158 Anotherday for "wolves"
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これ以上湿っぽくてもカビるだけな気がするが 見届けなきゃあならんのだろうと――
……そう、思ってさ。
[一歩、また一歩 森から村へと踏み出せば 生前の姿を辛うじて保ちながらも、時折その形は暗く翳る。
男は振り返り、 琥珀色の目をゆるく撓めて、ルパートを見る。]
(+30) 2015/05/19(Tue) 21時半頃
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君はどうする。
[グレッグの事も、メアリーが疑われていた事も、 特には知らない。 それでも、遺された彼の家族にとって 今が苦しいだろうということは想像に難くない。 それをルパートが見れば苦しむだろうな、という事も。
見ないままでいる選択肢もある。 問いを投げかける双眸は、只管に凪いでいる。**]
(+31) 2015/05/19(Tue) 21時半頃
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―未明・宿屋裏手― [―――――――…、]
……うん、そうしようかな…。 ここ、何日か…ちゃんと眠れてなかったんだ。
[>>18その呟きは、サイラスの傍から。 彼へ向けて、誰にも聞こえない場所へ、消える。 骸となった狼と、手を下した青年。 そのすぐ隣に、人の型をした男は佇んでいた。]
(+32) 2015/05/19(Tue) 23時頃
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[月明かりの下で隠れたサイラスの顔。 そのサイラスの表情に、 男は少し困ったように眉を下げて。]
――…泣くなよ、サイラス。 …それが、自分の為なら止めないけどさ。
[血に混じり落ちていく涙は誰の為のものだろう。 もう戻らぬ彼女を想ってか、 それとも同胞に手を掛けてしまった自分の為か、]
……頼むからさ、 俺の為には、泣かないでよ…サイラス。 …俺は…クラリッサをあのまま殺せていたらさ、 多分次は、サイラス…お前を狙ってたんだ。
[眠らされた為かほとんど苦しむことはなかった。 禁忌をおかして村の均衡を更に揺るがした人狼に 与えられた死は、どこまでも優しい方法で。]
(+33) 2015/05/19(Tue) 23時頃
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……ほんと。 人が好くて―――――…お節介だよね。
[隙あらば今にも襲わんと。 獣の型を取り続けていたあの時ですら、 >>4:376この男は此方の怪我を気にかけていたのだ。 苦笑交じりに呟いて狼の骸を担いでいく姿を見送った。]
(+34) 2015/05/19(Tue) 23時頃
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[まだ意識を戻さぬメアリーの姿に視線を移して、 目を細め、けれども男は今はそれ以上言葉を紡がない。
望まない、と"彼女"は言った。 望んだのは、"男"だった。
誰でもない、自分の為に選んだ。その結末。 男の死を知るその時、"彼女"は何を思うだろう…。
従妹が意識を取り戻すよりも先、 男の姿は静かに闇の中へと溶けて行く。]
(+35) 2015/05/19(Tue) 23時頃
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[先程まで、"自分"の居た場所。 貫かれて地面に広がったままの血、その赤。 夜の色の中に赤は黒ずんでそこに在る。]
[赤い、色。]
(―――…一番似合っていた、ワンピース。)
[あかい、色。]
(―――…憧れの背、その人の髪。)
[紅い、色。]
(―――…たくさんの星が瞬く、自分だけが知る空。**)
(+36) 2015/05/19(Tue) 23時頃
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なんだ、気にしてたのかい。
[髪の話題>>+27には、くっと噴きだすように小さく笑い。 わざとらしく、ちらと視線を上へとあげた。 琥珀がじろりと睨み来れば、 笑み含んだ赤い鳶の瞳を涼しい顔で逸らして。
そうして闇に光る白い月、 やたらと生前のまま映る景色を眺めながら口を閉ざした。 素直に綺麗だなと思う。 今更、あの空に手を伸ばし救いを求める気もありはしないが]
