160 東京村
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[そんな中で切り出された話題に、なぎさは首を傾げる。]
『リーク』…? 初めて聞いたけれど……
[噂……というには不思議な話だ。 いわゆる都市伝説とやらの類だろうか。 そういう話は嫌いではなかったので、少し興味を持った。 それに、そんな物が有れば今まさに自分の前に現れて欲しいくらいだ。]
ん、
[地面に向けていた顔を上げてみる。その視線の先には――…]
(76) 2015/05/31(Sun) 22時頃
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……。
[特に何も無かった。 と言うより、この辺に馴染みがある訳でもないので、『あるはずのない場所』が目の前に現れても気付けるか怪しい。]
……あ。もしかして。 智恵美さんは、その『リーク』を捜しているんですか?
[先程聞いた『街歩き』の事を思い出して、そう尋ねた。]
(77) 2015/05/31(Sun) 22時半頃
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[タイル張りの壁の隅に、妙に真新しいステッカーのようなものが張られている。顎にたっぷりと肉のついた二人の男の顔の絵だけが描かれたステッカーだ。正確には、二人の男の顔が融合したようになっている。髪は直線的な七三分けで、この髪形は二人の頭が共有しているようになっていた。
要するにそれは、数年前に東京中の壁や電柱に張られて世間を騒がせたとかいう、あの力士シールだった。]
まだ残ってたんだ、これ。 ………それにしても、薄気味悪いデザインよね。
[横目で見ながらぽつりとつぶやく。実際、不気味なデザインだ。最近は一種のグラフィティアートだという話になって騒動も落ち着いたらしいけれど、見る者をどことなく不安にさせるデザインであるには変わりない]
……やめやめ。じっくり見るもんじゃないわ。
[そう言って、乗り換えはせずに新宿の改札口を通り、お気に入りの中華料理店に寄る事にしたのだった]
(78) 2015/05/31(Sun) 22時半頃
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/* 香港になってるwww
(-36) 2015/05/31(Sun) 22時半頃
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[鍵を握りしめて足早に階段を降りていく。踊り場で見える空は薄暗さを増して、なんだかわからない不安が襲ってくる。足が危うく階段を踏み外して、転げ落ちるところだった。
この団地に無数ある家庭の中で、とても自分は小さく。 それは、きっとアイリスも同じで。]
アイリス……どこ行ったの
[ううん……心配なら、探せばいい。そう。]
(79) 2015/05/31(Sun) 22時半頃
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―品川駅・喫茶店―
(いつかは、行かなきゃなあ……)
[数日前のラボでの件に、『ごめんなさい』とメモした付箋だけ その場に貼り、現場をそのまま保存することに務めた私は、 以来、大学院生としての生活を送っていなかった]
…………。
(どうする? せめて電車にくらい乗っちゃう? 何事もまずは始めの一歩からって言うし……)
[熟慮に熟慮を重ねる私は、 こうして今もテーブルに突っ伏しているのだった]
(80) 2015/05/31(Sun) 22時半頃
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(アイリスのことすごく心配だし、こんなんじゃラボに戻ってもまた失敗しちゃうよね……)
(81) 2015/05/31(Sun) 22時半頃
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読書家 ケイトは、メモを貼った。
2015/05/31(Sun) 22時半頃
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― 新宿 中華料理店「香港小吃」―
[たまに一人で利用している店に入り、メニューを眺める。店内は見る限りではいつもよりも割と静かなようだった]
……すみません。白湯麺ください。
[注文を取りに来た店員にそう告げて、おしぼりで手を拭きながら運ばれてくるのを待つ。ふと開いたtwitterは相変わらず雑多な話題で満ち満ちていた。Facebookは自慢話が多すぎて自分が見ると気分が滅入ってくる。twitterの好き勝手な感じは、とても居心地が良いものだった。アイリスとかいう、どこでフォローしたのかも覚えていない(多分どこかのフォロワーのRTで知ったのだろう)ギャルめいたアカウントもその中の一つではあった]
(82) 2015/05/31(Sun) 22時半頃
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/* ほんこんはおちーは仕事場近くってことにしていいやつだなw
(-37) 2015/05/31(Sun) 22時半頃
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/* 香港小吃歌舞伎町ならぜひ行きたいんだが
(-38) 2015/05/31(Sun) 22時半頃
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そう言えば、アイリスとかいう子、最近ツイート見てないなあ。 やめちゃった?結構フォロワー多かったのにねえ。
[注文した白湯麺が届くまでの間、スマホを弄りながら次々に更新されていくtwitterのタイムラインを眺めながら、そんな事をふと考えた。 ちなみに自分のアカウントのフォロワーは百数十人くらい。主に趣味関係、いわゆる脱出ゲームの方の知り合いだ。]
ま、でもどうでもいい……か。
[結局、リアルの自分の人生に彼女が影響を与える事などないのだ。顔を合わせないまま勝手に呟き合って、勝手にやめていく。twitterは結局そう言うものでしかない。]
それを暇があれば読んでる私も、病気かもね。
[ぽつりと呟いた]
(83) 2015/05/31(Sun) 22時半頃
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……う、うん。まあね。そんなのを間に受けて探してる、っていうと、ちょっと恥ずかしいけど!
