16 漂流旅行
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……
[どうなったのか、と這いずりながら洞窟の入り口へ。 彼が消えた崖の向こうを見下ろせば、 其処には原型からかけ離れた保険医の、残滓。]
っ!
[紅く広がる其れは、 もう少し先の位置へ落ちていれば海原に飲まれていたろうに。 幾度か岩場に叩きつけられ、海に還る事も叶わなかった終局。]
(*6) 2010/08/07(Sat) 04時半頃
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― 崖の傍の洞窟 ―
[其処に残るのは、未だ燃え残る火と 食べかけの、鼠。
崖の向こう、 岩場の辺りには原型からかけ離れた保険医の、残滓。
海に還ることも叶わない終局は やがて鴉たちにより、啄ばまれる事となるだろうか。
マーゴの姿は此処から、また違う場所へと*消えていく*]
(103) 2010/08/07(Sat) 04時半頃
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― 回想 ―
[崖の上にある洞窟から 蒼褪めた顔がふらふらと歩み出る。 両頬は保険医の殴打により若干腫れて居り、 熱があるせいか呼吸が浅く、短い。]
……
[それでも過ぎるのは風穴で一緒だった仲間達の事。]
……た、 ん り
か
[名を呼んでいるのに、声は掠れて響かない。 波音に飲まれても、風穴に辿り着けば 温もりにまた会えるのだと縋るように。]
(164) 2010/08/08(Sun) 01時半頃
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― 回想・崖付近の森 ―
[周りの景色はほとんど意識に入って来ない。 見た事も無い小動物、蛍光色の実。 どれもが普段なら驚きしげしげと見つめるだろうに]
―――
[ただ、ふら、ふら、と風穴を目指す足。]
……っあ
[石に躓いて、転んでしまう。 其処へ紫色の蛇のような生き物が擦り寄ってきて マーゴの太股をがぶり、と噛んだ。]
(166) 2010/08/08(Sun) 01時半頃
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―――ッ!!
[あまりの痛みにその場で、 団子虫のように丸まっては、太股を押さえ込む。 噛まれた箇所からじわじわと広がる、熱。]
……
[涙が滲んだ。 きゅ、と下唇を噛んで嗚咽を押し殺そうとしても 震えてしまう唇は止められそうになかった。]
― 回想・了 ―
(169) 2010/08/08(Sun) 01時半頃
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― 現在・崖付近の森 ―
[どれほど時間が経ったのか。 紫色の蛇のような生き物はもう、傍には居ないのだろうか。 何もかも、解らないうちに手足の先が ぶるぶると意思に反して小刻みに震えるのを自覚する。]
……
[途中、記憶が無い。 何かを見た気がした。それは何だったのだろう。 アイリスだったような、ヘクターだったような、 オスカーだったような、メアリーだったような。 何かまあるくて、明るい、暖かいもの。 『教師』の姿が重ならないのは、畏怖に包まれたから。]
(173) 2010/08/08(Sun) 01時半頃
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……
[錯覚だろうか。 誰かが自分の名を呼んだ気がした。]
あ……
[それは酷く暖かいもののように感じた。 けれどもう、其れが誰だか判断も出来ない。]
あああああ…
[それでも縋るように、精一杯に掠れた声を振り絞る。]
(178) 2010/08/08(Sun) 01時半頃
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……?
[まるで耳の中に幾層もの綿を詰め込まれた様だった。 人の声、と判断は出来る物の、其れが誰で 何を言っているのか、詳細な判断が出来ない。]
だれ…? だれか ……いるの?
[丸まったまま、音の方へ首だけを動かして ひゅうひゅうと浅く、早い呼吸の合間、問いかける。 目を凝らしても、其れが誰か、よく見えない。]
……ぁ
[人だ、と言う事と。 『保険医』では無いというおぼろげな感覚で ぎこちなく、微笑んだ。]
(182) 2010/08/08(Sun) 02時頃
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?
[ぎこちない微笑のまま首を傾ぐ。 何か此方に言っているのと手を差し伸べられたので 手を伸ばそうとするが、ぶるぶると震えてしまい]
……ごめんなさい
[辿り着くまでも、時間が掛かってしまう。 漸く、手に触れれば]
貴方は、だぁれ? ……同じ学校の、ひと?
[囁くように、問い掛ける]
(187) 2010/08/08(Sun) 02時頃
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私は多分、もう…… だめ だから
[ひゅ、ひゅ、と浅い呼吸の間隔が 段々と、大きくなっていく。]
私の事は放って、あなただけでも… ―――ッ!
だけで、も。 精一杯、生きて……
[尚も搾り出すように、言葉は続く。]
(188) 2010/08/08(Sun) 02時頃
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マーゴは、『聞こえ辛い』『見え辛い』という言葉は決して口にはしなかった。
2010/08/08(Sun) 02時頃
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…
[相手の動き続ける口を凝視する。 それでも理解する事は叶わなかった。 悔しくて、自然とぽろぽろ涙が零れてしまう。]
貴方、優しいのね……
[それでも相手の気配、 此方へ一切危害を加えようとはせず、 むしろ、助けようとしてくれているのを肌で感じ、 零れた言葉は素直な、思い。]
ねぇ。 ……私のお願い、聞いてくれる……?
(193) 2010/08/08(Sun) 02時頃
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……
[相手の返答は解らなかった。 けれど、傍から離れないで居てくれる、事。 肌に感じる優しい雰囲気だけを頼りに、唇が動く。]
イリスに、お洋服汚しちゃって ごめんねって、伝えて、欲しいの…… オスカーには、ゲーム、借りたかった、って…
それと、メアリーさんに……
[少し逡巡して]
イリスを宜しく、って あと、 先輩…… ヘクター先輩に………ありがとう、って
(203) 2010/08/08(Sun) 02時半頃
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ねぇ、お願い…… 貴方は、優しい人だと思うから…
だから……みんなを みんなと、仲良く、………生きて
[涙ばかりがぽろぽろと零れて 笑うことも、忘れてしまう]
……それと
[そして、最後の、願い。]
(204) 2010/08/08(Sun) 02時半頃
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『教師』は……… 絶対に、信じちゃ……駄目………
……絶対に。
[自身の体験から来る、最後の願い。 けれど其れが、『教師』に向けられている事も、 最悪の願いであることも、知らぬままマーゴは呼吸を*止めた*]
(206) 2010/08/08(Sun) 02時半頃
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/* いえいえ! 此方こそ、上手く振れずにごめんなさい……
色々考えてはみたんですけど、此処が限界で。 明日も続くようなら、後はお願いしますね!
ちなみに。 表では未定、といっていますが、 イアン先生を襲撃予定です!
お二人の、これからの展開。 お墓からわくわくさせてもらいます…!
(*8) 2010/08/08(Sun) 03時頃
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