255 【ヤンストP村】private eye+Violine
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[扉が叩かれたのは昼近く。 てっきりピスティオが来ると思っていたのだが、 来たのは商会の親方だった。>>121
親方直々に来た事自体には驚かされたが、代わりが来たこと自体は納得の範囲。 彼が召集を受けたとはすでに聞いている。 やる事があるのは男もわかっている。 さすがに親方も、孤児院の異変までは口を噤むから、男は知る由もない。]
今日は休み、か。 なら、この箱を商社まで頼む。 割らないように注意してほしい。
[親方には二箱、男は一箱持ち、件の商社へと向かった。 そこにも商会は配達を承っているらしく、そこまでは迷うことなく。]
(233) 2018/12/05(Wed) 23時頃
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[店を出る前に。 窓を閉め、鍵を掛ける。 シャッターも、念の為閉めた。
窓を悪い窃盗犯に、意味を成すかはわからない。 犯人の目的がわからない以上、また入られる可能性はありえた。]
……昨日の夜、店が窃盗にあって。 通報はしたけど、気味が悪いから念の為だ。
[時間を掛けていたなと、 道中で商会の親方に指摘され、思わず苦笑いとともにそう返した。
自警団にも伏せた以上、薬品の紛失はもう、誰にも言えない。*]
(241) 2018/12/05(Wed) 23時頃
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―(ダミー)商社―
[薬を二人で運び入れる。 段ボールは入り口まで運んで貰い、親方には礼と共に代金を渡す。 大口の仕事があり、そちらにも回るのだと、彼は急ぎ帰って行った。>>229]
例の危険薬物の取引に来た。 担当者はいるか?
[出迎えたのは店長と名乗る男だった。 電話口と同じ声がしたから、恐らく。 人が良さそうだ、と言うのが印象だ。]
(260) 2018/12/05(Wed) 23時半頃
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[提示した額は、電話の時よりも少し値引きをした。 盗難された薬品と、割ってしまったり薬品の分だ。 その事について訊ねられる前に、軽く呼吸を整えてから説明する。]
すまない、 一枚古い記録を見ていたようで。 最新の在庫を確認したら、 既に売却済みの物があった。
その分だけ、値段は引いてある。 本当に申し訳ない。
[予め考えてきた事を伝え、頭を下げる。 多少信頼は揺らぐかも知れないが、 まだその方がいい。
それに、きっと彼は殆どの薬品とアルカリ性の薬品が揃うならば許してくれるだろう。>>2:146 無いものは無い。 売れてしまったか盗まれたか、経緯に違いはあれど、結論は変わらない、変えられない。]
(261) 2018/12/05(Wed) 23時半頃
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[無い事を責められるのなら頭を何度も下げるだろう。 そこばかりはどうしようもないのだ。
そこに必死だったせいで、確認が出来なかった。 本当にここに危険物取扱者の資格を持った社員がいるのかを。
ころりと忘れたまま、商社を出る。*]
(262) 2018/12/05(Wed) 23時半頃
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[商社を出て、店へと戻る道を一人歩く。 昨日より疲れているのは、荷物を運んだせいではない。
行きは良かった。 商会の親方が話し相手になり、周りを気にする事はなかった。
しかし、帰りは一人きりだ。 あの視線が無いか、歩くだけで緊張する。 書類を書いたら、明日も日がある内に区役所に出しに行かねばならないのに。 "あの人"に鉢合わせしないかが、気掛かりだ。 早く帰らねばと、出来る限り早足で歩き、
―――そして声が掛かる。]
(283) 2018/12/06(Thu) 00時頃
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…わっ、 な、何だ、親方、かぁ……
[声の主はアトリエから荷物を搬出する親方だった。>>229 複数人の部下を連れての大仕事のようだった。
距離があるのに通る声は、男をそのまま背後のガラスに張り付ける。 ここはアトリエの斜向かいだと言うのに、 まるで近くから声を掛けられたと錯覚する声量だった。
無表情が驚いだと、男の様子を見た親方は笑っていたが、男にとっては笑える状況では、あまりない。]
…急いでるのに驚かすなよな。 じゃぁ、仕事頑張って。
[あまり笑われるから、若干頬が熱い。……だから嫌なのだ。 労いに感情は籠もらず、言葉だけになったが、正直いつもと大差ない。 落ち着かない心臓の上を押さえて、また早歩きを始める。*]
(286) 2018/12/06(Thu) 00時頃
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―薬屋―