[誤魔化すように出た言葉は、沈んだ空気をかき混ぜるのにちょうどいい塩梅だった]
でも怖い噂もあって、会えなくなった人を見つけて『リーク』に入ると、そのまま出られなくなっちゃう、っていう噂もあるんです。でもほんとに入って出られなくなるんだったら、どうやってそんな噂が広まったのか、つじつまが合わないですよね!
(84) 2015/05/31(Sun) 23時頃
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店番 ソフィアは、メモを貼った。
2015/05/31(Sun) 23時頃
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/* ハーブうらない? くっそふいた
(-39) 2015/05/31(Sun) 23時頃
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ソフィアは、品川の街を、歩道を見ながら歩いている**
2015/05/31(Sun) 23時頃
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―新宿駅―
[出張……と呼ぶにはいささかラフすぎる遠出の間も、 WWWを通じて観る“誰か”の世界は 独立した物語のように進行しているから、面白い。
文字のプロフィールと72dpiの画像から浮かぶ像からは 現実味なんてまったく感じ取れやしない。]
……そこにリアルを探すんが、ええんやけど。
[物語の中に、生々しさを見出す快感たるや。
例えば「ミルフィ」のブログ。 これは「アイリス」の少女像に射す影めいている。 ひとまとめに観察していた少女たちの像。
……もっとも「アイリス」の“更新”は止まり、 物語の様相はすこし変化を見せているようだが。]
(85) 2015/05/31(Sun) 23時頃
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『調子いいね〜( ゚Д゚ノノ☆ 次は、誰かな?ミルフィかな?』
[やや遅れてではあるが『しっとブログ』にコメント投稿。 HNは「イスルギ」……たまに煽りコメントを残す 自称27歳・ライター・♂からの一方的なコンタクト。]
とりあえずは、飯やな。
[端末を弄りながら、人の流れに乗って改札外へ。 新宿駅の構内を東側へと抜けて。
どこかで食事をとろうかと、グルメサイト検索。 ランク付けの★を数えながらのそぞろ歩き。 新宿は今日も賑やかだ。*]
(86) 2015/05/31(Sun) 23時頃
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― 新宿 中華料理店「香港小吃」―
[店の裏で仲間と話していると、店長がどたどたと駈け込んで来た。 凄味のある顔をさらに怖くして、こちらへ中国語でまくしたてた。]
『休憩終わりだ!!サボってんじゃねえ!』 …なんだ寧生、てめえ来てたのか ちょうどいい バイトが一人休みやがった 暇なら今からお前入れ』
『は!? 僕シフト時間結構ギリギリっすよ!?』
[青年の文句も知らぬ顔で店長は青年の背中を ひとつ叩いて店に入るように促した。 文句を言っても中国語であれば、さして周囲に伝わるまい、と 周囲も気にせず、店長の背中へと負けじと怒鳴る]
『えっ ちょ 待ってって ほんとちゃんと計算して後で調整してくださいね!? 強制送還されたくねっすよぉ僕!?』
(87) 2015/05/31(Sun) 23時頃
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――教室――
『なんかねー、昨日のお兄ちゃんがほんとうるさくてー、なんか、なに? 好きなヒトがいなくなっちゃったんだって』
ふぅん。
[気のない相槌を打つ。クラスメイトの兄の恋話なんて、さすがに興味ない。]
(88) 2015/05/31(Sun) 23時頃
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『って言ってもさぁ、片想いなんだよ? だからそんなの忘れちゃえばいいじゃーんって言ったらぶたれてさー。ネットでしか連絡取れないくせに、ばかみたいじゃん?』
そうだね。
[ネットで連絡といえば、後でLINEをチェックしないと。 最近買ってもらったばかりのスマホは、鞄の中で眠っている。]
(89) 2015/05/31(Sun) 23時頃
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『ねぇ、ちょっと絵里聞いてんの? そんでさ、最近突然消えたんなら、流行りのゆうこさんにでも遭ったんじゃないの、人気者なんでしょって言ったら、口きいてくんなくなっちゃった』
聞いてるよ。 で、その何とかってやつ、何?
