105 CLUB【_Ground】
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[ほぅ──と、もう一度。 ぬくむ春に溶けて消える、雪のような吐息が漏れた。]
(@120) 2013/12/22(Sun) 05時半頃
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[銀の蔓が、ティーの体温を吸ってほのかな熱を灯す。
沈黙を、間に挟んで、時間が流れる。]
───チアキ、
[最初にそれを破ったのはどちらだったか。]
……うん。 もうすぐサムが迎えに来る。
[フーの話が途切れた。 受け渡しの時間はもう間もなく。]
(@121) 2013/12/22(Sun) 06時頃
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[人間(ひと)はよわくて 自分勝手で、
穏やかに送り出そうと思っていたチアキを、 簡単に傷つけようとするくらい、
一人では隙間を埋められない、不完全ないきものだから。]
(@122) 2013/12/22(Sun) 06時頃
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[聞こえるか聞こえないか わからないくらいの小さな声で
ずっと、長いこと 自分が叶えて欲しかった願いを、口にした。]
(@123) 2013/12/22(Sun) 06時頃
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[ちいさな唇が扉に触れて離れたとき、 ティーの唇も、いのるように扉に触れていた。
果たされなかった約束。 過去になった愛。
すべてを聞いていた銀のロケットを、 冷たくなった左手に握りこみ、 同僚が、赤い包みを手にあらわれる前に ティーはひっそりと、その場を離れた。**]
(@124) 2013/12/22(Sun) 06時半頃
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測量士 ティソは、メモを貼った。
2013/12/22(Sun) 06時半頃
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―研究ルーム―
[渡されたのは、一匹の“愛玩動物”のデータ>>@88。 目を通し始めると、その視線を先導するように、読み上げる声が重なる。
最終行に記されたサインは見覚えのない名前“Frank.F”。 コピーを見ることもなくソラで読みあげた後に、紡がれ始める昔語り。そう、まるで、遠い御伽噺のように。
ただ訥々と、降り積もる雪のように深々(しんしん)と]
(@125) 2013/12/22(Sun) 07時半頃
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[スタートは20歳の世話係。 目の前の人を20歳若くした姿と、今の自分とが重なった。
世話係と惹かれあう“動物”には、データ通りの耳を持つ「兎」と、極彩色の羽根を持つ「鳥」と――…。
『愛してた』
過去形の言葉が重くのしかかる]
(@126) 2013/12/22(Sun) 07時半頃
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[奪って逃げようとした。 その言葉で、若い世話係のイメージは今の自分と分離する。代わりにもっと幼い、あの頃の自分と重なった。
どれだけ、どれだけ、どれだけ想っても。 寝付いて日に日に弱りゆく相手に、食事を与え、生きるための快楽を与え、溢れる想いを囁いても。 喪った主のために流れる涙を、止めることができなかった。 「目を合わせた相手に一生を捧げる」という、“愛(システム)”に勝てなかった18の頃。
そこが重なれば、後は必然。
お前ならわかるだろ?――…その言葉に、うなだれるように小さく頷く]
(@127) 2013/12/22(Sun) 07時半頃
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〔〔 “Who”are you ? 〕〕
[警戒した目で「兎」が紡ぐ。歌うような声で「鳥」が紡ぐ。 若い世話係“Frank.F”の、表情はよく見えない。 ただ静かに語る目の前の「彼」に集約されていく。
――そして部屋に、珈琲を啜る音だけが響く]
(@128) 2013/12/22(Sun) 07時半頃
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……っ、 俺は、
[投げかけられた問い、弾かれたように顔を上げる。 強く向けられる眼差し。心の奥底まで見透かすように。
うろたえた。 自分の偽らざる想いは、とても醜く、情けなくて。 フーに、フランクに、失望されたくないという想いが、この期に及んで口を重くさせる。
けれど、]
(@129) 2013/12/22(Sun) 07時半頃
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[ひそやかに紡ぐ打ち明け話。心の一番奥底の、情けない部分を曝け出した。 打ち明け話はまだ続き、微笑みさえ浮かべている]
立場も減俸もペナルティも、俺にとって本当はどうでもよくて。 「書き換える」存在になりたくない、それが全てだった。だから相手が、俺だけ、ただひとり俺だけを選ばない限り、俺も選ばない。選ばずにいられた。……なのに、
[途切れる声。笑みは消えて、吐息を詰まらせる。 その息を、ようやくゆっくり吐き出した時]
……ヤニクが、それを越えてきたんだ。
[震えそうになる手を、もう片方の手で握り込んだ]
俺の傍がいいって、言った。 誰が主になるよりも、商品と所員でもいいから傍にいたい。 抱き合いたい、声を聞きたいって。
(@130) 2013/12/22(Sun) 07時半頃
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……だから俺、いつもの言い訳が使えなくなった。 あの言い訳がある限り、どんなに心が揺れても、 手を伸ばさず、フィリップに操立てしていればよかったのに。
