105 CLUB【_Ground】
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─Xmasパーティ会場─
[クロークにコートとストールを預け ミッドナイトブルーの燕尾服で 会場の端に立つティーの横には 見栄えのする体躯を黒のスーツに包んだ ホレーショーの姿があった──かもしれない。
電車の中で、必死に教えこんだ
・料理は一皿に三品以上乗せないこと ・キョロキョロしすぎないこと ・客をじろじろみすぎないこと ・勝手にティーの側を離れないこと ・出来たらじっとしていること ・酒はぜっっったいに飲まないこと
さて、いくつ守れるだろうか──?]
(@60) hana 2013/12/26(Thu) 23時半頃
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ティソは、ミナカタを風呂からぺしぺしした。
hana 2013/12/27(Fri) 00時半頃
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─Xmasパーティ会場>>108─
[その二人を見た瞬間、誰かわかった。 流れる滝のような銀灰の髪、隣にたつのは白い白い肌。
けれど、飾り毛のついた猫の耳が生えていたのは──]
…──おひさしぶり、サー。
[眼鏡の奥のアイスブルーが一瞬まるくなる。 けれど、すぐに趣向を理解し、くすくすと目を細めた。]
面白いことをするねぇ。
[懐中時計のチェーンを左手指に絡め、首を傾げる。 するりと鎖を解いた指が向かう先は──]
(@61) hana 2013/12/27(Fri) 02時半頃
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きみの猫、なでてもいいかな? サー──クロイツ?
[銀灰の耳の、長身の猫。 許可を得るように赤い目を見た後、 傷付いた喉に指先は向かった。
子猫に触れえたか、 それとも、猫を守る騎士(ナイト)に阻まれたか。 ともあれ、ティーは懐から一通の手紙を抜き出した。]
……これ、ヤニクからシーシャにって。 あとで読んでやって。
[飼い主(シーシャ)へとそれ>>-1919を手渡して、 にこり、と笑った。]
それじゃ、二人とも、楽しんで。
(@62) hana 2013/12/27(Fri) 02時半頃
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──サー。
[背を向けようとする二人──猫の方へ、 やわらかい声が掛かる。]
ねえ、ひとつだけ聞いてもいい? ……まあ、見ればわかるけど。
それでも、聞きたいんだ。
(@63) hana 2013/12/27(Fri) 02時半頃
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測量士 ティソは、メモを貼った。
hana 2013/12/27(Fri) 02時半頃
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─会場までの長い道のり─
[ぶすくれた顔のおおきな子供の手を引いて、 地下鉄へと続く階段を下る。 街を歩くのも興味津々で、寄り道を止めるは一苦労だった。
地下鉄構内へ来るともう、お祭りかという騒ぎ。]
におい? ……んー、オレにはいつものにおいだけど……?
[人のにおい。食べ物のにおい。 地下を流れる湿った空気のにおい。 酔っぱらいが戻したゲロのにおい。
様々なにおいで溢れているだろうけれど、 あいにく人間のティーにはそこまで感じ取れない。 首を傾げて、面白そうにHの反応を見ながら、 耳がぴるぴる動いた時だけは慌てて注意した。]
(@64) hana 2013/12/27(Fri) 03時頃
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[しかし、地下鉄に乗り込んだ途端、 彫像のように黙りこんで硬直してしまったH。 注意事項を伝えてはみるものの、上の空、といった様子。
かたことのような返事を短く返すだけのHに ちゃんと伝わったか心配しつつも、 おかしくてくすくすと笑ってしまった。]
H、こっち。
