが加わったのはさておき。]


　その探偵助手、僕にもできるでしょうか。


[よろしくお願いします、と紅茶とシュークリームの皿の横に履歴書を置き。
その場に立ち上がれば、雇い主になるであろう人に深々と頭を下げた。

まるで奇跡的な乱丁のような、真っ新な頁のつづきを綴る為に。]*

(47) SUZU 2017/07/17(Mon) 22時半頃

【人】 紐 ジェレミー

［それからまた数日。
　三件は履歴書の時点で落とされた。
　まぁ、短い職歴数個のあと、ごっそりと無職の空白期間がある四十路など、そう好んで雇いたいという会社もあるまい。
　しかし一件だけ、どうにか面接をしてもらえることになった。
　洋食系ファミリーレストランの、厨房の手伝いだ。
　時給は安いが、賄いも出る。何より、ほかの仕事より、ほんの少しではあるが、続けられるのではないかと思ったから。
　面接は明後日。

　それと、もうひとつ、やらなくてはいけないことがあった。
　新しい部屋探しだ。
　現在の寂しい貯金と、バイトの給料だけとなると、あまり広い部屋は借りられない。］


　────いっそ、シェアハウスでも探すかなぁ。


［ふと、旅先でのことを思い出し、そんな選択肢も浮かんだりした。］

(48) nordwolf 2017/07/17(Mon) 22時半頃

【人】 半の目 丁助

[此処に来てから31日目。
季節は梅雨も明け、眩しいくらいの青が空に広がる。
真っ青な空と白い雲のコントラストは、蝉の鳴き声も相まって夏を全力で主張していた。]

　なっつだねぇ。

[昼は夏の海。夜は星の海。
どちらも美しかった。

電車の窓から海が見えた時。
星の見えない街の空を見上げた時。
きっと此処の「海」たちを思い出すだろう。]

(49) okomekome 2017/07/17(Mon) 22時半頃

【人】 半の目 丁助

[来た時よりも、荷物は少ない。
大きな浮輪もビーチサンダルも、そっと「TAKE FREE」に置いてある。

増えたものと言えば、ベッドに押し込まれていた紙切れのみ>>28。
此処での思い出の品として十分すぎるもの。

チェックアウト時、精算分とは別に諭吉を三人置いてきた。
世話になったチップとして。
受け取らないなら、また此処に来た時の前払いと言い張って押し付けた。

次がいつになるかは、わからないけれど。]

　んじゃ、お世話になりましたん。

[振り返ることなく。

そうして、日常へと歩き出す。*]

(50) okomekome 2017/07/17(Mon) 22時半頃

【人】 紐 ジェレミー

─ 面接 ─

［そして面接の日がやってきた。
　世のサラリーマンたちは、毎日こんな炎天下に、スーツとネクタイで挑んでいるのだろうかと思うと、頭が下がるを通り越して狂気の沙汰だとも思ってしまった。
　そういえば……あの、無理やり休みを取らされたと言っていた彼は、その後もまた社畜に戻ってしまったか、それともちゃんと休みをとっているのだろうか。
　……などと、万年休日だった自分が、余計な心配をしてしまう。

　面接場所は、アイドルタイムの厨房奥だった。
　主な業務内容は、洗い場、簡単な調理補助、清掃。
　緊張しながらも、だいたい型どおりな応答をして、どうにか終わりに近付いてきたが］


「ところで、なぜその歳になって、ファミレスの厨房でアルバイトしようなんて思ったんですか？」


［最後の質問です、と、面接の担当者は言った。］

(51) nordwolf 2017/07/17(Mon) 22時半頃

【人】 紐 ジェレミー

　
　あの。
　旅先で、初めて料理の手伝いをしたんです。
　ポテトサラダのジャガイモを、潰しただけですが。
　それが、楽しかったので。


［大真面目に、そう答えた。

　担当者は笑いながら「では明日の10時から来てください」と言った。*］

(52) nordwolf 2017/07/17(Mon) 22時半頃

【人】 渡し船 ユージン

─ 夏の盛りの、或る日 ─

[その客が初めて扉を開けた時はまだ、梅雨入りしたばかりだった。時間の流れは時に早く時に緩やかに、けれど決して歩みを止めることなく過ぎていく。

「ブナティラ」はハイシーズンに突入し、男性専用だけでなく男女共用ドミトリーや個室も解放し、日々それなりに人の出入りを繰り返す。──今日も、またひとり。>>50]

