270 「 」に至る病
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― 今から数年前のお話 ―
[シャンシャンとすずの鳴る音はいろんな場所で。 街中でかざられたキラキラの飾りはとてもきれい。 それもそのはず。 だってもうすぐ、クリスマスなんだもんね。]
おみせやさん、こんにちはー! あのね、ありす、くださいな。
[手の中ににぎったおかねは、アリスの微笑み>>125ふたつぶん。]
(215) 2019/10/06(Sun) 10時半頃
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[ほんとはチョコのほうが好きだけど わけっこで食べるお小遣い、ちょっと足りなかった。 しょんぼり。 でも、アリスのほほえみもとっても美味しいから わたしはとってもうれしい。
おみせやさんにありがとうございます、ってご挨拶して かったばっかりのおおきなめがねがズレちゃったら よいしょってなおして。
太陽に透けたらピンクに見える、あんずのいろのおさげをゆらして 今日は会えるかなって。
わたしは、そのすがたをきょろきょろ探す。]
(216) 2019/10/06(Sun) 10時半頃
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おにいちゃん、今日はあえるかな?
[わたしのお兄ちゃんとおなじくらいの男の子。 でもわたしのお兄ちゃんと違ってやさしい。 いじわるだってしない。
みっかまえ公園でであって、いっしょにありすわけっこした。 おなまえも、すんでるところもわかんないけど またいっしょに食べたいな。
おにいちゃんの分と、わたしの分を手の中に きょうは数を46(0..100)x1数えれたら会えるかな?
公園でぶらぶら、あしをゆらして いーち、にーい こえにだす。]
(217) 2019/10/06(Sun) 10時半頃
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おにいちゃんにあえたら おたんじょうかい おさそいしなきゃ
[かばんのなかからスケッチブック取り出して
おにいちゃんへ。 お手紙と、おとうさんおかあさん、お兄ちゃんが笑ってる顔と こいぬのアリスのえを描いて
さいごにわたしとおにいちゃんが仲良く手を繋いでる絵を描いて 「きてください」 って書いて。
あえるかな、あえるかな
きょうは、あえるかな、あえるかな―――]
(218) 2019/10/06(Sun) 10時半頃
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―――
(219) 2019/10/06(Sun) 11時頃
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[真っ白な病室で 清潔に整えられたミルフィの体は瞬く間に回復した。 その様子にセイルズは安堵の息を漏らす。
吸血鬼のことは、やはり六歳児には分からないようだった。 ――否、わからなくて良い。>>199
いっそ眷属であるという自覚もなく、 妻を蝕んだ「 」の病さえ、現れてくれなければ良い。
セイルズはただ彼女を生かしたいだけなのだから。]
(220) 2019/10/06(Sun) 11時頃
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そう、家族だ。 ……これからは僕がいる。
ひとりじゃないよ。 暖かい部屋で眠っていていいんだ。 ……ミルフィ。
[ミルフィの瞳から涙が溢れ出すのを、 セイルズは落ち着かない心地で見ていた。 この子はどれほどの孤独にどれだけ耐えてきたのだろう。 そう思えば胸が苦しくなってくる。
血が繋がっていない、とはいえ、 すでにその血を汚した後だ。
赤の他人とももう思えずに、 セイルズは優しくミルフィの頭を撫でる。]
(221) 2019/10/06(Sun) 11時頃
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[「パパ」という音が鼓膜を打った。 幼い腕が体に抱きついた。 産声などなくとも、それで十分だと思った。]
ミルフィ。
[セイルズは少女の名を呼ぶ。 自分がつけた名のように、優しく呼んで 腕にすっぽり収まってしまう小さな体を、 ぎゅっと抱きしめた。]
(222) 2019/10/06(Sun) 11時頃
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[その日から、2人は家族になった。]
(223) 2019/10/06(Sun) 11時頃
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――それから――
……文字の読み書きを? ああ、もちろん、いいとも。
[退院後すぐにミルフィが言ったお願いに セイルズは微笑んで頷いた。 この子が小学校に行くための手続きもしなければ。
そう思いながら、「でも」と添えた]
遊んでも、いいんだからね。 ミルフィはまだまだ小さいんだから。
[何かを怖れるような眼差しに肩を竦めて>>204 警戒を解くのに苦労しそうだな、と思った。]
(224) 2019/10/06(Sun) 11時頃
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[セイルズはミルフィのために出来るだけのものを整えた。
1人で暮らすには広すぎた家の中で 殆ど空だった一部屋を子供部屋に作り変えた。 仕事の合間に彼女に読み書きを教えて、 できるだけ楽しい児童書・絵本をそろえた。
「食べている気がすればいい」 「血の味を誤魔化せればいい」
そう思い雑に作っていた食事を、 栄養バランスを考えて丁寧に作るようになった。
子供と暮らすというのは、数百年生きてきてはじめての事で セイルズはわからないなりに手を尽くした。]
(225) 2019/10/06(Sun) 11時頃
