212 冷たい校舎村(突)
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[「このままではすべての皮膚感覚を失います」
選べる道はふたつ。 このまま、感覚がなくなることと いつか容態が急変することを覚悟して 感覚を増幅するための電気治療やリハビリだけをうけること。 もうひとつは。 血腫を取り除く手術を受けること。 だが、失われた分の感覚は戻らないらしい。 やはり電気治療やリハビリは続ける必要がある。 そして、この手術の成功率はかなり低い、ということ。
父も母もも自分で選べといった。 どちらでも、その選択を支持すると]
(65) 2017/03/14(Tue) 11時頃
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[どちらを選んでも、 すでに失われた分の 『触れる感覚』が元に戻ることはない。
周りにばれないように 歩くときは慎重に。 物を持つときは加減がわからないし 取り落としたことにも気づけないから なるべくしっかり力を入れて。 外に行くときは迎えに着た昴の服を見て 自分の格好判断するようにして。 そうして、"普通"の毎日を取り繕って 選択を先延ばしにしていた]
(66) 2017/03/14(Tue) 11時頃
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[もし、"自分"と"ほかのなにか"の境目が いつかわからなくなってしまうなら。
まだ、感覚が残っているうちに 終わらせてしまったほうがいいのではないだろうか。*]
(67) 2017/03/14(Tue) 11時頃
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/*
[手にしたナイフの刃先を見つめる。
ちらつくのは、幼馴染の泣き顔*]
(-18) 2017/03/14(Tue) 11時頃
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/* ホストだったら絶対治しようがないし完全になくなるんでって絶望してもらうところだけど一般人だからとてもソフトな症状になりました。
(-20) 2017/03/14(Tue) 11時半頃
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─ 朝:3年3組 ─
[チャイムの音で目が覚める。 アラームを止めるために携帯を枕元で手探りして ここは教室だったと気づき、 半目で壁にかかる時計を確認。 ――8時50分。 ずっと聞こえていたさざ波のようなすすり泣きが 神経に障る密めきに変わっている。
なんだか、聞いててイライラする。 登校はすでにしているわけだし。 もう少し寝ていてもいいだろうと あくびひとつ、耳をふさぐように寝袋に深く潜り込む。
いつものように起こされるまでは、寝ている予定*]
(117) 2017/03/14(Tue) 19時頃
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― 回想:いつかの授業の ―
[20人に1人。 そこだけ耳に残っているのは 気持ちよく寝ていたときに 周りがざわついたせい]
そんなもん、確率求めてなんになるんだろうな。 好きなもんだって、好きなやつだって そうならないように自分で選べるもんでもないだろ。
[そう呟いて大きなあくびひとつ。 ざわめきが少し止んだのを確認して もう一度寝に入った**]
(118) 2017/03/14(Tue) 19時頃
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/* 症状的にあれなので上須賀の恋愛はプラトニックにならざるを得ないわけで好きな人云々の方向性をがんばらなくてよかったかなって今思っている。
(-30) 2017/03/14(Tue) 19時頃
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[那由多の声>>122に勝手に行けとばかりに 軽く手を振って、 その手を寝袋に戻し損ねたのが悪かった。
ふわふわと眠気に身をゆだねていると すぐ側で何か声がしている。>>139
なにを言われているかは理解できない。 気持ちの良い眠気の波が意識をさらおうとする頃 ふいに腕に痛みが走った]
……っ、な、あ? 理一、てめっ。
(149) 2017/03/14(Tue) 21時半頃
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[眠気など一瞬で飛んだ。 目を開けて横を見れば楽しそうに笑っている理一が見える。 触られている感覚は薄い。 だが、さすがに腕が、肉が引き伸ばされる痛みはわかる。
ギブアップとあらわすようにべしべしと。 それはもう力加減などする余裕はないままに 理一の手を伸ばして触れられる部分を 何度もたたいた*]
(151) 2017/03/14(Tue) 21時半頃
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んなことしなくてもおきるっつの…。
[腕をさすりながら寝袋から這い出し 差し出された茶を受け取る]
授業があるわけでもねーんだし もっと寝かせとけよな……。
[ぼんやりした様子で茶を飲みながらぶつぶつ文句を言う]
昴が朝飯にパンケーキ焼くっていってたから それくいに行こうぜ。 食い終わったらおかしなところがないか、 一回校内すみまで見に行った方がいいかもな。
[理一がハンバーガーを食べ終えるころ ようやく目が覚めてきた、 ぼさぼさになっている髪をかきあげてそういった*]
(171) 2017/03/14(Tue) 22時半頃
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そうだな…そうするか。
[持ち上げられた髪。 さすがにこれでは邪魔くさい]
シャワー浴びてくる。 お前はどこ行くんだ?
