88 めざせリア充村3
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えー……もう今日はないっていったじゃん。
[幸せ気分を壊してくれる研究員の一言。 せっかく満腹になってお風呂にも入ったのに…と 不満気に返したところで、 無言で見下ろされるだけだった。
予定がころころ変えられるのなんていつものことだけど、 こういう突発的に入るのは、嫌いなアレ。 今日は別の実験をやったからないと思ってたのに。
必ず実験には参加するようにと教えられているから、 黙ってついては行くけれど、 初めてやった時は泣いて嫌がった。そんな実験。]
(334) 2013/06/26(Wed) 23時半頃
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― 実験場 ―
[今日は動かない人だった。 台の上に、たくさんの細い管をつけられて横たわり、 管の先にはモニタがついて波を刻んでいる。 仮面を被っているから顔は分からない。]
………。
[ヤニク相手にやっているのは、コントロールの練習。 金属を相手にやっているのは、動きと腐蝕速度の向上。
じゃあこれは? 金属相手にするのと何が違うの? 同じならやらなくったっていいじゃない。 その疑問には答えるのは、いつも無機質な実験開始の合図。
手袋を外して、指先を向けるのは心臓のある場所。 内臓の位置は把握してる。この実験で、全部覚えた。]
(339) 2013/06/26(Wed) 23時半頃
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― 最初の実験 ―
『ここにいるためには必要なことだ。』 『他の誰もがやっている。』
[初めてこの実験をやった時。 泣いて嫌がる耳元で聞かされれば、 嗚咽を漏らそうと吸い込みかけた喉が変な音を立てた。
普段つけている手袋と同じものをつけた手に腕を掴まれ、 むき出しにされた上半身に落とされる。
ぐじゅ、と皮膚が破れ肉がただれ、 黒い液体が開いたどろりと穴から零れる。 引き攣れた嫌な声が小さくなるにつれて、その量は増えて。
声が消えて手が完全に埋まるまで、手をどかすことは 許してはもらえなかった。]
(-251) 2013/06/26(Wed) 23時半頃
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[一瞬だけ感じた温度は、自分の体温があがっていたからか 冷たく感じた。 少し力を込めるだけで、薄い体にあっけなく手は沈んでいく。 もがく体は拘束されているから動かない。 溶けた骨の隙間にある臓器まで手が触れれば、 モニタの波が不規則に乱れて。
そのまま、と指示を受ければ少し手を引いて待つ。 不規則な波が打つ度に、目の前の体が揺れて。 呻き声が耳を通り抜けて。
許可が出て、ぐ、と強く手を押し付けたところで、 静かな線になった。
いくつかの指示の後。 目の前に“次”が用意される。]
(341) 2013/06/26(Wed) 23時半頃
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[実験が終わる頃には手はどろどろになっていて、 有無を言わさず洗浄室に押し込まれた。]
……せっかくしーちゃんが洗ってくれたのに。
[ぼそりと呟く音は、叩きつけられる水粒の音で掻き消されて。 実験室から放り出された頃には、 ふわりと香っていた石鹸の匂いも全部消されていた。 せっかく楽しい気分だったのに、 一緒に全部流されていってしまったような。]
新しい手袋ほしい。 お風呂でもつけたまま入れるの。
[いつもより抑揚のない声で、今まで何度かした注文を。 返ってきたのは、扉が閉まる音。]
(345) 2013/06/26(Wed) 23時半頃
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― 実験室→自室 ―
[途中で誰かに会っただろうか。 口数少なに表情も乏しかったから、 眠いのかと勘違いされたかもしれない。]
…………。
[自室に入って、しばらく洗面所にこもる。 それからベッドに転がって、枕を抱えて丸くなった。]
もったいなー…。
[呟いて、机の上に取ってあるクッキーの包みを眺め。 そのままゆっくり目を閉じた。*]
(347) 2013/06/27(Thu) 00時頃
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[洗面所で、夜に食べたものを全部吐く。 あの実験の時は、なぜか空調をあまり働かせてくれない。 その臭いにどうしても慣れない。 自分が作り出すものなのに。
実験場で吐くのは嫌だ。こんなの人に見られたくない。
えづいて、出すものが全部なくなって。 しばらくその場でぼうっとしてから、ふらりベッドへと。]
(-260) 2013/06/27(Thu) 00時頃
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