(53) chikatarow 2017/07/17(Mon) 23時頃

【人】 庭師 ノア

[　かくして『僕らの物語』は動き出す。

　単発ドラマの企画は、権利元出版社からの返事待ちの状態だと聞いている。その間、秋のうちは運良く掴めたネットドラマの仕事を粛々と進める日々だ。原作小説『無私の息』には失礼を承知で言うと、マイナーな無名小説原作がゆえに脚本執筆時に大幅な改編が認められた。主に、予算の都合で撮影不可と判断した、舞台改編。

　原作のエーゲ海バカンスから、ドラマ版では日本の小さな島での物語に書き換える。瀬戸内あたりの島を探せば、それなりのリゾートロケーションは望めるだろう。

　内容は――]

(54) onecat69 2017/07/17(Mon) 23時半頃

【人】 庭師 ノア

　やっぱりこれは、僕らの物語なんだよなあ。
　あなたと僕の、僕とこの家の、あなたと海の、物語。


[　――もともと、このコンペに挑戦するか否かを悩むため、休暇日程におさまる小説に近い体験が出来そうな旅先を探して『ブナティラ』を訪ねたのだ。おかげさまで、僕は主人公の男が抱えるうじうじとした気持ちがよくわかったし、旅先で逢った名も知らぬ人物へのときめきを知り得た。独り海を望むさびしさを覚え、誰かの無責任なあたたかさに救われる心地を味わった。

　あの夏の経験ぜんぶを使って、僕は、当事者としてこの物語をもういちど形作る。『無私の息』とは、公平無私に誰しもを迎える誰かのいきづかい。あの家に流れていた空気そのものだ]

(55) onecat69 2017/07/17(Mon) 23時半頃

【人】 庭師 ノア

[　おかげさまで原作者からのお墨付きをもらってのクランクインは、まさかの初冬。来年夏に撮るんじゃなかったのか。そんな。

　そんなこんながありまして。
　徹夜で冬の海の物語への改編を余儀なくされることになったが、このドラマは、1月には有料会員向け某動画サイトにて配信されることになるだろう。

　この僕のささやかな実績が、春にと企画されている単発ドラマにも良い影響を与えられたら良いのだけれど。それはまた別の機会、別の頁にて。*]

(56) onecat69 2017/07/17(Mon) 23時半頃

【人】 病人 エリアス

―文字の話―

[それから暫くして。

自分のマンションの郵便受けに
担当からドラマについての資料が入っていた。>>35

脚本はあくまで草案段階の原稿と言うことで、
ざっくりとしたイメージ程度に捉えてくれれば幸いだと
同封の文書には添えられていた。

今回原作にと話が上がっているのは、
まだ無名の頃にバイトしながら書いたもの。

これがそこそこヒットしたおかげで作家として安定して仕事を貰えるようになり始めたこともあり、粗削りな部分も多いが思い出深い作品だった。

自分の知名度自体があの頃より上がっているのと、桜の季節を舞台にした短編の為、丁度良いという話になったのだろう。
飲み物を入れ、デスクに座って何となしに目を通す。]

(57) guno 2017/07/17(Mon) 23時半頃

【人】 病人 エリアス

…………　へえ、

[書かれた一節に目を留め、瞬きをした。

主人公が１人で朝食を食べる、何気ないシーン。
けれどその後の心情変化の転機になる場面だ。

これじゃ読者には伝わりませんよ。
担当にはそう言われたけれど
無視してそのまま入れた部分だった。

その場面があくまで淡々と、けれど独自の視点から、情景と心情を伴って書かれていた。

―――成程、そういう解釈になるのか。

自分ではない"誰か"を通して書かれた文字は、
まるで新たな命を吹き込まれたようで。
読み進めるうちに思わずにやりとしてしまった]

