88 めざせリア充村3
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[ノックもなしに、部屋が開く。 白衣に名前を呼ばれて、僕は眉をしかめて微睡みから抜け出し、顔を上げた]
……いまから何かあるのですか?
[じぃ、見つめるも返ってくるのはついてこいという指令だけ]
なんなんだよ、もう……
[小さな悪態を呟いて、おとなしく白衣に付いていった。 さすがに意味なく報酬もない折檻を受けたくはない。僕マゾじゃないもん]
(352) 2013/06/27(Thu) 00時頃
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[リンゴをもらって、もぐもぐして。
片づけがおわったら、>>350 再び自分へと差し伸べられた手を握ると一緒に。
どっちか自室に近かったのだろう。 別れるところまで手を繋いだ]
…おやすみ、オスカー。 また、ね
[そう声かけて手を振っただろう。 返事をもらったら部屋の中へと入る]
(353) 2013/06/27(Thu) 00時頃
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― チ ―― チチ、チチチ
[断続的な電子音は、だんだんと間隔が短くなっていく。 画面を流れる文字。いくつも表示される窓。 それらは折り重なって、ひとつの「世界」の輪郭を作る。
電源のプラグをはじめ、 擬体から伸びるチューブは電子板につながっていた。 回線を通して各々のカプセル、 そこで眠る意識の中へと、見えない手を伸ばす。
開かれたままの翠に光は灯らず、 意識の全てはコードの向こう側へ。]
(*12) 2013/06/27(Thu) 00時頃
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[能力を使用しても、ほぼ全ての思考を世界の構成に費やす。
その合間、ミナカタへも連絡を入れたと通知が届いた。 ここまできたらもう止められないだろうからと。
実験後のカウンセリングはミナカタに任せる予定だと、 そんな白々しい文句と共に。]
…………。
[自分を責めて、俯いていないだろうか。 悔しさに瞳を歪めていないだろうか。
思考のほとんどを数字が埋め尽くす中、ノイズが混じる。]
(-263) 2013/06/27(Thu) 00時頃
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―研究所:某所―
[ポン――。
軽い音とともに緑色のランプが点灯した。 点灯したランプはとある試験管のもので、そこには『オスカー・カルテッド=origin』と銘が打たれていた。
試験管の中にはオスカーが眠っている。 彼は夢を見ていた。 いつ覚めるか分からぬ、長き夢を――]
(-262) 2013/06/27(Thu) 00時頃
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[連れて行かれた先、あったのは椅子ひとつ]
……薬品実験ですか?
[問うも、返事はない。 おとなしく椅子に座ると、いい子だと頭を撫でられた。
……僕の扱いをよくわかってらっしゃることで]
…………終わったら、褒めて、ね。
[甘えた口調で、小さく呟く。 愚かな思考だと、自分でも思う。
しゅるり、と包帯がほどかれ、手を出すように言われる。
僕はおとなしく右手を差し出した]
(354) 2013/06/27(Thu) 00時頃
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[廊下を歩きながら、浮かぶのは自分より色の濃い肌。 紺色の、綺麗な瞳。]
―――、
[声を震わせ、縋るように名前を無意識に呟いた。]
い、たい、……
[そう。兄では無く彼が浮かんだのは何でか。 縋るように小さく音を発してしまったのは何でか。 今の彼女には分からなくて。 それでも、助けを求めるかのように―――]
(-264) 2013/06/27(Thu) 00時頃
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[酷い実験だと思う。 もしかしたら、もう二度と笑顔を見られなくなるかもしれない。]
……ごめん…ね…。
[その謝罪は誰へ対するものか。
そして人の命を弄ぶ実験の開始を告げる、音が。]
(*13) 2013/06/27(Thu) 00時頃
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、がッ……!
[薬品実験ではなかったらしい。 あー、人の痛みを知るためにはまず自分が云々のあれか。やだな]
(爪がべりりと嫌な音を立てるのが鼓膜を震わせる。いやそんな微かな音聞き取れるはずないからこれはきっと幻聴か)
[拘束具はない。 だけど、僕はそれから逃げない。 逃げたら叱られる。褒めてもらえることなんて少ないけど、我慢したらもしかしたら?]
(親指から始めて、人差し指、中指、爪を噛んだ時と同じコース)
[左手がぎゅうと椅子を握る。 目を瞑るなと言われたから、僕は自分が分解されるのを見ていた]
(右手が終わる。なら次は)
[涙の滲む目で白衣を見上げる。 白衣は笑って、左手を指し示した]
(355) 2013/06/27(Thu) 00時頃
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[通知音に、顔をあげる。 足早に、誰もいない廊下を駆け抜ける。
――昨日まであった、仮初めの幸せは、 もう、ない。]
(*14) 2013/06/27(Thu) 00時頃
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『 Experimentation Start―― 』
(*15) 2013/06/27(Thu) 00時頃
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−自室− [毛布は新しいのに取り換えられてあった。 その上にぽぷりと音を立てて身を放り投げて
うとうとして、やがて目を閉じる。
ゆらりゆらりと眠りへ―――
誰かがあるく足音がしたのを気づかないまま]
(356) 2013/06/27(Thu) 00時頃
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[もう少し、の所で崩れ落ちる。そのまま、自室の前で気をうしなってしまった。*]
(357) 2013/06/27(Thu) 00時頃
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ん?
[>>353不思議そうに首を傾げ、モニカの額をツンと突いた。 繋いだ手を離すことはない。
小声でいくつか話掛け、納得すれば手を振り――]
うん、おやすみ、モニカ。 また明日ね。
[そう言って別れた*]
(358) 2013/06/27(Thu) 00時頃
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[だから、僕は左手を差し出す]
(いい子だと、珍しくまた褒めてくれた)
(あは)
(359) 2013/06/27(Thu) 00時頃
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