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[薄暗い灰色の部屋が、明るい家庭の色に塗り変わる。 それでも尚、リビングには白薔薇が鎮座した。]
(226) 2019/10/06(Sun) 11時半頃
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[ある日、朝食をとりながら>>205 ミルフィが尋ねてきたことに、 セイルズはぱちぱちと瞬きをした。 トーストを齧ってから珈琲を飲む。
今は使われていない一室のことに思いを馳せる。 クラリッサの部屋には 彼女が大切にしていた私物と、 セイルズと撮った写真が置かれている。
あの部屋の写真を見れば、幼いミルフィでも かつて”ママ”がいたという事はわかってしまうだろう。
セイルズは目を細めて「そうだね」と呟いた。]
(227) 2019/10/06(Sun) 11時半頃
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彼女は、僕の生徒だったんだ。 同じ歴史を研究していてね。 当時の女性が大学で学ぶのは珍しかった。 けれど、彼女は違った。
賢くて、明るい、白薔薇のような人だった。
[セイルズは2つのリングがつけられたネックレスを 祈るように握り、過日を思い出して少し目を閉じる。]
生きていたら、 ミルフィのためにケーキを作ってくれただろう。 彼女は料理が得意だったんだ。
(228) 2019/10/06(Sun) 11時半頃
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[それから微笑んでミルフィを見た。]
今週の休日は、お勉強をお休みして出かけようか。 遊園地とか、行ってみたくないかい?
[六歳の子供が喜ぶことはわからないけれど 出来るだけ勉強だけでなく遊んでもほしい男親は 考え付く限りで一番楽しそうなところを挙げて、尋ねた**]
(229) 2019/10/06(Sun) 11時半頃
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/* あぁーー!可愛い!ケイト可愛い!! 僕だけのアリスなんだ、僕だけの友達なんだ。 あらゆる手段を使って手に入れるんだ(鬼畜外道スマイル)
(-37) 2019/10/06(Sun) 11時半頃
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/* (大事にしたい…)
(-38) 2019/10/06(Sun) 11時半頃
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/* やっぱりセイルズ動かしやすい…動かしやすいな…?? やれやれ系おじさんは得意です
(-39) 2019/10/06(Sun) 11時半頃
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/* 全員お集まりいただいたのょ! うれしいわ!うれしいわ!
(-40) 2019/10/06(Sun) 11時半頃
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/* About meがイメージの曲です。洋楽あさればもっと合う曲ありそうだけど、洋楽に明るくなかった。
(-41) 2019/10/06(Sun) 11時半頃
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[>>213簀巻き少女?の答えに傾けていた首を戻す。 話の内容から察するに私刑の半ばであったようだ。 何とも前時代的で野蛮な内容である。
簀巻きのまま海に落ちれば間違いなく死ぬだろう。 死んだことがないので過程は分からないが そういう事もあるかもしれない]
お前はしめじも知らないのか?
[どうやら知らないようである。
>>214譫言を紡ぎ続けてはいるが>>212自己申告通り 頭が呆けているのだろう。 理解できないところもあったが 概ねは「死にたくない」に集約されるのだろう]
(230) 2019/10/06(Sun) 12時頃
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蚯蚓のように地面を這いつくばるしめじも その内に起きるだろうしそうすればお前は死ぬな
成程、成程……生きていたいか
[問題は簀巻きは再び瞼を閉じてしまったことである。 何かしら危険な薬でもやっているのだろうか。 あまり触れたことがないジャンルであるために 持ち得る知識もそう多くはない。
普通の人間ならば病院にでも運び込むのだろうが、 生憎と"吸血鬼"たる身であるためにそれは最後の手としたい。
より"吸血鬼"らしい行動と考えれば――]
(231) 2019/10/06(Sun) 12時頃
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……よかろう 死にたくないならばお前を俺の下僕にしてやろう 至高の"吸血鬼"ジャーディン・ヴィラドメアの眷属となれるのだ 感涙に噎び泣き24時間俺に尽くすがいい
[指先で掴んでいる顎を二度三度程引いて頷かせる]
宜しい、では血の誓約をしよう ――とは思うが先ずは家まで戻るか
[簀巻きを肩に担ぐと倉庫の外へと出た。 しめじたちは仲良くしめじをしていたので、 後でこの簀巻きに見せるために写真を撮影しておく。
撮影が終われば再びリンディンの夜空を飛んでいく。 今宵に月が出ていなくて幸いである。 何しろ何処からどう見ても事案である]
(232) 2019/10/06(Sun) 12時頃
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―― 自宅 ――
[自宅に到着すれば簀巻きを床に敷いたマットレスの上に転がした。 麻縄をナイフで切って身体を解放してやると 頬を叩いて声をかける]
目覚めよ、少しは動けるだろう ……もしは動けないのか?