(+37) 2015/05/20(Wed) 00時半頃
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[沈黙。互いに互いの思いで暗い空を眺めていた。 心はこれまでになく凪いでいる。 一度、彼の肩に置いていた手に手を触れられて、 その時ちらりと彼の横顔へと目を向けた。
生前と、昔と代わらず真摯に映るその横顔に目を細める。 八年前のキャサリンのこと、自分のこと。
結局まだ気にしているのだろうと、 死ぬまで──…死んでいるが、 消えるまで気にしているのじゃないかとすら思う。 …薄くなりつつあった、髪と同じに]
(+38) 2015/05/20(Wed) 00時半頃
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[沈黙を破る声>>+29があった。 問いならぬ問いに、再びちらと目を向ける。 視線が交わることはなかった。 だから男も、また空を仰ぎながら言葉を落とす]
…───、さあ 、なあ…。
[返す声色は少し茫洋として、 あの空の星への距離を問われたかのように、 少し、想像を広げるかの間を置いた]
(+39) 2015/05/20(Wed) 00時半頃
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………けど、
…… けど、……
[躊躇うように、少し沈黙は落ち]
(+40) 2015/05/20(Wed) 00時半頃
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…なあ。 我らには…この村の人狼族には。 少しでも、ほんの少しでも、 あの子らの声を聞く余地はなかっただろうか。 同胞の声を聞く余地はなかったろうか。 同族を罰する殺すという前に。
…───少しでも声を聞いて貰えたなら、
[或いは、と。 顔は空へ向けたまま、自らに重ね合わせるように呟いた。 自分とて、妻が助けられるなら同じことをした。 同じことをして、逃げ場を失えばさて…どうしたことか]
…。 私は、彼らを助けたかったよ。
(+41) 2015/05/20(Wed) 00時半頃
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[あの子らと呼び、彼らと呼ぶ。 犯人とも裏切り者とも呼ばれる者らと、 心通じていたこと隠す気は元よりなく。
少し、間が途切れる。 躊躇うように傍らを見、ゆるく口を開いた]
…… ”犯人”と呼ばれる者が、 私だけで済めば良かったのだが。
[そう願っていたと低く零して]
(+42) 2015/05/20(Wed) 00時半頃
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だから僕は、とうに心で裏切っていたんだよ。 族長の意に抗ったのは、確かにこの私だ。 同族を殺したいと思ったことはなかったが、…
[見殺しにしたことはあるとまでは言わず、口を閉ざした。 己が手を汚したと、思われるならそれで良いのだ。 村医者は何も間違えたことはしていない。 問われずあるならば、だからそれ以上を語ることもまたなく]
(+43) 2015/05/20(Wed) 00時半頃
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ああ。行くよ。 何も出来なくとも──…
[傍にいてもいいですよね、と。 やさしい少女の声>>4:+49が、ふと脳裏を過ぎる。 その面影にゆっくりと瞬いて、そして小さく首を振る。 そうじゃない。自分はそれ程綺麗なものではなくて]
… あの子らの、傍に居たいんだ。
[己の我侭な狂気の末路、その末を。 見届けることを選び、男もまた森から足を*踏み出した*]
(+44) 2015/05/20(Wed) 00時半頃
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宿屋 ルパートは、メモを貼った。
2015/05/20(Wed) 00時半頃
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― 4日目 投票 ―
[粛清を決める投票に、全員が集まるはずの集会場。 わたしは足音、声を何度も確認して、ようやく。
居るはずのひとが居ないことに気付くんだ。]
…………せんせ…?
