76 ─いつか、薔薇の木の下で。
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[中庭にあった姿は、また月の光の下、溶けるようにいつのまにかいない。
ただ、薔薇の匂いだけは、もう、庭から、寮内に蔓延し始めるだろう。]
(65) 2013/03/24(Sun) 22時頃
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バーチュー……先輩? いや、サイラスでいいかな。
[青い眸に、新緑の眸はうっとりと。 薔薇の下、腰掛けたまま、手を伸ばした。
薔薇の刺に血のにじむ、指先。]
(*15) 2013/03/24(Sun) 22時頃
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[伸ばされた手、指先、 サイラスもまた伸ばしてくれて、にこやかに微笑んだ。]
ああ、君も、感じるだろう? 薔薇が、欲しているんだ。
[指にサイラスの唇が触れて、 はぁ、とため息をこぼす。
もう片方の手も、静かに伸びると、彼の柔らかな金髪に触れた。]
薔薇は本当にかぐわしいね。 そして、君もとても……。
[薔薇の酔いに敏感に感じてしまったこと、 きっと、声の通じる彼もそうで……。
次には指に口付ける彼の頭を包むように抱こうとする。]
(*17) 2013/03/24(Sun) 22時頃
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[頭を抱き寄せると、彼の手は細い体躯を抱いてくれた。 まるで、我が子をあやすような形になりながら、それでも、感じていることは、そんな美しいものではない。
感じる熱は、冷たさの中、咲き誇る赤い花のよう。]
眠れないのか。 かわいそうに……。
大丈夫。眠れるよ。 君を眠らせてあげる。
[髪に触れ、遊ばせながら、 もう片方の指からは、熱が奪われるのを感じている。]
薔薇が欲しているもの。 さぁ、なんだろう。
けれど、僕や君の欲しがっているものを きっと欲しがっているんじゃないかな。
(*19) 2013/03/24(Sun) 22時半頃
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[そんな理由づけ。 包み込んだ頭、耳の当たりにくすぐるように、掠れた声を吹きかけて…。]
――……
[彼がこちらを見上げれば、 薄紅の唇をその額に落とす。]
――……きっと、特別なんだよ……。
[青い眸を新緑は見つめて…。]
(*20) 2013/03/24(Sun) 22時半頃
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そう、きっと、欲しいもの、 あるよね?
[青と新緑、薔薇の芳香。 それまでにあまり言葉を交わしたことなどないのに、 薔薇の仕業かそれとも、もともとの気質か。
年上なのに、子猫のような彼の唇に薄紅の唇を寄せる。 共犯者を仕立てるように、 甘やかな、甘やかな、落とし穴のような口づけをしようと…。]
(*23) 2013/03/24(Sun) 23時頃
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[そう、先に触れた彼の指先には笑みが返った。]
触れて…。 そう、大丈夫。
君が欲しいよ…。
[ねだられて、拒絶などない。 むしろ、欲望は、高まるばかり。
彼の唇に薄紅を重ね、触れる、そして、触れる以上の口づけを。]
(*24) 2013/03/24(Sun) 23時頃
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ああ、可愛いね……。
[口づけは、深く、されど、その仕草はどこかあどけない。 けれど、欲望はそれでつきることはない。]
――……君が欲しいよ。 僕をもっと欲しがって……。
[薔薇の力で、蘇った肌の弾力は、彼に触れることを求めて……。 そう、月明かり、薔薇の木の下。 彼の望みに答えるよう、その指先を動かしていく。 そう、彼が抱かれたいのならば、そのように、抱きたいのなら、やはりそのように……と、問うて……。]
(*26) 2013/03/24(Sun) 23時頃
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[薔薇の木の下、あえやかな声は幾程続いたか。*]
(*27) 2013/03/24(Sun) 23時頃
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ブレンダは、そっと自室に戻っていく。
2013/03/24(Sun) 23時頃
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― 自室 ―
[細い体躯ではあるけれど、 艶やかな髪と肌、そして、新緑の眸。
部屋に入ると、泥にまみれた服を脱ぎ捨てた。
そのまま、上半身は裸のままベッドに腰掛ける。]
(74) 2013/03/24(Sun) 23時頃
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― 自室 ―
[その裸体、 鎖骨に一つ、赤く咲いた跡がある。 あとは白く白く……そう、雪のようにとはいかずとも。]
――……は
[そして、自らの身体を一度抱いて、悩ましい声をあげた。]
(77) 2013/03/24(Sun) 23時半頃
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― 自室 ―
[身を抱きしめているには、 薔薇にあてられたせい、そして、それによってもたらされる己の欲望。 月明かりは、いままで埋もれていた細い体躯の中の疼きをあかあかと照らし出していた。]
あ……
[その時、名を呼ばれ、ぴくり、身をこわばらせる。]
だ、だれ……?
