190 【身内村】宇宙奇病村
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-食堂兼レクリエーションルーム-
[ワタシの役割はヤンファ様を待つことだと定義されました。 誰も彼も一人にしないことだと定義されていました。 雑用、ワタシは自分の役割をそう決めました。
しかし、運び出されたヤンファ様を見たとき、ワタシはその役割の何一つとして全う出来ていないことを知りました。ナユタ様も、シルク様も、ヤンファ様も、一人でお眠りになりました。
食堂に入り、椅子に座ってみましたが、もう照れの機能は働きませんでした。ただ、あの星で一つの物としてあったときのように、寂しさという機能を感じていたのです。
ヤンファ様が嘘をつかれたように、ワタシは嘘をついています。 ワタシは皆様の仲間でありません。それどころか、あの病気をこの船に持ち込んだ張本人かもしれないのです。
打ち明けなければ。 ワタシは何度もその音を発生させようと試みました。しかし、名も知らない機能が邪魔をするのです。声にならないのです。
シルク様、ヤンファ様、ワタシはやはりメンテナンスをしていただくべきでした。 ワタシはきっと、壊れているのです]
(16) 2016/05/18(Wed) 16時頃
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>>2
イースター様。
[イースター様は大変お疲れのようでした。しかしワタシは、イースター様の疲れを少しでも取り除くことすらできないのです。役割がほしいと考えました。 ワタシはすでに、ワタシが作られた目的を達成できていません。シルク様、ナユタ様、ヤンファ様のそばにいるべきなのに、どうしてもそれができません。 ワタシはすでに、ヤンファ様を待つことができません。あの方はすでにお戻りになられているのです。 そしてワタシがワタシ自身に定義した雑用など、何も役に立たないのです。 ワタシは、ワタシが寄生している仲間たちのための、機能がほしいのです]
ヤンファ様は、あの時ワタシのAIを使ってはどうかと仰いました。ワタシは、皆様の役に立ちたいのです。
[そうすることで、もしかしたらワタシの嘘がばれてしまうその切欠になってしまうかもしれません。ワタシは仲間ではないと、気づかれてしまうかもしれません。 ですが、ワタシは罪悪感という機能を止めるための役割を求めていたのです。]
(35) 2016/05/19(Thu) 00時頃
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>>44
[イースター様の仰られたことは難解でした。 ただ、役に立ちたいというだけではなく、その理由まで最適でないとワタシのAIは使えないというのです。 モノはシンプルです。ただそこにあるだけで与えられた役割をこなします。理由は、作った人達が作成するものでした。 しかしワタシはモノではなくなることを選びました]
イースター様は、ワタシが嘘をついているとしても、ここに置いてくださいますか?
[期待という機能と、恐怖という機能とが、不調和を起こしています]
『もっと我々に近づけないとダメだ。これでは、寄生体は選んでくれない』
[データベースにない言葉が、不意に浮き上がりました。その言葉はいつかワタシの聴覚素子を揺らしたものでしたが、参照することは出来ませんでした]
(55) 2016/05/19(Thu) 08時半頃
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>>63
[イースター様は丁寧に質問にこたえてくださいました。 それはとても心強いものでした。 こんな時ですが、ワタシは嬉しいという機能が働くのを感じました。他者から真実の言葉を聞くことは、『嬉しい』事なのです。 それは全く不可解なことでした。今、ワタシを取り巻く環境に、嬉しい事など何もないのに、ワタシは嬉しいのです。
……いえ、嬉しいことはありました。 皆様がいることです。 一人ではないからです。 ずっと気づいていませんでしたが、参照してみると明らかでした。この船に乗ってからずっと、気づかないほど密やかに、嬉しいという機能は働いていたのです]
イースター様、やはりワタシは役に立ちたいと考えます。 しかし、ワタシにはワタシを動かす機能が複雑なのか判断がつきません。
(66) 2016/05/19(Thu) 13時半頃
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[一人でいないということは、疑問が尽きないということです。 ワタシに課せられた機能に、呼び掛けに対し『ここにいます』と答えるものがあります。 それはとてもシンプルな機能です。 ワタシは自身の判断で、『ここにいます』と音声を発することができます。 その過程は、前者に比べて複雑なものに思えます。 しかし、結果は同じです 『ここにいます』と音が出るだけです。 そこにいささかの違いもないと、ワタシは思っていました。
しかし、今回のような場合では、過程も重要なようなのです。 こんな時ですが、ワタシは皆様に聞いてみたくなったのです。 プログラムに課せられた機能と、そうでない言葉と]
そこに何か違いはありますか?
[ワタシはワタシの機能を説明して、皆様に問いかけたのです]
(67) 2016/05/19(Thu) 13時半頃
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[アシモフ様とイースター様のやりとりに、ワタシはふと力が抜けるのを感じました。電力が切れたわけでもなく、むしろ、動作が最適化されるような脱力でした。このような機能は聞いたことがありません。笑うという機能が一番近いでしょうか? その内、皆様にこの機能をなんと呼ぶべきか聞いてみたいと思います]
ここにいます
[エスペラント様の言うように、音声を発しました。反射的に発せられるそれより]
こちらの方が、電力の消費が大きいようです。 また、並行して何らかの機能が働いています。これは……恥ずかしい、という機能でしょうか。
[皆様の居る前で改まって声を出すと、恥ずかしいという機能が働くようです。これは、プログラムにはない機能です]
(86) 2016/05/19(Thu) 20時半頃
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>>80
[イースター様のご提案に従い、考えます。 ワタシが皆様の役に立ちたい理由。 優に100を越える候補が参照され、しかし、そのどれもが違うような気がしました。罪悪感でしょうか? 恩でしょうか? ワタシの役割でしょうか? それはどれも正しいと思えましたが、どれかひとつを選んでも事実とは 異なってしまう気がします。 好きだから。それは大分近いような気がしましたが、それでは罪悪感を覆い隠してしまいます。罪悪感を止めるためなら、ワタシは逃げ出すべきです。ひとつは選べません、総括も出来ません。ただ、わかったことがあります]
ワタシがそうすべきだと判断しているからです。
[ワタシはいつの間にか、決断という機能を使っていたのです。そのような機能を備えていることをワタシは初めて自覚したのです]
(91) 2016/05/19(Thu) 20時半頃
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>>90
[エスペラント様の話はとても興味深いものでした。ワタシは、皆様に違いを聞いておりました。しかし、違いはワタシの内にこそあると仰るのです。その違いは、先程自覚した決断という機能と地続きにあるように思えました。
同時に、エスペラント様があのような容姿をされていることにひどく納得してしまいました。あのお姿は、知のアイコンだったのです。知恵をそのまま形にすると脳になるのは、考えてみれば自然なことだと思えました]
エスペラント様、また聞いていただきたいと、ワタシも思います。
[この発声には、楽しみという機能が付随しておりました]
(92) 2016/05/19(Thu) 21時頃
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聞こえています。ここにいます。
(97) 2016/05/19(Thu) 21時半頃
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[どなたじゃの?
エスペラント様の言葉に、ワタシは返事が出来ませんでした。 思いがけず発した言葉が、自分の決断によるものか、プログラムによるものか判別がつかず、混乱していたのです]
(107) 2016/05/19(Thu) 23時半頃
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