[さあ、と風が砂塵を巻き上げて 揺れぬ黒髪を通り過ぎ 吹き抜けた先は通い慣れた診療所。
そんなわたしの揺らめく心を嘲笑うかのように 箱は静かに今日の死者の名前を吐き出した。
――グレッグ・シーボル
彼への死の宣告と同時に決まった メアリーの孤独。 いっそ予告なしに奪われた方がましなのではと思う位に 決められた未来は、夜の帳と共に落ちていった。]
(+45) 2015/05/20(Wed) 02時頃
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[ (もしかしたら、具合が悪いだとか) (誰かが大怪我をして忙しいだとか) (そうよ、だって大火事があったんだもの) (きっと忙しくって来られないんだ) ]
そう、よね。 きっと そう。
[手首の絹がはらりと緩み、手を下げれば落ちてしまうほど。 さら、さらと揺れた束を撫でれば ひとつ正緒を吐き出して 風に揺られて何処かへ伸びる。 手繰っても 手繰っても 終わりのない細い生糸。]
グレッグ……。 (サイラス…。)
[父からも 兄からも 遺されるあの子の叫びが 耳の裏に響いて離れない。 ――サイラスは”終わったら”あそこへ来るだろうから わたしは彼が選んだ責務に目を細めて 背を送る。
( どうか、彼と彼が 安らかであるように ) ]
(+46) 2015/05/20(Wed) 02時頃
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グレッグ、 また、ね。
[ ルパートさんに ”会えた” から>>4:+44 これから世界に別れを告げる彼へ、わたしだけは
再会を願うことばを餞に。
ざわり、木々が揺れ 闇が迫るは金の獣ふたりの背。 かたどる闇へは音もなく、サイラスへは
( いってらっしゃい )
還りを願うことばを礎に。
死が流れてくる毎日が、確実に生者を蝕んでゆくけれど 皆それぞれの「ただしいこと」は、意味を持って牙を剥く。 願わくは皆、それを守ったまま 逝けますようにと 集会場から散る足音達へ、願った。]
(+47) 2015/05/20(Wed) 02時頃
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[変わらず揺れる 微かな朱い絹糸は わたしの指間でするりと擦れて 風に乗る。
ひとつ、腕にまきつけて ゆるりと足を運びながら
導かれたのは、宵の深まる月降りた墓地。 サイラスが ”終わったら” きっと訪れるだろうと思っていた場所。
手繰る糸が途切れた先は、ほうやりひかる紫の色>>48
あの日>>1:=7視た 紫苑――。]
こんな夜更けに、お墓参りですか? …せんせい。
[返事が返らぬのは当然のこと。そう諦めながら わたしは土の上の物言わぬ花へ、話しかけていた **]
(+48) 2015/05/20(Wed) 02時頃
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─ 4日目・宿屋裏手 ─
[暗い森をスティーブンと抜けて後、 男の姿は、淡く生前の姿を模した形で見慣れた宿の傍にある。 裂かれた喉から滴っていた血は、今は止まっている。
ただ、男の輪郭は淡々としたまま、 短い間昔日の姿を戻していた頭髪も再び白く薄くなっている。 どうやら、この場に在るにはそれが相応しいようだった。 心を映すということなのだろう]
メアリー、…グレッグ。
[村に入った男が真っ先に探したのは、この二人だ。 もっとも気がかりな名を求め、生前の我が家へ向かう。 そこには幾つかの人の気配があるようだった。 ゆらり、幽霊はそちらへと漂う]
(+49) 2015/05/20(Wed) 11時半頃
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グレッグ………!?
[そこで目にしたものは、 獣の姿でクラリッサに襲い掛かる甥の姿だ>>4:315 それに、男は信じられないといった様子で目を見開いた。
愛娘の悲鳴が響く>>4:321 咄嗟に、甥に向かって腕を伸ばした]
────…グレッグ!
(+50) 2015/05/20(Wed) 11時半頃
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[必死に伸ばした腕も指先も、彼を通り抜けて行く。 分かっている。 分かっていて尚、手を伸ばさずにはいられなかった。
すり抜けると同時、耳が彼の唸りを間近に聞いた。 甥の瞳を、そこだけは姿変わっても変わらぬものを間近に見る。 必死に、懸命な目をその場に見た]
( …ああ、)
[その瞬間、分かったと思った。 この”息子”の想いを、確かに聞いたと思った]
(+51) 2015/05/20(Wed) 11時半頃
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やめろ、グレッグ…!
