76 ─いつか、薔薇の木の下で。
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──……。
[頭を振って、懸命に香りを脳裏から消そうとする。 あの細い指が触れてくるような感覚に 吐息にかすか、熱がこもる。
けれど。目の前の彼に触れて、箍が外れたら多分、自分は]
だめ、だ。
[苦しいけれど。切ないけれど。 それでも、まだ]
(*30) 2013/03/25(Mon) 21時半頃
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この苦しさ、わかってくれるのは、 君だけだよ……。
[それは、いつのまにか、彼自身の言葉だけではなく、 薔薇の言葉にもなっている。
枯れたまま、終わるのは、嫌だ。 また、あの花を咲かせたい。 美しく、そして、甘美なあの想いを……。]
君だけだ……。 君がいないと……。
[細い指は、もがくように、 唇は、浅い息を繰り返しているかのように、開ききらない五分咲きの薔薇のように…。]
(*31) 2013/03/25(Mon) 21時半頃
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ぅ……ん
[入ってくるな、これ以上、香りはいらない 懸命に拒絶しようとするけれど 酔いは拒絶の仕方を忘れてしまったよう。
ヤニクからそらした目は熱で秋空を写す湖面のよう。 もう耐えられないくらい理性はぎりぎりで。
月の下で暴いた体の感触が手に残る。 あぁ、かなうなら、もう一度触れたいと 伸ばされた指に応えるように 夢の中で自分の指も絡ませる]
…欲しいのに。
(*32) 2013/03/25(Mon) 22時頃
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ああ
欲しいなら、 摘み取ってしまうかい?
[薔薇の囁き。 それは甘美な欲望を否定しはしない。 その伸ばした指は、きっと彼の身近な人からも伸ばされたような幻影。
薔薇は、咲き誇るために、 吐息をこぼす。]
――……
(*33) 2013/03/25(Mon) 22時半頃
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摘み とる…? …何を、どういう……
[息が上がる。目の前のヤニクの熱と薔薇の香りの熱で 逃げ場のない感覚。 潤んだ目はその水滴を零す]
熱い、よ…たす け…
[どうすれば熱は収まるのか。 どうしたら、このやり場の無い感情はきえてくれるのだろう]
(*34) 2013/03/25(Mon) 22時半頃
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[助けを求める響きに、 薔薇ではなく、彼自身が眉を寄せた。]
ああ、 壊したくないんだね。
[指先、それは、眠る子を宥めるように…。]
――……君を慰めてあげる。 僕なら、いくら壊されても、 構わないよ……。
[優しく、語りかける。]
(*35) 2013/03/25(Mon) 23時頃
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君の大事な人は、 大事にして………?
[その言葉はどう響くだろう。 だけど、深い意味はない、そのままの意味だ。
大事な人がいるのならば、 大事な人は、大事に………。
欲望だけで、何かを壊してしまいそうならば、 壊れてもいいものを壊せばいいと……。]
僕のことは壊してもいいんだよ。 むしろ、僕は壊れることを………。
[薔薇とは違う、願い。本当は見えない、未来。
美しくありたい。枯れてしまいたくない。
そこは同じなのに。]
(*36) 2013/03/25(Mon) 23時頃
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――……そして、賛美歌を紡ぎ出す……。
(*37) 2013/03/25(Mon) 23時頃
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───……ぁ、う…… !
[熱と理性と、大事な人と薔薇の声。 持て余してどうしようもない感情と それでも失いたくない大事な友人と
満ちる香り薔薇が脳裏を壊してしまったよう。 悲鳴のような声は悲痛で、けれどやはりどこか甘やかで
助けてたすけてタスケテ
辛い。熱い。苦しい。
けれどどうしていいのかわからない。 ずっと人に頼ってきた代償。この依存心の塊は]
(*38) 2013/03/25(Mon) 23時頃
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ああ…… つらいなら、
薔薇の木の下にまた、おいで。
[苦しげな声に、薔薇は甘やかに…。]
――……いくらでも、君を慰めてあげる。 いいえ、愛してあげる……。
だから、今は、おやすみ?
[そんな慰めを。]
(*39) 2013/03/25(Mon) 23時頃
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僕も、苦しいから……。
[ひとりじゃないよ、と。 依存には、依存で答え…。*]
(*40) 2013/03/25(Mon) 23時半頃
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[そこに、眠る子の姿はあったか。 いずれにせよ、シルヴァではない、薔薇は、サイモンにも彼にも微笑む。
そして、おいでと、手を差し伸べるのだ。]
(*41) 2013/03/26(Tue) 00時半頃
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