191 The wonderful world -7 days of MORI-
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―1st day:宵越屋前―
[頑張って、とにこやかな笑顔で送り出してくれたスポーツ用品店の店員さん。 僕と彼は小さな会釈を返して、再びモリ区の雑踏に紛れ込みました。
その途中、矢鱈と目立つ二人組>>4>>13に目を奪われて、 かっこいい人だね、とか、幼馴染とひそりと小声で会話を交わしたりということもあったのですが、 それ以上に変わった出来事はありません。 金属バットを堂々と握りしめた幼馴染の背を追うようにして、僕はその後ろを歩いていきます。
その時でした。携帯が着信を知らせたのと、 空から、怒声ともとれるような大声>>2が降ってきたのは。]
(32) 2016/06/05(Sun) 12時頃
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ひっ……!
[反射的に、僕は耳を塞ぎました。それでも、声は容赦なく鼓膜を震わせます。 その音量に、責めるような響きに。それから、ある意味で激励とも取れるような言葉に、今日だけで幾度目でしょう。僕の視界が潤みました。 残響が消えてからようやく、僕は、ぐすぐすと鼻を啜りながら、それを誤魔化すように携帯を取り出します。]
書、と、旅人……。
[その時、ちり、と、手の甲が痛みました。 浮かび上がった赤い数字が、まるでデジタル時計のように減っていくことに、 すっかり怯え切った僕は、また喉を小さく震わせました。
けれど、それだけです。 隣の幼馴染がこともなげに問い>>7を投げてくるものですから、 僕の意識は不可思議な数字から逸れて、メールの謎の方へ向けられたのです。]
(35) 2016/06/05(Sun) 12時頃
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到達せよ、だから、きっと。
[辿りつくだけでいいのだと思います。きっと。たぶん。 自信はないけれど、彼と同じ意見のようでしたので、僕は頷きました。]
それで、えぇと。 できれば、本屋さんを見たいな、って、思うんだけど……。 でも、ルイに任せるよ。
[先程の化け物や、或いはパーカーを羽織った人のことを鑑みれば、 そちらを避けて、ホテルに向かうのが賢明なのかもしれません。
けれど、出来るなら、本屋さんに。 恐らくそこに並んでいるはずの、僕の本を、見たい、と。 そう思ったのです。]
(37) 2016/06/05(Sun) 12時頃
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[それから、もうひとつ。 いつの間にか、彼の手から失われていた一冊の本。 出来るなら、それを、もう一度、彼に、と。 そんな事を考えたのは、少々場違いだったでしょうか?
僕は、幼馴染の顔を仰ぎ見ました。 彼の判断なら、きっと、間違いはないでしょうから。*]
(39) 2016/06/05(Sun) 12時頃
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童話作家 ネルは、メモを貼った。
2016/06/05(Sun) 12時頃
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[彼の提案>>43は、これ以上ない程に嬉しいものでした。 ですから、僕はへらりと頬を緩めて、それに頷いたのです。
ゲームに参加している以上、カエルや狼などとの戦いが避けられないことだとはわかっていますが、 君子危うきに近寄らずといいますし、出来る事なら、危険は避けたいと思うのです。]
じゃあ、ホテルに。
[行こう、と僕が言うまでもなく、彼は歩き出したでしょうか。 そうして、僕は親鳥の背を追うひよこのように、彼の後を追ったのです。*]
(52) 2016/06/05(Sun) 13時頃
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[どこか遠くから聞こえる狼の声に、僕は肩を縮こまらせていたものですから、 彼からの突然の問いかけ>>73に、きょとんとした眼差しを向けてしまいました。]
……出せる、んじゃない?
