278 冷たい校舎村8
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[ のぞき込まれている。 恥ずかしいから、そんなに見ないでほしかった。]
(538) 2020/06/19(Fri) 02時半頃
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[ ……嘘、]
(539) 2020/06/19(Fri) 02時半頃
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浅ましいよなあ、礼一郎ってば。 ちょっと安心してんじゃねーよ。
(540) 2020/06/19(Fri) 02時半頃
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引くわ。 って、立ち去られなくて、 かけてもらえる言葉があって、 よかった。とか、思ってんじゃねーよ。 ……どうせ、ほんとはさあ、
(541) 2020/06/19(Fri) 02時半頃
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[ ……ごめん、ごちゃごちゃうるせえよな。]
(542) 2020/06/19(Fri) 02時半頃
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[ 頭の中がもうずっとうるさくて、 今もやっぱりそうなんだけどさ、
礼一郎の知ってる辰美が、 ふだんしゃべる言葉の、100日分くらい。 ……わかんないけど、たくさん、 窓の外の雪みたく降り注いでくる。
礼一郎は強張った表情のまま、 目を見開いてそれを聞いては、
ひとつひとつ、噛みしめて、 解釈して、いろんなことを思った。]
(543) 2020/06/19(Fri) 02時半頃
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[ そうだな。礼一郎は偏ってるし、 妹が食わせてもらえてるわけがない。 そういうもんだよ。昔からそう。
辰美の兄が、今どんな形をしてるのか、 礼一郎は全然知らないなあ。 聞いたら、教えてくれたんだろうか。
嫌いなものを好きになる方法なんて、 この世には存在しないんだと思う。
つらつらと考えながら、 礼一郎はずっと、予防線みたいな、 否定の声を、自分の中に聞いている。]
(544) 2020/06/19(Fri) 02時半頃
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だって、そうでもしなきゃ、 すぐ良い子ぶっちゃうんだよね。 寝ても覚めても、頭の中でも。
(545) 2020/06/19(Fri) 02時半頃
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…………、
(546) 2020/06/19(Fri) 02時半頃
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[ ……あ。って、 なんか一瞬、思考がクリアになって、]
(547) 2020/06/19(Fri) 02時半頃
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[ 辰美幸俊が泣いている。>>500]
(548) 2020/06/19(Fri) 02時半頃
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[ 馬鹿になんかしてねえ。 ──って、礼一郎は言おうとして、
そいつがあんまり見たことないような、 怒ったとか、……傷ついたとか? そういう顔をしているもんだから、
一瞬、いったん、口をつぐんだ。 でも、やっぱり黙ってられなくて、
口を開く。あ、苦しい。 息を吸う。ちゃんと声を出せるだろうか。 ……とか、考える余裕もなくて、]
(549) 2020/06/19(Fri) 02時半頃
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──そんなの、 そんなの、引き合いに出されて、 あんなふうに差し出されたって、 わかったよって、言えるわけねえだろ! おまえが、自分のこと、あんな、 ……おまえに、あんなふうに言われて、 嬉しいわけ、ねえだろ!
あんなふうにマジな話、 しようとしてんじゃねえよ! 馬鹿にしてんのかよ、嬉しくねえよ。
なんでわかんねえんだよ……
(550) 2020/06/19(Fri) 02時半頃
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[ 辰美はちゃんとできていたのに、 礼一郎は先にお礼を言うというのを忘れてしまう。
たくさん言うべきところはあったはずなのに、 礼一郎は思ったよりも礼儀がなっていない。
喚く、みたいに声をあげながら、 襟ぐりのところにある手首をつかんで、 強引に引きはがそうとしてまで、 めちゃくちゃな手順で言葉を投げつけている。]
(551) 2020/06/19(Fri) 02時半頃
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……その程度ってなんだよ。 その程度じゃねえから、 こんな、こんな…………、
……こんな話、してんじゃん。
うるせえな、期待してたよ。 おまえならそうやって、 俺に都合のいいことだって、 もしかしたら言ってくれるかもって。
見捨てないでくれるかもって……、 …………悪いかよ。
(552) 2020/06/19(Fri) 02時半頃
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[ ………… ]
でも、怖いに決まってんじゃん。 ……なんで俺、平気なの? 俺にだってわかんねえんだから、 こんな話、すんの、ふつうにこえーよ。 隠さなきゃって、思うに決まってんだろ。
[ …………、 ……他人の手首を、握りしめていた。 喉はからからに乾いているのに、 目ん玉だけがぐずぐずに熱かった。]
(553) 2020/06/19(Fri) 02時半頃
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俺だって、ほんとは、 もっとちゃんと、胸張って、 俺を頼れよって言いてえよ……
[ ……絞り出すような声で言った。 ごめんもありがとうもなく。
ただ言葉を浮かぶままに吐き出した。 礼一郎は。行き着く場所もわからないまま。
べきもべからずもさておいて、 それは単純に礼一郎の言葉でしかない。**]
(554) 2020/06/19(Fri) 02時半頃
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──現在・もうひとつの体育館──
[ そこかしこに散らばるインク。>>516 それを見てると、ほら、ちょっと前に流行ってた、 インクを塗るゲームあったでしょ? そんな、感覚がした。陣地とりゲーム、みたいな。
って、学校に塗られてる色は二色じゃないから 何個の陣営が戦ってることになるんだろ。 ]
(555) 2020/06/19(Fri) 02時半頃
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……ガスコンロの火も、確かに青いよね そういえば、化学で習ったよね、火の青さの理由
不安定なものが、安定なものに変わるとき エネルギーを放出するときに光になってるんだよね
あの青い炎の中に、 緑とか紫とか、混ざってるように見えないよねえ ……光の屈折とか、なのかなあ
[ よくお料理はしていたので。 ガスコンロの火とは、おともだち。 だから、そんなうんちくを語る。 ]
(556) 2020/06/19(Fri) 02時半頃
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ふふ、ありがとう いまなら、ホッカイロ機能つきだよ〜
しおりちゃんはねえ、ピンクとか似合いそう
[ なんてことない、世間話。 こんな真っ青な空間ですることじゃないけど。 ]
(557) 2020/06/19(Fri) 02時半頃
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なっちゃんも、辰美くんも、 連城くんも、いつもと違った顔してるの こう、舞台袖じゃなくてちゃんと見たかったね
舞台の再現、ちゃんとするなら、 そもそもぜんぜん足りないよねえ、残念
[ 役者がいない舞台は、もの悲しくも見える。 それこそ、孤独に耐えるような、そんな感じ。
この校舎という舞台からも、 役者が少しずついなくなっていく。 最期に残されるのは、一体なんだろう?
