105 CLUB【_Ground】
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[いのちの長さが、違うのだ。
主人より先に、往かぬようにと、 遺伝子に加えられた操作が、 かれらから、有限を、奪う。
遺されるものの想いなど、 考えたことも、なくて。
震える吐息を隠し、 ただ、気付かれないようにと、その背を撫でた。]
……ん、
[首筋に触れる唇は冷たくて、 すこしだけ、ティーを落ち着かせてくれた。]
(@120) 2013/12/20(Fri) 02時半頃
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─通路─
[掛けた声への返事のかわりに、 寒さに震える吐息がひとひら。]
……チアキ?
[心配そうに、チアキの部屋へ足を運び、 扉をノックした。]
(@121) 2013/12/20(Fri) 02時半頃
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[神聖な場所から離れた姿は、いま虎の部屋にある。
繰り返した過ちは、時を遡らせるには充分すぎた。 数日前のバーでの会話。 数週間前に人知れず吐き出した、安堵の息。 揺れる銀を留める鎖が外れやすくなった、二年前の出来事。 虎や狼の愛玩動物をプロジェクト発案した頃。 研究チームのリーダーに昇格した時。 ただがむしゃらに仕事だけに費やした日々。
上塗りされてしまう愛。 目隠しが外される瞬間。 交わした言葉。 渡すつもりだった、銀色のロケット。
初めて出会った、あの日。]
(@122) 2013/12/20(Fri) 02時半頃
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[男は虎を抱きしめて、ただ一度だけ自嘲の息を吐く。
銀色(こんなもの)を首から下げていることも。 繰り返した過ちも。 焼け焦げた傷口も。
何もかも、言葉になど出来はしない。 何もかも、誰にも知られてはならない。 引き裂かれた古傷が痛むかわりに、虎を強く抱きしめた。]
(@123) 2013/12/20(Fri) 02時半頃
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[扉の向こうから、 ちいさな掠れた声が聞こえた。]
チアキ、さむいの?
[扉に顔を近づけて、 少し声をおおきくして、尋ねる。]
(@124) 2013/12/20(Fri) 02時半頃
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辛くても、寂しくても、抱えとかなきゃいけねぇんだ。
[それは虎に言い聞かせるようで。 男自身に、命令していく言葉の鎖。 忘れるな、そして口には出すなと。]
泣きたい時は、泣け。
[男はもう素直に泣くほど純粋でなく、歳もとった。 だから代わりに泣いてくれれば、この痛みも少しはおさまるかも知れない。]
悪かったな。
[誰に謝っているのか、なにに、謝っているのか。]
(@125) 2013/12/20(Fri) 02時半頃
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─シーシャの部屋─
[囁きを返しながら、息苦しさに、喘ぐ。
(なんてひどいことを、言っているんだろう──)
(オレは──)
(なんにも、わかってない──)
なだめるつもりで訪れた部屋で、 見えない棘は、ティーの心にも深い傷を残す──。]
(@126) 2013/12/20(Fri) 03時頃
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─チアキの部屋─
うん。 ……入るよ。
[迷子の合図に、扉を開く。
部屋の中では、小さなからだが毛布にくるまっていた。]
チアキ、どうしたの? お風呂で、水でも浴びて来た?
[あまり足音を立てないように傍へいき 体温を確かめようと、額に手を伸ばす。]
(@127) 2013/12/20(Fri) 03時頃
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[ぽつと落とす声は、雨だれのように落ちる。 遡った時間を流水のように地に落とし。 やがて雪に変わったとしても。
地面を濡らす事に *かわりはない*]
(@128) 2013/12/20(Fri) 03時頃
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>>234
水がすき?