[数秒、思案したのち、僕はそう答えました。 蛾には、翅と、それから六本の足がありますし、むしろ、それが正しい姿なんじゃないかと思いました。 あとは、ほら。 昔見た絵本のティンカー=ベルだって、背中に翅を生やしていたのですから。]
(104) 2016/06/05(Sun) 16時半頃
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ルイなら、出来ると思うよ。
[彼なら、きっと。 背から翅を生やして、空を舞うことも、 握りしめた金属バットを、剣の如く振るうことも、 きっと、造作もないことだ、と。そう思いました。
遠かったはずの獣の遠吠えが、すぐ近くで聞こえたような気がして、僕は隣の彼を仰ぎ見ます。 リュックサックについた兵隊の鈴が、ちりん、と、ひとつ、音を立てました。*]
(107) 2016/06/05(Sun) 16時半頃
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う、うん。ありがとう……。
[気を付けてね、なんて心配は彼には不要でしょうか。 彼から金属バットを受け取って>>113、リュックにしまい込みます。 柄の辺りが突き出してしまいますが、少しの間だけですし、きっとそんな障害にはならないでしょう。
そうして、彼の手を取って、ぎゅっと目を瞑ります。 そうすれば、空中ブランコに乗ったときのような浮遊感の後、彼と僕は空へと浮き上がりました。]
わぁ……!
[恐る恐る目を開ければ、ごみごみした雑踏が足の下にあったものですから、 僕は思わず感嘆の声を上げて、けれど、少しだけ不安になって、 ――そうして、彼を振り返った僕は、上空の、不穏な陰>>115に気付いたのです。]
(123) 2016/06/05(Sun) 17時半頃
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ルイ、上……! 空から、ノイズが……!
[降ってきたのが女の子であったら、どんなによかったでしょう。 けれど、遥か空の上、僕らに近づいてきたのは、烏のような影。 その身体には、昨日見た蛙や狼のような、禍々しい紋様が刻まれていたのです。
翅の主に警告は届いて、短い空の旅は終わりを告げることになったでしょうか。 少しばかり残念だという言葉は飲み込んで、僕は、不穏な陰に対する彼の判断を待ちました。 逃げるか、戦うか、さて―――。*]
(124) 2016/06/05(Sun) 17時半頃
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[やっぱり、彼は頼もしい。 足を地に降ろして、金属バットを構える彼の言葉>>134に頷きながら、僕はそう思います。]
兵隊さんなら、助けてくれると思う、から。 ……その、ルイも……僕のことは、気にしなくていい、よ?
[呼応するように、どこからともなく現れた3人の兵隊は、 僕らを守るように武器を構えて。 鈴の音を鳴らしながら、僕らを囲むようにして共に走り出したでしょうか。
そうすれば、ぐったりと横たわった烏>>139に混じって、 その身に風穴を、裂傷を刻んだ鳥も、きっと多く混じっていたことでしょう。*]
(142) 2016/06/05(Sun) 18時半頃
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―回想:一つの噂―
[少し、昔の話をしましょう。 尤も、僕みたいな若造にとっての昔など、たかが知れてはいるのですが。
それは、僕が中学生の時の話です。 紀陸 類には、一つの噂がありました。 いや、噂というには明確な形を持っていて、評判というには曖昧なものでした。
それは、彼が―彼の家族が、些か不気味な集団に所属している、ということ。 学は人を殺す。文明は人類を滅ぼす。 豊かであることは、罪なのだ。 そんな思想に、彼らは身を沈めている。
そう、まことしやかに囁かれていたのです。]
(145) 2016/06/05(Sun) 18時半頃
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[紀陸さんに、そう、誘われたのだけれど。 確か、中学に上がって、すぐの頃。ある日の夕食の席で、母はそうぼやきました。 曰く、紀陸さんの奥さん―ルイのお母さんに、誘いを―勧誘を受けたのだそうです。
文明に身を浸すことは、魂を穢れさせることに他ならない。 一刻も早く富を捨てて、神の救いを求めましょう、と。
勿論、この現代で、そんなことはまず不可能ですから、 母がそれを断った時、ルイのお母さんにはひどく失望したような顔を向けられたそうです。
