278 冷たい校舎村8
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[ 奇妙な夢を見ていた気がした。]
(+0) 2020/06/22(Mon) 00時頃
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[ 悪夢のようでいて、 そう悪くなかったような気もする。 感触ばかりが残っていて、 どんな夢だっけ。と礼一郎はぼんやり思う。]
(+1) 2020/06/22(Mon) 00時頃
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──帰還──
[ ひどく体が強張っていて、 礼一郎はゆっくりと体を起こした。
自室。勉強机に向かっていた。 広げっぱなしの参考書がよれている。
体調を崩してはいけないから、 仮眠だってこんな場所じゃ取らないし、 意識をなくすほど疲れてただろうか。
やや違和感を覚えながら、 新着通知の出ているスマホを手に取った。 画面をスライドさせてアプリを起動する。]
(+2) 2020/06/22(Mon) 00時頃
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[ ────夢じゃなかった。]
(+3) 2020/06/22(Mon) 00時頃
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[ 椅子をひっくり返しそうになりながら、 礼一郎はガタンと慌てて立ち上がった。
適当な上着を引っ掴んで、 財布とスマホをポケットに突っ込む。
行かなきゃ。
気が急いて、めちゃくちゃな勢いでドアを開く。 ガン、と何かにぶつかる音がして、 それでも懸命に扉を押し開けて廊下に出た。]
(+4) 2020/06/22(Mon) 00時頃
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[ ……それは礼一郎の足元に転がっている。]
(+5) 2020/06/22(Mon) 00時頃
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[ 勢いよく扉を開けた際に、 扉にどっか打ち付けたらしい。
痛みを堪えるようにうずくまりながら、 「 ごめんなさい 」とそれは言う。 いつものように、謝罪を繰り返している。]
(+6) 2020/06/22(Mon) 00時頃
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[ 礼一郎は気分が悪かった。]
(+7) 2020/06/22(Mon) 00時半頃
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「 ほんと、なんで生きてんの? 」
(+8) 2020/06/22(Mon) 00時半頃
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[ 夢の中の夢。 あるいは、異世界で見た夢。
それをなぞるように、 ゆっくりとそれの傍らにしゃがみ込む。
礼一郎は、じいっとそれを見ている。 見ているだけで胸がムカムカした。
なんで生きてんだろうって、 とっとといなくなんねえかなって、 頭の中でぐるぐると渦巻いている。]
(+9) 2020/06/22(Mon) 00時半頃
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[ 礼一郎は本当に、妹のことが嫌いだ。]
(+10) 2020/06/22(Mon) 00時半頃
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[ なあ。って礼一郎は言う。 うつむいたまんまの妹の髪を、 傷んだ不揃いな髪を一束掴んで、 強引に自分のほうを向かせた。]
(+11) 2020/06/22(Mon) 00時半頃
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どれがいい。 ケーサツ呼ぶのと、 先にどっか遠くに逃げるのと。 それか、ずうっとこのまんま。
(+12) 2020/06/22(Mon) 00時半頃
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[ ……声は震えていた。]
(+13) 2020/06/22(Mon) 00時半頃
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[ ガラス玉みたいな、 何もうつさないがらんどうの瞳が、 礼一郎にじいっと向けられている。
気持ちが悪い。叫びそうになったとき、 妹のひびわれた唇がゆっくりと開かれた。]
(+14) 2020/06/22(Mon) 00時半頃
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声に出してしまったからには、 礼一郎はちゃんとその言葉を背負うべきだ。
(+15) 2020/06/22(Mon) 00時半頃
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嘘をつくのは良くないし、 自分の発言は簡単に放り投げたりできないからね。
(+16) 2020/06/22(Mon) 00時半頃
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…………わかってる?
(+17) 2020/06/22(Mon) 00時半頃
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…………わかった。
(+18) 2020/06/22(Mon) 00時半頃
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[ 言って、乱暴にその髪を離せば、 妹の痩せた体は簡単にバランスを崩した。
待てともあとでとも言わないで、 礼一郎はさっさと立ち上がり、 大急ぎで玄関を飛び出し、夜の道を駆ける。
妹なんかよりずっと、ずっと、 会いたい友人がいるはずの場所へ。**]
(+19) 2020/06/22(Mon) 00時半頃
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[ ――――がくんっ! ごん! ]
うわあっ!