(58) guno 2017/07/17(Mon) 23時半頃

【人】 病人 エリアス

[一通り読み終えて、読み終えた分を纏める。
スマホを押して担当に電話をかけ、上機嫌に]


あー、担当さん？
ドラマの話なんですけど、　拝見しまして

……ええ、　はい、　いいですねえ、


是非このまま進めて頂けるよう、はい。
先方にもそのようにお伝えください。


[顔も知らないこの書き手が、
自分が一度信じて作り出したものを
どんな形で描くのか、単純にもっと見てみたくなった。

企画が順調に進めば、向こうともそのうち顔を合わせることになるだろう。思わぬ形でいつぞやの口約束が守られたのだと知るのは、もう少し後の話*]

(59) guno 2017/07/17(Mon) 23時半頃

【人】 墓荒らし ヘクター

[この家にあるもの。
一人暮らしには十分すぎる収納。
掃除の行き届いていない部屋。
強い風が吹くと一枚だけ特にやかましくなる雨戸。
週の半分くらい遊びに来る野良猫。
一人の時間。一人の空間。

この家にないもの。
誰かの笑い声。
くだらない会話。
凝った食べ物。
潮の匂い。海鳥の鳴き声。窓から見える、―――海]

(60) 茄子 2017/07/18(Tue) 00時頃

【人】 墓荒らし ヘクター

[「たくさん、見つかった」
あの日、ロビンへと答えて>>5:+20
それから、一つずつ胸の中で数えていった。

見つけたもの。
知り合った人の名前。
名前を知らない人の顔。
目が合った時の表情。

それは、たとえば深い青を選ぼうとした指が思わず空色にのびるような。
見上げることすらしていなかった空に星を見つけるような。
そんな、ささいな変化**]

(61) 茄子 2017/07/18(Tue) 00時頃

【人】 探偵 オズワルド

[ワトソンと見つめ合うロビン君>>44が微笑ましい。なんとなく見た感じが似ている者同士で通じ合うものがあるのかもしれない。

探偵助手の話は、出した瞬間は驚いたようにも見えたが、思っていたよりも真剣に聞いてくれた。こちらは思ったことを全て伝えたから>>27口を閉じる。
紅茶を一口飲む>>45のを見届けて、続く言葉をじっと待つ。

考えを整理するかのように綴られていく言葉に、相槌を打ちながら聞いていく。
やってみたい仕事が見つかったという結論には思わず声が出てしまう]

　お、おぉ……。

[前のめりになって頷く。やりたいことが出来ただなんて、素晴らしいことではないか]

(62) viola 2017/07/18(Tue) 00時頃

【人】 紅客連盟 イスルギ

— 一週間後 自宅 —

[長い休日の後は、当然ながらあらゆるものが目まぐるしく忙しかった。
荷物を詰め込んだトランクの中身を出して選別し、「カロリー」のTシャツはベランダに干されている。]

　……難しい

[クッション性のあまりないソファに腰掛け、手にしたのは二枚の折り紙。
テーブルの上には貰った手裏剣>>21が置かれている。

「カロリー」の0歳の誕生日は、それはそれは楽しかった。
まだそんなに時間が経ったわけでもないのに、ひどく遠い昔のことのようにも思える。
だから、一つ手を伸ばした。
折ったことのない折り紙。記憶が色褪せぬよう、プレゼントを見本に折ってみる。]

　だめだな

[ご隠居様を守るなら、きっと同じような武器がもっとたくさんあるといい。
そう思うのに、二枚の折り紙を形に成すことはできなかった。]

(63) oranje 2017/07/18(Tue) 00時頃

【人】 紅客連盟 イスルギ

　
　先輩に折り方、聞けばよかった

[助六の華やぐような語り口を思い出す。
感じたのは、ココアに入れられた塩ひとつまみほどの、寂しさ**]

