190 【身内村】宇宙奇病村
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ワクラバ! 今日がお前の命日だ!
2016/05/20(Fri) 00時頃
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[気がつくと、薄桃色の水の中にいた。 周囲には無数の白い星が漂っている。]
(ああRemdaだ)
[どくん、どくん、と脈打つ音がする。 自分のものか。それとも、この海の。この星の――Pavr=opetyそのものの? いずれにせよ、心地良かった。熱くも寒くもない。あらゆる重力を感じない。目を閉じる。何もかもが遠く懐かしいような気持ちになって、自然と涙が溢れた。]
(――、誰?)
[心の呼びかけに応える声はない。少なくとも、今は。 ワレンチナはわずかの心細さに薄く目を開き、再び薄桃色の宇宙を見た。 遠い水面の編み模様は、あたかも張り巡らされた血管のようにも見えた。もしも、産まれる前に見える世界があるならば――子宮の内側から見る風景は、きっとこんな感じなんじゃないだろうか。そんな事を考えながら―― ワレンチナは再び目を閉じると、深い無意識の中へと沈んでいった。]
(+1) 2016/05/20(Fri) 00時半頃
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ワレンチナは、夢を見ている。
2016/05/20(Fri) 00時半頃
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[――もしも、ワクラバがワレンチナの端末を開いたなら。
まず、『ワクラバへ』というタイトルで、中身もまた『ワクラバへ』という一行のみが記載されたテキストデータが、最前面に開かれたままになっているだろう。
ファイル一覧の一番目立つ位置には『Remda』と名付けられたフォルダがあり、その中にはRemdaを始祖としたPavr=opetyの生態分布及び進化過程の仮説論文等がまとめられている。
整然としたそれらファイルの中に、ひとつ、手描きの画像メモが残されている。 字はひどく汚く、走り書きといった体の文面。 所々妙な図などを交えながら、つらつらと連ねられている。その内容は。]
(+2) 2016/05/20(Fri) 01時頃
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・雌雄及び生殖器官を持たない水棲生物が繁殖期になると自然にほぼすべての個体が雌型となり妊娠出産する→その変異の核となるのは経口摂取されたRemdaである ・クラゲで検証済み。一応。要再検証 ・少なくとも一定のPavr=opety水域における生態系において、remdaは全ての生物に共通する完全な受精卵としての機能を果たし、母体(下線。矢印が飛び、その先に『雌雄は問わないが形式上こう表現する』の補足)のほぼ完全なクローンとして成長する※視認したのみだが
(白い球体を食べる魚、その隣には小さい魚の落書き。 あまり上手とは言えない)
→RemdaがPavr=opety外で作用することが認められる場合 クローン生産の効率化 性染色体との掛け合わせによって性別その他特性を付与した新時代の生体を誕生させる等遺伝子工学に大いに貢献する可能性←倫理にうるさい連中はどう言うか 生体だけでなく例えば原子炉等に投げ込んだ場合、非常に効率的なエネルギー循環装置となる可能性
『こう在ろう』とする種の本能に呼応する? あるいは子の成長を願う母親のように? →繁殖期ゆえに『種を残せる』雌型への変化を呼び起こしたか、単純に雌型にさせるだけか?
(+3) 2016/05/20(Fri) 01時頃
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(ぐるぐるとペンを動かしたらしい渦状の筆跡。) (狭い範囲に無造作にトントンとペンを打ち付けたらしい筆跡。)
・ともかくRemdaの成分分析 精細な検査が必要 ・Remdaが星の核ならば、何故星自身が生物を繁殖させる? ・我が星における進化論の一説――宇宙からきたバクテリアが海に落ちて変異を起こし、現在の生態系を作った――の、バクテリアは、Remdaである可能性? ・生殖機能を持たない人間もまた妊娠可能か?定着するのは内臓のどの部分か。 ・僕の場合は?きちんとした男が産まれるのか それともまた成り損ないか?
