29 Sixth Heaven
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―― …
[言葉がかぶさる。>>170 だから、最後のほうは消えるように届かない。 少しだけ俯き、額に髪が落ちかかる。 隠し切れなかった苦悶が眉間の皺に滲む。]
推測だ。最後の、方は。
…私は…私の友はこのシステムに殺された、そう思っている。 故に、拒む気持ちが大きい。今も。 あの、ペラジーの様子を見て、 もう一度接続せよとは――……謂えない。
だが、このシステムが世界を平穏に保つのに 不可欠であると、…システムを拒むことは 今の世界を壊すのと同義であるのもまた理解しているつもりだ。
[矛盾している。スティーブン自身も分かっているのだろう。]
(172) 2011/04/20(Wed) 01時頃
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……私の話はこれで終わりだ。 何か、質問があれば、知りうる限り答えるが……
……システムは、入るを拒むことも また自由だと、告げては、いる。 どうするかは、君たち次第、だ。 私には、こうしろ、と謂うような権利も…権限も ない。
(173) 2011/04/20(Wed) 01時頃
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―個室11―
[少女が、泣いている。 包むように少年が彼女を抱きしめて]
…――。
[>>174スティーブンは頷く]
管理者は、分からないが。 器となった者は、恐らく。
[敢えて口にすることはしなかった。 フィリップの翠へ藍を向け]
――そういうことだ。 あの時は、言葉が足らない箇所もあったろう。すまないな。
(180) 2011/04/20(Wed) 01時半頃
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[フィリップの言葉に頷き、眉を寄せたまま苦味を帯びた声で>>179]
――そう…。 世界、の外にいるわけがない。 「器」とされたものも、 「管理者」として選ばれたものも。
それなのに、犠牲の上にしか世界が成り立たない…。 既に歪んだ平穏だ。けれど、上の誰も、それを知らない。
……恐らくは、選ばれたものも 多くが何も知らないで…――
[>>181 ――鋭いフィリップの叫びが響く。 スティーブンは少し俯きがちだった顔をあげて言葉を切り。]
(182) 2011/04/20(Wed) 01時半頃
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…――、
[ムパムピスの方も、見て。 彼はどんな表情をしていたか。 スティーブンはムパムピスが抱くパピヨンへの憧憬を知らねど、知り合いらしきことは把握していた故、思うところはある。反応があれば、答えるが――]
…つらい話であったろう な。 少し、落ち着いたら。部屋で…休むと、いい。 そして、考えてほしい。
勝手な、話だが。 私は――……、…長きに渡り探して、再会できたという君たちに…幸せがあればいいと、思っている。
まったく、勝手な話、だが。
(184) 2011/04/20(Wed) 01時半頃
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…ああ。
[フィリップに頷き、扉を開き、道をつくる。 ムパムピスもまた、この場を辞すであろうか。]
(186) 2011/04/20(Wed) 01時半頃
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―個室11―
……ん。
[頷いて。寄り添う二人と、 物静かで控えめな青年を見送る。
スティーブンは彼らが十分に遠ざかってから 閉めた扉に腕を重ねて体重を預け、 深く、深く、息を吐いた。]
――……、己か。…世界か……
[少しだけ声は掠れていた。 少女が泣いていた。少年とやっと再会できたのに。 控えめな青年は聞いていた。きっと脳裏に浮かぶのは 彼の担当する器の女性であろう]
(192) 2011/04/20(Wed) 02時頃
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[彼らはどのような答えを出すだろうか。 まだ、話を聞きたいと謂っていた者がいた、か。 そう、話さなければ。 何も知らないよりは、きっと―― 否。どうなのだろう。 何も知らないままのほうが?]