(64) oranje 2017/07/18(Tue) 00時頃

【人】 探偵 オズワルド

[出された結論と履歴書>>47を、目を見開いてから慎重に受け取る。紙一枚が重たく感じる]

　勿論、そうしてもらえると私も嬉し……助かるよ。

[立ち上がって頭を下げるのを、慌ててこちらも立ち上がって頭を上げてもらう]

　じゃあ内定ということで、改めて宜しく頼むよ。
　細かい条件は契約書にして後日確認してもらおう。
　それと──。

[実は日本人でオズワルドは仮の名前なんだよと、アハハッと笑いながら爆弾発言するまであと少し。

旅先で結ばれた縁により、また新たに賑やかで楽しい日常が始まる*]

(65) viola 2017/07/18(Tue) 00時頃

【人】 半の目 丁助

― 日常の始まり ―
[玄関の鍵を開け、中に入る。

家具も何もない部屋。

初めて訪れた土地。
談話室のダーツで決めた場所。

誰も知らない街。
安いアパート。

今日から此処が、俺の城。]

　さーてと。
　とりあえず、何が必要かね？

[自分の物と言えるものは、この身体とリュック一つ分の荷物。]

(66) okomekome 2017/07/18(Tue) 00時頃

【人】 半の目 丁助

― 昔話 ―
[この性格だ。友人はたくさんいた。
仕事も充実していた。
恋人もいた。胸は大きくはないが、美人だった。ピンクよりも赤の似合う女だった。
互いに結婚を意識していた。

何もかもが充実していた。

ある日、親友が借金の保証人になって欲しいと泣きついてきた。
初めは勿論断った。
けれど何度も頼まれ、名前だけで良いからと。このままだと死ぬしかないとまで言われた。

迷った。
迷った挙句、他ならぬ親友の頼みだからと受け入れた。

おおよその予想通り。
保証人になった一週間後。親友は姿を消した。]

(67) okomekome 2017/07/18(Tue) 00時頃

【人】 半の目 丁助

[友人たちに金を貸してほしいと頼んだ。
あんなにいた友人たちはいなくなった。

恋人と連絡がつかなくなった。
暫くして、別の男とホテルに行く姿を見かけた。

やばいところから借金をしているという噂が職場に広まった。
退職を促された。

親戚に泣きついたが、縁を切られた。

残ったのは、親友が残した借金だけだった。

自業自得だ。]

(68) okomekome 2017/07/18(Tue) 00時頃

【人】 半の目 丁助

[全財産を処分して金をかき集め、何とか返済できた。
もう何も残っていなかった。

死のうと思っていた。

死ぬ前の一服用にコンビニで煙草を買おうとした時だった。
財布の中に入れっぱなしの宝くじの存在を思い出した。



――自分でも、嘘みたいな話だと思う。
作り話じゃないかと思う。
けれど本当のことなのだ。]

(69) okomekome 2017/07/18(Tue) 00時頃

【人】 半の目 丁助

[高額当選したことを知った途端、友人たちが戻ってきた。
恋人も戻ってきた。
親戚も縁を切ったことを謝罪してきた。


だから笑って全部捨てた。


そんな良くある昔話も、あそこに宿泊予約を入れた日に捨てていた。*]

(70) okomekome 2017/07/18(Tue) 00時頃

【人】 庭師 ノア

―――　そして季節は冬にさしかかり　―――

[　まさかの快諾をいただいて、春ドラマも動きはじめた。
早咲き桜で有名な街でのロケが決定し、脚本も第四稿が決定稿になり役者に台本が配布された。
クランクインまであと数日。

　そんなある日。
　僕は、バスに揺られている。

　――「心は、ふかふかなんですけどねえ」

　前方を眺めていた弛んだ顔をイスルギに向けて言った、あの日の帰り道(>>37)を思い出す。あの時の僕は、ふかふかした顔……と表現して良いものかどうかは悩ましいが、ふかふかとした気分をよく表した顔をしていたと思う]