[途方に暮れたような笑み。けれど懺悔の後のような、清しい心地もして。ありのままに差し出した、臆病で自分勝手な心。そしてフランクの目を、じっと見つめる]
自分の心に向き合わざるを得なくなって、 今、あんたと話してみて、ようやく、わかった。
俺も、ヤニクの傍にいたい。 真面目で、不安定で、自己評価低くて、素直すぎるくらい素直で、甘え下手の甘えん坊で、でも奥底はとても強くて、まっすぐで、そんでとびきり優しい。 そんなヤニクの傍にいたいし、傍にいてほしい。
……なぁ、おっさん。こんな俺でも*認めてくれる?*
(@131) 2013/12/22(Sun) 07時半頃
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[話していくお伽噺は何処か遠く。 男の過去とサミュの現在が重なり、離れては、また重なる。 弾かれ上がる顔が、狼狽え。
そして、男が落とした“余談”に返るものは。 本当に、笑い話のような現実であった。
黒縁の奥を丸め、少ししてから。 緩やかに上がったのは口角。 下がったのは眉。]
(@132) 2013/12/22(Sun) 11時半頃
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[打ち明けられる、偽らざる想い。 とても醜く、情けなく、柔らかな、優しい底辺。 震えそうになる手を握り込む手に、重ねる手は この場所を離れ行くシマリスが“魔法の手”と比喩したもの。 ゆっくりと重ね、震えを取り去ろうと。 壁を殴り付けたその冷たい手で、指先を撫でた。]
――――――。
[似ていても、否なるもの。 その想いをまっすぐに受け止めて、途方に暮れたような それでも何処か清々しささえみせる彼に、男は唇を開いた。]
(@133) 2013/12/22(Sun) 12時頃
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言っただろ、お前とそいつが同じ気持ちなら何も言わんと。 認めるも何も。
[手が離れ、肩に乗り、ぽんとただ一度だけ叩く。 “背中を押す”ように。]
ただ、まだ仕事が残ってんだろ。 先ずはそれをこなせ。 ―――、――ッ、ゴホ!
[肩からも離れた手は、煙草を掴み。 白煙を吐き出して溢れるのは *噛み殺し損ねた咳だった*]
(@134) 2013/12/22(Sun) 12時頃
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[咳き込む白衣に、赤黒い染み。 モニターの向こうに泣き濡れる、虎の姿をすこし眺めて。]
ああ、そうだ。 虎の手の消毒―――ゴホッ、げほ!
[がたりと椅子に *座り込んだ*]
(@135) 2013/12/22(Sun) 12時半頃
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[重ねられた手。静かな手。 そっと震えが収まっていく。
撫でられた指先から繋がるもの。 言葉持たずに伝わるもの。募る想い。
そして打ち明けた。 それはただ赦されるための懺悔だけではなく、もうひとつの祈りを込めて]
(@136) 2013/12/22(Sun) 16時半頃
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……何も言わん、じゃ困るんだけど、俺。
[そんなことを言いながら、けれど肩に触れた手が答え。安らいだ表情でその目を見つめる]
ありがとう。これで、前に進める。 ……っておい、おっさん、大丈夫かよ!
[急に咳き込み始めたのを見て、慌てて水差しの水を注ぐ]
はいはい、もうわかった、わかったから……
[コップをデスクに置くと、仕事の話を続けたがる白衣の背中をさすり]
(@137) 2013/12/22(Sun) 16時半頃
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……なぁ、おっさん。
[背中に手を触れたまま、ぽつりと呟く]
俺が赦されていいのなら、あんた自身も、赦してやってよ。
[懺悔の中に重ねた祈り]
俺が幸せになっていいなら、あんたも幸せになっていい。 あんたが自分で願えないなら、代わりに俺があんたの幸せを願ってる。
[We wish you every happiness.]
俺だけじゃない。ティーさんも、あいつらも、みんな。
(@138) 2013/12/22(Sun) 16時半頃
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[端末に着信が入る。その内容を確認して、ゆっくりと身を起こす]
……チアキからだ。準備ができたって。
[肩に触れ、ゆっくりと手を離す。 同僚のデスクから、頼まれていた大きな荷物を取り出して抱え]
それじゃ、いってきます。 ……ありがと、おっさん。
(@139) 2013/12/22(Sun) 16時半頃
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―寮・チアキの部屋―
[そうしてやがて、チアキの部屋にノックが響く]
チアキ、迎えにきたよ。
[プレゼントを抱えて『迎え』が訪れる]
(@140) 2013/12/22(Sun) 16時半頃
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[重なる手、撫でる指先、合わせ鏡と、背中合わせ。 囁きの中に久し振りに笑みを落とす。 笑い方を忘れていたのか、喉奥を鳴らすようなものにしかならなかったが。 咳き込めば差し出されるのは水。 牛乳飲みてぇとか内心我儘を連ねたのは、秘密の話。]
悪いな、先週濡れっぱで動いたから、ゴホ! あ゛あ゛ーーーー、風邪とか勘弁してくれ。
[仕事もしにくいし、頭も上手く回りにくい。 余計なことを考えたくないと、仕事に打ち込もうとする姿勢はバレているのだろう。 よく似た、この関係の延長線上に。]
(@141) 2013/12/22(Sun) 17時頃
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[懺悔に重ねられた柔らかな祈り。 幸せになどなれない男の幸せを、願うなどと。 その気持ちを無碍にはしたくなく、けれど頷ける訳もない。]
Thanks.
