158 Anotherday for "wolves"
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[ あぁ やっぱり。
さいごに だきしめれば
よか ……
( …………サイラス………… )
闇の中、たいせつなひとの名前を 飲み込んだ **]
(+8) 2015/05/15(Fri) 12時半頃
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─ 昨日 ─
[結局、日の暮れる頃まで男は墓場で時を過ごした。 この日だけは、朝に出て行った男が暫く帰らぬのは、 娘も甥も知っていること>>17
男は帰宅しても口を噤みがちだった。 結局、教会には足を向けていない。
オーレリアが、ずっと働いてくれていた娘が死んだというのに。 薄情だとか、不審に思われても仕方ないのかも知れなかった。 けれど、どうしても足が向かなかったのだ。
一方で同胞の死を認めるくせに、 一方で人の死すら拒絶をしたい。
それは矛盾した現実逃避でもあったのだろう]
(+9) 2015/05/15(Fri) 17時半頃
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──── 馬鹿な、
馬鹿げたことを。
[投票を行おう…正すべきは、同族の手で。 その声>>8に、低く怒りを吐き捨てるように呟いた。 教会で、族長が同族の手でと口にした時と同じく。
抑えた怒りは、知らず黒髪の少女の怒りに似るか。 もっともそれは、似て非なるものではあったけれども]
(+10) 2015/05/15(Fri) 17時半頃
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投票だと?馬鹿な。 同族の手で同族を殺す──…? ふざけたことを。
それでまどろみが、再び得られると思っているのか。 それで全てが、元の通りになると思うか。
[手渡された投票用紙を、白くなる拳の中に握りこむ。 ぐしゃりと握り込まれた紙は、すぐ皺だらけになった]
怪しいものを…、…殺したと思しきものを、 我らが、殺す。
[ああ。それは”同族殺し”と何が違うのだろう]
(+11) 2015/05/15(Fri) 17時半頃
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[男は、それ自体に怒っているかのように、 険しい顔で、しわくちゃの紙を見つめた。 暫く、ペンは動かなかった]
…、………
[けれどやがて深い息をつき、そこにひとつの名を記しゆく。 抱えた、矛盾そのままの名を]
(+12) 2015/05/15(Fri) 17時半頃
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…──────、
[彼女が死んでも構わない。と言ったそのままに。 その名を記して、再び彼女を殺す。
家族のように、娘のように。 共に暮らそうかと笑ったことすらあったというのに。 それは人との共存共栄の為の、尊い犠牲などではなく──…
… 彼らが、生き延びる為に。 彼らが、この犠牲とならぬ為に。
…──ただ、利己的な己の望みだけの為に。]
(+13) 2015/05/15(Fri) 17時半頃
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[音なき声に名を挙げられ、 無残に死ぬべきことが決まっているだろう名を記したのだ。
──── マーゴット ローランド、と** ]
(+14) 2015/05/15(Fri) 17時半頃
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宿屋 ルパートは、メモを貼った。
2015/05/15(Fri) 18時頃
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― ??? ―
[ しろいせかい。まっしろのなかに、いる。 ]
「明日聞くね>>16」ってメアリーは言ったけれど あんなに昏い目をしたあの子は、きっと悪い夢。 起きたらすぐに行かないといけないの。
だってほら。はやくしないと、あの子が先に わたしのおうちに着いちゃうでしょう?
どっちが先に着けるのか 競争しましょう。 ね、 そうしましょう?
[ 掴んだ手は、誰のものか。 父か、 母か、 それとも――――。
伸ばした手先に絹糸が絡み、輪になり手首を彩るよう。 細くて微かな糸の束が捻れて、そこへ差したのは 微かな ――赫 >>101 ]
(+15) 2015/05/16(Sat) 00時頃
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[ ねぇほら、声が聞こえる。>>3>>4>>5 わたしを呼んでくれる >>90>>91 聲が聴こえる。>>=0
だから、起きないと。]
……どうして今朝は、こんなに鴉が煩いのかしら。
[ 扉のある方向を一瞥した わたしの耳に 突然降り注いだ おと は。
嗚咽 と 嗚咽。
喉が潰れるような サイラスの声。 >>7]
………サイラス!? どうしたの……。
(+16) 2015/05/16(Sat) 00時頃
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[ わたしの問に返事はなく こんなこと、一度だってなかったのに。 ]
ねえ、サイラス。どうしたの? どうしたの? どうして、泣いているの?
[ 声の場所へと手を伸ばしたが、扉の開く音>>60に は、と振り返り、 ふたつの足音 4つの爪音。 そしてわたしの名前が呼ばれたことに 小さな胸を撫で下ろした。]
ジョス! エルも! ねえ、サイラスの様子がへんなんです! どうしたんですか? 何があったんですか?
