278 冷たい校舎村8
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でもそれ、 罪悪感で死にたくならない?
(881) 2020/06/15(Mon) 16時半頃
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……って、一点のみを除けば、 いたって善良な礼一郎は思うんだけど。
(882) 2020/06/15(Mon) 16時半頃
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…………あ、
[ 積み上げて抱えてた毛布が、 バランスを崩して一枚落っこちた。
おそらく数字にすれば数秒間。 この世から重力がなくなったのかと思った。
意識だけでもこの場から逃げ出そうとするように、 とんでもなく目が回っていたような気がする。
取りこぼしたものを拾い上げようと、 礼一郎はとっさにしゃがんで、 ……そしたら、もう顔を上げられる気がしなかった。]
(883) 2020/06/15(Mon) 16時半頃
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[ 今すぐここから消えてしまいたい。]
(884) 2020/06/15(Mon) 16時半頃
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[ 顔から耳たぶの端まで全部、 血の気が引いたり紅潮したりと忙しい。
うつむいたままぐしゃりと毛布を掴んで、 緩慢な動作でそれを拾い上げる間中、 礼一郎は次に何を言おうか考えていた。
思い浮かんだのは、 妹が万引きしてそれでって、 大きな隠し事の一部分の切り取りで、 でも、それってとても不誠実だと思う。]
(885) 2020/06/15(Mon) 16時半頃
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礼一郎の矯正はきっと成功したよ。 たとえ、そのせいで死んじゃいそうでも。
(886) 2020/06/15(Mon) 16時半頃
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胸を張って生きていたかったんだよね。
(887) 2020/06/15(Mon) 16時半頃
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……たぶん、それ、俺。 見間違いじゃねーと思うよ。 ……あれ、妹。 万引きして……それで……、
(888) 2020/06/15(Mon) 16時半頃
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[ 言葉に詰まる。 嘘というにもひどい出来だった。]
(889) 2020/06/15(Mon) 16時半頃
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[ 結局、ほかに何も思いつかなかった。 俯いたまんまのろのろと立ち上がって、 できるだけ低く、抑えた声で言う。
もうどうしたって手遅れだろうが、 動揺を悟られるのが嫌だった。]
……なんで見てんだよ。
[ 毛布だけを一点に見つめて、 非難というか、嘆くような調子で言う。]
(890) 2020/06/15(Mon) 16時半頃
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……戻ろう、もう。
[ 3年8組の教室に。 礼一郎は一刻も早くそうしたい。**]
(891) 2020/06/15(Mon) 16時半頃
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──現在/保健室──
[ ガキじゃあるまいしさ。 だって。>>900
ガキと大人のはざまで、 ここにいるのは一体何だっていうんだろ。]
(954) 2020/06/15(Mon) 20時半頃
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ガキでもいられなきゃ、 大人になれるかもわかんねえって、 はー、悲しいったらないね、俺たち。
[ 礼一郎は朝の会話を思い出して、>>0:265 やっぱりわははって笑うんだけどさ。
大人になったら何になるんだろ。 以前の話だったなあ、なんて。>>0:318
これは、友人の仏頂面も気にしない、 明るい礼一郎からの冗談だよ。]
(955) 2020/06/15(Mon) 20時半頃
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[ そりゃ、冗談なんだから、 笑ってくれたらもっとうれしいけど。]
(956) 2020/06/15(Mon) 20時半頃
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[ うんうん、気ぃつけな。>>902
なんでもない会話が続いて、 これからも続くと思ってた。
なのに、足元がふわふわして、 呼ばれ慣れた名前さえ、遠い。>>904]
(957) 2020/06/15(Mon) 20時半頃
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……謝んじゃねーよ。
[ ──って、礼一郎は呻くように言った。
たぶん、その必要はなかったけれど、 だって、言いかけたのが聞こえた。>>910
その言葉は受け取れない。 礼一郎は受け取ってはいけない。
だって、誰がどう見ても悪いのは礼一郎だ。 他人に八つ当たりをして迷惑をかけている。]
(958) 2020/06/15(Mon) 20時半頃
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悪いことをしたら謝りなさい。 ……って習わなかったか?
