237 それは午前2時の噺。
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[ 前の車のウィンカーにあわせて瞬きをした。 後部座席のシートに凭れて肌色多めの後頭部を眺めながら相槌のみで済む話を聞いていると、 通勤のために金を払っているのか運転手の話し相手になるために金を払っているのか分からなくなる。
毎朝タクシーで通勤というのも勿体ないとは感じている。
しかし通勤場所は電車で通うには大袈裟で、自転車で通うには遠い場所に位置しているからタクシーの方が都合はいい。 免許は持っているものの運転はしたくなかった。
" 持ってる物を使わないって、 人生損してるのと同じじゃない? "
君ならこう言うだろうが、しょうがないだろう。 それに滅多に使わない冴えない顔が映った免許証も身分証明くらいの役には立つ。
それにしても何回乗っても24時間何度も人が入れ替わる車内の臭いは居心地が悪い。 窓一枚を隔てた景色を流し見る。]
(22) 2018/03/24(Sat) 15時頃
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それは、はっきりと見えた。 明滅するランプとパトカー。 カラーコーンに囲まれた運転座席の窓ガラスが砕けている。 事故、という言葉が過ぎった。]
(23) 2018/03/24(Sat) 15時頃
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『到着ですよ。』
[ 機械的な運転手の声で呼吸を取り戻す。 前を向くとメーターは360という数字に光っていた。 360。]
『代金。』
[ あぁ、そうだ。 代金。 小銭ぴったりを受け皿に落とす。 カチャ、という音と共に車のドアの隙間から風が滑り込んできた。
コンクリートの地面が革靴の下で擦れる。 タクシーが走り去る音を背中に受けながら、決して大きくはない建物を見上げた。
「葬儀社 會央堂」
ヤクザみたいな名前だと笑った、妻の顔が脳裏に浮かぶ。]
(24) 2018/03/24(Sat) 15時頃
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─ 葬儀社 ─
[ ヤクザのような看板を潜り、「二階堂」と彫り込まれた控え目な名札をピンで留めた。 雑多に書類が貼られたホワイトボードから今日の自分の予定を探す。
「12:00 斗都良総合病院 迎え」の一文が横棒で消されて、 「16:00 斗都羅総合病院 エンバ 22:00 通夜付き添い」と書き足されていた。
エンバ。正式にはエンバーミング。 つまり、病院まで行って亡くなった方に死に化粧を施す事だ。 この書き方だと病院までお迎えに向かった後、通夜に補助として付き添う形になるのだろう。
徐に端末の画面を確認する。 成る程、充電が切れていた。
ネクタイを緩めて早過ぎる出勤に息を吐く。 丁寧に上着を脱ぎながら、仮眠室へと爪先を向けた。]**
(25) 2018/03/24(Sat) 15時頃
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