[生地が伸びそうなくらいの力で袖を引っ張っていた手を ティーの細い指が握る。 大丈夫だよと言い聞かすように、 地下鉄が止まるまで手を握っていた。*]
(@65) hana 2013/12/27(Fri) 03時頃
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─Xmas Party─
[Hはまだ側でおとなしくしているだろうか? Hへは、研究室を出てすぐに ヤニクからだという手紙>>-1921は渡してある。
サムから受け取った手紙はもう四通。 一通は自分に宛ててだったので、 荷物と一緒にクロークに預けてある。
テッドとイアンには、それは渡せただろうか。 もう一通は────]
(@66) hana 2013/12/27(Fri) 03時半頃
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────……。
[懐の、封筒の縁を指先がなぞる。
(チアキ)
──唇が、かたちだけ、その名をなぞる。
場内は、愛で結ばれたカップルたちで溢れている。 さんざめく熱帯魚のように 青い水の底で、寄り添い合ってゆれる恋人たち。
この中のどこかにあの子がいる。 そう思うと──隣ではしゃぐ声>>216さえ、どこか遠く。]
食べるのは乾杯のあとね。 あれはシャンデリア。 んー、おおきいのもあるねぇ。
[笑顔ばかりは隙のないまま、視線は水底をさまよった。]
(@67) hana 2013/12/27(Fri) 03時半頃
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[その子が会場に入って来た瞬間、 さまようアイスブルーは、凍ったように時を止めた。
惹きつけられる色彩。 はしゃぐ声。
どれも、痛いくらいの思い入れがあって、 一日も、忘れられなかった。 忘れたいとも思わなかったけれど。]
──── 、
[もう一度、舌が音にならない名の輪郭だけをなぞる。
水底にゆらめく太陽の花。 寄り添い合う、二輪の向日葵。]
(@68) hana 2013/12/27(Fri) 04時頃
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[細い指が、すがるようにポケットの中の銀に触れた。
ロケットの中には、 まるく切り取られた白い画用紙が嵌っている。 ただスケッチブックから切り離しただけの 何も描かれていないそれは、 ティーにとっては“約束”の切れ端。
果たせるだろうか──? 叶えられる、だろうか。
────銀のロケットに指を絡め、 ティーはそっと、深呼吸をした。**]
(@69) hana 2013/12/27(Fri) 04時頃
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―アパートで―>>182
[吐息の熱さ。見上げくる瞳の色。 己の全てを互いに委ね合うように言葉を重ねる]
ん……、ここに、いるよ。 ずっと、ヤニクの傍に。
[名を呼ばれる度に熱は高まる。 身を捩るヤニクを宥めるように体を伏せ、胸元にきつく吸いついて紅い花を散らして]
こうやってずっと、ひとつになっていられたらいいのに。
[耳をヤニクの左胸に当て、心臓の鼓動を聞く。 あの日手を重ねて確かめた鼓動。ここに生きている証。 視線を上げてヤニクに微笑みかける。
ずっとこうしていたい気持ちと、それでもその先を求める気持ちと。 両方を持ち合わせたまま、ヤニクの熱に指を絡め、抜差しに合わせてゆるゆると扱く。 次第に深く、強く、込み上げてくる波に合わせて、交わりは激しさを増していく]
(@70) heinrich 2013/12/27(Fri) 10時頃
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―研究ルーム―
[たかしくんは友達じゃありません。 あと、パーティーにもたぶん来ません。
――という言葉を飲んだのは誉めてもらいたいところ。 たった七つの間違いで済んだことも奇跡的ではあったし、頑張っていたのもわかる。 あとはパーティー会場で散々暴れまわるだろうこの巨体を線の細い部下に任せるのも気が引け――る訳でもないが。]
うるせぇ、誰のせいで忙しいと思ってんだ誰のせいで。 ツチノコプロジェクトなんつうもんを安易に出した誰かさんのせいじゃねぇのか、ああ?