きっと、僕らが幼い頃は、家族ぐるみで親しくしていたからなのでしょう。 丁度同い年の息子を抱えた彼女たちには、僕らには計り知れない苦労や思い出があったでしょうから。 母ならきっと理解してくれる、と。ルイのお母さんは、そう思ったのかもしれません。]
(150) 2016/06/05(Sun) 18時半頃
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[その出来事を境にでしょうか。 いや、もしかしたら、もっと前からだったのかもしれません。
ルイと僕が共に過ごすことは、ぐっと減ってしまいました。 彼が、あからさまなまでに、僕を避けるようになったからです。
嫌われたのかもしれないな、と、そう思いました。 信じることは人の自由です。 ですから、彼の家族にとっての神を否定した僕らは、彼らにとって好ましくなかったのでしょう。仕方がありません。]
(151) 2016/06/05(Sun) 18時半頃
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[そこまで物分かりが良かったなら、それでよかったのです。 けれど、僕は子供でした。そして、今でもそうなのです。
僕は諦め切れませんでした。 幼い頃、彼と肩を並べて、本を読んだ思い出を。 きらきらと世界が輝いてすら見えたあの時を、捨てることなど出来なかったのです。
そして、それから数年と数か月を経た後でした。 僕にとっての転機――作家として、デビューしないか、と。 その話が持ち掛けられたのは。**]
(152) 2016/06/05(Sun) 18時半頃
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―ロイヤルホテル九曜前―
[僕らを囲んだ兵隊が、空を覆うほどの烏を撃ち落としながら、 辿りついた先には、すでに先客の姿がいくつかありました。
偶然にも、そのどれもに見覚えがありました。 若い男女二人組。僕の記憶に間違いがなければ、 それは中学の時に幾らか見ていた顔です。]
(231) 2016/06/05(Sun) 20時半頃
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[特に、少年の方は、当時から話題になっていたように思います。 確か、勉強も運動も万能で、父親は何やら大きな会社の社長だとか、なんとか。
少女の方も、何やら特別な環境だったような気がしますが、 如何せん、そんな目立ったタイプでもなかったので、お互いにそれほど会話をした覚えはありませんでした。
そもそも、彼らがそのような関係性だったということも、僕は知りませんでしたから。 と、繋がれた手を見ながら、そんなことを思います。]
(232) 2016/06/05(Sun) 20時半頃
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[当時は、特に変わった肩書もなく、窓際で絵を描いているばかりだった僕のことを、 彼らが覚えているとは思いませんが、それでも、たった数年前のことです。 僕は、彼らに頭を下げて、小さく手を振りました。
生憎、今の状況は旧交を温めるには不似合いな場所です。 空を覆うほどの烏と、陸に蔓延る獣やカエルにいっぱいいっぱいな僕には、会話を交わす余裕もありません。]
(233) 2016/06/05(Sun) 20時半頃
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[幼馴染の呟きに目線を向ければ>>165、 そこにいたのは、先程デパートで見かけた顔でした。
長身と、どこか気だるげな雰囲気。 絵に描いたようなかっこいい大人の男性の姿があって、僕は慌てて小さく頭を下げました。
願わくば、僕もあんな風な“わいるど”な人に。 そう思ったことがないわけではありませんが、悲しきかな、この背丈では夢のまた夢でしょう。]
(235) 2016/06/05(Sun) 20時半頃
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[そして、不思議なことに、僕のことを知っているらしい同世代の少年>>168にも、ぺこり。 会釈はしましたが、さて、会った覚えがありません。
そういえば、いつだったでしょうか。 一度だけ、いわゆる『サイン会』というものを行ったことがありました。 書店で、発売した絵本を買った人の絵本にサインをして、一言二言の会話を交わす。 そのイベントの段取りをしていたビジネスマンに、彼はよく似ているような気がします。
