105 CLUB【_Ground】
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―寮・フェネックの部屋―
いいか、入るぞ。
[ノック音と返事が返るまでを待ち、あればドアをゆっくりと開ける。 音は驚かしすぎないように小さく、しかし存在と距離を教えるために確実に。 煙草の臭いはフェネックの側に寄る。 いつもと違うのはコツコツとした革靴の音と、清潔でのりのきいた白衣。 その下に雨で濡れたスーツがあった。]
少しだけ待て。
[湿度に弱い動物だ、男は一度白衣を脱ぎ 雨の染みた高価なスーツのジャケットを扉付近に捨て置いて、もう一度白衣を羽織る。 歩み寄り、衣擦れをわざと鳴らしながら手を伸ばした。]
(@32) 2013/12/19(Thu) 13時頃
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触るぞ。
[目隠しをしたフェネックがどんな反応を見せるかはわからないが。 男はゆっくりとその体を抱き上げ、腕にゆるく抱き締めて座った。]
――――――。
[それからは暫く黙っている。 動物を抱き締めるだのということは、とても *珍しい*]
(@33) 2013/12/19(Thu) 13時半頃
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要らんだとか、言うな。
[ただひとつ落ちたのは、そんな囁き。]
(-86) 2013/12/19(Thu) 13時半頃
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[フェネックを抱き締めたまま、暫くは黙っている。 男が愛玩動物とボーダーラインを引くのは、愛玩動物のためでもあり そしてまた、男自身の為でもあった。 距離を縮めて、温もりを覚え、その命が買われ離れていく瞬間。 そんなものを味わうのは、たったの一度で十分だ。 繰り返し経験する“売買”に立ち合うことは、楽な仕事とは言えない。 今度のことも、変わらず。]
サミュ、すまん。 俺が申請を受けた、狼は俺が運ぶ。
[そう告げたのは、研究ルームを離れる前。]
(@41) 2013/12/19(Thu) 15時頃
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運んで、目隠しがとれたら。 後は任せる。
[滴るのは雨粒、涙を流す器用さなど男にはなく。 また、狼に向けるのは決して“愛”ではない。 製作者としての、まるで親としての気持ちはあれど。]
悪いな、最後まで見届けてやりてぇんだ。
[仕事と割りきるその対象は、愛玩動物ではなく―――**]
(-107) 2013/12/19(Thu) 15時頃
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[変わらず、変えてはならず。 平等に、どの“動物”とも距離をとり。]
俺は嫌いだよ。
[近付かず、離れていく。 数日前に落とした呟きは逃げ帰る背が扉を抜けてから囁かれ。 今も決して、通信機のチャンネルをあわせることなく。
残るのは、苦い *煙草の香り*]
(-108) 2013/12/19(Thu) 15時頃
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お前も、いつかかならず買い手がつく。 不安ならこうしてやる。 だから、あんなこと言うな。
[淡々と、雨垂れは落ちる。]
言わんでくれ。
[要らないと、いつ処分されるのかと。 ならば一体なんのために彼らは生まれ、なんのために彼らを生み出すのか。 買われて消えていった命の走馬灯と、首の銀色が小さく *音を立てた*]
(@42) 2013/12/19(Thu) 15時頃
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/* サミュごめんんんんんん!!!!!
どうしてもトラウマさせたくて><。 お仕事譲れなくてすまん、申し訳ない!!