…よかったのだろうか、分からない、な …ギルバート…
[呟く、もういないものの名前。 「もうつかれた」 そう謂ったヘンリエッタという名の「器」は 己がどうなるか、知っていたのだろうか。 それを見て、己の友は何を思ったのだろうか、と]
(194) 2011/04/20(Wed) 02時頃
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―個室11― ――…、…
[ずる、と。少しの間、その場に座り込むような格好。 伏せた藍は、少しだけ揺れていた。
――生きて、いるのに。 ――どうして。 眼を閉じ、思う。聞こえる、時計の音。 チク・タク・チク・タク 止まりはしない。
器に、繋いでほしくない、と思う心がある。 今去っていった少年と少女、 己が担当する、生気のぬけたような青年と 聖書の間に挟まれた妻子の姿を見てしまった、 チャールズに対しては、特に。 けれど彼はきっと、真実を知ってしまえば 尚のこと、戻れまいか。]
(198) 2011/04/20(Wed) 02時半頃
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―個室11→廊下/待機室へ―
……―― こういうのを、「survival lottery」と、 謂うのだったか。 …「人がつくった世界」はどこまでも、残酷だ。
[ぽつり、呟く声は静かに落ちる。
――ややああって、スティーブンはゆっくりと立ち上がる。 ペラジーを待機室に置いてきたままだ、と。 ふと、鞄に触れ、預かっている聖書に触れた。 藍に落ちた影、眼を閉じて、開く。 待機室に向かって歩き始めた。]
(206) 2011/04/20(Wed) 08時頃
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―待機室―
[時は、幾らほど経過していただろうか。 ラルフに少し遅れたころか。 扉を潜って頭を下げる。 ペラジーの元に歩み寄る。眠っていた。]
―…眠ってしまったのか。…、…。
彼を見ていてくださったのですね。 ありがとうございます。
[チャールズとパピヨンへ、礼を謂う。]
(208) 2011/04/20(Wed) 08時頃
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…そうですか。
いえ。 かれは、ひとと会話すべきだ。 …少しずつ、「怠惰」で薄れていた意志を 取り戻しているように、見えるから。
――出た、 後の …話し、ですか…
[スティーブンは少しだけ眼を伏せた。]
(211) 2011/04/20(Wed) 08時頃
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笑みを――――…
[ペラジーを、見る。 彼もまた、辿り着く先を知らないのだ、と。 先があればよかったのに。彼に。彼らに。]
―――貴方の語り口調もあってかもしれません。 私では少々、堅くていけない。
[生真面目な声は確かに硬質。 続く言葉に、チャールズの方を、見て。驚き滲み]
―――ッ、… ミスター・チャールズ、…
(213) 2011/04/20(Wed) 08時半頃
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スティーブンは、引き留めるようにか、僅かに指先動くも―――
2011/04/20(Wed) 08時半頃
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ああ… マダムは 孤児院で勤めていらっしゃるのですか。 それで――――
[確か、ムパムピスは 彼女をマム、と呼んでいたか。 ますます思う。人々に求められる人が何故、と。]
――――、… 肩の力を、ですか。 懐かしい、昔友人にも謂われたことがあった。 …肝に命じておきます。
[少し、ほんの少し苦笑じみた表情を浮かべてから]
それは―――…、
[少し、口ごもり。チャールズを、そしてパピヨンを見た]
私の知る話を、貴方は、…貴方がたは聞きたいと望みますか。
(215) 2011/04/20(Wed) 09時半頃
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スティーブンは、パピヨンへは、ムパムピスから話があるかもしれない、とは付け足したろう。
2011/04/20(Wed) 09時半頃
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……――。
[肯定でも否定でもない、 委ねてくるような答だった。 スティーブンは言葉につまる。
――どちらなのだろう。 最早あちらに行くしか無い、 戻れはしないと吐露する者に 更に絶望を募らせて、それは、果たして。]
難しい、問題です。
[藍の眼はやや伏せて、 スティーブンは、己の鞄に手を触れ 一度視線をそちらへ向けた。]
(217) 2011/04/20(Wed) 10時頃
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―待機室― [暫し、黙してから]
…挟まっていた写真を見ました。
[続く言葉は、また違う話題。 くすんだ金の髪、眼鏡を掛けた女性、 彼の妻と、こどもの写った写真。 確かに少しだけ髪の色などは己に似ていたか。 気の利いたことはやはり言えないまま]
確かに、あれはお預かりしましたが、 写真だけは、 …貴方が、持つべきではないかと。
[絶望にさらに絶望を募らせないことを撰んだか、それでもなにか堪えるようにしながら、尋ねた]
(220) 2011/04/20(Wed) 10時頃
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―少し前/個室11でのこと>>219― [ムパムピスに尋ねられたときのことだ。 ――私は。言葉の先、まだ少し迷いは残り]
私は、…このシステムを 拒む気持ちが大きい。 接続させたくないと、 そう、思う気持ちに傾いている。 それは償う事かなわぬ重い罪となると 理解もしている。
――管理者は替えがきく。 私だけが拒んでもそれはまったく意味のないことだ。代わりが来るだけだからな。「器」を、開放…しなければ。
けれど、…無理やりにでは、何の意味も、ないな。それも分かっている。
[彼はどんな顔をしたであろうか。そののち。扉は閉ざされた。]
(221) 2011/04/20(Wed) 10時半頃
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[そう。
無理に「器」たちを外へ出したところで その罪の重さに、呵責に耐え切れず 潰れて、壊れてしまっては何の意味もない。 誰も救われない。 誰も。
秘密はあまりに重い。 管理者だったギルバートは ひとりで命を絶ってしまった――。]
(222) 2011/04/20(Wed) 10時半頃
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気分の良い話ではありません。 ……私は器が此処に接続することを、 よしとは思っていない。
その 理由ですので。
[感情を抑えると声はまた少し硬い響きか。 プログラム通りに動くねずみが、 ちらりとどこかで動いたようだった。 チャールズの黒檀がこちらを向く。]
……。そう、ですか。 では、…このままで。
[暗い色、小さな笑いに拳を握りしめた。]
(224) 2011/04/20(Wed) 11時頃
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―待機室>>225―
…そうです。 接続させたくない、もし実行したなら 世界に大きな打撃を与えることも承知の上で。
[頷きと共に肯定する。 ほぼ、これで察しが付いてしまうだろう。 最後の「始末」までは分からなくとも。]
…、……。
[任を――終える。 拒む己はどうであろうか。 けれど、約束はたしかに果たしたいと考え]
…できるなら。何でしょうか。
(229) 2011/04/20(Wed) 11時頃
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―待機室―
…――。 これは私の我侭なのでしょう、が。
[眼を閉じ、拒絶しながらも 迷いもある。どうすればいいのか。 答えは見えない。 同じようにメインルームの映る スクリーンへ眼を向ける。だれもいない。]
…父と母がおります。 結婚は、未だしておりませんので。
(232) 2011/04/20(Wed) 11時半頃
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―待機室―
…――、そうなのですか。
[父母の顔を思う。 続く言葉に、チャールズを不思議そうに見て]
生憎と、私の性質のせいか縁遠くて。 …、…?