[川や海。 どちらも流れのあるところ。
生まれた時から止まり続ける運命から、 逃げ出したいのだろうか──。
そんなことを思った。
甘える唇は、ティーの首筋に淡い痕を残し 熱いはずのそこが、なぜだか冷たく凍りついた気がした。]
(@129) 2013/12/20(Fri) 03時頃
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>>237
ッ、 チアキ、 どうしてこんな────…
[濡れたままの髪。 よく見れば、毛布から出ている部分も 水気を拭いきれていないのがわかる。
シーシャでさえ、あれほど不安がっていた。 小動物の気質のチアキは、 どれほど心細い思いをしたのだろうか。
手のひらに押し付けられる額を何度も撫でて、 スーツが濡れるのも構わず、 チアキの身体を強く抱きしめた。]
(@130) 2013/12/20(Fri) 03時頃
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測量士 ティソは、メモを貼った。
2013/12/20(Fri) 03時頃
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[置いていかれるかもしれない不安。 よき買い手に巡りあってさえ、付き纏う恐怖から 救ってやれる手立てが見つからなくて──。
シーシャの部屋でつきつけられた問いへの 納得のゆく回答も見つからないまま、 チアキに掛けてやれる言葉を、 今のティーは持っていなかった。]
いいから──、
[だから、言葉の代わりに、 抱きしめる腕に力を込めて、 押し返す力さえ、まとめて抱き寄せて、 濡れた髪を撫でながら、 チアキの額を自分の肩口に押し付けた。]
(@131) 2013/12/20(Fri) 03時半頃
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測量士 ティソは、メモを貼った。
2013/12/20(Fri) 03時半頃
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チアキ、
チアキ
…──チアキ。
[自分を否定して謝るチアキの耳許に、 しー、と、静かな吐息を伝え、 嗚咽を漏らす唇に、指先で触れた。]
(@132) 2013/12/20(Fri) 03時半頃
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ティソは、チアキの耳許で繰り返す言葉が、自分のエゴでしかないと、知っていた──。**
2013/12/20(Fri) 03時半頃
測量士 ティソは、メモを貼った。
2013/12/20(Fri) 04時頃
測量士 ティソは、メモを貼った。
2013/12/20(Fri) 09時頃
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[銀の蔓が、ずれて ふちなしの、硝子レンズの眼鏡が音もなく毛布の上に落ちた。]
(@133) 2013/12/20(Fri) 09時頃
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[ぱちぱちと、二度瞬いて 歪みない視界に、世界を映す。]
…──ぁ、
[色のない硝子で堰き止めていた現実が 音を立てて流れ込む。]
(@134) 2013/12/20(Fri) 09時頃
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[名前を呼ばれ、長年使われ続けた偽名がホンモノなのかニセモノなのか。 その境界線が薄まっているように、思う。 思ってから、“フー”で居なければと意識を向けた。 実在するという意味と、誰、という意味とを含む“Foo/Who”に。 雨垂れに重なりすぎた過去たちは、音と涙に流され行く。]
たくさん泣け、そのぶんきっと幸せになる。 お前も、幸せにならなきゃいけないんだからな。
[回される手に力が籠れば、しっかりと抱き締めてやった。 何度も背を擦り、何度も柔らかく叩き、子供をあやすように。 胸元が濡れるほど、その手つきはいつもとは違い優しくなった。]
(@135) 2013/12/20(Fri) 09時頃
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[何度も背を撫で、息もだいぶ落ち着いてきたらしい虎の喉のなる音を聞く。 それしか知らない、そうするために作られた命だ。 行きつく先は当たり前だというのに、どこかすこし微笑ましささえ覚えた。]
我慢しなくていいぞ。
[ティーの時とは逆の言葉を告げ、男の手は虎の背中をゆっくりと撫でる。 尻に行き着けば尻尾の付け根をなぞり、緩く握り。]
可愛い声、聞かせてくれるか?
[握ったままするすると尻尾を滑らせて 先端を冷たい掌で *包み込んだ*]
(@136) 2013/12/20(Fri) 09時頃
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[鳴いている。
おとなの身体に、 成長しきらないおさない精神を抱いて、 こんなに健気なのに、 まだ、自分を否定して。
いのちは、そこにあるだけで 神秘的で美しいものなのに────歪めているのは。]
(@137) 2013/12/20(Fri) 09時頃
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─シーシャの部屋─
[流れて、消えてゆきたい、と。 なんでもないことのように言うシーシャに、 また、心臓を掴まれた心地。
喉元に、温度。 噛み殺すような衝動は、備わっていないけれど、 カメラにそんな姿が映れば危険と判断されかねないから]
…──、 ぁ、シー、シャ
[あまい、声をあげて ただ戯れているだけだと、示す。
冷たい唇。 熱い舌。
温度差に、血が流れ出している錯覚を覚えた。]
(@138) 2013/12/20(Fri) 09時半頃
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[なんにも悪くないのに、 どのこも、このこも、自分が悪いかのように言う。
いい子たれと、 正しさを押し付けられた結果か。]
…………ん。
[ひとりになりたくないはずなのに、 自分から距離をとって、離れていく。
そんなところまで、“いい子”。]
(@139) 2013/12/20(Fri) 09時半頃
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[立ち上がり、シーシャの部屋を出る。
噛まれた喉に指先で触れてみたけれど、 血が流れていると思ったのは、やっぱり錯覚だった。**]
(@140) 2013/12/20(Fri) 09時半頃
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測量士 ティソは、メモを貼った。
2013/12/20(Fri) 09時半頃
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[扉が開く音に、歌が途切れる。仲睦まじく寄り添い歩く2人。 ゆっくりと立ち上がり、白衣の裾を払って。 誰、と零す狼の子に目を細め、口許はゆっくり弧を描く]
この度は、ご成約おめでとうございます。
[かける声は、2人へ]
上司は急な呼び出しが入りまして、私が代わりの見送りに。 ……レシピ、届きました?