[問いかける、扉の向こう。 だけれども、その掠れた声は、何か助けを求めているように、聞こえるだろう。
確かに求めているのだから。]
(81) 2013/03/25(Mon) 00時頃
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リンチ……先輩……。
[薔薇の香りは扉を開ければ、より濃厚だろう。 上半身、白い肌を晒したまま、金髪の長い髪は顔もやや隠すけれど、新緑の眸は、濡れた眸で、オスカーを見つめる。]
先輩……
[自分でも驚くような縋るような声。]
苦しい……んです。
(85) 2013/03/25(Mon) 00時頃
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>>88
[オスカーが駆け寄ってきてくれ、その背中、 彼の手の温もりにぴくり反応し、肌が泡立った、]
先輩……。
[そのまま脱力して、オスカーにもたれかかる。]
寒いです……。
[声は、薔薇の芳香を吹きかける。 オスカーの顔に唇を寄せ………。]
(91) 2013/03/25(Mon) 00時半頃
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――……先輩、くるし……。
[そのまま、くちづけてしまいそうになる寸前、止まって、口は半開きのまま、泣き出しそうな顔をした。**]
(94) 2013/03/25(Mon) 00時半頃
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妻 ブレンダは、メモを貼った。
2013/03/25(Mon) 00時半頃
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― 自室 ― >>95>>96 [オスカーが熱いと感じても、彼自身は冷たさを、寒さを感じている。 細い手首は、オスカーが触れてくれた頬の上、重なった。]
――……何が欲しいと思いますか? してほしいと思いますか?
[その声は掠れたものだけど、よく聞けば二重に響いている。 彼の意思と、薔薇の意思と……折り重なり、幾重にも入り混じり…いつのまにか、その欲望はどちらのものか…。]
リンチ先輩……。 疼いて仕方ないんです。
[眉を寄せ、身体を震わせる。]
(108) 2013/03/25(Mon) 21時半頃
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[そう、さきほど、声の通うものと、 肌を合わせたばかりなのに、
疼きは収まらず、なお、 求めてやまない……。]
ああ、君も苦しいだろうか。
[声の届くものへ。今、その苦しみが、そして、甘やかさを共有するものへ。 心の中で、細い指を伸ばす。]
(*29) 2013/03/25(Mon) 21時半頃
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妻 ブレンダは、メモを貼った。
2013/03/25(Mon) 21時半頃
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[疼きは収まらず、 ともすれば、自身を慰めたい衝動に狩られる。 それをせずに、ただ、震えているのは、そこにリンチがいてくれるからだ。
憧れのロシェのような長い髪、羨望のゲルストナーのような滑らかな肌。
望む欲望を今もってなお、身体は足りぬと、甘美な悦びを求め、肩は己の衝動を抑えようと、深い息を繰り返していた。]
――……いえ、変なことを言って、すみません。
(110) 2013/03/25(Mon) 21時半頃
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――……大丈夫です。 すみません。
[開く唇、泣きそうな顔は、眉を垂らしたまま、 されど、今ある理性を確かにしようと、そんな言葉を吐く。*]
(111) 2013/03/25(Mon) 21時半頃
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この苦しさ、わかってくれるのは、 君だけだよ……。
[それは、いつのまにか、彼自身の言葉だけではなく、 薔薇の言葉にもなっている。
枯れたまま、終わるのは、嫌だ。 また、あの花を咲かせたい。 美しく、そして、甘美なあの想いを……。]
君だけだ……。 君がいないと……。
[細い指は、もがくように、 唇は、浅い息を繰り返しているかのように、開ききらない五分咲きの薔薇のように…。]
(*31) 2013/03/25(Mon) 21時半頃
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/*
サイラスに共依存を狙ってます。 わかってるよね?多分。
(-29) 2013/03/25(Mon) 22時頃
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ああ
欲しいなら、 摘み取ってしまうかい?