[よもやそのノートパソコンの中に次の悪夢が企画されていようとは思うまい。]
(@71) anbito 2013/12/27(Fri) 10時半頃
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ダンスだろうがなんだろうが、行かねぇよ。
[人間嫌いが何故人間だらけのパーティーに行かねばならん、とでも言いたげに視線を向ける。 薄氷と目が合えば、その後の行動こそ分かられてしまうだろう。 出来た部下なのか、分かりやすい上司なのか。
出ていった部下たちから間を開けること4時間。 男は白衣を脱ぎ、一度シャワーを浴びてからコートを羽織って町へと抜ける。 まず立ち寄るのはスーツを見繕いに。 ロゴや名前で誰もが理解するブランド店の中に、紛れもない場違いが一人。 店員の睨むような蔑むような視線を意ともせず、適当に目についたショーウィンドーのスーツを指差す。]
あれ一式、寒ぃしコートつけろ。
[横柄な態度に丸くなった店員の目を、更に点へと変えたのは 男が手にする黒壇の四角形であった。]
(@72) anbito 2013/12/27(Fri) 10時半頃
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[それから会場までに二つの店に足を向けた。 黒の四角で買い物を済ませ、漸く地下鉄に乗り込む。 耳を差すような音の群れ、音のない研究所や店に流れるジャズとは大違いだ。]
――――――。
[会うだろうか。 会うことを期待でもしているのだろうか。 奥歯で感情を噛み砕いて、飲み干した。 二度と内から、溢れだしてしまわぬように。]
(@73) anbito 2013/12/27(Fri) 10時半頃
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―パーティー会場―
[シャンデリアが描き出す幻想の水底。 しぼられた仄暗い薄闇、チカチカと光。 足音がひとつ紛れ込んだのはいつ頃か。 視線を気にすることもなく。]
――――――。
[濡れた烏羽色に身を包み、深い藤のネクタイ。 先の尖った靴は固い音をたて。 肩に乗せるように乱雑に手にしているのは、赤い薔薇。 ふたつ、ひとつ、花弁を落とし。 一輪だけ、自分の胸元に差した。]
交代。
[部下のそばにいるだろう虎へ、花束を渡して。]
(@74) anbito 2013/12/27(Fri) 10時半頃
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―アパートの日常―
悪い、着替えないからとりあえずこれで。
[シャワーの後、服の用意もなくその場しのぎに着古しのTシャツをヤニクに渡した。ややヨレ気味なそれを、何故かヤニクはいたく気に入ったらしくて。 これもひとつの縄張り意識なのだろうか、とか、狭いベッドでヤニクを抱えてうとうとしながら思ったり。
その分、翌朝仕事に出かける時のヤニクの様子には胸が痛んだ。 連れていければいいのだが、研究ルームの配線を掘り返したくなる本能があるうちはそうもいかない。 今にも泣きそうな表情に後ろ髪引かれて、家を出るのが27分遅くなった。]
大丈夫。ちゃんと帰ってくるおまじない。
[宥めるためにそう言って、いってきますのキスをしたら、昨夜教えた「ただいまのキス」と合わせてやっぱりそれも習慣になった]
(@75) heinrich 2013/12/27(Fri) 11時頃
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[それまでは仕事が長引けば帰宅が面倒で職場に泊まり込むこともあった。今となっては仕事をできるだけ早く片づけて直帰の日々。 帰宅すればヤニクが笑顔とキスで出迎えてくれて、その日一日の頑張ったことを報告してくれる。 あまり愛着もなかったアパートが、本当の意味で自分の「家」になった]
上手に書けるようになったなぁ。
[愛の言葉で埋め尽くされた練習用紙。最初に見せられた時は思わず顔を覆って蹲った。どうして蹲るのか説明できなくて、抱きしめて雪崩れこんでしまったのもいい思い出ということにする。 もらった作品はひとつひとつ丁寧にファイルに綴じて、これじゃ本当に親みたいだなと自分に笑う]
(@76) heinrich 2013/12/27(Fri) 11時頃
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[勉強熱心なヤニクは次々に知識の幅を広げていく。 社会勉強の一環になるかと一緒にテレビも見るようになって。わからない言葉が出てきた時のために、辞書の引き方も教えて]
クリスマス、か。
[その日を間近に控えたある夜に。ヤニクに言われて目を瞬く。そういった行事には幼い頃から縁遠く、どこか違う世界のイベントのように思っていたけれど]