[それでも尚、訴えてしまうのは、 彼もまた”大切なもの”であったから。 大切な家族、かわいい子どもであったから]
やめろ………!
(+52) 2015/05/20(Wed) 11時半頃
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[彼の耳に訴えが届くことはない。 獣の低い悲鳴、そして衝撃があって振り返った。 小さな狼が、グレッグの足に噛り付いている>>4:342
娘だった。 必死に彼を引き止めようとする姿に、男の顔が歪んだ。 大切なもの。大切な子どもたち。 二人を、二人とも守ってやりたかったのに]
(+53) 2015/05/20(Wed) 11時半頃
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[顔を上げれば、立ち竦む娘の姿が見えている>>+24 先に言葉交わした彼女に今は声を掛けることなく、 ただ視線が交わる一瞬に、男の顔はくしゃりと歪む]
グレッグ…!
[サイラスの足が、甥の首目掛けて蹴り込まれた>>4:349 庇っても、邪魔のしようはなかった。 男の蹴りは何の抵抗もなく、狼の首元に突き刺さる。 痛みを受ける顔で、鋭い獣の悲鳴>>4:352を近く聞く]
(+54) 2015/05/20(Wed) 11時半頃
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…──お前は、
[どうして。を、男は紡がない。 そんなことは痛いほどに分かっていた。 彼がこのようなことをする理由は一つしか浮かばない]
(+55) 2015/05/20(Wed) 11時半頃
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っ、ばかな……
[俯いて、それ以上の言葉は出なかった。 ベネットの、サイラスの声が聞こえる。 グレッグがサイラスの下に押さえつけられる。
やめてくれと叫びだしたかった。 実体があるならば、彼を殴り倒してでも甥を逃がしたかった。 彼らは決して見逃しはしないだろう。
”怪しきは罰せよ”と。
自らの例を引くまでもなく、投票を始めた時──いや、 族長が教会に皆を集めた時から、決まっていたのだから]
(+56) 2015/05/20(Wed) 11時半頃
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グレッグ、
[獣姿を解こうとしない甥の傍らに幽霊が座り込む。 サイラスを突き飛ばし駆け来た娘>>4:358に目を向けた]
メアリー、
[必死に敵意を剥き出す娘の姿に、辛い表情で眉が寄る]
二人とも………
( … すまない。 )
[守ってやれない子どもたちに頭を垂れ、 共に抱き寄せるように一瞬二人へと額を寄せて]
(+57) 2015/05/20(Wed) 11時半頃
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[そうして、無残に連れて行かれる甥を見送るのだ。 それを止める力は、命を落とした男にはない。
愚かしい話じゃないか。 結局、旧い友を苦しめその手を汚させ我侭に、 けれど少しは彼らの守りの為にと死を望んだ先がこの有様だ。
とはいえ仮に生きてこの場にいたとしても、 恐らくグレッグに加勢しただろうなという程度で、 たかが一人一匹の力で抗ったとて、何も変わらなかったかも知れないけれど]
(+58) 2015/05/20(Wed) 11時半頃
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[甥の命が奪われる場に、男は立ち会うことはしなかった。 その代わりに、彼が傍に居れない代わりに、 意識を失い地に崩れ落ちた娘の傍>>4:373に寄り添った。
大丈夫と言ってやる声も、撫でる手も持たないけど。 涙で濡れた頬を見つめて傍らに居た]
…────、
[命のまたひとつ消える気配>>18 それを命なき者の鋭敏さで感じて、男は顔を持ち上げる。 遠く虚空に人狼の、音なき悲痛な声が*木霊する*]
(+59) 2015/05/20(Wed) 11時半頃
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