278 冷たい校舎村8
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…………笑えよ。気が狂いそう。
**
(582) 2020/06/19(Fri) 06時半頃
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――現在/購買――
[追いついてくればいいと思ってた。
背も、手も。
けれどもそんなことはありえなかったから 今辰美は、強引に阿東礼一郎の襟首を掴んでいる。]
(602) 2020/06/19(Fri) 13時半頃
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知ってるよ。>>585 そっから先行くなって言ってんだよ。
思うだけなら自由だから お前が平気って思う事だって自由だから ……でもそっから先はダメ
[だって辰美は傲慢と言われようが 礼一郎を引き留めていたかった。
礼一郎がひょいとその先に行くかも。 なんてきっと普通の人なら考えもしないが 辰美は兄を殺しかけているので少し、怖い。]
(603) 2020/06/19(Fri) 13時半頃
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[なんで。の所在を考えても誰も責任は取らなくて 結局自分のせいになるんだから、世の中って不公平だ。]
(604) 2020/06/19(Fri) 13時半頃
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[そうして礼一郎を引き留めていた腕が落ちる。 ……泣いてる、と辰美は礼一郎に思うけれど それに言及する余裕は、やっぱりなかった。
いつもだったら茶化すくらいするのに 今の辰美は情けないばかりだ。>>587]
(605) 2020/06/19(Fri) 13時半頃
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[吐き出す、という行為が初めてだ。 昔は感情の整理がつかなくて たどたどしい言葉を叫びながら泣くだけだった。
だからやっぱり話しはじめてから 降り積もる恐怖に耐えかねてしゃがむまでの間 辰美はずっと恐ろしかった。 伝わるのかとか。 お前気が狂ってるよ、って言われるかも。とか。
色々考えて、ちょっとだけ、 さっきの礼一郎の気持ちが分かったような気もする。 ……少しだけだ。]
(606) 2020/06/19(Fri) 13時半頃
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[何を考えてたかって? ……見ないふりして生きてたよ。 少しずつ迫るリミットから逃れたくて 目の前しか見ていなかった。]
(607) 2020/06/19(Fri) 13時半頃
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っ、……、ぐ……んん、 なん、だよ
[静かに聞いてくれていた礼一郎の手が伸びる。 外界から自分を守るように頭を抱えた腕を引きはがされて、 それでも嫌だと顔をあげずにいれば髪を掴まれた。
……何年ぶりだ、と辰美は思う。 思いながら涙の膜に礼一郎を映した。 ぼやけて、流れて、 ――目の前の阿東礼一郎は怒った顔をしていた。]
(608) 2020/06/19(Fri) 13時半頃
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[笑えねえ、と礼一郎は言う。 そうだよ、笑えねえんだよ。
辰美が兄に言えなかった言葉が 礼一郎の唇から出てくるので、
兄貴にそれ言ってやれてたら何か違ったかな。とか 何で許してくれるんだろ。とか そんなことばかり、頭の中で震えている。]
[ほんの少しだけ手の力が緩む。]
…………俺は。
[言葉を止める。]
(609) 2020/06/19(Fri) 13時半頃
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[静かに与えられる言葉を、 まっすぐ礼一郎を見て聞いていた。>>600
見させられていた、という方が近しいのだけれど 途中から辰美は視線をそらすことを忘れた。]
(610) 2020/06/19(Fri) 13時半頃
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[うん、俺もな、 お前がおかしな道にいくのはやだよ。 だから言った以上覚悟しとけよ。
……そういう負けん気の強い言葉は、 今は出られそうになかった。>>599
笑えねえ。礼一郎はそういったくせに 最後にちゃんと少しだけ笑ってくれたから やっと辰美は「大丈夫」だと思える。>>601
理不尽な理由で生まれてきたんだから、 理不尽な理由で生きるくらいがちょうどいい。]
[……礼一郎のかすかな微笑みが滲む。]
(611) 2020/06/19(Fri) 14時頃
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……俺、も、お前のこと、 大事だよ
しにてえとか、おもいたく、ねー……よ
でも、でも、……でも!