(71) onecat69 2017/07/18(Tue) 00時半頃

【人】 庭師 ノア

[　多くは語らず、名乗りさえせず、「いずれ本物の星を見ましょう。ふかふかのクッションを用意しておきますねえ」なんて曖昧な約束と結んで別れたイスルギを思い出す。

　これから毎年、カロリーちゃんの誕生日にあわせて『ブナティラ』にバースデーカードを送ろう。思い出と重なる初冬の車窓を見つめながら心に決めた。差出人不明の「HAPPY BIRTHDAY Mr.Cal」のカードはさぞや迷惑なものに違いなく。含み笑いで企てる。

これもひとつのあの家ならではの“謎”になれ]

(72) onecat69 2017/07/18(Tue) 00時半頃

【人】 庭師 ノア

　この仕事が終わったら、
　また旅行をしてみようかなあ。


[　打ち合わせが終わったら、さっそくこの足で旅行代理店でも探してみよう。出来れば「旅がしたいんです」と一言伝えるだけで、行き先まで案内してくれるような営業が在籍している店が良い。

　ちょっとしたわくわくを顔に滲ませ、目的のバス停にて降車。そのままの顔つきで、春ドラマ原作者の「エリさん」との初顔合わせと打ち合わせへと向かった。

　まさかまさかの再会に気付いたら。
　きっと僕は、名刺入れに忍ばせている紙手裏剣を落として慌てて言うのだろう。

「ちゃんと、捕まえました。僕の指で」と。**]

(73) onecat69 2017/07/18(Tue) 00時半頃

【人】 探偵 オズワルド

― 遠くない未来 ―

　そうそう、ロビン君の仕事ぶりも落ち着いたことだし、このあたりで皆で社員旅行に行こう。
　ノックス君に名刺貰ってるから……ノックス君はわかるかな？ ブナティラに同じ日に泊まっていた子で、帰りのバスが一緒だったんだ。旅行会社に勤めているようでね。
　あぁ、話していたらなんだかブランデーが飲みたくなってきたな。

[突然思いついたことを語りだすのはよくあることで、月見に合う日本酒って辛口と甘口どっちだと思う？ カレーは作れる？ あー甘いものを飲まないと頭が全く回らないなどと、なんの前触れもなく言い出すものだから、有能な探偵助手を困らせることもあるかもしれない**]

(74) viola 2017/07/18(Tue) 17時頃

【人】 道案内 ノックス

─ 夏が終わり、 ─

[秋が始まり、肌を撫でる風が孕む熱気が薄れても
旅行代理店の繁忙期はまだまだ終わらない。

ブナティラで過ごした数日は、
想いのほか僕の中に長く記憶としてとどまったけれど
それで僕の何かが変わったかといえば特にない。

キーリングの『Ｊ』が耳裏を擽った瞬間のような
瘡蓋すら作らない傷が齎す変化は自覚しようのない意識。]

旅の終わりに感じる寂しさって、結局のところ名残惜しさで
僕の提案したツアーでそう感じてもらえたら嬉しいし。
それでまたオーダー貰えると……

……勝ったな、って。思っちゃいます。

[たれがたっぷり絡まった焼き鳥を齧り、語る美学は
いつかの夜、髭の紳士と語らったもののひとつ。]

(75) CHiKA 2017/07/18(Tue) 21時半頃

【人】 道案内 ノックス

[それは、僕がもう抱くことのできない感情。
帰る家、というものを失くした僕は、人と土地を旅で繋ぎ
寂しさや思い出に浸る暇もない。]

ブナティラですか？　先日行ってきましたよ。
そうですね……ＨＰの更新はさっぱりですが

そのまま、という感じでした。

[最近はバックパッカー以外にも宿泊費を浮かせようと
ゲストハウスを宿に考える客もちらほら見かける。
この辺りでお勧めは？と訊ねられ
いくつかの候補の中にさりげなく、その名を混ぜた。

