130 【身内村】保留の村
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ー落書き帳ー
[道化師の構図は、もう決めてある。 片手で顔の半分を覆い隠して、もう半分は剥げかけた派手なメイク。その足元には何枚もの仮面と、彼がくれたものと同じ型の銃を。 メイクの笑顔や戯けた態度の裏側まで見抜くことは出来ない。だから、これはボクの創作に過ぎない。 黒白のみで描いたピエロは、白塗りの下で苦悩に唇を歪めているように見えた。]
[最後に機械人形を描こうとして…どうしても筆が進まずにため息をついた。彼女の姿を描くには、圧倒的に"観察"が足りていない。 仕方が無いから、代わりにイメージを紙の上へ広げることにする。 側面に大きな穴がひとつ開いたバケツを被り、両腕を広げて走る少女。顔は覆われていて見えないが、屈託のない笑い声が聞こえてきそうだ。 生前の彼女…というか、いつからあんな姿だったのか知らないけど。あの底抜けの明るさだけは、上手く表せたように思う。]
(=0) bobonon 2014/08/12(Tue) 11時頃
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ー?年後ー
[これを出してから、どれ位の年月が経った頃だろう。 出て行く者を見送り、送られて来た者を迎えては備忘録に描き込む。 同じようで違う毎日の繰り返しで、少しずつ空白は減っていった。]
…さぁて、行こうかな。
[たった今埋まったばかりの最後のページを眺めて、唇を吊り上げる。 まぁまぁ長い時間を過ごした部屋は、来た時と同じく真っ白に戻した。家具も全部引っ込めて、ボクの手元に残ったのはこの備忘録だけ。 どうせこの先には持っていけないのだから、此処において行こう。次にこの部屋を使う住人の暇つぶしにはなるだろう。]
分別了(さよなら)、保留荘。
[がらんとした室内で、誰にもとなく呟いて。誰に告げることもなく、留国を後にした。**]
(=1) bobonon 2014/08/12(Tue) 11時頃
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