(-114) 2013/12/19(Thu) 15時半頃
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―寮・フェネックの部屋―
[抱きしめた動物は最初こそ戸惑いを見せていたが いつしか男の白衣を掴み、そしてシワを強く刻んだ(>>88) 投げられる端末は音を立てて、落ちる。 衝撃に故障してしまうことはないだろうが、この動物が望むのは 誰の声も届けなかった、通信機の。]
―――――。
[言葉が浮かばない。 自らを頭脳明晰だと、客の一人に言ってのけた男の頭は こういった時なにを語るのが“正解”なのか考え続ける。 過去に、似たような経験がないわけじゃない。 それでも毎回、いや、いつだって。 “正解”などありもしないものを、追い求めて。]
(@60) 2013/12/19(Thu) 20時頃
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[目隠しを外し、涙を拭ってやる事さえ出来ない。 客を選ぶ事は愚か、動物を買い取ることも。 そして、その涙を止めてやることも。]
そうだな。 話してくれなきゃ、何の意味も、ねぇな。
[冷たい端末は、彼ら愛玩動物にとってどれほど絶望的なものだろう。 縋る先は目隠しを外す前も、後も 客である“人間”ただ一つだけだと言うのに。]
(-188) 2013/12/19(Thu) 20時頃
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[“いつか” なんて曖昧な言葉を、どうして選んでしまったのか。 それは不安を煽るだけの言葉でしかないと、わかっているのに。 見えぬ未来を語る、保障も何もない、男の勝手なエゴイズム。 先週、蛇が口にした言葉が雨だれのように落ちる(>>61)]
(――――なんなんだろうな。)
[愛も、幸せも、何もかも。 ただその言葉を落とさなかったのは、これ以上不安にさせるわけにはいかなかったからだ。 子供の駄々のような言葉を、行動を、男は黙って。 抱きしめた手をゆっくりと伸ばし、背を、頭を一度ずつ とん とん と、撫でた。 それは叩いて叱るつもりでもあり、撫でて慰めるつもりでもあり。]
(@61) 2013/12/19(Thu) 20時頃
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謝るな。 頑張らんで、いい。 無理をしなくていい。 自然でいればいい。
そんなお前“が”好きだっていうヤツが、“絶対に”現れる。
[そうあってほしい、そうあってくれと。]
(-189) 2013/12/19(Thu) 20時頃
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――――、いい。
[落ちる、言葉。]
ずるいと思って構わん。 お前がそう思うなら、お前にとってはそういうことだ。 他を嫌うならそれでもいい。 何も間違ってない。
[それはモニターにも映し出され、声は雨だれのように届く。]
俺も一緒だ。
[最後の一言の意味は、この動物にはきっとわからなかっただろうけれど。]
(@62) 2013/12/19(Thu) 20時頃
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幸せにしてもらわんと困る。
[涙は落ち着いてくれただろうか。 男の言葉は“正しかった”だろうか。 男自身にもわからない、わからずとも、それでも揺らぎないのは。]
勿論、お前もだ。
[愛玩動物を幸せにするという、強い意志。 通信機が未読のメッセージを光らせている。 ああ、と再生を押しながら離れた。]
今日は湿度が高い、不調があったらすぐに誰か呼べよ。
[フェネックの部屋を出る際に落としたのは、そんな言葉だった。]
(@63) 2013/12/19(Thu) 20時頃
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[フェネックの部屋を出て、未読のメッセージを読んでいく。 一つは買われて行く動物の、そして部下からの幾つか。 返事を返しながら向かうのは、また別の動物の部屋。
それが終われば、狼を運ぶ事になるのだろう。 男は短く、息を吐いた。]
(@65) 2013/12/19(Thu) 20時半頃
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[届いていた短いメッセージ。 鶯の美しい声を聞き、男が返すのは。]
おう。
[ただ、その *一言*]
(-200) 2013/12/19(Thu) 21時頃
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タイミングは、任せる。 動物も他のに、別れを言いたいかもしれん。
[だからと言って引き伸ばしていれば、離れがたくなる。 そして残される動物たちに、不安が募る。 いつ“運ぶ”かは、難しい。 そしていつまでたっても、――――慣れない。]
(-202) 2013/12/19(Thu) 21時頃
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遅くなった、すまん。 リスな、わかった。
[愛玩動物が売れて行く、引き取られていく。 その事に残される動物たちもまた、何かを感じ、覚え。 フェネックのように「皆嫌いだ」と、仲間を「ずるい」と思うのだろうか。 男は今、その気持ちがよくわかる位置に居て。]
様子見たら、狼を運ぶ。 データ処理だのと忙しくなるから、俺が立ち会うのは目隠しを外すまでだ。
[“見送り”などする意思はない。 視線を合わせ、商品が手を離れるまでが男の仕事だと。 それを告げる音声は、今やっと返る。]
(-205) 2013/12/19(Thu) 21時頃
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/* ティーさあああああああああああああああああああああああああああん
はずすのはごほんにんやでえええええええええええええええええええ
(-207) 2013/12/19(Thu) 21時頃