思えば、ＨＰから感じる印象は悪くないのに
何年も更新されないものだから客にも勧め辛いということで
現状把握と休暇を兼ねたのがきっかけだった。
──今はあの妙なところがずぼらなオーナーに感謝している。]

(76) CHiKA 2017/07/18(Tue) 21時半頃

【人】 道案内 ノックス

でも、夏の間しか営業してないらしいので。
他ですと……ここでしたら、星も綺麗に見えるかと。

[名前は出す癖、最終的に推すことが少ないのは
まだ提携先として契約を交わしていないことと
悪戯に客が増えて、あの何とも言えない緩い雰囲気が
崩れてしまったらいやだな、とかそんな我儘。]

では、ご検討よろしくお願いします。
本日はありがとうございました。

[午後、客足が途絶えたところで短い休憩。
昼にいつも通りコーヒースタンドに寄った帰りに買ってきた
シュークリームを大口あけて齧る。]

(77) CHiKA 2017/07/18(Tue) 21時半頃

【人】 道案内 ノックス

[バックスペースで糖分を補給する間に、
同僚からご指名の声がかかった。
はいはい、っと３口でおやつを食べ終え
指についたクリームは舐めた後にちゃんと手を洗い、
ついでに髪やネクタイも整える。

先日はしゃぎにはしゃいでいた大学生の集団か
それとも密かに流したボトルメッセージが誰かに届いたか。

よし、と気合いを入れてカウンターへと姿を見せた先
並ぶ二人に瞠目した。>>74]

…………いらっしゃいませ。
お待ちしてました。

[に、似合う……！
まるでドラマから飛び出した探偵と助手みたいだ！

なんて珍妙な感動をぐっと飲み込み、
普段より３割増しの笑顔で新規客を出迎える。]

(78) CHiKA 2017/07/18(Tue) 22時頃

【人】 紅客連盟 イスルギ

— 眼鏡屋にて —

[長い休暇から戻り、眼鏡を磨いている時に気がついた、レンズに入った細かい傷。
そのままにしておいても問題ない程度であったが、寝る時以外なくてはならない相棒だ。しばらくはスペアを使うことにして、メンテナンスに出すことにした。]

　あれ、

[手続きにしばらく時間を要し、店内をそれとなく巡っていると、どこかでみたような眼鏡フレームを見つける。
自らのものとは違いオーバルに近いスクエア、しっかりとしたフレーム。手にとってみると、色もよく似ている。]

　ロビンさんっぽいな

[果たして同じものかどうか、そこまでの鑑定眼はない。
なんとなく、今かけているものを外して付け替えてみた。
近くに鏡があったはずだ、覗き込もうとして]

　……

[度のないフレームの視界は滲んで何が何やらわからない。
似合っているかどうか、判定を頼む誰かもいないから。]

(79) oranje 2017/07/18(Tue) 22時頃

【人】 病人 エリアス

[あれよあれよという間に季節は巡り。

執筆作業に追われる傍らで
例のドラマの話もとんとん拍子に進み
クランクインまであと数日と言ったところで
初顔合わせの日がやって来た。

さて、あの脚本を書いたのはどんな人間なのだろう。
若干の興味と期待を胸に、打ち合わせの場所に赴いて。]

初めまして。

……　…、あれ、　　……？

[集まった数人の内の一人。
見覚えのある顔に思わず目を見開いた。>>73

地面に落ちる紙と知り合いですかと尋ねる担当を他所に
数秒ぽかんとしたまま固まり、次いで噴き出す。]

(80) guno 2017/07/18(Tue) 22時頃

【人】 紅客連盟 イスルギ

[フレームを外しながら、ふと小さく息を吐いた。
旅の思い出に浸るきっかけなんて、どこにだってころがっている。
今日の夜空を見上げればプラネタリウムを、
ココアを飲めばあの暑さを、
二段ベッドを見れば共に過ごした客人たちとのふれあいを、
きっと思い出すだろう。]

