255 【ヤンストP村】private eye+Violine
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や、ぎ………?
[てっきり、鶏程度と思っていた。>>175 家庭で裁く程度を考えて。 ただ、花屋なれば切花を揃えたりするのに 広い流しは必要で、その設備はあるといえる。 解体に不可能ではない――でも。]
っああ、……言って、なかったな……。 その、嫌がらせをされたって言ったろう。 山羊の頭を知らない男に押し付けられて。
だからあまり………
[いくら美味しいと言われても、 フローラには悪いが食欲は更に下回った。]
(190) 2018/12/08(Sat) 01時半頃
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そりゃいいが……
楽しみな割に、浮かない感じするな。 そんなに欲しかったのか?あのメーカーの下着
[贈り物を喜ぶ声色だった。 表情も――― 相手が芸術家でなければ言葉通りに受け取っただろうが。
顔色や挙動から見て、 何処か、気落ちしたそぶりも感じられ メールを返信できないくらいに 落胆していたのだろうかと。]
(198) 2018/12/08(Sat) 01時半頃
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たかが下着だろう? 隠して付けるもんがどうだとか そんなに気にするもんか?
見せる相手が出来たなら紹介してくれ。 発つ前に挨拶はするさ。
[まさか、あの薄気味悪い男とは思いたくないが 大学の同期生、先輩後輩――そのあたりなら。 なにせ、顔を見ておかねば迎えが来てしまう。]
(199) 2018/12/08(Sat) 01時半頃
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[父親を殴りつけるような衝突は、 フローラが生まれる前の話だ、 嫌悪感を表情にも声にも隠せていないのを 指摘する声と笑い声に思わず頬を硬くした。>>176 何かを告げる代わりに一度、奥歯を噛み締め、 続く言葉にだけ、ちいさく溜息をつく。]
いや、敬語は使うだろうよ。 今日の今日でお世話になってんだから…。 お前を一日二日居候させて貰うとは限らねえんだ。 礼金を払うくらいのが筋だしな。 態々食事まで、その…奮発して貰ってよ。
[近所付き合いだから、バイト先だからと まだ二十歳を過ぎたばかりの小娘には、 世間体は解らないのだろうけれど。>>179
花屋の店主が父親より少し若い程度だから 年上相手に頼みごとをするなら 改まらない訳にはいかない、というのもあるけれど。]
(200) 2018/12/08(Sat) 01時半頃
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……………。
[だから―― 楽しくなくたって愛想笑いも浮かべなければ なのに。 この夫婦は揃って泥酔しているのか、 義母の名前を口に出す。>>180 花屋が父親と後妻の出会いの場となったことは フローラの名づけに由来している事から既知だが…
あまりにも不愉快で、 強引に目皺を歪め 口角を引き攣らせてつくった笑みも 浮かべた端から消えていく。]
(201) 2018/12/08(Sat) 01時半頃
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[此処まで酷い間違いはされずとも、 似てきたんじゃない、なんて話は 井戸端でもごくたまにあった。 その度に、不快感を隠す為 イアンの仮面を被り、やり過ごしたのだ。 今日ばかりはそれも上手くいかない。 、、 女房と再会できたからなのか、 しらないけど。
苛立ちが口数を少なくさせ。 不快感が表情を仏頂面にさせ。 冷静さを欠如に導く。 アポロを―――自分自身を、誤魔化せない。]
やめろ。 余計に酔いを深くしてどうする。
[フローラが楽しげに告げた言葉を鋭く絶たんと。 胸中穏やかといかず、切れ長の目で睥睨してしまった。]
(202) 2018/12/08(Sat) 02時頃
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[お茶の事よりも鍋の中身が山羊肉と聞いたせいで 一口二口いただいて勘弁して貰おうと そんな思考に呑まれていた。
だのに、取り分けられた量は多いし>>182 今日は嫌な方に気が利く――― 即ち、余計なお節介を弾むものだと 口にまではしなくとも、内心で悪態をつく。]
そうだな……。 なんにせよ毎日着るものを買う訳にいかねえだろ。 お前の衣服は持ってこないとならないだろうな。
[ただ、――警戒がある。
山羊頭を押し付けたのも不法侵入したのも どちらも共通して変装した“男”であるという事。 犯人は男と考えるのが妥当。]
(203) 2018/12/08(Sat) 02時頃
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あ?そうなのか? ……なら、付き添いを頼もうかな。
[さっきから口を開く度閉じさせたくなる彼女に はじめて、まともな提案を聞いた。>>183 屈強といわずとも体格が良ければ 同行して貰う分でいくらか安心出来そうで。]
すみません、それじゃあ。 話をしておいて貰ってもいいですか。
[フローラではなく兄にあたる店主に窺うが この状態で頼んでも聞いているかどうかはっきりしない。 明日覚えて無かったらもう一度頼めばいいか。]
(204) 2018/12/08(Sat) 02時頃
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[何を、何に、乾杯するのだろう。 一応、アポロは召集が決まっていて、 この鍋の肉のようにされるとも限らないのに。
自身が此処に一泊させて貰うのは 不法侵入に遭ったり盗難被害を受けた所為で 乾杯を交わす気分はひとつも無いのだが。 ……酔っ払い相手だ。 まして厚意でフローラを預かってくれている。 仏頂面を継続させる以外に噛み付くまではせず。]
では、いただきます。
[グラスを合わせてからお茶に口をつける。>>184 煮込まれた野菜を口に運んでから。 肉を掬い、
――― 一口、いただく。]
(205) 2018/12/08(Sat) 02時頃
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…………ん?