[声は穏やかに。 そして狼の子に視線を向けて、小さく頷いた]
(@141) 2013/12/20(Fri) 10時半頃
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っはは、うるせぇ。
[似合わない、と言われて表情を緩める。 買われた後の動物を、買い手を待つ動物を、それぞれ見たことは数あれども。まだ研究所員としての経験は浅く、その如実な変化を間近で見届けたのは多くない。
瞳を暫く見つめた後、零すのは小さな吐息]
(@142) 2013/12/20(Fri) 10時半頃
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ああ、お前に渡してたのか。
[広げられたレシピを覗きこむ。 上司に託した、ロールキャベツのレシピ。
そしてそこに書き添えられた文字に、目を見開く]
……っ、の、おっさん
[浮足立って、上司の立ち去って久しい廊下の向こうを振り返る。垣間見てしまったあの表情を、思い出して。 息を鎮めて、再びテッドを振り返る]
……まぁ、そういうことだ。 それは、お前の御主人からのプレゼントで、 俺達からの、餞別だ。
[それもきっと、主とともに食事を重ねるうちに、 寮での懐かしい味から、主と食べる気に入りの料理へ、 意味を変えていくのだろう。 きっとそうなっていくし、そうであるべきだから]
(@143) 2013/12/20(Fri) 11時頃
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[動揺して零した言葉で、テッドにも、ミナー氏にも、何か察されてしまったらしい。 少し頭を抱える。もう余計なことは何も言うまい]
ん。頑張れ。
[主人とひそやかに言葉を交わし、尾を揺らす様子に目を細めて。 他の動物を気にする様子には、頭を撫でようと手を伸ばして、やめた]
そっちは気にすんな。 そのために俺達がいるんだし、 お前はただ、御主人と幸せになることだけ考えてりゃいい。 それがゆくゆくは、他のやつらや、俺達の励みにもなる。
[最後まで、他の仲間たちと名残りを惜しんでいたテッド。 気にするなといっても無理かもしれないが、引き摺らずに済むよう、力強く言い切って]
(@144) 2013/12/20(Fri) 11時半頃
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[爆発したミナー氏を、生温い笑みで眺める。ついでにテッドまで爆発している。 なんというか、こう、テッドは間違いなく楽しい生活ができそうだ]
……ごちそうさまです。
[生温い笑みのまま。うんうん、と頷いた]
それでは私は、ここで。 ……お幸せに。
[同僚が鶯とその主に同じ言葉をかけたとは知らず、けれどこの言葉が一番似つかわしく思えた。 VIPルームへと向かう両名を、その姿が見えなくなるまでその場で見送ろうと]
(@145) 2013/12/20(Fri) 11時半頃
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―研究ルーム―
[見送りを終え、戻った研究ルームで息をつく。 端末に届いたメッセージ。その内容を見て、モニターに目をやった。 確認した先、チアキの部屋にはすでに同僚が居て、そのことに安堵の息をつき]
……、
[少し考えて、研究ルームを出る]
(@146) 2013/12/20(Fri) 11時半頃
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―寮・ヤニクの部屋―
[途中、調理室に寄って、鍋に火を入れて料理を温めなおした。 トレイに深皿ひとつ乗せて、向かうのはヤニクの部屋]
ヤニク、起きてるか? 中入るから、目隠しつけてくれ。
[返事はあるだろうか。まだ湯気のたつ皿を抱えたまま反応を待つ]
(@147) 2013/12/20(Fri) 12時頃
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ん、
[返事を受けて、部屋の中へ。 目隠しをしていても、甘い香りが届くだろう]
チアキの方には、ティーさんが行ってる。 ……お前、飯食ってないだろ。給食係にはバレてんぞ。
[隣に座って、トレイを膝に乗せる。 皿の中身は、林檎をシナモンで甘く煮た温かいデザート。 フォークで切り分けて、ヤニクの口許へ持っていく]
とりあえず、食え。
(@148) 2013/12/20(Fri) 12時頃
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ん。
[おいしい、の声に、目を細める。もうひとつフォークにさしてまた差し出す]
ひもじいのと寒いのは、考えを悪い方にばっかり持っていくからな。 こういう時こそ温かくて美味いもんで、腹をいっぱいにするもんだ。
[チアキとのことを、まだこちらからは尋ねはしない。 親が子にするように、一口一口手ずから食べさせて]
(@149) 2013/12/20(Fri) 12時半頃
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