[着替えにと、ロッカーに置きっぱなしの ジャージをあさりながらそう聞いて。 答えが返ってくれば何であればそうかとうなずくだろう。 そして、ジャージをもってシャワールームへと向かった**]
(195) 2017/03/14(Tue) 23時半頃
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― 教室→シャワールーム ―
そうか。 このささやき声、癇に障るから 止まるといいんだけどな。
表に出て目の前でしゃべれよって気分になる。
[3階へ行くという理一>>203に見送られ 教室を後にして シャワールームに向かう。
足元を、床を、踏んでいる感触が薄くて ふわふわと浮いているようで。 学校に着いたときはまだましだったのに どんどん、感覚が遠くなっていっている気がした。
腰元のチェーンのとげを握る。 痕がつくくらい強く。 まだ痛覚が残っていることを確認するために]
(250) 2017/03/15(Wed) 11時頃
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― シャワールーム ―
[ゆっくり、気を張って歩き続けて、 到着したときには軽く息が上がっていた。
シャワーを浴びる。 お湯が熱いのか、冷たいのか。 そもそも、自分の体に当たっているのかも よくわからない]
もう、だめなんだろうな。
[手を伸ばして壁面のタイルに触れる。 冷たいはずなのに、何の温度も感触も伝わってこない]
(251) 2017/03/15(Wed) 11時頃
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[みんなに気づかれないようにしないといけない。 特に、昴には。
そう考えて、以前病院で会った時の 入間の言葉>>236を思い出す。
確かに知らせておいて 覚悟を決められるようにしておいたほうが いいのかもしれない。
それでも]
……でもな、俺は昔から あいつが泣くのが苦手なんだ。
[呟きとため息はシャワーの音にかき消された*]
(252) 2017/03/15(Wed) 11時頃
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/* 昴のパンケーキを食う暇とそこから夜まで一気に時間を飛ばす暇あるかな…。がんばろう。パンケーキ食いたい。
(-73) 2017/03/15(Wed) 11時頃
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[シャワーを終えて、コックを閉める。 しまった感触がわからないのでかなりきつめに。
ジャージにパーカー。 腰のベルトは引き抜いて 腕にぐるぐると巻いていつでも棘が握れるよう。 ……寒そうに見えなければいいが。
髪は濡れているか乾いたのかもよくわからないので ざっとドライヤーを当ててあとは手ぐしで。 念のため、バスタオルを肩にかけて。
足が地に着かないような。 踏み抜いているような心もとない感触に 棘を握る力を強くして、廊下を歩き出す]
(254) 2017/03/15(Wed) 15時半頃
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[昴はどこでパンケーキを作っているのだろう。 食堂なのか、家庭科室か。 それとも、調理器具を持ち込んでいたであろうほかのクラスか。
歩いていると、ふとかぎなれた甘い匂い。 その漂ってくる方へ足を進めて。 鼻に集中したためかタイルの継ぎ目でつんのめる。 ――転びはしないが、力をこめたせいで 棘を握っていた手にはうっすらと赤い痣ができて。 つまさきでとんとんと、わかりもしない床の感触確かめて 顔を上げれば家庭科室から顔を出した幼馴染が見えた>>253]
はよ。
[見られていないだろうか、様子を伺いつつも 片手挙げていつもと変わらない挨拶をして。 少しゆっくり目に近づいていった*]
(255) 2017/03/15(Wed) 15時半頃
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理一に起こされた。 こんな状況なんだから好きなだけ寝ててもいいじゃねーか、なぁ?
[むすっとしながら文句を言う]
つまずいただけだろ。 心配するな。
[見られていたかと内心あせりつつ、棘の球体を強く握る]
俺が出てくるとき理一しか教室にいなかったぞ。 理一は放送室見に行くっつってた。 ほかのやつらどこいったんだ?
(258) 2017/03/15(Wed) 17時頃
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[髪を拭かれるのに合わせて少し身をかがめつつ]
ほっときゃそのうち乾くだろ。 ……ふぇっくし。
[くしゃみをして鼻をすする]
いや、風邪じゃないからな?