[夕方と言ってもまだ早い、日が落ち切る前の事。 書類を書き終え、封筒に仕舞い込むと同時に、扉から音がした。>>209
約束の手帳、――否、相手だった。 カウンターに封筒を置いたまま、扉へ向かう。]
思ったより、早いな。 入ってソファにでも座っててくれ。 紅茶でも淹れてくる。
[道を開け、今度は入るように促す。 そして灯りを点けると、休憩所代わりとなっている店の一角を指した。
今日はセルフサービスのハーブティーは置いていないため、 淹れるためには一度台所へ向かわねばならない。 手帳を持ってきてくれたのだ、ちゃんともてなしはしたいと、男は奥へと入って行った。*]
(287) 2018/12/06(Thu) 00時頃
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/* 時間かけ過ぎのお言葉に甘え過ぎ…… そして、どうしても日付変更前移動を日和る……
(-144) 2018/12/06(Thu) 00時半頃
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[ハーブティーに合わせるお菓子を準備する、その気遣いは男にはない。 甘いものは嫌いではないが、好んで買うものでもなく、持って行くのはハーブティーのみだ。
さっぱりとした口当たりのレモングラス。 香りもレモンのそれに似た紅茶。 トレイに載せて、店へと戻る。
ワカナはソファで待っていた。>>292]
待たせてすまない。
[カップを彼女の方へ一つ置き、もう一つを男の手元に。]
(305) 2018/12/06(Thu) 01時頃
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[店に戻り、すぐに気付いた。 テーブルの上に置かれたそれ。>>299 ずいぶんとぼろぼろになってしまっていたが、 その色合い、大きさ共に、間違いようもなかった。]
間違いなく、サイラスの手帳だ。
[男の煎れた紅茶に手を付けるよりも前に、 彼女に促されるまま、手帳を開く。]
(311) 2018/12/06(Thu) 01時半頃
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[表面には、車輪で轢かれたような痕があった。 その端の、辛うじて読み取れる「チャニング」の文字が酷く懐かしい。 同時に、この状態になるまで見つけられなかった事が悲しく、 そして己への不甲斐なさも積もる。
ゆっくりと慎重にページを開く。 表紙を捲り、出てきたのは泥に塗れたページ。 辛うじて読めたのは、「エル」だの「薬」だの断片的な文字。 顔を上げた。 知りたいと告げた彼女の顔を見る。]
拾った時には、もうこの状態で?
[そう言っていたのは聞いていたけれど、もう一度。 せっかくの手帳が、何も読めない。]
(312) 2018/12/06(Thu) 01時半頃
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[再び視線を手帳に戻し、更にページを捲る。 泥はパリパリに乾いており、変に捲れば容易く破れかねない。
そしてその次のページは、読めないどころか破れていた。 しかも、のどを見ると明らかにごっそりとページが抜け落ちている。 彼女が持ち歩くのを躊躇った理由はわかった。 これは酷い。]
……この手帳、よく見つけたな。 俺も見送りの場所には行ったんけど。
サイラスは「足元にこそ、答えがある」って言ってたのに、 俺は……
[上ばかり見て、下は見ていなかった。 手帳は飛空艇ではなく、地面の上にあったのに。
そんな事をぽつりぽつりと溢す。 低い声は男自身を責めるように。]
(313) 2018/12/06(Thu) 01時半頃
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[ペラリと、店内に音が響く。 捲っても一向に内容はわからない。 滲んだ文字も解読は不可能。 辛うじて何かの式である事くらいはわかったが、それだけだ。 肝心なことはわからない。
だが、ただ一部だけ、ちゃんと紙の色が見え始めた。 手帳の中央部ののど付近、そこまでは泥は浸食しなかったようで、 今度ははっきりと文字が読めた。]
これは、……読める。
[文字と言うよりは、主に数字。 8桁のその数字自体の意味はわからないが、 その上に、確かに文字があった。 他よりはマシなものの滲んでいる上に、サイラスの癖字のおかげで判別は難しいのだが]
(314) 2018/12/06(Thu) 01時半頃
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[――男なら読める。 滲む前、その文字は]
……金庫の、鍵?
[と、確かに。**]
(315) 2018/12/06(Thu) 01時半頃
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/* 夕方より少し早い軸にいる……いるんだ僕は…… 話してる内に、夕方か夜になる寸法だ。
(-154) 2018/12/06(Thu) 01時半頃
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