(下手なクラゲの落書き。)
(+4) 2016/05/20(Fri) 01時頃
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[他、端末には。
膨大な量の過去の進化論の研究データ。 今回の探査で撮り溜めたであろうRemdaを中心とした映像、画像、その他分析結果等の研究用データ一式。 ワレンチナを含め、複数人の学者達が整然と並ぶ写真。 そのうちの二人と、ワレンチナ。三人だけの写真。 数人の男女――友人達あるいは恋人達か――の写真。 船員それぞれの簡素な経歴と、顔画像の入ったデータ。
が、入っている。 ワクラバがこれらの一部、あるいは全てを確かめることがなくとも。]
(+5) 2016/05/20(Fri) 01時頃
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/* やば 待って シルクの墓ログ今初めて見たんだけど!!狼のとき見えてなかったよ!!たんに何も書き込んでないだけだと思ってた… これって今回の設定で狼は墓ログ見えないってこと?それともなんか知らないうちに死者非表示とかにしてた??ていうか墓メモもない…書き込んでないだけかな…??
いずれにせよもしワクラバが墓ログ読めなかったら、脆弱なパスワードを丸投げしておきながら肝心の端末を最後の最後に物理的に壊したとかいうつらいことになって…しま…ま…まあ…しょうがないな…!!! wwwww。
まあ頑張った この数日間とても頑張ったよ…自分にしては ひとまずおやすみなさい(二重の意味で
なおRemdaはmadre(母)のアナグラムです。はいはいいつものいつもの
(-6) 2016/05/20(Fri) 01時頃
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/* ほんとはね…… ギリギリでワクラバに内緒話したかったんだけど まあ……間に合わなかったよね…… 親父……
(-7) 2016/05/20(Fri) 01時頃
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/* ワクラバ ワク…………ラバ………… …………
船員ひとりずつ回想していくのとてもいいな… そしてボロボロのアシモフ;;アシモフかわいいよ がんばってね…シルクのやつもいいなあ 第三者視点… シルクと夢の共有したさあるけどタイミング的にもうむつかしいかな…奇病の結末どうなるんだろうねえ 楽しみ
(-8) 2016/05/20(Fri) 21時半頃
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/* あ?>彼らは年上をパートナーに選ぶことが多く見られ、これは彼らが繭から出生し両親が存在しないことに起因して……
ボムビークスは 種族全体マザコンファザコンということで いいんですか??????? ていうかかわいい>ピース 教授やるじゃん
(-9) 2016/05/20(Fri) 21時半頃
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『ね。経つ前に結婚しない?』
[枕に横向きに頭を預けた女性が、隣で仰向けになっているワレンチナにそう零した。 ワレンチナは横目で彼女を見る。緩慢に視線を中に漂わせたのち、起き上がり、前髪を掻き上げた。二人とも、衣服は身につけていない。]
『急だね』 『だって。最低でも数ヶ月、下手したら2年くらい会えなくなるでしょ』 『慣れてるでしょ?僕が長く戻らないのは』 『そうだけど……んー』
[女性がシーツの中で身じろぎする。]
『子どもほしいの。ティナの精細胞作って人工授精させる』
[瞬間、ワレンチナの動きがぴたりと止まった。 額に当てていた手がシーツの上に降りる。]
(+20) 2016/05/21(Sat) 01時半頃
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[今や同性婚は珍しいものではなく、地域階級種族を問わず自由に行うことができる。しかし遺伝子操作によって同性同士の子どもを作る場合、婚姻届はもとより、他にもそれなりの認証や準備が必要だった。]
『だから……急だね』 『うーん。そろそろかな?みたいな。ずっと考えてたけど』 『……』 『やなの?帰ってきた時、子どもが産まれてたら』
[寝転がったままの女性が、いたずらっぽくくすくす笑う。
ワレンチナは彼女を肩越しに見ようとして、しかし視線をどこか遠くに置いたまま。振り返ることなく、ベッドの上で長く細く息を吐いた。]
『嫌だな。寒気がする』
[普段のワレンチナからはあまり想像のつかない、恐ろしく冷たい声音だった。]
(+21) 2016/05/21(Sat) 01時半頃
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[女性は一瞬ぽかんとしたのち、目にいっぱいの涙を溜めたかと思うと、子どものようにわあわあと泣いてワレンチナをなじった。しかし何を言われても、ワレンチナの態度は変わらなかった。自分の子を女性が孕む。それを想像した瞬間、今まで経験したことのないような、途轍もない不快感がワレンチナを支配したために。