(+20) 2020/06/22(Mon) 01時半頃
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―― 現在:自室 ――
[ 頬杖していた手から、頬が落下した。 その拍子に足で勉強机を蹴り上げて、 つま先がじんじんする中、誠香は目を覚ました。 机の上に広げられた参考書に、ぼんやり目を落とす ]
そうだ、僕……。
[ 受験生らしく受験勉強をしていたのだった。 ノートパソコンを見たくない現実逃避ともいう。 中3の頃からまるで進歩していない。 参考書によだれはついていなかった。セーフ! ]
……夢? じゃあ、ないような、気がする。
[ あんな夢が見れるほど、想像力豊かだったら、 作家になれていたんじゃないだろうか。 というか、あの死に方って。 うわああ、と呻きながら頭を抱えた ]
(+21) 2020/06/22(Mon) 02時頃
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[ 夢じゃなければ、原稿用紙に埋もれて死んでいる誠香を 誰かが発見するのだろう。 あれは、誠香の恥だ。恥が具現化したものだ。 思った通りだ。ろくな死に方じゃなかった。 考えただけで恥ずかしくて死にたくなる。 というか、白紙の原稿用紙見られた時点でアウトです。 死にたい。 ……死? ]
……そうじゃん!
[ がば、と顔を上げる。 誠香は恥ずかしくていたたまれなくて死にたいけれど、 そもそもあの世界に誠香を招いた主は、 多分、もうすでに死を選んでいる。 あのメールがそう言っている。 慌てて誠香はスマートフォンを手に取った。 圏外じゃない。メールが複数届いている。 夏美からのもの。 そして、送信者がバグっていない、遺書メール ]
(+22) 2020/06/22(Mon) 02時頃
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……しおちゃん。
[ 送信者名に表示されているのは、紫織の名だった ]
(+23) 2020/06/22(Mon) 02時頃
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[ 身支度を整えて、誠香はリビングへと出ていく。 まさに寝室に向かおうとしていた様子の両親は、 誠香を見て驚いた顔をした ]
クラスメイトが自殺を図ったって連絡が来て……。 今、病院にいるって。 僕行かないと。
[ 誠香の言葉に両親は顔を見合わせて、 それから父が、車のキーを手に取った。 病院まで送ってくれるという ]
ありがとう、父さん。 母さん、行ってきます。
(+24) 2020/06/22(Mon) 02時頃
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[ 車の中でメッセージを打った。 あの校舎で一緒だった、メンバー全員に宛てて ]
From:せーか To:みんな
――――――
ただいま。 今病院向かってます。
――――――
(+25) 2020/06/22(Mon) 02時頃
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[ ほどなくして、車は病院に到着する。 車を降りようとして、誠香は少し静止した。 それから、運転席の父に「父さん」と呼びかけた ]
……あのさ、あの…… 僕、父さんと母さんに、 言わなきゃいけないことがあるんだ。 ……おにーちゃんのこと。
今度、話すね。うん、ありがとう。 行ってきます。
[ 真っ白なコートにラベンダー色のマフラー。 夜に溶けない装いで、 誠香は病院前に降り立った** ]
(+26) 2020/06/22(Mon) 02時頃
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──現在・病院前──
[ 正直、このおにぎりを購入した時の空腹は、 消え去っている、というかそれどころじゃなくて あんまり食べる気はしなかったから、 あげてもよかったんだけどなあ。
ひらひらと風に靡くビニール袋の中に、 おず、と黒い三角形を仕舞うことにした。 ]
ありがとう、じゃあこれは私が食べちゃうね
[ 食いしん坊って、訳じゃないよ。 食べる量は人並みだし、食い意地貼ってるでもない。 素直に、感謝した。>>4:+75 ]
(+27) 2020/06/22(Mon) 02時頃
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……みんなで、おにぎり食べたいな
[ すごい食欲旺盛です! みたいな発言しちゃったけど、そうじゃなくて。 しおりちゃんの手作りをみんなで囲んで ピクニックでもして食べたいってことです。まる。 ]
(+28) 2020/06/22(Mon) 02時頃
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[ ふふ、と笑みが零れた。>>4:+79 ちーちゃんと顔が合えば、また笑ってたかも。>>4:+82 喜多仲くん、いつも通りだなって、安心する。
そして、あたたかいおしるこを握りしめて、 珈琲を買うちーちゃんを眺めていた。>>4:+82 一口くらい、駄目かなって思ったりするけど、 ここはあの世界とは違う場所だから、 間違いがあっちゃいけないもんね。
まなちゃんとちーちゃんのやり取りには気づけなくて 私は、先にいってるねと告げて、 喜多仲くんと病院の中へ踏み込んでいた。>>4:+80 ]
(+29) 2020/06/22(Mon) 02時頃
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