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―寮・シマリスの部屋―
[白衣、手には塗れたジャケット。 幾つかの通信を返して、男はシマリスの部屋へと向かう。]
おい、いるかシマリス。
[ナーバスになっていると受けた報告。 寂しさゆえに、ならば男こそ適任ではない気がするも 買われて行く動物が現れた以上、こうして残されていく動物に不安が募るのは必然。 先のフェネックもしかり、口には出さないが蛇や虎もそうなのだろう。]
部屋には入らん、目隠しはせんでいい。 そのかわり聞いておけ。
[男の声はリスへ届ける為に、少しだけ張ったものとなる。]
(@74) 2013/12/19(Thu) 21時半頃
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今、お前が辛い分。 お前を幸せにしてくれるやつが“絶対に”現れる。
[触れるのは扉。]
見つけてやる、それが俺たちの仕事だ。
[見つけてやる、それに為ることは出来なくとも。]
だから辛い時は泣けばいい、隠す必要はない。 寂しければ、寂しいといえばいい。 我慢しなくていい、がんばらなくてもいい。
[フェネックの青白くなった指先にも、きっと同じ事を落とした。]
(@75) 2013/12/19(Thu) 21時半頃
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[動物たちは一途すぎる、純粋で眩しく、例えひねくれていても臆病でも。 だから癒され、だから愛らしい。 愛玩動物が“人間”にしか縋れないように、ここへ来る人間もまた そういった動物たちに心を奪われ、共に生きる事を決めて、買い取る。 幸せにならなくてはいけない、動物も、人間も。]
無理して「いい子」でいる必要は、ないんだ。
[男に出来る事は飼い主を見定め、愛玩動物が愛されるように動く事だけ。 動物を買ってやることでも、愛玩動物になることでも、ない。]
すこし、休め。
[そう残して、男はシマリスの部屋を後にする。 一方的な、研究所員の男のエゴを押し付けて。]
(@76) 2013/12/19(Thu) 21時半頃
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[扉を開けなかったのは。 フェネックには触れて、シマリスに触れなかったのは。 男の掌に幻想の熱を、若しも見出してしまった場合。 辛いのはシマリスになると、余計な傷をつけぬように。
扉に触れる手に、優しさをのせることも愛を含むことも。 男には *出来ないのだから*]
(-226) 2013/12/19(Thu) 22時頃
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/* わかってるだいじょうぶだ>狼メモ
いや、こう、おっさんの小さな主張やってんて。 気にするな気にするな、実はそこまで俺も気にしてない!(←
(-227) 2013/12/19(Thu) 22時頃
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―研究ルーム―
[男の足音は普段とは違う音で、しかしいつもと変わらぬ歩調で 地下四階の研究ルームにたどり着いた。 椅子を引き、座る。]
――――――。
[煙草を咥え、灰皿の中の無残な死体たちが片付けられていることに気がついた。 優秀な部下からの返事はない。 つまり今、あの小さな部屋の中で“それ”は行われているのだろう。 火をつける為にライターを指で擦る。 オイルはまだまだ溜まっているのに、フリントが火をともしたのは何度音を立ててからか。 深く煙を吸い込み、フィルターを無意識に強く噛んだ。]
(@77) 2013/12/19(Thu) 22時頃
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準備が出来たら呼べ。
[通信が切れる前、男の名が呼ばれた事を知っていながら 男は今の今まで何も返さなかった。 そして今も、そこに触れる事などない。]
迎えに行く。
[雨だれのように、声が落ちる。]
(-232) 2013/12/19(Thu) 22時頃
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[カメラの仕込まれていない研究ルームで、男は銀のロケットを手にとった。 指先は酷く優しく、そっと大切なページを壊れぬように開く。 黒縁のガラスに映るものに細まる目は、誰にも向けたことのない色をして。 緩やかに微笑んだ表情は、モニターに映る事はない。 抱き締めるように、指先が銀色を包み込む。 そこで初めて、自分自身の指先が金属より冷えていたのだと知った。 この雨に濡れて冷えたのか、それとも。]
――――――。
[デスクの上に置かれた一通の手紙。 添えられた名前に、眉根を寄せて。 見せたくない、聞かせたくないと言うように。 開いていたロケットを、ゆっくりと閉じた。]
(@78) 2013/12/19(Thu) 22時頃
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[男は狼に、通信を送る。 それは事務的で淡々とした雨垂れ。 「準備が出来たら呼べ」と。]
悪いな、行ってくる。
[目隠しと耳を塞いだ銀色のロケットに触れる唇は、甘い。 いつでもすぐに“運べるように”と、男は研究ルームから寮の方へ歩き出した。 雨に濡れたジャケットを着て、その上にフェネックの手でシワが少し刻まれた白衣を着。 ポケットに、一通の手紙をいれて。]
(@79) 2013/12/19(Thu) 22時半頃
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―寮・狼の部屋―
[男は扉の前で待つ。 愛玩動物とはいえ、同じ仲間に挨拶もあるだろう。 この数週間の生活を群れと認識しているなら、きっと尚更。 急かす事はなく、タイミングは愛玩動物に任せた。 部屋の中に気配が感じ取れるまで、男の背中は扉越し。 冷え切った指先で、襟足を掻き毟った。]
(@81) 2013/12/19(Thu) 22時半頃
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