(81) oranje 2017/07/18(Tue) 22時頃

【人】 紅客連盟 イスルギ

— そして、夏の最中に —

[眼鏡屋から外に出る。
眩しさに目の上に手をかざした。
遠く離れたこの地にも、等しく夏はやってくる。]

　……暑いな

[アスファルトの照り返しに目を細めながら、歩き出した。]

(82) oranje 2017/07/18(Tue) 22時頃

【人】 紅客連盟 イスルギ

[あの場所はまるで 木陰 のようだ。
陽が高いときは影となり、疲れたときは背もたれとなり、過ぎ行く人を見守っている。
ときに同じように休む人と語らって、それぞれにまた歩き出す。

いつかその側をまた通ることがあればきっと、その足元で休むだろう。
その時が来るまでは]

　……、　……　……

[足跡に紛れてかき消えそうな声であのテーマソングを歌いながら
真っ直ぐに歩き続けるだけだ**]

(83) oranje 2017/07/18(Tue) 22時頃

【人】 病人 エリアス

そうか、はは、……そうですか。
いやはや。事実は小説よりも、とはよく言ったものです。

[捕まえました。
確かに護られた約束に、微笑んで。>>73]

改めて、原作者のエリです。

―――良い作品にしましょう。
どうぞよろしくお願い致します。

[彼の目を見て言いきり。
あの時紙面を撫でていた指を
今度は握手する為に取ろう。>>3:70

信じた先の文字は逃げずにここにあり
形にならない未熟でもなく、
だからきっともう、泡にはならない。*]

(84) guno 2017/07/18(Tue) 22時頃

【人】 紐 ジェレミー

─ 新居について ─

［新しい部屋は、思いのほか早く見つかった。
　バイト先からそう遠くないところで、シェアハウスの入居募集をしていたのだ。
　今までは、人に頼ってばかりだったが、これからはそうはいかない。協力することを覚えなくてはならない。

　掃除も洗濯も、ろくにできない。
　料理はからっきしだし、食器は割る。
　今はそんな、使い物にならない男だが、ひとつずつ、同居者たちに頭を下げて、教えてもらおう。*］

(85) nordwolf 2017/07/18(Tue) 22時半頃

【人】 トレーサー キルロイ

―――　ある日の日常　―――

[季節は巡る、夏から秋に、秋から冬に。
そして冬から春に。

ナラティブの思い出の花は
暑さが和らぎ寒さを覚えれば、袖を通すことも出来ない。
慣れ親しんだスーツの強さが滲む白と、紺。
ジャケットを羽織って、一枚の名刺と見つめ合う。

そしてもう片手には、携帯電話。
慎重にひとつひとつプッシュボタンを押して
通じる先は―――…連絡先を貰った、旅行会社。]

　あの………

　春場に良い、一人旅プラン、ありますか。
　あ、いや、その前に言うこと、あるッすよね。
　………　お久し振り、です？
　

(86) mo_om 2017/07/18(Tue) 22時半頃

【人】 トレーサー キルロイ

[ブナティラで過ごせるのは、限られた時間。
冬場に似合う旅先なんて、知らない。
ならばプロに頼めば良いだろうと言う、建前。]


　何でしたっけ。
　今度始まるドラマの………
　桜の早咲きが観られる場所、とか。


[社内でも話題に上がる、春ドラマ>>71
原作者の名前も聞こえるようになり
なにかの符合に、首を捻ったりしたものだ。

ただの偶然でないと知るのは、然う
春ドラマ特番に、見掛けた声か、顔か、で。]

(87) mo_om 2017/07/18(Tue) 22時半頃

【人】 トレーサー キルロイ

　

　……　仕事、頑張ってますか。

　怠けたくなったら
　仕事人間も駄目にするソファ、あるんすよ。
　随分、　……くたびれちまったけど。


[―――…俺が、日々座り過ぎて。

そして、再び夏が来れば、また。
あの夏の思い出の許を訪れて
今度こそ晴れの日に、海に出掛けよう。
偶然が惹き合えば、誰かと、無色透明な宝探しに。**]