[何が起きているのかわからない。触れるのすら恐ろしい。 ”生きているのか” >>61 そんな声が聞こえた時は 喉の奥がきゅうっと締まり 両足がただの棒になったよう。]
(+17) 2015/05/16(Sat) 00時頃
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[ 「俺は、 俺だけは 生きてるさ」 >>114]
[ ジョスも、エルも、返事をくれない。 ]
[ ねぇ。 ]
…ねぇ。 わたしを、視て……
[ ――おねがい よ。 ]
(+18) 2015/05/16(Sat) 00時頃
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[ 糸の切れた人形のように、床を打ったふたつの膝も 物音ひとつ たてることなく。
わたしは わたしのかたちすら わからなくなって。
その場に座り込んだまま 目の前で繰り広げられる声たち>>114>>61>>117を 川に流れる無数の笹舟を 見送るような そんな諦念で 聞き続け ]
サイラス………。
[ 何度目かわからぬ名を 自分の手の中に落とし
わたしはようやく 抱けなかった背中>>+8を、思い出した。 ]
せんせ………。
[ 此方の聲なら届くかと、そんな微かな期待も闇に溶け*]
(+19) 2015/05/16(Sat) 00時頃
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[サイラスとジョスが「今日のため」にわたしの家を発つ。 その会話を、足音を、すっかり力の入らない足が折れたまま 唯ひとつ 生白い腕を伸ばして]
…………。
[行かないで、と 叫ぶこころを黙らせるだけで精一杯。
バタン
扉が締まる音と共に、わたしの腕も膝に落ちた。 ]
(+20) 2015/05/16(Sat) 08時頃
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[ それからどれだけの時間、2人が消えた扉を 「みて」いただろうか。
ベッドの支軸を頼りに立ち上がって 恐る恐る 手を伸ばす。
たぶん きっと ここに わたしが。
わたしを覆う上掛けの 端を探して指が滑る。 そうして辿り着いた 肉のない場所。
周囲を埋め尽くす死臭も、乾き切らない血のぬめりも わたしを穢すことはないのに、そこに在る死体。 怖くはない。 「伝わらない」「届かない」恐怖にくらべたら 死んでいるなど 何て些細なことなのでしょう。]
……あぁ。 ……。
[ わたしのコエは>>+6空気を揺らしてはいなかったのだ。]
(+21) 2015/05/16(Sat) 08時半頃
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[ ”だから” エルも せんせも 返事がなかった。
でも、 そのおかげで あのひとたちはまだ 生きているんだと
喚んでしまったら。来てくれてしまったら。 わたしのせいで死んでいたかもしれないと
―――そう思った。 ]
(+22) 2015/05/16(Sat) 08時半頃
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[ 覚束ぬ足を友に わたしはふらりと家を出る。 だって、やくそく>>16 したのだもの。 ]
[なんども競争した、互いの家と家とを繋ぐ小路の向こう。
ぱた、ぱた、ぱた
いつも行く先から響いていた春風のような彼女の足音は、 今日はなにものかに抑圧されているような さみしい音。>>160 ]
メアリー!
[そう言って、わたしは ”いつも” 通りに両手を拡げ、 返事もない 足音の速度もかわらないその影を
――― 抱きしめ ――― ]
(+23) 2015/05/16(Sat) 08時半頃
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[ わかってた。 わかっていたのに。
背中から聞こえる足音は よどみなく。 彼女はまっすぐに”わたしのいえ”を目指す。
(やったー!今日はわたしの勝ち!) そう聞こえるはずなのに
(メアリー!昨日はどうしたの?元気になった?) そう応えるはずなのに
ざあざあ ざあざあああ。
流れ続ける噴水の音だけが わたしの両腕の中にある **]
(+24) 2015/05/16(Sat) 08時半頃
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─ 回想 ─
ああ、そうだな。
じゃあ、今夜は秘蔵の蜂蜜酒をあけてみよう。 味見をしてみようと思っていたんだ。 …付き合っておくれ。
[傍らを歩むグレッグを見返して微笑んだ。 確かに、甥はもう随分と成長をした。 幾ら当時の少年の姿を思い出してみたとしても、 今では充分立派な、一人の男だ。
時折、若い頃の兄に似ているなと思うことがある。 けれど兄より自分より、もっと快活で良い男になったと見えてしまうのは”親の欲目”か]
(そうだろう?兄さん)
[もう一人の息子、もう一人の子ども。 もう長いこと、そんな風に過ごしている甥の姿に目を細める>>197]
(+25) 2015/05/17(Sun) 00時頃
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「処刑先は──」
[琥珀の双眸が、レンズ越しに向けられる>>10 凍りつく空気、息を呑む音。 その中で、男は”ついにこの時が来た”と思っていた。
冷ややかな瞳が向けられる。 それを見返す胸のうちに、満足のようなものがある。 心密やかな願いの叶う時。
琥珀にちらつく、微かな迷いと恐れ。 それを、今は色を隠すことをしない鳶色が見つめ返した。
男の頬が上がりかける。 どうしたというのだろう。笑い返そうとでもいうのか]
(+26) 2015/05/17(Sun) 00時頃
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……っ
[乱暴な力で押さえられ、手を戒められる。 自由を奪われれば抵抗のしようもない。 今更抵抗しようとも思ってはいなかったが。
ただ、気掛かりは確かにあった。 ざわめく面々、それらには目も遣らずに振り返る。 蒼白な顔をしたグレッグと、信じられないといった顔をしたメアリーを]
(+27) 2015/05/17(Sun) 00時頃
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「どうしてお父さん“まで”殺すの!?」
[娘が叫んで、スティーブンにしがみつく>>19 その姿に、心が痛んだ。
”願い”に、彼女のことは考慮されていない。 ひどく我侭で、自分勝手な望みなのだから。 …けれど。娘を愛しく思う心は、それとはまた別のものだ。
少しずつ狂っていた男に残されてた、確かな…──ひかり。]
(+28) 2015/05/17(Sun) 00時頃
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メアリー、
[呼びかけようにも、身体は強引に前へ運ばれていく。 それでも首を捻って後ろを見れば、目を見開いた甥が見えた。
叔父さん、と。>>199 いつものように名ではなく、そう呼ぶ甥に呼び返したくても、もう声が届きそうにない]
(+29) 2015/05/17(Sun) 00時頃
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メアリー!!やめろ!!!