[衝動が口をついた。 あふれだせば涙は止まらなかった。 みっともない、と思うのに、 ただそこにいてほしくて礼一郎の肩を掴んだ。 そこから先はずっと泣いていたから、 ただしく礼一郎の顔が見れていたかは分からない。]
(612) 2020/06/19(Fri) 14時頃
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こえぇよ、 あいつのいる家にかえんのも、 継ぐのも、やだよ、こええよ 狂いたくねえよ 鏡見るたびあいつ思い出して嫌だよ 俺の知ってるやつが 知らねえうちにおかしくなってんのも無理 お前も含まれてんだよ分かってるか 分かってて「見てる」って言ってくれてんのかよ
……俺は、
(613) 2020/06/19(Fri) 14時頃
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[無様だな。と辰美は自分に思う。 まとまらない言葉を投げつけて、まるでガキだ。 消え入りそうな声でつぶやく。]
……わか、っ、てるよ お前の言ったこと、わかってるよ。
お前が俺に生きろって言うんだから、 いきてるよ。しなねえ、よ。 だからお前もちゃんとしてろよ
[ただ、もう少しだけ泣かせてほしい。
そう明言することはなかったが、 辰美はそう言い切って、肩を震わせ、泣いた。]
(614) 2020/06/19(Fri) 14時頃
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[そういえば、こんなに泣いたのは何年ぶりだっけ。 ………………ああ、俺は本当にいつも、]
(615) 2020/06/19(Fri) 14時頃
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………… 内緒にしといて、まじで
[そうして涙も涸れる頃に、 からからに乾いて、少しガラガラになった声で 辰美は居心地が悪そうにそういった。
羞恥心って最後にやってくるんですってね。 色々と自分の無様な姿を自覚してしまったので 辰美は真っ赤になりそうな顔を強引にハンカチで拭った。]
(616) 2020/06/19(Fri) 14時頃
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…………聞いてくれてありがとよ、礼一郎。
[泣いても喚いても何も変わりはしないけれど 確かに、泣いたことで恐れは軽くなっていて だから辰美は、立ち上がって まずそれを礼一郎に伝えようとして
辰美幸俊はそれに気づかなかったが―― 本当に久しぶりに、口角をあげて微笑んだ。]**
(617) 2020/06/19(Fri) 14時頃
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/* 全力なのでは 全力です
(-64) 2020/06/19(Fri) 14時頃
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――現在/購買――
[小さい頃のように蹲っていても やっぱり体格の差は出る。>>641
随分遠い昔、自分より大きく見えた礼一郎が ……もうその肩とか腕だって細く見える。
大人になる刻限は近くて、 取りこぼしていくものはたくさんあって、 取り返す時間は、そんなになくて
嫌になるな。 もっとちゃんと作ってくれよ、神様。]
(699) 2020/06/19(Fri) 20時頃
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[ひとりひとつ生まれた時に渡される箱。 ひとりひとつの小さな世界。
ひとひとりの、頭蓋の中身。
不良品取り換えてくれないかな。 あと礼一郎の苦しいのも取ってやれねえかな。
辰美はそう思うけれど、 設計者はあっさり解決>>643が お好みではないらしいので あいにくもらえるのは泣きすぎの頭痛だけだった。]
(700) 2020/06/19(Fri) 20時頃
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[……ええと。それで、そう、泣いてる。 怖い、っていいながら図体のでかい男が泣いている。
普段の辰美なら恥で死にそうだったが、 耐えていたって死んでいたんだから こちらの方が良かった。
礼一郎の手が肩に触れる。>>645 呼吸が聞こえる。 諭すような言葉が聞こえる。]
(701) 2020/06/19(Fri) 20時頃
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………… ………………
[だけども、兄と父母でどうしていくのだろう。 出ていったらあの家は。 ――過ぎる思考があって、 呵責に溺れそうな中で辰美は必死に息をする。 吸って、吐いた。]
そ、だな…… …………。出たい。
[見てる。と言われ肩を撫でられて、 ようやく雁字搦めの子供が息をする。]
(702) 2020/06/19(Fri) 20時頃
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…………うん。
[かすれ切った声でそうつぶやいた。 後はもう、自分より細い肩に触れて 辰美は静かに嗚咽を漏らすだけだった。]
(703) 2020/06/19(Fri) 20時頃
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[約束。という単語に瞬いて、 辰美は礼一郎の赤い目元を見ていた。
照れ隠しのように笑うのが なんだか礼一郎らしくて、 辰美はまねをするようにこう返す。]
ん、……約束。破ったらボコす。
[礼一郎がそういうのを 破る男じゃないのは知っているけれど。 あと、過去にボコられていたのは辰美の方だ。]
(704) 2020/06/19(Fri) 20時頃
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……?
[礼一郎が目を見開くから 辰美はぱちぱちと瞬いた。
くしゃりと笑う表情が 兄のようないやな笑顔じゃないことに、 ……それから あれだけ散々怒鳴っておいて、 2人とも謝っておしまい、じゃないことに ひどく、安心する。>>649]
[大丈夫。……立てる。]
(705) 2020/06/19(Fri) 20時頃
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[この後どうしようかなんて まだ辰美は決めていなかったから ひとまず、校舎を見て回るよと 礼一郎には伝えただろう。>>650
教室に戻って 喜多仲の人形の事を伝えてくれるなら 概ね期待には沿っているような気がしますけど。 ……ええと、辰美の期待は気にしなくていい。
散々泣いた目をこすり、 なんでもなかった……みたいは無理なので 控え目に「じゃあな」と言ったところで、
礼一郎が内緒話をしようとするから なんだよ、と耳を傾けた。]
(706) 2020/06/19(Fri) 20時頃
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[目を丸くして、 辰美は自分の頬を軽くつねる。 いや、夢かと思ったんじゃないから。
……少し沈黙した後、 辰美は「わかった」って答える。 それから一歩、二歩三歩と歩みだし]
(707) 2020/06/19(Fri) 20時頃
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[……あ、戻ってきた。]
(708) 2020/06/19(Fri) 20時頃
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おまえも、だいじょーぶ。 たまにはちゃんと悪い子に戻っとけよ。 いいんちょじゃなくて。
[戻ってきたことに気付いていようといまいと 辰美は内緒話のように礼一郎に耳打ちすると 悪童めいてくしゃりと笑い]
(-78) 2020/06/19(Fri) 20時頃
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[そのまま、もう一つ呼吸をするより先に、 礼一郎とは反対方向へ、やや駆け足で
……逃げていった。**]
(709) 2020/06/19(Fri) 20時頃
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