[それ程衰弱しているのだろうか。 産まれた時より吸血鬼であったため、 残念なことに人間の脆弱性を身を以て知ることがない。
見た目で言えばミドルスクールくらいだろうし、 何か口にすれば多少は元気になる気もするが――。
どうしたものか。 取り合えず着ているものは引ん剝いて湯で身体を拭いてやろうかと、 目覚めなければその衣服に手をかけていく*]
(233) 2019/10/06(Sun) 12時頃
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/* !?脱がされる!??
(-42) 2019/10/06(Sun) 12時頃
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自由と無礼は違うだろう。 ほら、カルテ書くぞ。
[彼との間に横たわらせていた医者と患者の溝を埋める。 15歳の子供に必要なのは従順で臆病な大人ではない。試す心算で叱ったが、彼には案外効いたようだ。>>191
確かに彼は何処へ出しても恥ずかしくないプレミア付きの御曹司ではあるが、この場所に辿り着いたからには多くの患者と同じく死にゆく人だ。 痛みと苦しみを取り除き、代わりに柔らかなもので空隙を埋める。
患者の未練を解消するようにロールプレイを採用するのも、終末医療では珍しいことではない。――― その場合は大体が息子役となり、彼のように友人関係で括るのは初めてであったが。]
(234) 2019/10/06(Sun) 13時頃
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[だが、深入りせぬように気を付けねばならない。
カルテに崩れた字を書きつけながら、自身に釘を刺す。 人に不慣れな少年の驚く顔は悪戯が成功した気がして悪くなかったが、彼の寿命は既に現代医学が匙を投げている。
医者としての出来ることは痛みを騙し騙し遠ざけるだけ。 友人としての出来ることは終わりを嘆き悲しむくらい。
―――― もうひとつの己に出来ることは。 それを深く考えないようにしなければならなかった。]
(-43) 2019/10/06(Sun) 13時頃
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基本的に投薬とカウンセリングで様子を見る。
時々は麻酔薬も使うが、 神経を麻痺させるだけなんで手術はしない。 同意書も時々書いて貰うことになるから、親に頼め。 んー、
[申し送りされた彼の病状と問診を合わせ、あっさりと計画を立てていくが、彼の身体は脆かった。あと五年持てば良い方で、手は全て尽くした後。 人の器の限界だ。彼の隣には死が寄り添っている。
未来在る少年に見えても、諦めるしかない命だ。]
(235) 2019/10/06(Sun) 13時頃
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……グスタフだ。 俺は友人は下の名前で呼ぶ派。
[だが、控えめに問われた友情の確認にはっきりとした声色で是を返した。友達と呼ぶには些か年が離れ過ぎていたが、己にとっては世界の大半が年下だ。*]
(236) 2019/10/06(Sun) 13時頃
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[二度目の来院の際、男は診療所の前で待っていた。 バスで来たと知れば、三度目はバス停で待った。
迎えに行くと約束しただろ。とは主治医の談。 子供扱いと捉えたかは彼次第。
毎週のメニューは決めた通りにカウンセリングと投薬が主。時折、麻酔によって交感神経を麻痺させる治療も行った。――― あとは、彼との雑談の時間も多分に取った。]
チェスにバックギャモン、オセロに……ショーギもある。 俺の方が強いから手加減してやるよ。
[最初のうちは他愛無いボードゲームを用い、慣れてくれば彼のことも聞いた。生き方と死に方、なんて重い話題ではない。趣味はなんだとか、好きなものはとか、親はどうだとか。そういった、15歳の少年がしそうな話題だ。]
(237) 2019/10/06(Sun) 13時頃
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