241 The wonderful world -7days of KYRIE-
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女の子!
[ガバっと起き上がって、周囲を見渡した。 足音は依然として私を通り抜けていく。 どれだけ観察しても、目的としていた子供はいなくて。 ただ、記憶だけが鮮烈に残っている。
子供を庇って、大型トラックに轢かれてしまった。 そんな光景の記憶だけ。]
(24) 2018/05/12(Sat) 10時半頃
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[ポケットで震え出したスマートフォンを手に取る。 慣れた手付きで素早く来たメールを確認した。
一通り確認すれば、当然疑問は出てくるけれど。 真っ先に出てきた言葉は。]
……どうしよう。 どうすればいいのかな。
[きっとこれは、傍から見れば一般的な感想なんだ。 けれど私の場合はもっと違う意味合いを秘めている。
自分が生き残るための、どうしよう、じゃなくて。 他人を生き残らせるための、どうしよう、だから。*]
(25) 2018/05/12(Sat) 10時半頃
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─── の居ない世界など。
(26) 2018/05/12(Sat) 11時半頃
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── 思い起こせば、 ──
[ 嗚呼、そう。 母を参った、帰りだった。
譲りの銀髪は何処の国とも知らないけれど、 母が骨となり埋まっているのなら、 きっと自分の血はこの国のものなのだろう。
花の色、線香の香、墓石の並ぶ光景、 おんなじ髪の、母というおんなの顔。
僅かばかりの懐かしさはあれど、 死人に縋っても無意味なことは知ってしまうから。 ]
(27) 2018/05/12(Sat) 11時半頃
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[ ──── が、声をかけてくれば 直ぐに、
砂利道を戻り、 帰る準備をして、それから、
…うん、確かに そう。 笑って いたのだ。隣で。 ]
(28) 2018/05/12(Sat) 11時半頃
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[ …でも、君は誰なんだろう?* ]
(29) 2018/05/12(Sat) 11時半頃
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── 中央エリア:スクランブル交差点 ──
[ ぼんやり空を見上げていた碧の瞳を、
( ── この 男、 "自動車事故があったらしい" この道路のど真ん中で そりゃあもう唯々寝っ転がっていた! )
く、と下げて、 傷一つもない身体を見下ろし、起き上がる。
通り過ぎる人々を、ゆるりと認め、 指先を尻ポケットに滑らせた。 ]
(30) 2018/05/12(Sat) 11時半頃
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[ 自然と携帯を取り出すのは現代人の性。
通知が無いかを確認するのも、 無意味に何かを開いてしまうのも、 それをしながら、 遠くから聞こえてくる ちぃさな誰かさん>>@5の声に、 意味の無い相槌を打ってしまうところだって、
きっと。すべて。 ─── の居た世界の自分の、 ]
(31) 2018/05/12(Sat) 11時半頃
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─── きこえたよ。
[ "こにちんは"。ちぃさな君。 君には聞こえているのだろうか。
或いは、欠けた何かか、誰かに。 何時か雪の日に 母と棄てられた僕の声は、 ]
(32) 2018/05/12(Sat) 11時半頃
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[ ── ながら動作というのは、きっと。 疑問より先に出てくるもので。
丁度おんなのこに返した後の話だ。 "これまで"を思い起こして、 …否、そもそもど真ん中で寝ていたことも含めて、 色々な"おかしいなあ"が、漸く出てきた。
だけど、そうか。成程自分は死んだのか。 どうやら骨になって 地中に埋められる展開じゃあ無かったらしいけれど、 …欠けた記憶の向こう側なものだから、 現実味が無かった。 ]
(33) 2018/05/12(Sat) 11時半頃
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─── 誰なんだろうなあ、…
[ 無気力じみているのも、きっと、 それこそ徴収されてしまったからなのだろう、とは。 此も他人事のように思う。
死ぬ前まで覚えていたらしい、 少なくとも母と、新しい父以外に隣にいた何か。 笑っていたらしい、なにものか。
…一人で投げ出しておいてパートナーなんて! 感想すらながら作業。携帯を片手で弄りながら、 ふ と 陰る空を見上げた。
…蛙の雨は、雪と呼ぶには黒過ぎる* ]
(34) 2018/05/12(Sat) 11時半頃
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/*
22(0..100)x1
(-8) 2018/05/12(Sat) 11時半頃
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/*
ひっっくいな!
