278 冷たい校舎村8
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[ 一人ひとりに弁護士が付くとか、 そこにずっと住むことにはならないとか、
HPにも書かれていたようなことを、 今度は他人の肉声で聞いていた。
ふたりで並んでいたとき、 別室に移っていく前、 妹が様子を探るように見上げてくるのが、 礼一郎には非常に気分が悪かった。
舌打ちをしそうになるのを、 家の外だからとかろうじて堪えた。]
(363) nabe 2020/06/26(Fri) 20時頃
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[ なのに、礼一郎の視界から消えるすんでのところで、 妹が立ち止まって、あんまりじっと礼一郎を見るから。]
(364) nabe 2020/06/26(Fri) 20時頃
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思ってもいない「 ごめん 」なら、 言わない方がマシなんだっけ。 形だけでも言うべきだったかな。 でも、礼一郎は言いたくなかった。
(365) nabe 2020/06/26(Fri) 20時半頃
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…………早く行けよ。
(366) nabe 2020/06/26(Fri) 20時半頃
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[ 数秒、見つめあって。 妹の背中が扉の奥に消える。]
(367) nabe 2020/06/26(Fri) 20時半頃
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[ そこから先は、礼一郎の知らない話。]
(368) nabe 2020/06/26(Fri) 20時半頃
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[ ……知らなくていい話、だそうで。]
(369) nabe 2020/06/26(Fri) 20時半頃
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[ それは妹と第三者が取り交わす契約だから。
今日こうやって訪れた場所と、 住むことになる場所はまた違うんだそうで、 妹がどこに行くのか知る権利は礼一郎にない。
待ち伏せ。尾行。 そういうことができないように、 礼一郎はそこでしばらく待つ必要があって、 指示されたからには従順に、 ぼんやりとそこに座っていた。]
(370) nabe 2020/06/26(Fri) 20時半頃
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[ 残されたスタッフが気を遣うように、 礼一郎を責めるんでもなく、 あるいは刺激しないように?
礼一郎も大変だっただろうとか、 その決断は間違いではないとか、 知ったような口をきくから、]
……いえ、別に。
[ ──と、礼一郎は静かに答える。]
(371) nabe 2020/06/26(Fri) 20時半頃
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[ 礼一郎は別に、心を痛めたことなんてないし、 妹のために何かをしようってわけじゃない。]
(372) nabe 2020/06/26(Fri) 20時半頃
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[ 単に、諦めがついただけだよ。]
(373) nabe 2020/06/26(Fri) 20時半頃
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[ 礼一郎が礼一郎として生きてくには、 正しいこと以外も背負っていくしかないんだよね。]
(374) nabe 2020/06/26(Fri) 20時半頃
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[ それだけのこと。それだけのことだけど、 友だちが死にかけて、あの場所に行って、 礼一郎はようやく諦めがついた。決心がついた。]
(375) nabe 2020/06/26(Fri) 20時半頃
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[ だから、礼一郎はあの場所と、 あの時を共した友人たちに心から感謝している。]
(376) nabe 2020/06/26(Fri) 20時半頃
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…………嘘じゃないよ。
(377) nabe 2020/06/26(Fri) 20時半頃
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それに、もう疲れちゃったんだよね。 間違いなく正しかったはずのものを、 自分の中で否定し続けるのは案外疲れる。 少なくとも、礼一郎はもうとっくに疲れてた。
(378) nabe 2020/06/26(Fri) 20時半頃
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だから、きっかけをくれてありがとう。
(379) nabe 2020/06/26(Fri) 20時半頃
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[ ………… ]
(380) nabe 2020/06/26(Fri) 20時半頃
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── / ──
[ 行きはふたりで歩いた道を、 ひとりでまっすぐに家まで帰った。
ただいまと言って扉を開く。
いつも帰りを待っている母が、 おかえりって顔をのぞかせて、 夕飯の支度をするねって言うから、]
(381) nabe 2020/06/26(Fri) 20時半頃
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あー、父さん待とっかな。 ……いーじゃん別に。たまには。 母さんもそうすれば。
(382) nabe 2020/06/26(Fri) 20時半頃
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[ 結構帰りが遅いんだよね。 よく働く会社員だから、阿東父。
それに礼一郎も塾に行ったり、 遅くまで自習室に残っていたり、 帰りの時間がまちまちになってて、
だからいつも礼一郎は、 ひとりか、母とふたり夕飯を取る。
若干いつもどおりじゃない発言に、 母はすこぅし、「 ええっ 」って驚いて、 「 お味噌汁温めかけたのに 」って言う。
礼一郎は素直にごめんと言うんだけど、 あまり気にも留めていない様子で、母は、]
(383) nabe 2020/06/26(Fri) 20時半頃
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「 じゃあ、ママもそうしよっかな 」 [ ……って、あのさあ。 礼一郎はもうとっくの昔から、 そんな呼び方していないんだし、 一人称いい加減変えてほしいんだけど。 ほんと、礼一郎が恥ずかしいんだって(笑)]
(384) nabe 2020/06/26(Fri) 20時半頃
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[ ………… ]
(385) nabe 2020/06/26(Fri) 20時半頃
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[ 帰宅した父は少し驚いてから、 まんざらでもなさそうな顔して、 手を洗ってすぐ食卓についた。
遠慮がちに「 あの病院の子は 」とか言うから、 礼一郎が大丈夫って言ったらやさしい顔をするし、
打って変わって「 勉強のほうはどうなんだ 」って。 礼一郎がわりと厳しいって言うと、渋い顔をする。
母は結構おしゃべりで、父は割と無口。 礼一郎はその間くらいだから、バランスがいい。 たぶんね。礼一郎はそう思っている。 他愛もない会話だけれど、途切れることもない。]
(386) nabe 2020/06/26(Fri) 20時半頃
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[ まだ礼一郎以外誰も気づいていない食卓で、 3人はちゃんとごちそうさまを言った。
2人はきっと、それと同時に、 どうせまた近所の公園にいるだとか、 帰ってきたら与える罰のこと、 ここにいない何かのことを頭の片隅で考えてる。]
(387) nabe 2020/06/26(Fri) 20時半頃
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[ いつぶりだろう。礼一郎は穏やかに、 食欲をそがれる何かも目に入れずに、 家族で食卓を囲めたことが、少しうれしい。]
(388) nabe 2020/06/26(Fri) 20時半頃
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[ 深夜、家の中が少しざわめきだす。 …………阿東敏美は帰ってこない。]
(389) nabe 2020/06/26(Fri) 20時半頃
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[ 妹は案外簡単にいなくなった。]
(390) nabe 2020/06/26(Fri) 20時半頃
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簡単じゃないのはそれよりあとの話。
できるだけ息をひそめるように、 他人の目から逃れるように、 両親が物事を進めようとするのを、 礼一郎はきっと、黙って見届けるだろう。
人間がひとり消えた家のことを、 完璧に隠し通せるとも思えないが、 新聞の一面を飾ったわけでもないしね。
(391) nabe 2020/06/26(Fri) 20時半頃
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[ ベッドの中で寝がえりを打つ。 ざわめきが耳を満たしていく。 なんだか礼一郎は寝付けない。]
(392) nabe 2020/06/26(Fri) 20時半頃
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