きっと、いまのしおりちゃんは、 そんなこと考えてないかもだけど。 ]
(558) 2020/06/19(Fri) 02時半頃
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え、喜多仲くん、も? ……あのね、しおりちゃん。 ちーちゃんも、マネキンになっちゃってた、よ しってる?
[ いろいろ、に、含まれていた、>>518 もう一人のクラスメイトの失踪を知れば、 愛宮心乃の顔面は青ざめることになる。 まるで、体育館の青いインクみたいに。
だから、心乃も自ら知っている情報を伝える。 ]
(559) 2020/06/19(Fri) 02時半頃
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[ そして、 ]
あの、メールの主さんにとって、 追い返してるひとたちは、さ。 ……いらない≠フかなあ
[ 傍においとく必要のない存在だから? 問いかける、というよりも、独り言ちるみたいに。 愛宮心乃は、そんなことを呟いた。 ]
(560) 2020/06/19(Fri) 02時半頃
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あ、いいの? ……じゃあ、お言葉に甘えちゃおうかな しおりちゃんの得意料理、食べたいな
[ 親孝行、だなんて。 そんな資格をもってないよって心の中で言う。 心乃の心の中でだけ、言う。 ほほえみ、を見たら、そうだね、って微笑み返す。
本当は一緒に作るって手伝いをかってでたいけど、 もしかしたら、秘伝の味とかもあるかもだし、 だめ、って言われたら、ついていかないよ。
楽しみにしてる、って背中を見送るんだと思う。** ]
(561) 2020/06/19(Fri) 02時半頃
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――昨晩深夜:廊下――
……っ!?
[ 窓を開けて、なんとなく冷たい風に当たっていたら。 ひたひた、という足音と共に、 誰かがこちらに歩いてくる気配>>239。 驚いて、びくりと身体を震わせる。
逃げた方が、いいだろうか。 いやでも、走ったら足音響いちゃうし、 なんて迷っているうちに、 その人影は近づいてきていて。]
あっ……!
[ 一言、声を掛けられる>>240。 姿はよく見えなかったけど、その声は聞き覚えのあるものだった。 “俺”の友人であり、同時に……中学時代のあの日、僕に、優しくしてくれた人の声。 確か、名前は――]
(562) 2020/06/19(Fri) 03時頃
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[ 僕が驚いているうちに、 その人は立ち去ってしまっていた>>240。 僕は、また明日、って返すこともできなくて。 再び僕一人になった廊下で、思い出した名前を呟く。]
……はの、しおりさん。
[ たった一瞬だけど。 君には、僕が誰かなんて分からなかっただろうけど。 こうして再び会えたのが、すこし、うれしかった。]
(563) 2020/06/19(Fri) 03時頃
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[ また、今度は明るい場所で。 ちゃんと“僕”として。 面と向かって、会えるだろうか。 怖いような、でも少しだけ期待してしまうような、複雑な気持ちだった。]
……寝ないと。
[ それからようやく、窓を閉めて教室の方へと向かい、元居た場所に寝転がる。 いつもと違う環境の割に、少しだけ穏やかな気持ちで眠りに落ちた*]
(564) 2020/06/19(Fri) 03時頃
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――現在:準備室前――
っとと……!
[ 逃げるように走り去ろうとしたが、その前に腕を掴まれてしまった>>522。 驚きつつ、強制的に立ち止まる。]
お、おう……
[ 待ってくれ、なんて言われて振りほどくほどの勇気なんてないし、そんなことをすればこじれて次合う時気まずくなりそうなので、大人しく立ち止まって言葉を待った。 なんとなく、叱られるのを待つ子供のような気分で。]
(565) 2020/06/19(Fri) 03時半頃
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……っ、
[ まっすぐにぶつけられた気持ち>>523>>524。 それに、息が詰まって、 何か言うべきなのに言葉が咄嗟に出てこなくて、 また少しの間沈黙が訪れる。
引き留めて、こんな言葉をもらえて素直に嬉しくて。 抱えている事情を言えないことが申し訳なくて。 たぶん、心配、されてることも、申し訳なくて。]
(566) 2020/06/19(Fri) 03時半頃
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わ……分かった。 消えねえよ。 俺だって……いっしょに卒業とか、したいし。
大丈夫……嘘にはしねえよ、きっと。 いや、きっと、じゃないか、ゼッタイ。うん。
[ 約束するようにそう言って、 ちょっと困ったように眉を八の字にしつつも笑って頷く。
うん。一緒に卒業したいのは本当。 だから……少なくとも、卒業するまでは。 意地でも、消えるわけにはいかなくなってしまった]
(567) 2020/06/19(Fri) 04時頃
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