[スティーブンは、 心の機微には少々疎いようだった。 気にかけて欲しい、との言葉には頷いて]
――、…わかりました。
[彼を失った彼の妻子は ひどく悲しんでいるのだろうと、 そう 思いながら。眉を寄せた。]
(239) 2011/04/20(Wed) 12時頃
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――、ええ。
[頷く。 立ち上がれば やや見上げるようなかたちとなるか。]
抑えこまれていた、 吸い上げられていた感情ですね。 此処にあるときが、ひと本来の在り様と…言えるのか。
[それから、緩やかに首を振る]
器の意志を確かめ、 繋がぬよう向けるしかないと思っています、 無理矢理に連れ出しても 酷い結末しか見えないのです。
いえ、どう選んだとて 行く先は…茨の道だ。
(241) 2011/04/20(Wed) 12時半頃
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[わらう顔を見上げる。 藍色は微か陰り]
それは、そうだ。 貴方も謂ったでしょう、 人の子なのだから。
そう、この任に進んで就きたいものなど、居るわけがない。
…このテクノロジーは卑怯だ。 ほんとうの、肝心なところは隠されている。 そうしなければ人は従わないのでしょうし、造った者の考えもわからないわけではない、が、これは、あまりに――――。
(246) 2011/04/20(Wed) 14時頃
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そのようなつもりで 謂っているわけではありません。 知らないのは器だけでない。 管理者である 私たちも、 地上にいるものたちも。
[眉を寄せる。]
…世界に、属する個人。 同じ、ひとであると思っています。
―――どうしてこんな、 ただ静かに生きているべきような人々がこのような目に遭わなければならない。
(249) 2011/04/20(Wed) 15時半頃
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そう、待っているひとがいるのに、です。 貴方も、マダムも。 既に接続してしまった、トニーにも。
[自由。聞いて、首を横にふる、緩く]
…っ、 違う。違うんです。 器は、任が終わったら 私たちが―――― 、っ
[一歩進んで、 言葉が最後にいくにしたがい上ずったように――途切れた。口走りそうになって、こらえた。]
(251) 2011/04/20(Wed) 16時半頃
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…、申し訳ない 失礼を
[眼鏡を指で押し上げながら顔をそらした。]
(253) 2011/04/20(Wed) 16時半頃
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―少し前から…待機室:大部屋―
――……。
[>>252哀れ。どうなのだろうか。 スティーブンは、考えた。けれど。]
天秤に乗せて どちらと比べることなど出来はしない。 ……自ら命を絶った管理者も、 居るというのに。
[最後の方は届いたかどうかは分からない。 ムパムピスとベルナデットが戻ってきたから その音に消えてしまったかも知れぬ。 器「色欲」の管理者。 彼女はまだ何も知らないのだ。 背を向け、ソファに座った。 寝転がるペラジーも見えた。]
(265) 2011/04/20(Wed) 20時半頃
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―待機室―
…―― …。
[掛けて、去っていく ベルナデットの背を見る。 浮かぶその表情は、複雑なもの。
一度、己の担当である器の青年へ視線を向ける。 ペラジーはまだ目を覚まさない。]
(269) 2011/04/20(Wed) 21時頃
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――ミスター・チャールズ……。
[彼へと顔を向ける。 パピヨンは、どうしたであろう。 扉向こうへ彼が去っていったなら、 ソファの背もたれに体重を預けて俯きがちに眼を閉じた。手は祈るように組み合わせて膝の上。]
哀れ か
[ぽつり、呟く。
己の知る事実を聞いた 彼らはどうしたであろうか。]
(271) 2011/04/20(Wed) 21時頃
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