[知らないの、と驚いたみたいに聞かれる。 ゆうこさんに出会った人は、ゆうこさんのお願いを聞いてあげないと暴れ殴られ殺されるか、逃げ出そうものならゆうこさんがいつまでも追いかけてきて、走り続けるうちに行方不明になってしまう。 お願いは簡単なことから始まるが、一度聞いてしまうと一生つきまとわれる。そしてゆうこさんは、誰かの恨みを聞き入れて、苦しめるために現れるのだという話だった。]
(90) 2015/05/31(Sun) 23時頃
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[バイト仲間の憐れみの目を背中に受けながら、 青年はとぼとぼと仕方なく店に入った。 仕事着は家に置きっぱなしなので、着ないままだ。]
[厨房からぶっきらぼうに出された品を受け取って、 注文の紙を確認して席に運ぶ。]
[スマホをいじる真弓>>83の前に、頼まれた白湯麺を置いた]
お待たせしましたぁ 白湯麺す。
[今日はきっとなんか厄日か何かだ。 そう思いながら声を出せば、地味に疲れていそうな声になった]
(91) 2015/05/31(Sun) 23時頃
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……こわいね。
[ぽつり、呟く。 でしょう、だからさ、捕まったんだよ、人気者は恨まれるって。 得意げなクラスメイトの話を最後に、昼休みの終了を告げるチャイムが鳴った。 放課後まで授業を受ける。それが日常だった。 その日常がこれからも続くのか、気にしているのは自分だけかもしれないと思うくらいに。]
(92) 2015/05/31(Sun) 23時頃
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[――わたしのママは、もうすぐいなくなる。 わたしの家族はパパだけになって、ママは知らない誰かと結婚する。 わたしが知る頃にはみんな決まっていて、わたしに選択権はなかった。]
(93) 2015/05/31(Sun) 23時頃
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[浅沼絵里は、至って普通の女学生だ。 大人しく、成績も悪くなく、今のままなら志望校には推薦もあり得る。 何か問題が起きようと、教師から『あの子に限ってそんな』と意見があがるだろう。
反面、浅沼絵里は大変素行の悪い女学生だ。 帰宅するなり制服を着替え、友達と勉強をするという名目で家を出る。 PASMOをチャージするなり渋谷に向かって、街を闊歩する女子高生の妹分として可愛がられていた。 無論、中学生では正規の勤労は出来ない。絵里の財布に入っている金は、名前も知らない誰かのくれた"おこづかい"である。 終電の少し前に、帰る。週に4日か5日は、そうした生活だった。]
(94) 2015/05/31(Sun) 23時頃
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[止める人はいない。母親は毎晩のように男と出かけていたし、父親は早くても終電でしか帰らない。おおよそタクシーか、最寄りから徒歩が多い。 そして帰ってからというもの、父は母との電話――という名の、喧嘩に忙しくて、絵里とは必要最低限以下の会話しかしないのが、もうずいぶん続いている。
父親は自分のことを、ただの一度も見てくれない。 ただ自分の意志でもなく高校に上がったばかりの娘を一人暮らしさせる訳にはいかないという義務感だけで、父親は絵里を引き取るのだ。 新しい男を選んだ母親に、自分の娘を渡さない。 その思考は理解も出来た。出来たが、それでも仕事ばかりでまともな言葉を交わした記憶もない男とこれから暮らすくらいなら、絵里は母親を追いたかった。]
(95) 2015/05/31(Sun) 23時頃
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[でも、わたしに選択権はなかった。 わたしの家族はパパだけになって、ママは知らない誰かと結婚する。 わたしのママは、もうすぐいなくなる。]
(いっそママが死んじゃったとかなら、まだいいのにな)
[それなら諦めもつくのに、選択できるはずの環境で、けれど選択権はない。 それが無性に息苦しくて、わたしは外の世界へ居場所を求めている。 はじめは月に一度。だんだん増えて、今では渋谷の街が第二の家。 時に自宅で見るドキュメンタリー番組は、自分のことのようだった。]
(96) 2015/05/31(Sun) 23時頃
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/* エリんとこは離婚かー……! 子供視点楽しみですね
(-40) 2015/05/31(Sun) 23時頃
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ん、
[確かに、智恵美の歳で『リーク』なんて物を真に受けているというのは珍しい気もする。 が、そんな事を言って折角少し持ち直した空気をまた沈めるのも躊躇われた。]
わ、私も… 昔はコンビニに売ってる都市伝説本とか買ってみたりしてたから。
[と言っても、今の彼女より若い頃。 高校生だった時の事だし、内容を信じる事も無かったが。]
つじつまが合わない……のは、うん、確かに。 なんだか、オチを付け足した感がある…かも。
[まあ、この手の話なんてそんなものだろうとも思う。]
(97) 2015/05/31(Sun) 23時頃
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……その。 智恵美さんは、『リーク』を捜しているんですよね。 [つまり、]
……会えないものだとか、失くしたもの でしたっけ。 そういう何か、が……?
[個人の事情に踏み込んでいる気はしたが、気になった疑問を零した。]
(98) 2015/05/31(Sun) 23時頃
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