(-9) 2018/05/12(Sat) 11時半頃
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[ ――サングイス。 キリエ区のカラーギャングの一グループで、チームカラーは赤。 主に蕗之原――西エリア近辺を拠点としている。 結成は二年前で、キリエ区の不良グループの中じゃ新興もいいとこだな。 そこの頭――「キング」が俺だった。
つっても特に何かやる訳でもない。 やりたいことがあってここに在る訳でもない。 他のグループ連中のようなややこしいルールみてぇなものもない。 『トラブルは報告しろ』 『クスリにだけは手を出すな』 ルールなんざ、別にこれで十分だろ。]
(35) 2018/05/12(Sat) 12時頃
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[ そもそも俺がサングイスのキングなんてもんに 収まっちまったのは 単に気に入らねぇバカがいたんでぶっ潰したら、 残った連中に勝手に持ち上げられちまった。 ただそれだけの話だ。 身長190cmの強面スカーフェイスは どうやら連中にとって「王」として祭り上げるのに うってつけの人材だったらしい。 俺にとっては知ったこっちゃねぇ話だけどな。
……それでも、好き勝手やれるあの立場を 俺自身気に入っていたことは事実だ。 やりたいように生きて、その責任は自分が持つ。 その生き方の、なんと気楽なことか。
――…だから、あの終わりだって 別に仕方ないと思っているし、悔いらしい悔いもない。]
(36) 2018/05/12(Sat) 12時頃
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いや、だからってこれはねぇべよ……。
[ いかにもだぼだぼのパーカーは もはや服というよりは重石か何かのようだし チームカラーの赤いTシャツは宛ら膝上ワンピース。 身に着けてたはずの金属類はどっかいっちまったらしい。 パクられた可能性は無きにしも非ずだが。
襟ぐりから覗く細い肩も、 その肩を撫でる栗色の髪も、 自分の記憶の中のそれとは似ても似つかない。
お前は死にました ←わかる 気がついたら姿が変わってました ←は? なんか知らないゲームに強制参加させられた上、 大事なものを勝手にパクられたみたいです]
(37) 2018/05/12(Sat) 12時頃
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…………意味わっかんねぇ……。
[ 思わず頭を抱えて呻く。 大事なもの、というのは…いやなんとなくわかる。 わかるけど理性が追い付かない。]
くっそ、面倒なことになっちまったな。
[ わしゃわしゃと乱暴に頭を掻く。 その手ですら、見慣れたごつごつしたものとは 比べ物にならない、細く小さくて柔らかなもの。
メールには『パートナー契約』という一文があった>>#4 ざっとルールを読んだ限り この『死神のゲーム』とやらの攻略には、 二人一組のペアになることがほぼ必須らしい。 つか、組めなければ死ぬ。ほぼ間違いなく。]
(38) 2018/05/12(Sat) 12時頃
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[ きょろきょろと、視線を巡らせれば>>@3 見つかったのは、パートナーにできそうな 人間ではなく、妙な模様の蛙たちだった。]
…なんだありゃ?