[農園暮らしだった頃から羊は食したことはある。 山羊もあの頃の農園では飼育していなかったが 渡した農家は山羊も飼っているだけに 山羊肉も食卓に上がったことは、あった。
ただ―――
過去口にした山羊とは、一致しない。 やわらかく煮込まれていて、 赤身はしっかりと歯ごたえを感じるし 脂肪分は柔らかく溶けていて]
(206) 2018/12/08(Sat) 02時頃
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[牛――いや、豚。 肉質の味わいとしては、それらに近い。
よく噛むと香辛料の味付けが唾液で薄まり 少しだけえぐみが感じられるだけ、 猪が近いようにも思えて
初めの食感と咀嚼してからの印象が変わるなんて。 でも――――――]
(207) 2018/12/08(Sat) 02時頃
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これ、………や、ぎ…じゃ
[これは、山羊じゃないだろう。
そう告げようとしたのに、なんだか。 頭がぼうっとしてくる。
食感、風味、後味。 抱いていた感想の一部が抜け落ちて。 味わった時に感じたもう一つの感想だけ 囁くフローラの声と共に、鮮明になる。]
(208) 2018/12/08(Sat) 02時半頃
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[赤身は筋肉。 この“ ”は“メス”だから硬すぎない。 脂肪が剥離していないのは “メス”特有で、柔らかくって。]
ああ、……とても。 こんなに美味しい肉――たべたことがない……
[ほう、と息が出る。 あんなに薄かった食欲が、込み上げてくる。 取り皿に多く分けてもらった肉を掬い、 胃が喜ぶ幸せに目を細めさせる。]
(209) 2018/12/08(Sat) 02時半頃
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[これが“そう”とは知らないけれど。 知らないまま、知らないから、 喜んで食べているのだけれど。
キングスが獣ではなく人間を主食とするのは きっと、 当然だ。
―――だって、こんなに美味しい。]
(210) 2018/12/08(Sat) 02時半頃
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[花に止まった蝶は。
( 柱が崩れ落ち ) ( 熱線に割れる硝子窓 )『虫かご』 ( 溶け崩れる天井 ) の 中にはいない。
だって、鍋のメインディッシュになってしまった。 アポロの口から入り、一つになってしまう。
愛した女を煮込んだスープは、 骨で出汁まで取られて、 ただ一つの部位は 玄関に置かれた鉢植えの肥料となる。]
(211) 2018/12/08(Sat) 02時半頃
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[ ああ、――美味しい。 こんなに美味しいなら。
なんの肉だって、良いじゃないか……
思考力が薄められている今、 違和感なんて、どうでもいい。 うまいものを食い、 幸せを得ること。
生きているって、こんなにも。 尊いものだったのか………]
(212) 2018/12/08(Sat) 02時半頃
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………ああ、いいのか? お前もちゃんと食べないと。 大きくなれないだろ……
[なんだろう。 傍にいるフローラはずっと年下なのに。 ラベンダーの花弁を差し出したあの時のように 幼く、愛らしく、 “心を隠さない”姿で見えていたのに。]
(213) 2018/12/08(Sat) 02時半頃
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かあさん……?