僕に負担がかかり過ぎないよう、 かつ、訪れた人を十二分に楽しませるように。 これ以上なく計算されつくしたそのイベントは、ネットでもとても評判が良かったのだとか。
きっと、彼の弟さんか、親戚なのでしょう。 その時の僕は、そう思いました。]
(236) 2016/06/05(Sun) 20時半頃
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[さて。 おもちゃの兵隊が、僕を囲むようにして、烏やらカエルやらをなぎ倒している最中、 僕は、突如向けられた問いかけ>>220に、思案するように顎に手を当てました。 それでも、目線は不安げに周囲の敵を、状況を伺っています。]
えぇと、中、に、なるんじゃないかな……? だって、ホテルに入った人しか、入れない場所だし。
[それは、あくまで、僕の考えでしかありませんが。 室内とは言えなくとも、ホテルの中には、違いないと思うのです。]
その、なんなら、聞いてみる、とか。
[目は、悪くない方だと思います。 おずおずと指さした先>>@24、遥か上の銀髪のヒトに、きっと幼馴染は気づいていたでしょうから。
そうして、もし彼が、僕の思う通りの行動に出たのなら、 その背を援護するかのように、兵隊がライフルを構えなおしたでしょうか。**]
(237) 2016/06/05(Sun) 21時頃
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童話作家 ネルは、メモを貼った。
2016/06/05(Sun) 21時頃
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[彼の提案は、それ即ち、昨日の僕と同じ状況をもたらすこと。 即ち、蛾の鱗粉によって、麻痺に似た、手足のしびれをもたらしかねないこと。
彼が翅を羽ばたかせた時に、僕はそのことに思い至りました。 ですから、ホテルに向かって駆けていく背>>234>>259に。 片手を獣へと変えた少女の背>>264に、 また、電撃で鳥たちを撃ち落とした背>>251」に向かって、 僕は叫んだのち、手で口元を覆いました。]
(276) 2016/06/05(Sun) 21時半頃
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みんな、口に、手を……!
[当てて、とか、叫んだ声は、届いたでしょうか。 或いは、ほかの参加者の戯言と切り捨てられたのでしょうか。
如何せん、僕がその結果を知るのは少し後になるでしょう。 幼馴染に向かって放たれた銀色の光>>@25を撃ち落とさんと、兵隊が放ったライフルの弾。 それが、銀の光を退けるよう、祈るだけで精いっぱいだったのですから。*]
(277) 2016/06/05(Sun) 21時半頃
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[祈りは、届いたと思います。彼の翅が傷つくことはありませんでした。 ただ、僕はそれどころではありません。 背後からかけられた突然の挨拶>>@26に、僕は咄嗟に振り向きました。振り向いてしまったのです。
僕とそう変わらない―僕よりも低いかもしれない―背丈の人影に、 思わず拍子抜けしてしまったものですから、 ですから、その背にあった、昨日の赤いパーカーさんとの共通点。 黒い羽に気が付くのは、一瞬、遅れてしまったのです。
咄嗟に、赤い服の兵隊のうちの1体。 盾をもったそれが、僕と彼との間に割り込もうとしましたが、さて。*]
(322) 2016/06/05(Sun) 22時頃
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童話作家 ネルは、メモを貼った。
2016/06/05(Sun) 22時頃
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[金属の盾を、鋭い刃物でひっかいたような耳障りな音が響いて、 僕は咄嗟に顔を顰めました。 此方などどこ吹く風で、ホテルの方を仰ぎ見る少年>>@29は、 あの銀髪の青年の仲間なのでしょう。 彼の周囲に、どこからともなく現れた獣の姿を見れば、それは確信に変わりました。
彼に、手出しをさせてはいけない。 そう思ったのも束の間、僕の意識は、ホテルの方、どんどんと高度を下げていく幼馴染の姿に向いてしまったのです。>>381]
(417) 2016/06/05(Sun) 23時半頃
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……ルイ!