[ ゲコゲコ、ゲコゲコ、鳴きながら 此方に近づいてくる黒い蛙たち。 トライバルにも似た模様を身に纏ったそいつらは ……いや、たぶんそうだろうな。 あれが、ルールに書かれていた"ノイズ"とかいう 化け物なんだろう。]
(39) 2018/05/12(Sat) 12時頃
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……っ。
[ 富嶽三十六景逃げるに如かず、だっけか? 逃げるは恥だが役に立つともいう。 こんなところで、なによりこんな格好で 死ぬわけにはいかないから。 だから、活路を開くためにまずは逃げることにした。
まともに履いてられない靴をそれぞれ力いっぱい 蛙共に投げつけてから、引きずりそうな裾を 小さな手で持ち上げて目の前の蛙たちから逃げ出した。
――…その先にいる女の存在には全く気付かずに>>25]*
(40) 2018/05/12(Sat) 12時頃
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── スクランブル交差点 ──
[人、人、人人人。 ────人の行き交う雑踏の中、立っていた。
この雑踏には些か不釣り合いなようにも見える、黒を貴重とした上品な制服を身に纏って。 気付く人なら気付くかもしれない、その制服がとある女子校のものだということに。それなりには名の知れた、所謂お嬢様校というやつだ。
ただ、それを着ている少女の方は、……いやまあ、たしかに少女であることには違いない。 それでも、お嬢様、というには些か躊躇われる形相。 例えば、この世の終わり、みたいな、──絶望を貼り付けた、凄まじい形相をしていたけれど。
そんな少女の制服のポケットの中、携帯端末が存在を主張するように鳴る。 その高らかな音に、少女は、びくりと肩を跳ね上げ、高速で端末を取り出した。 そうして。]
(@11) 2018/05/12(Sat) 12時頃
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………………嘘ォ!!!!
(@12) 2018/05/12(Sat) 12時頃
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[素っ頓狂な悲鳴を、あげた。]
うわうわ。うわ。 ……ああ、嫌、……始まっちゃったのね…………。
[そうなのだ。嘘ォ! ではないのである。 始まっちゃったのである。 誰が、なんと言おうとも。
7日間の死神のゲームの火蓋が、切られる。
だからほら、そうしている間にも。 ──精一杯の愛らしいご挨拶と共に、何処かでカエルの雨が降る。>>@3]
(@13) 2018/05/12(Sat) 12時頃
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[そうやって、早速お仕事を始めている者もいるというのに。 此処にいる死神は、携帯端末を両の手で握りしめ、身じろぎもせずにメッセージを食い入るように眺めて。>>7 暫しの時を経てから、……そりゃあもう深いため息を、落として。 次の瞬間、ガバリと顔を上げて、スクランブル交差点のド真ん中、叫んだ。]
(@14) 2018/05/12(Sat) 12時頃
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ラーメン如きで、誰もが奮い立つと思わないで────!!!!
[絶叫。嗚呼、本当に、嫌。 …………、嫌。 激辛カレーも、それはそれで嫌……。
『頑張ります。』
結局、端末に打ち込めたのは、それだけだった。 苦々しい顔つきのまま、気持ちを切り替えるように、ぶん、と頭を振る。 黒く重そうなふたつの三つ編みが、ばびゅんと空を切った。]
(@15) 2018/05/12(Sat) 12時頃
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[死んだら、頑張らなくていいと思っていた。
いつだって、なんだって、頑張らなければ何も手に入らない。 頑張ったって、一部の選ばれた者しか、戦果を手に入れることのできない。
条理で不条理な、すばらしきこのせかい。
ゲームはもう、始まった。 まずはそうね、諦めること。>>#2 現状を受け入れること。
そこからどうぞ、あなたがたは頑張ってくださいな。 ────譲れないものが、あるのなら。**]
(@16) 2018/05/12(Sat) 12時頃
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[ 前日の晩に『猫の恩返し』を見たのがいけなかった。 ]
(41) 2018/05/12(Sat) 13時半頃
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[ 猫が木から降りられなくなって鳴いていると、 仁衣奈に声をかけてきたのは、 如何にも木になぞ登れそうにもない小太りの男だった。
そのとき仁衣奈が背負っていたのは ラクロスのクロスではなく剣袋で、 猫をすくい上げることなどできないということは 理解した上での行動だった。
その猫はたぶん、まだちいさな子猫で どうしてこんなか弱そうな生き物が、 あんなに高い木の上にいるのだろうと、 疑問に思わなかったわけではない。
けれど、そこに子猫がいるのは事実で、 足早に自分がそこを去ったとして、 あのちいさな生き物はどうなってしまうのだろう。]
(42) 2018/05/12(Sat) 13時半頃
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