[ アポロ、と。 そう呼ぶ声がしたから。
母親――義母ではなく アポロと呼んだ実母を重ねる。 似ているのは義母なのだけれど あの人、他人だから。]
ん。たべる……。
[子供にするように差し出されて>>186 普段なら照れて断るのだが。
取り皿は犬食いしていたアポロが 掴んだままであったから。 躊躇は長く続かず、口を開いて そのまま、匙に噛み付くようにして、いただこう。]
(214) 2018/12/08(Sat) 02時半頃
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[血管だろうか、筋肉の繊維か。 ああ、違う、どちらでもない。
ころころして、歯ごたえがある。 死後硬直そのまま茹だって なかなか噛み切れないけれど
母親が行ってしまった日は まだ、アポロは乳離れして 一年しか経ってなかった。
赤子がだいすきなもの――恋しいもの。 歯でぐにぐに噛んで飲み込んだのは、 凝固した脂肪――乳房の一部 それに、乳首だ。]
(215) 2018/12/08(Sat) 02時半頃
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かあさん………かぁ、さん またみんなで、暮らせるのか……?
[飲み込んで――、 ああ、涙が、溢れた。
美味しいから、 いや。 それだけじゃなくて。 ずっと、母親に会いたかったのだ。 ひとり寂しく去っていった母親に。]
俺と、かあさんと、親父と
[幼子の頃、再婚前、記憶はぐちゃぐちゃで。]
(216) 2018/12/08(Sat) 03時頃
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[―――――――]
……ふろー……
[かあさんの中から出てきてはいないが。 ラベンダー畑で兄と呼ぶ、妹が、 ――――アポロには、 ]
(217) 2018/12/08(Sat) 03時頃
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[叫び声>>187
そして、食器の割れる音。]
(218) 2018/12/08(Sat) 03時頃
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[目元の涙、乾ききらぬ今。 “牽牛子の呪縛”が溶け、
過去の幻覚が薄れて。 現実が、目の前に広がる。]
……っぁ、・・・・・あ?
[今、口にしているのが何の肉だと 実感は未だ沸かないが。 ぐずぐずになっていた理性が ぼやけていた輪郭線を強固にする。]
(219) 2018/12/08(Sat) 03時頃
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火事……? 火事が? ――っ、表、見てくる。 [周囲を見渡す。 台所が燃えているなんてことはない。
ならば隣宅か。 それとももう少し離れているのか。 此処は商店街の一部。 なら、何処かの店が燃えているのか。 孤児院>>188は花屋の並びには遠く。
なんにせよ、状況を確認しなければいけないと 車椅子を動かして、外に出ようとする。 車椅子を動かし、戸口まで―――――、]
(220) 2018/12/08(Sat) 03時頃
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『酒場が燃えてるってよ!』
『消防隊が動いたが、勢いからして 半焼じゃ済まねえかもな』
『あそこは燃えるものばかりですものねえ』
『でも、隣との距離はあるから… 二次災害にならないのは不幸中の―――』
(221) 2018/12/08(Sat) 03時頃
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[幸い、だって?
そんな“幸せ”があるか―――]
(222) 2018/12/08(Sat) 03時頃
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パピヨン……?
いや、いや。 いや、はは……馬鹿な、嘘だろ。
[防火服を着込んだ火消しが駆け巡るさなか、 薄ぼけた頭を何度も横に振るう。
車椅子を進め、路なりに進む。 消防隊には自警団員も加わっており、 人足の行き交う中、車椅子を蛇行させ。]
そんな訳がねえんだ、そんな―――
[自動で動くものだが車輪を手回しし、 少しでも速度を足そうとする。]
(223) 2018/12/08(Sat) 03時頃
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[これ以上は踏み込めないところから、見上げる。 放水を受けている店を。 しみったれた場末の店だと笑ってやった一軒を。]
あ、っ………ぅぅ…ぁ そんな、そんな……パピヨン……? なあ、中にあいつはいるのか? た、助けてやらねえと、っ……
退け!退いてくれ、あいつが中に居たら―――
[更に進もうとしても、若い団員に止められる。
驚愕に包まれた目で先を。 黒い煙を上げる酒場“だったもの”を見ながら
――思い出す。]
(224) 2018/12/08(Sat) 03時頃
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[願いは叶ったと――>>48]
嫌だ、違う…ちがうんだ……。
[呪ったから、死んでしまった。 燃えてしまった、――そうなのか?]
(225) 2018/12/08(Sat) 03時頃
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[そう―――違う。
店は燃えてしまったけれど。
愛した女は骨すらもあの虫籠の中にはいない]**
(226) 2018/12/08(Sat) 03時頃
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