(959) 2020/06/15(Mon) 20時半頃
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なあ、礼一郎。
(960) 2020/06/15(Mon) 20時半頃
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…………ごめん。 ちょっと、驚いて……、 ごめん、大丈夫だから……ありがと。
[ さっきよりも静かに思える部屋の中、 礼一郎が絞り出したみたいな声が響く。
なんかあったら聞くから。 本当はその台詞、お互い様だろって、 サンキューって、笑って聞きたかったなあ。
あいにく、今の礼一郎にはできそうにない。]
(961) 2020/06/15(Mon) 20時半頃
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[ 気を遣ってくれたんだろうか。
腹減った。なんて急なことを言う。>>912 礼一郎はといえば、 ちゃんと食べられるか不安になってきた。
作ってもらったごはんを、ちゃんと。 ちゃんと食べて、ちゃんと眠って、 正しく明日を迎えなければ。
毛布をこんもりと抱えて、 自分よりも大きくなった背を見て、歩く。]
(962) 2020/06/15(Mon) 20時半頃
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──なあ、ユキ。 俺、ちゃんと普通に見えてる?
(963) 2020/06/15(Mon) 20時半頃
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[ 3年8組の教室。
その扉の前に立つころには、 礼一郎はだいぶ落ち着いた様子で、 ひとつ確かめるように尋ねるだろう。*]
(964) 2020/06/15(Mon) 20時半頃
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/* 七星夏美の殺し方を決めかねている。
(-161) 2020/06/15(Mon) 21時半頃
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──現在──
[ 化けて出るなら誰の枕元に立とうか。 下らないもしもを一瞬考えた。>>977 そんな冗談を続けられた瞬間までは。
辰美はうなずいた。>>982 たぶん、礼一郎が望んだからだ。
曖昧な返答に降ってきた言葉は、>>984 礼一郎の想定したものではなかったが、]
……わかった。
[ ──ごめん。って付け足すのを堪えた。]
(1016) 2020/06/15(Mon) 22時頃
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[ 嫌なんじゃない。とは言わなかった。
ただただ礼一郎は恥ずかしかった。 目撃されたことが恐ろしかっただけだが、 嫌と嫌じゃないに分別するなら、 それはどちらの箱に入るんだろう。
……礼一郎にはちょっとわからない。]
(1017) 2020/06/15(Mon) 22時頃
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[ 「 だいじょーぶ 」 ──って、静かに与えられた言葉は、 礼一郎にただ寄り添うみたいだ。>>988
向けられた穏やかな目と声音に、 少なくとも礼一郎は、 ゆっくり息を吸って、それから吐いて、]
……サンキュー。
[ だいじょーぶ。ってふうに、 礼一郎らしく、教室に入っていける。*]
(1018) 2020/06/15(Mon) 22時頃
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──現在/3年8組──
……毛布が通るぞーっ と、
[ そんなことを言いながら、 礼一郎は欠席者の机の上、 運んできた毛布を重ねただろう。
今度こそ黒板に有益な情報を書くのだ。 それから、家庭科室に行ってみよう。
ひとつひとつ、 次にすることを思い浮かべながら。*]
(1019) 2020/06/15(Mon) 22時半頃
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いつも通りの礼一郎は、 ちゃんと、人間に見えてた?
(1067) 2020/06/15(Mon) 23時頃
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──現在/教室──
おー、福住。ただいま。
……あー、 ソーマ、ありがとな。 夜食にするよ、ほら。 夜中にみんなで菓子パン食おう。
[ 食べ物を粗末にしてはいけないからね。
……礼一郎はいつも通り笑えてたんだろか。 大丈夫だよ。おおよそのところはね。
七星どこ行ったかなあとか、 連城に悪いことをしたなあとか、 愛宮と綿津見の料理のこととか、 いつも通り、勝手に気を揉んでいる。]
(1068) 2020/06/15(Mon) 23時頃
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[ 黒板のほうに歩み寄ってって、 今度こそチョークを手に取る。
礼一郎の字は別に整っていない。 サイズだけは均等で、ひどい癖はない。 ああ男の子の字だね。そんな文字を、 余っているスペースにちょこっと書き足す。]
(1069) 2020/06/15(Mon) 23時頃
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