[薔薇の囁き。 それは甘美な欲望を否定しはしない。 その伸ばした指は、きっと彼の身近な人からも伸ばされたような幻影。
薔薇は、咲き誇るために、 吐息をこぼす。]
――……
(*33) 2013/03/25(Mon) 22時半頃
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/* ちなみに、もう、カップリングできあがっている気がするのは、気のせいですか?
サイヤニ、ゲルロシェ、オスカーとエリアス、だと思っています。
僕は、初回に落ちたいよ!わかってくれてるよね!みんな!!
(-33) 2013/03/25(Mon) 22時半頃
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/* ちなみに、サイモン襲いに行かなきゃかな。 あとは、ええと、食い散らかしにいけばいいですよね。
そして、どさーっと老朽化する予定。
(-34) 2013/03/25(Mon) 22時半頃
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[助けを求める響きに、 薔薇ではなく、彼自身が眉を寄せた。]
ああ、 壊したくないんだね。
[指先、それは、眠る子を宥めるように…。]
――……君を慰めてあげる。 僕なら、いくら壊されても、 構わないよ……。
[優しく、語りかける。]
(*35) 2013/03/25(Mon) 23時頃
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君の大事な人は、 大事にして………?
[その言葉はどう響くだろう。 だけど、深い意味はない、そのままの意味だ。
大事な人がいるのならば、 大事な人は、大事に………。
欲望だけで、何かを壊してしまいそうならば、 壊れてもいいものを壊せばいいと……。]
僕のことは壊してもいいんだよ。 むしろ、僕は壊れることを………。
[薔薇とは違う、願い。本当は見えない、未来。
美しくありたい。枯れてしまいたくない。
そこは同じなのに。]
(*36) 2013/03/25(Mon) 23時頃
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――……そして、賛美歌を紡ぎ出す……。
(*37) 2013/03/25(Mon) 23時頃
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ブレンダは、目を伏せ、項垂れた。
2013/03/25(Mon) 23時頃
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――…はい
[何か着たほうが、というオスカーの言葉に頷いて、クローゼットに視線を向ける。]
大人しく寝てます。
[オスカーが上着をとってくれたならそれを羽織って、寝台に上半身を埋める。]
というか、悪いこと、かもしれません。 欲望を持つということ、 神は、それを美しいとは思わないでしょう。
リンチ先輩のように、気高く、優しくはなれない…。
[寮で、何かといいながら、みんなの面倒見がよかったオスカーのこと、 比べるべきではなくても、日陰者には眩しかった。]
(127) 2013/03/25(Mon) 23時頃
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ああ…… つらいなら、
薔薇の木の下にまた、おいで。
[苦しげな声に、薔薇は甘やかに…。]
――……いくらでも、君を慰めてあげる。 いいえ、愛してあげる……。
だから、今は、おやすみ?
[そんな慰めを。]
(*39) 2013/03/25(Mon) 23時頃
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そんなことはないです。 ああ……。
[上着をかけてくれて、 髪を撫でてくれる。その仕草に、ため息がでる。
だけど、行ってしまう、その言葉に、自身の見をぎゅっと掻き毟るように寄せた。]
(132) 2013/03/25(Mon) 23時半頃
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