[We wish you every happiness.]
充分、幸せだよ。 “お前ら”が幸せならな。
[それが嘘も偽りもない、脆い本心。]
(@142) 2013/12/22(Sun) 17時頃
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おう、行ってこい。
[通信の気配、あの小さな部屋に降るのが無音の祝福たれと願う。 部下が荷物を抱えて部屋を出たならば、もう片方に通信を。]
あ゛あ゛ーーーー、ゴホッ。 だめだ、牛乳だ、牛乳が足らんのだ。
[そう残し、立ち上がるのはVIPルームへ。 動物に風邪を移すわけにいかないが、客に移すのは大いに結構だ。 失われた牛乳成分を求める廃人は、少しだけ足をもたつかせながら歩き出す。 印刷した過去はもう一人の部下のデスクの上、書類を片付けない上司のいつもと変わらぬ *悪い癖だった*]
(@143) 2013/12/22(Sun) 17時頃
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―研究ルーム>>@141>>@142―
勘弁してくれはこっちの台詞だよ。 おっさん倒れたらうちのチームめちゃくちゃだ。
[もともと仕事ジャンキーの要素はあったけれど、ここ最近特に酷い。おおよその理由は想像がついているけれど]
ちゃんと、自分を大事にしてくれ。
[触れた背はやっぱり少し熱い気もして。
重ねる祈りの願いの前に差し出される言葉。 それは恐らく嘘のないもの。 ――…自分も、口にしたことのある言葉。
眉下げて、ひっそり息をつく]
(@144) 2013/12/22(Sun) 20時頃
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測量士 ティソは、メモを貼った。
2013/12/22(Sun) 20時頃
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[見送られて研究ルームを出て、向かうは寮の、チアキの部屋。 なぜか正座で待っていたその様子に笑み零して、二つのプレゼントを渡す]
……ん、よく似合ってる。
[ひまわり色のストールと、髪に挿した一輪の花。 「ティーみたい」……ストールに触れた時の、言葉の響きが気にかかる、けれど]
それじゃあ、そうだな、手でも繋ぐか?
[目隠しのまま歩く「花嫁」に、腕を貸してもいいのだが。 どうも似つかわしくないように見えて、手のひらを差し出した]
(@145) 2013/12/22(Sun) 20時頃
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[買い手の待つ部屋が「教会」ならば、手を取り歩むこの道はバージンロードか。 それはこの世に生を受けた日から、新たな人生を踏み出すこの日までの道のりを示すという]
チアキ、今、どんな気持ちだ?
[その時を、間近に控えた動物は、どんな気持ちなのだろう。 目を合わせたその瞬間から、一生を捧げる「愛」が始まる。 自分には未だ、その行為には良いイメージがわかないのだけれど]
(@146) 2013/12/22(Sun) 21時頃
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[僕も選んだ。その言葉に、繋ぐ手に力が籠る]
……そうか。
[照れくさそうに笑う顔に、ストールの色と揺れるひまわりがとてもよく映えた。 幸せ。その言葉は、嘘や強がりには聞こえない]
ありがとうな、チアキ。 チアキも含めて、俺の大切な人と、そして俺自身も、みんな幸せになることが俺の幸せだ。
[逆に手を引かれて歩む道。まっすぐな姿。 歩む足取りが軽くなって、初めて、自分の方が不安がっていたことに気付いた。また、救われた。そんな風に思う]
(@147) 2013/12/22(Sun) 21時半頃
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―小さな部屋で―
[その部屋には、入り口まで来ても、中へ入るのは初めてだった。「教会」なんて言われるわりには飾り気もなくて。ただ買い手が動物を待つための、小さな椅子がひとつきり]
お待たせしました。
[そうして、シメオンの前までチアキの手を引いて。 立たせると、自分はチアキの後ろに下がる。 けっしてチアキの視界に入らぬ場所へと身を置くと、シメオンに視線を向けて]
……目隠しを、貴方の手で外してください。 目が合ったその時から、貴方がこの子の主です。
[そうして後は、口を噤む。 その瞬間を、見届けようと]
(@148) 2013/12/22(Sun) 21時半頃
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―VIPルーム―
おー…つと?
[向かう部屋、既にそこに人の気配はなく。 ならば何を遠慮することもない、禁煙のそこで煙草に火をつけた。 モニターを眺めれば動物たちの様子が知れる。 虎の部屋にはフェネック、他はもう静かなものだ。 小さなあの場所で、リスの受け渡しがされている。 蛇はたった一言を残し、あの軍人に貰われていった。]
――――――。
[高級な革張りの椅子に深く腰かけて。 暫く、考え事に更ける。]
(@149) 2013/12/22(Sun) 22時頃
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