(88) mo_om 2017/07/18(Tue) 22時半頃

【人】 半の目 丁助

[冷えたジンジャエールの中を泳ぐ氷がグラスを鳴らす。
窓の外に吊るした風鈴は、たまに自分の仕事を思い出したように涼やかな音を鳴らす。

部屋に増えたもの。
テレビパソコン冷蔵庫。
それから、安アパートに不釣り合いなシアターセット。

あとは人をダメにするソファがあれば完璧だ。
クーラーの効いた部屋。
畳に寝ころび、外から聞こえてくる蝉の鳴き声を聞く。]

(89) okomekome 2017/07/18(Tue) 22時半頃

【人】 半の目 丁助

[あそこで知り合ったやつらとは、会おうと思っても会えないだろう。
名前も連絡先もお互い知らない。教えていない。
一期一会の旅先での出会いはそういうものだ。

唯一持っている手がかりは、財布に入れっぱなしの伝言だけ。
かろりーちゃんの本名と、裏の論文らしき文章。

論文の一部と名前を、買ったばかりのパソコンで検索すれば、きっと手がかりはあるのだろう。
気が向いたら、調べて見るのも楽しいだろう。
まるで宝探しのように僅かな手掛かりで探す。探偵ごっこ。

見つかれば吉、見つからなければ残念だと笑って終わるだけのこと。
いつか気が向いたら調べてみれば良い。]

(90) okomekome 2017/07/18(Tue) 22時半頃

【人】 半の目 丁助

　さーて。お出かけしましょうかねー。

[ジンジャエールを一気に飲み、氷の残ったグラスを流しに置くと玄関へ向かう。

近所の散歩と、買い物と。

帰りにソファを売っているか店を覗こう。
世界ダメ人間計画。
自分で適当に言っておきながら、その計画にまんまと嵌ってしまったようだ。

思わず笑みを浮かべ、暑く茹だるような空気をはねのけるように伸びをした。**]

(91) okomekome 2017/07/18(Tue) 22時半頃

【人】 庭師 ノア

[　豆鉄砲を食らった鳩の顔で、奇跡を見つめる。
停止した時間はたった数秒でしかなかったが、

その数秒間で潮騒を思い出し
滲んだ文字と紡がれた物語を思い出し
野沢菜おにぎりが食べたいなと雑念を挟み
僕らの夏を、思い出し

　ざわつく周りも気にせずに、じんわり笑って頷いた]


　――今日を、僕のもうひとつの誕生日に決めました。
　　　僕はもう離さないつもりですからねえ
　　　末永くよろしくお願いします。


[　そして確かに、彼の手を握った。

　この瞬間に僕の卵の殻は割れ、
産声のかわりに噴き出すまま大声で笑った。笑った。*]

(92) onecat69 2017/07/18(Tue) 22時半頃

【人】 道案内 ノックス

[ペット同伴OK、家族向けのコテージと
紅葉狩りをメインとした社員旅行はまだ若い"社員"二人には
少々退屈だったかもしれない。
うっかり殺人事件に遭遇しそうな景観を重視したのは
決してわざとなんかじゃなかった。

秋が終わり冬に入るあたりから、
といってもほとんど寝に帰るだけの家でやることといえば
最近気に入りのおにぎり専門店から持ち帰った塩結びを齧り
インスタントの味噌汁を飲み、ネットドラマを見るくらい。]

そのドラマを見るきっかけだって、>>54
夏に手にした本の映像化の報せに、どんな脚本家が
手がけるのだろうって興味を持ったから。

炊飯器すら持たない僕がこんな喩えを出すのもなんだが
魚ひときれ、刺身にするか燻製にするかで味は大きく変わる。
割と気に入っている作品だからこそ、>>58
いい料理人の手に渡ればいいなと思うのは純粋なファン心。]