265 魔界娼館《人たらし》
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[ 先端を飲み込ませただけで、中は脈打ち滾っていた。 もっと欲しがって奥へと銜え込もうとしている。 彼の指摘したとおりだ。
とても熱くて、はしたない。
こんなことをしていいのかと自問しながらも、止めることができなかった。 指を曲げる。]
あ、 …あ!
[ 押し殺した声が跳ねた。]
(-151) 2019/05/13(Mon) 23時半頃
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[ しばらく試してみたけれど、結果として満足するということはなかった。 彼のしてくれたことに比べれば、まさに児戯に等しい。 あれはもっと、狂おしく甘いものだった。
毒で動けないときにされたせいなのかと考え、寝具をきつく巻きつけて自縛してみたけれど、それもどこか違う。
指よりも奥まで届くものはないかと部屋の中を見回す。 これまで、そんな目的で見たことはなかった。背徳感にクラクラする。
ベッドサイドのチェストの引き出しには、35や15が並べられていた。>>#0 どうしようかと思ったが、体内に挿入するには憚られ、そっと戻す。]
(-152) 2019/05/13(Mon) 23時半頃
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/* 35=キノコ 15=貞操帯
キノコやだあああ
(-153) 2019/05/13(Mon) 23時半頃
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[ 同じ引き出しに、彩色の艶本があった。 パラパラとめくり、そこに描かれたものの意味がわかって狼狽える。
それで気がそれたか、いくらか衝動を抑えることができたので、シャワーを浴びておくことにした。 わたくしが変になっているのは、この香のせいもあるに違いない。]
(-154) 2019/05/13(Mon) 23時半頃
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[ 低めの温度でシャワーを浴びる。 彼のもたらした熱を拭い去ってくれるよう願った。
鏡には、全裸のわたくしが映し出されている。 目に見える部分では、以前と何ら変化はない。
鏡の中の自分に手を伸ばして──引き戻す。]
(-172) 2019/05/14(Tue) 02時頃
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[ 自分の気持ちを持て余しながら、客用の柔らかなタオルで身体を拭い、部屋に戻った。 いつの間にか、籐籠に着替え一式が置いてある。 彼からの贈り物だろう。
それは、さっきまで着ていた服とよく似た色形をしている。 ただ、触ってみれば質感はまったく異なった。
羽毛のように軽く滑らかな生地に、縫い目の揃った仕立て。 決して華美ではないものの上品な装飾が配され、玄人好みである。]
(-173) 2019/05/14(Tue) 02時頃
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[ 袖を通し、着心地に納得して──気づいた。
わたくしは、こういう服をまとってこそ、自然体でいられる。 これは、わたくしの世界に属するものだ。
彼はそれを知っていたのだろうか。 それとも、わたくしが彼の思惑にまんまと嵌められているのか。
でも、これは、嬉しい。 誰もいないのをいいことに、優雅な礼を決める。]
(-174) 2019/05/14(Tue) 02時頃
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[ それはそれとして──
下着の奇抜なデザインは彼流の悪戯だろうか。 どうやって着るのかしばし迷い、いじくりまわしているうちに羞恥心を煽られて、結局、身につけることはせずに、ポケットに押し込んでおいた。]
(-175) 2019/05/14(Tue) 02時頃
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[ さて、身支度は済んだ。 もう暫く休んでいいと彼は言っていたけれど、この部屋に留まり続けるのも気が進まない。 そこかしこに彼の残滓を感じてしまう。
厨房に行って、軽く摘めるものでももらおうか。 補給が必要だ。*]
(-176) 2019/05/14(Tue) 02時頃
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[ ドアノブに手をかけようとした瞬間、反対側から扉が引き開けられる。 そこに《花》が立っていた。 ドレスを着ているから仕事中なのだろう。 《花》は、わたくしが2階の部屋にいるのを見て、くすくすくすと笑った。
背後に幕をおろして、乱れたベッドを隠蔽したかったけれど、無理だった。
「おめでとうと言うべきかしら? 気前のいい方に気に入られてよかったわね。これ、私からじゃないけどどうぞ」と、《花》が差し出したのは小さなバスケットだった。 その中に上品に積まれた鮮かな色の果実からは、熟れた香りがする。
誰からの差し入れかは、言われなくてもわかった。]
(-184) 2019/05/14(Tue) 22時半頃
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[ 逡巡するわたくしの手の中にバスケットを押し込むと、使いの《花》は機嫌よく去ってゆく。
あらかじめチップは弾んでもらっているのだろう。 今、ここで見たことを広めたくて堪らないのかもしれない。
それを止める手立てもなく、わたくしは出鼻をくじかれた形で白檀の部屋に留まる。]
(-185) 2019/05/14(Tue) 22時半頃
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[ わたくしの腹具合までも把握しているような贈り物だ。 洗練れた手管は、彼のセンスの良さを物語ると同時に、これまでに数多の《花》を愛でてきた経験を思わせて苦い。
ひとつ、摘んで口にいれた。 何ひとつ足さない美味しさは彼の功罪にかかわりない。 わたくしは野生の滋養を堪能した。]
(-186) 2019/05/14(Tue) 22時半頃
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[ と、指先がそれまでとは異なる感触を感知する。 それはひときわ大きな実──ではなく、加工品だった。 素材はわからない、が、添えられた彼のメッセージに、用途は明示されていた。 もうひとつの"口"に含ませるようにと。]
──…、
(-187) 2019/05/14(Tue) 22時半頃
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[ 彼は先ほど、これを使ったのだろうか。
たくさんの小さな突起で構成されたそれは、熟れた果実によく似ていて、適度な弾力がある。 これが、あの潤んだ肉に触れれば──
こうやって中をかき回されて、ぐりぐりと擦られる…
思い出すだけで、理性が塗りつぶされそうだ。]
(-188) 2019/05/14(Tue) 22時半頃
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[ 先ほど見つけた艶本にも、《花》の心得として、指名があった日には道具を使って備えておくようにと書かれていた。 これは、彼からの次を約束する厚意なのだろう。
だが、わたくしは、まだ《花》ではない。
自尊心を示すように、燭台の灯にメッセージをかざして灰にした。 炙られた指先がチリリと痛い。 禁忌の果実は、人目に触れぬよう引き出しの中へ仕舞い込む。]
(-189) 2019/05/14(Tue) 22時半頃
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[ 快楽に溺れたくはなかった。怖かったのだ。
反射的に行動したわたくしは、彼が綴ったもうひとつの意図を看過していた。
わたくしが従うと従わざるとにかかわらず、彼は"次"を仕掛けるつもりなのだということを。*]
(-190) 2019/05/14(Tue) 22時半頃
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