そうしてそのまま、ワレンチナは母星を発った。 未開のPavr=opety星へ、学者としての経歴に華々しい色を添える為に。]
(+22) 2016/05/21(Sat) 01時半頃
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(思えば理由は単純だった)
[ぼんやりと意識の海に漂いながら、ワレンチナは薄く目を開く。]
(それは、僕が、僕自身が……)
[涙が溢れる。粘性の高いPavr=opetyの海において、涙はすぐさまそこに溶けるということはない。水中に油の球が浮かぶように、少しの間、ワレンチナの涙は桃色の水の中をゆるやかに泳いだ。]
(『産みたい』と。 『女で在りたい』と、感じていたからだ)
[自身の身体。環境。周囲からの視線。反応。 それらはそれぞれに、薄い薄い膜だった。しかしそれが幾重も幾重も重なって、やがて強固な層となり、ワレンチナの本質を封じていた。 しかし否応にも反応する――それが本能であるがゆえに。]
(+23) 2016/05/21(Sat) 01時半頃
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『こう在りたい、と望み続ければ』 『生物はそのように――進化する?』
(さあ、判らない) (けれども――Remdaが助けてくれるかもしれない) (だから、僕は……)
[ふと。水の揺れる、重い感触。 視線を巡らせる――不思議なことに、天地左右、どこにも水面が見受けられた――その中に、]
(シルク)
[『彼』がいた。]
(+24) 2016/05/21(Sat) 01時半頃
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[水にたゆたいながら、ワレンチナはただぼんやりとシルクの姿を見つめていた。薄桃色の水の中にあって、その姿は柔らかくほの白く光って見えた。
水のゆらめくたびに光を弾く絹のような髪、えも言われぬ透明感、男とも女ともつかぬ、一糸纏わぬその姿……]
(きれいだ)
[ワレンチナは何かひどく懐かしいような、寂しいような、嬉しいような気持ちになって、ぼんやりとした表情のまま、涙をこぼした。ふと気がついてみると、ワレンチナもまた何も身には纏っていない。しかし気恥ずかしさはどこにもなかった。]
(+25) 2016/05/21(Sat) 01時半頃
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[意識の淵に。 水の匂いがする。涙の匂いが。 自分を抱く誰かの手の大きさ。 唇に僅かの感触。
ああ。 ――、ああ。]
(-15) 2016/05/21(Sat) 02時頃
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(……)
(-16) 2016/05/21(Sat) 02時頃
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[ゆっくりとシルクが近付いてくる。ワレンチナの目からはふわふわと涙が溢れ続けていて、それらは近付いてくるシルクの頬や、髪や、指先を音も無く柔らかくすり抜けて、やがて海へと溶けていった。
彼の両手が自身に触れるその瞬間まで、ワレンチナの視線はシルクに真っすぐ注がれたまま――そうしてゆるやかに抱きとめられ、一瞬目を見開く。それはあまりに優しい抱擁だった。今までの何もかもを、許してくれるような――]
ふ……、う、 うわああああん。ああーーん。わあーーーん……
[ワレンチナは彼を抱き返して、大声を上げて泣いた。時にしゃくり上げ、いやいやをするように彼の肩に、胸に縋り、泣き続けた。 ワレンチナの泣き声はゆるやかな波となって広がってゆいった。その残響。反響。それらは鐘の鳴るようにどこまでも幽玄に響きあって、その場のすべてを幻のように包んだ。]
(+28) 2016/05/21(Sat) 23時頃
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『もし、ボクが男の子になったら』
[記憶の中の声がする。ワレンチナはもう、泣き声をあげてはいなかった。それでも未だ遠く響き渡り続ける――もはや掠れに掠れ、ただ不思議なノイズのようになった――声の中で、ワレンチナはゆっくりと顔を上げる。目の前には、どこまでも無垢で透明なシルクの顔があった。ワレンチナは目を見張る。]
(ああ)
『ワレンチナさんは』 『交際相手もしくはそれに類するものに』
(シルク、僕は)
『してみたいと思いますか?』
[泣きながら下唇を噛んで微笑む。シルクを見つめたまま、ワレンチナはゆっくりと首を横に振った。そうして今一度、シルクを両腕で抱きしめる。瞳を閉じ、唇を開く――]
僕は。君のような―― 無垢な子どもに、産まれたかった……
(+29) 2016/05/21(Sat) 23時半頃
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[抱きしめる腕に力がこもった。 海が揺れた。星空のように辺りに漂っていたRemdaのすべてが一瞬、一同に震えわななく。 世界が、白くざわめいた。]
(+30) 2016/05/21(Sat) 23時半頃
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