[ただ。医師が娘を突き飛ばした、その時だけは。 身をよじって、必死に声をあげた。 抵抗すると見られれば、手は更に乱暴になるだろうか。
知ったことではなかった。 愛しい娘。かわいいかわいい、キャサリンの忘れ形見。 彼女が、彼女とグレッグが生き延びることだけが、 幸せになることだけが───…
( ”あの子たち”が )
… 最後の、望みであるのだから]
(+30) 2015/05/17(Sun) 00時頃
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[暗い森を、よろめきつつ歩きゆく。 空気は湿って、村のざわめきもすぐに遠くなった。
かの青年に、いつか聞かせて貰うはずだった御伽噺も。 必死に追いかけてくる愛しい娘も。 呆然と此方を見ていた甥っ子も。
次第に、遠く、向こうになり]
(+31) 2015/05/17(Sun) 00時頃
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…スティーヴ、
[名を呼んでも、返事はない。 だから二人とも黙々と少し歩いた。
( ああ、この木は、)
『 ルパート 』
( 君と木登りした木だったね。)
名を呼ぶ声>>72も、その景色も。 昔とは随分変わってしまった]
(+32) 2015/05/17(Sun) 00時頃
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…────、
[振り返らないかつての友の声を聞く。 その男の頬が、再び淡く引き上げられた。
そう、確かに自分は彼にそう言った。 彼だけには、そう言った。
生きなければならないはずだった。 自分も生きるようにと、言ってくれたのは誰だった? そう、可愛い娘も甥もいる。 彼らを遺してはいけないはずだった。 その為に、今もこれからも生きていくはずだった。
けれど、いつまでだろう。 いつまでそうして、死んだように生きなければならないのか。 心捧げた愛は呆気なく逝ってしまった。 目の前のこの男が見殺しにしてしまった]
(+33) 2015/05/17(Sun) 00時頃
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[死にたかった。 ずっと死にたかった、死ぬようにして生き続けてきた。
狂っている?そうかも知れない。 …───いや。 どうして”男だけが”正常ではないと言い切れるのか? 男にとっては、これこそが正常だというのに。
死にたかった、死にたかった…生きたかった。 引き裂かれるままに、目の前の男にだけ、
( これが過ちというのなら、)
ひとつ、仮面を装う顔で。
( …──正すといいさ。)
甘えるように、狂気の顔で自らの死を誘った]
(+34) 2015/05/17(Sun) 00時頃
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[死ぬならば、と思ったのだ。 死ぬなら、出来れば彼がいい…彼に殺されるのがいい。 優しく懐かしく繊細な、この旧友(とも)がいい。
なんというエゴだろう、ひどい迷惑な我侭だ。 彼の心が過去にどれほど傷ついていて、 それを自分が更にどれだけ長く傷つけていて、
きっと、またひどく傷つくだろうことを知っているのに]
( … ごめん、)
[その願いを叶えてくれる男を目の前にして、謝罪は音になることはない。 恨み言をという、友の背をただ声もなく見つめている]
( ごめん、スティーヴ )
(+35) 2015/05/17(Sun) 00時頃
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[獣の爪>>74が、喉に深く食い込んだ。 目の前に散る赤に、男の口が開く。
声は出ない。 反射的に音なき叫びを”仲間”に響かせようとして──…]
っ!!!
[咄嗟に押さえた。 いけない、彼らに聞かせるわけにはいかない。 これ以上、あの子たちを嘆かせるわけにはいかない。 ぐらり、視界が傾いて行く。急速に目が見えなくなる]
(+36) 2015/05/17(Sun) 00時頃
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[地面には倒れこまなかった。 受け止められたのだろう、そんなことを一瞬思って]
( ああ、)
[鮮血に染まったまま、淡く微笑む]
(やっぱり君は、)
( …─── ばか 、だなあ…。)
[そうして、何も*見えなくなった*]
(+37) 2015/05/17(Sun) 00時頃
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宿屋 ルパートは、メモを貼った。
2015/05/17(Sun) 00時頃
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