そう言われると、素敵な日だな。 ヤニクが生れたことに感謝して、ヤニクと一緒に過ごす。
[情報元がテレビなせいかごった煮になったヤニクの「クリスマス」は、それでも本質に近い気がした。 プレゼントを抱えて両親とはしゃぐ子どもとか、ごちそうを囲む団欒とか、自分にないものを見せつけられるようで好きになれなかった日も。今はすっかり、楽しみな日になっている]
(@77) heinrich 2013/12/27(Fri) 11時頃
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―パーティーのこと―
[さて、愛玩動物とその所有者を招いてのパーティーの話を聞いたのはいつのことだったか。 客は概ね富裕層ばかり、そしてそれぞれが愛玩動物を所有する同好の士となれば、様々な縁が生れる社交の場である。勤め先が主催とはいえ雲の上の話だ。 と、今までなら思ったのだろうが、現在の状況だと少し話が変わってくる]
あいつらからしたら、同窓会みたいなもんっスよね。
[寮で仲睦まじくじゃれあっていたあの日々を思う。それぞれに買い手が決まるたび寂しそうにしていたヤニクも、パーティーの話を聞いたら喜ぶだろうと、思ったのだけど]
(@78) heinrich 2013/12/27(Fri) 11時半頃
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[耳を伏せて申し訳なさそうな顔で見上げるヤニクの様子に目を瞬く>>201]
……ん、そっか。
[ヤニクの体をそっと抱き寄せ、ぽんぽんと背をたたく。謝らなくていい、と言葉の代わりに]
そうだな、一緒にいられることに感謝して、一緒に過ごす日だもんな。
[自分の匂いが残る部屋や服に執着するのを、つい研究員の思考で縄張り意識なんて推察していたけれど。 自分以外と話していると、寂しい。そんな愛らしい想いに触れて、心の内側がくすぐったい]
わかった。じゃあその日は俺もそっちのパーティーは行かないで、仕事終わったらすぐ帰る。 それで、この部屋でふたりでパーティーしよう。
[あっちのパーティーも半分は仕事、なのだが、それはこの際黙っておく。上司や同僚の反応が恐いところだが、お菓子で機嫌は取れるだろうか。 せっせと手紙を書く姿を見守るうちに、すぐにその日はやってきて]
(@79) heinrich 2013/12/27(Fri) 11時半頃
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―パーティーにまつわる話(研究所side.)― >@35>>@36> >@37
[パーティーへの不参加を告げた当日は、同僚の冷えた眼差しと、上司が減俸報告にペンを走らせる音のダブルパンチ。そしてそれきり追求がないのが逆に怖い。 それでもクリスマスを家で過ごすという意思は固いわけで、せめてもと普段の倍は働いた、と思う。
当日の司会役を頼まれたという同僚が、普段より早い時間に支度をして声をかけてきた。特に非難も皮肉もなく。声の調子もいつも通り]
その、すみません。
[謝ったものの、それでも行く気はない以上、二の句を告げず。 いいよ、と言われても頭を下げていたけれど]
……これ、
[差し出された紙袋と、ティーの顔を交互に見る。 クリスマスのプレゼント、なんて、貰ったのはいつ以来だろう]
(@80) heinrich 2013/12/27(Fri) 12時頃
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ありがとう、ございます。
[ちょっと胸がいっぱいになりつつ手を伸ばして、その直後。不意打ちの攻撃に、まったく対応できなかった]
〜〜〜!?
[下唇の端に柔らかな感触。混乱して見返せば、いたずらな笑みと投げキッス]
めりー、くりすます……
[扉が閉まり、足音が遠ざかる。紙袋を手に捧げ持ったまま、思わず唸ったのは]
もー、一生かなわねぇ!
[いつまでも一枚上手な同僚への、心からの叫びだった]
(@81) heinrich 2013/12/27(Fri) 12時頃
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―聖なる夜に―
[夜の街には軽快なクリスマスソングが流れ、賑やかな電飾のきらめきと、たくさんの人たちの笑顔で溢れている。 手を繋ぐ親子連れ。腕を組み肩を寄せ合う恋人たち。 その賑わいの中を小走りに、両腕に荷物いっぱいですり抜ける。冬の風は頬を刺せど、その冷たさも今の自分には気にならず]
ただいま!
[辿りついたアパート。両腕が塞がっていて、ドアが上手く開けられない。 ノックをして、ドアが開いて、上がる息のままに大きな声で]
メリークリスマス!