[いつもどおり手を引かれて 触られているのを目で確認して、 歩調を合わせて。 家庭科室の中に入って健士郎を見かければ、うす、と軽く挨拶をした*]
(259) 2017/03/15(Wed) 17時頃
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― 家庭科室 ―
強烈だったな…。
[思い出して引っ張られた方の腕をさする。 そういえば思い切りたたいてしまったが 理一は大丈夫だったんだろうかなんて、 いまさらながらに思ったが きっと大丈夫だろうと結論付ける。
あのような起こし方をされてよかったかもしれない。 ただゆすられるだけでは 気づけずに寝ていたかもしれず、 疑いをもたれたかもしれないから]
深刻そう、か…。
[もしかしたら、またマネキンが。 誰かにしか見えないマネキンのようなものがまた。 そう考えたが口には出さずに]
(280) 2017/03/15(Wed) 22時頃
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お前が伸ばした方がいいって言ったんだよな。
[伸びたと感心したようにいわれ>>265 鼻をすすりながら思い出す]
戦隊モノのヒーローが長髪で、 それでだったと思うけど。 んで伸ばし始めたら切るのが億劫になった。 結果、伸びた。
[きっかけになったヒーローの髪の長さなど すでに超えるほど伸びた髪を 邪魔そうにかき上げた]
(281) 2017/03/15(Wed) 22時頃
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[家庭科室の中に入れば 焼き上がったパンケーキのいいにおいが充満している]
へぇ…… これ、健士郎がやったのか? すげーな、きれいにできてんな。 売りもんみて―じゃねーか。 昴にも見習わせたいくらいだ。
[仕上げを担当したらしい健士郎が 何やら緊張した様子でいる>>279のを横目に 感心した声を出す]
やっぱ料理は見た目も大事だよな。 健士郎、こういうの向いてんじゃないか?
(282) 2017/03/15(Wed) 22時頃
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/* 俺の幼馴染がどこまでもかわいい。
(-82) 2017/03/15(Wed) 22時半頃
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[星形にクリームが飾られたものを選んで、 みんなが来る前にうまいとほめつつ食べ始める。
ほかに人がきたなら、 何か状況を教えてもらえただろうか。
食べ終わったところで、 あくびを一つ]
どっかで寝てくる。
[そういって、家庭科室を出ていった*]
(341) 2017/03/15(Wed) 23時半頃
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― 3階空き教室 ―
[床を踏む感覚が遠い。
俺は今、ちゃんと歩けているか。 あぁ、普通に歩くってどうやってたっけ。
棘を手のひらで転がし、かすかな痛みに まだ感覚がなくなっていないことを確認しながら、 人目につかないところを探して歩く。
ふと、文化祭のときにサボっていた空き教室が目に入った。 ここでいいかと扉を開ける。
……無数の目が、見えた]
(346) 2017/03/15(Wed) 23時半頃
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見張ってる…? いや、観察してるのか。
[黒板に書かれていると気づいて、 パーカーの袖で消そうとするが 何度拭いても、軋むほど力を入れても消えない。
諦めて、そのまま、 パーカーのフードかぶって机にうつぶせになる。
そして、軽いうたたねの気持ちで目を閉じた]
(347) 2017/03/15(Wed) 23時半頃
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[――風が通った気がして目を開ける。 見れば、窓が開いている。 入ってきた時はしまっていた気がしたが、気のせいか。 それとも他の誰かが来たのだろうか。 でも、ふぶいてると分かっていて、誰が窓を開ける?
きっと今この部屋は寒いのだろう。 だが、その感覚も今の自分にはわからない。
誰かが来たときのために閉めておいたほうがいいだろうと 近づいて、窓に手をかける。
ずるり、手がすべる。
つかめていないことが、目に入るまでの数秒。
ぐらりと視界が回る]
(349) 2017/03/15(Wed) 23時半頃
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[――失敗した。 奈落に 落ちる。 よぎるのは、幼馴染の泣き顔。
――また、泣くんだろうな。
それが、最後の――]
(350) 2017/03/15(Wed) 23時半頃
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[――チャイムの音が鳴る。 3階、空き教室の開けられた窓に ジャージを着たマネキンがもたれかかっている。 全身の表面はぐずぐずにとけ、 髪は五分刈りほどに短い。
片手のひらに腕に巻いたチェーンの 棘のついた球体を握り もう片手は、窓枠をつかみ損ねたように 中途半端に伸ばされていた**]
(351) 2017/03/16(Thu) 00時頃
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