[悲鳴のような声を上げた後、僕は、咳き込んでしまいました。 手足に走る、わずかな痺れ。 昨日と全く同じような状態になってしまった僕は、思わず歯噛みしてしまいます。 ああ、どうか、彼に怪我がありませんように。 そう願うしか僕には出来ません。
そうして、何やら楽し気にホテルの方を眺める少年>>@36に、視線を戻すのです。]
(418) 2016/06/05(Sun) 23時半頃
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……壁?
[小さく咳き込みながら、彼の言葉に僕は首をかしげました。 彼はそれに答えてくれたでしょうか。 どちらにせよ、僕は考えます。
壁、ミッション、それから、「ウルフのノイズ3体の撃破」なる、条件。]
……えぇと、そのオオカミを3体倒せば、僕らは、ホテルに辿りつける。 そういうこと、ですか?
[レンズの向こう、彼の眼差しは見えません。 それを、出来るだけ自分に向けられるように、 ゆっくり、ゆっくりと問いを紡ぎました。]
(421) 2016/06/05(Sun) 23時半頃
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[与えられた情報と、状況を鑑みての、ただの推測でしかありません。 けれど、それが正解なら―-。
ちりん、と、どこからか鈴の音が鳴ります。 現れた、赤い軍服を纏った兵隊。剣を持ったそれが、鞘から剣を抜きました。 ライフルを持った兵隊が、ホテルに向けていた銃口を、狼へと向けました。 盾を持った兵隊は、未だに僕の隣にいましたから、改めてその盾を構えなおしたでしょうか。
彼から肯定が得られたならば、真っ先に、その条件を果たすつもりで。*]
(428) 2016/06/06(Mon) 00時頃
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[肯定の返事>>@44。それから、投げられた硬貨が、まさに合図となりました。 襲い掛かってきた烏たちから、少年が退いたのと同時に、 盾を構えた兵隊は、今度こそ少年と僕の間に割り込んだでしょうか。
そこに、烏が舞い込んできます。 盾と、何か硬いものがぶつかる音。 目の前で響いた大音量の耳障りなそれに、ひ、と小さく悲鳴が漏れます。 けれど、今は泣いている場合ではありません。]
(478) 2016/06/06(Mon) 01時頃
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[一歩退いた少年>>@45の呟きには、少しだけ得意げに笑って、鼻を啜ったなら、肯定の返事と相成るでしょうか。 けれど、幼馴染の助けを待つという選択肢は、この時の僕にはありませんでした。 逃げようにも、痺れた手足は上手く動いてくれません。 そうなれば、取れる選択肢はひとつだけです。
何より、空を必死に飛んだ彼の手を、これ以上煩わせてはいけない。 何かに突き動かされるように、僕は―いや、3人の兵隊たちは、武器を振るうでしょう。
予想外の追撃がありさえしなければ、 ライフルの弾が、飛んできた烏たちを撃ち落としていき、 そうして、本命の狼たちは、鋭い剣の、或いは盾の餌食となるでしょうか、さて。**]
(480) 2016/06/06(Mon) 01時頃
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童話作家 ネルは、メモを貼った。
2016/06/06(Mon) 01時頃
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―回想:一度きりのサイン会―
そんな、褒めすぎですよ。 僕なんて、まだまだ若造です。
[スーツを着こなしたビジネスマンの称賛>>271に、僕は少しばかり照れくさい気持ちになりました。 インターネットを介して、本の感想を探ることは多少あれど、 見知らぬ読者から直接感想をもらうのは初めてだったのです。
それまで、面と向かって感想をくれたのは、 見知った家族、それからたまに顔を合わせた幼馴染くらいで。
ましてや、相手は子供っぽい僕とは真逆の、 出来るビジネスマンといった風貌の青年でしたから、 余計にくすぐったいような気持ちになったのかもしれません。]
(514) 2016/06/06(Mon) 19時頃
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