[ケーキと、ターキーと、その他諸々の御馳走やパーティーグッズ。そして50センチほどのツリーの鉢植えまで抱えて。 テレビでいろんな「クリスマス」を見ても、実際の形がわからない。わからないなり、自信のないまま、ヤニクが喜びそうなものを片っ端から寄せ集めた。
不器用なサンタクロース。どれもこれも、大切な君のために*]
(@82) heinrich 2013/12/27(Fri) 12時半頃
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[>>220Hのおもしろい勘違いはあえて訂正しない。
どうだろうねぇ? と、笑って首を傾げるだけ。
甘ったるい水槽を泳ぐ紳士たちの群れに ひときわ目立つ色彩を見つけると そんな余裕はなくなってしまったけれど。]
(@83) hana 2013/12/27(Fri) 13時頃
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[その名を繰り返す声が、頭上から降る。>>222 そんなに繰り返さなくてもわかってる。
かれらが会場に入って来た瞬間に、 きっと誰より先に見つけてしまっていただろうから。
燕尾服の袖を引っ張られて、 身体は前へ傾く。 けれど、足はその場に縫いとめられたように動かなかった。
それは、傷つくのが怖かったからではなくて、 ふたりが、とても────]
(@84) hana 2013/12/27(Fri) 13時頃
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[仕立ての良いスーツを着込んだシメオンは、 さすがに場慣れしているのか、凝った会場の内装にも さしたる興味はなさそうだったけれど、 寄り添うぬくもりから決して離れない とでも言うような距離を保って、こちらに近付いて来る。
隣を歩く小柄な──すべてが愛らしいその子は、 すこしカジュアルダウンした服装に、 向日葵色のストールで首もとを飾っていた。
つけて来てくれるなんて思っていなくて、 不覚にも、まとった笑みがゆらぎそうになる。
だから、陽光を浴びて揺れる向日葵のような髪の 飼い主の表情を、じっと、見つめ、 ぴこぴこと動く耳と、揺れる尾の持ち主の表情に そっと視線をうつし──。
(──あぁ、よかった)]
(@85) hana 2013/12/27(Fri) 13時頃
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[“しあわせ”の在り処を感じ取った唇から、 ようやく、寒さゆるむ春めいた、 やわらかな声を零す。]
ようこそ、シメオン。 おひさしぶり。
ひさしぶりだね、チアキも。 ……いや、目を合わせるのは初めてだから はじめまして……かな?
[同じ、やわらかな仕草で、ゆるやかに首を傾げ]
……ティーだよ?
[くすり、と笑った。
やっと真っ直ぐに見ることを許された つぶらな瞳に視線は重なる。]
(@86) hana 2013/12/27(Fri) 13時頃
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測量士 ティソは、メモを貼った。
hana 2013/12/27(Fri) 14時頃
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―それからの話―
[読み書きのうまくなったヤニクのために、仕事から早く帰れた日には図書館に寄って、本を借りて帰るのが習慣となった。自分が昔読んで面白かったものを中心に選ぶので、感想を聞いたり、昔自分が感じたことを話したりもして]
ん……、この本は……。
[ちょっと難しい本もと、文学の棚を眺めた時。見覚えのあるタイトルに足をとめた。そのままなんとなく借りて帰り、料理本を読むヤニクの隣でその本をぱらぱらとめくる。
『あなたの名前はね、この本から付けられたのよ』
母と2人で暮らしていた頃、言われた言葉を思い出す。 ハッピーな物語ではないし、なんで脇役から名前をつけたんだろうと、その時は思ったものだ。 そういえば父の本棚にも、この本があった気がする]
(@87) heinrich 2013/12/27(Fri) 15時半頃
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"timshel"……。
[終盤。主人公が父の死の床で聞く言葉――"timshel"。
それは旧約聖書の一節に出てくる言葉。 カインとアベル。神に愛された弟を憎み、罪を犯したカインが、エデンの東へ、楽園を追放される時に。神がカインに告げる。
ある訳では、「人は罪を克服する“だろう”」という予言。 また別の訳では、「罪を克服“せよ”」という命令。 ならばと原典のヘブライ語に立ちかえったとき、 現れる言葉が「timshel」。「人は罪を克服する“ことができる”」。
予言ではなく、命令でもなく。 運命の最後に人は、自分の力で、結末を選ぶことができる]
最後に選ぶのは……、
[どんな運命の中でも、最後の選択は己の手に残されている]
(@88) heinrich 2013/12/27(Fri) 15時半頃
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………、
[本を置いて、背に被さるように、ヤニクを後ろから抱きしめた。 今、自分の中にある感情を、言葉にすることができない。 肩口に顔を埋め、泣くでも笑うでもなく。ただじっと抱きしめる]
ヤニク……、
["timshel"――…父親が口にしたその言葉によって、主人公は己を縛る運命から逃れた。 この腕の中の希望。選び、選ばれたもの]
キスしていい?
[ヤニクがこの本を読むようになった時に、自分は何を話そうか。その日は遠くないかもしれない。それまでに、もっとよく考えようと思う**]
(@89) heinrich 2013/12/27(Fri) 15時半頃
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